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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第87回:打倒青白!青黒コントロール特集
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2012.01.26
第87回:打倒青白!青黒コントロール特集
こんにちはー。
他のライターのみなさんも触れていますが、遂に「闇の隆盛」の全カードリストが公開されました。
あちこちで新デッキの話題が飛び交っている中で心苦しいのですが、この連載ではもうしばらく「闇の隆盛」加入前の環境を見ていくことになります。今週は「闇の隆盛」発売前のメタゲームをおさらいすると共に、先週の記事のTweetでご要望の多かった「青黒コントロール」を特集していきたいと思います。
まず最初に「闇の隆盛」リリース前のメタゲームを簡単に整理すると、「青白」系統の台頭が目立ちます。
ここ数週間で何度もお伝えしていることですが、今月初めに行われた「StarCityGames・オープントーナメント・アトランタ」で「青白Delver-Blade」が登場してからというもの、その勢いは日ごとに増すばかり。先々週のグランプリ・オーランドでもトップ8のうち4つを「青白」系統のデッキが占め、さらにはMagic Online(以下MO)上でこのような結果をも生み出すことになったのです。
「Magic Online・スタンダード・プレミアイベント」
優勝 | 「青白人間ビートダウン」 |
準優勝 | 「青白Delver-Blade」 |
3位 | 「青白イリュージョン」 |
4位 | 「青白Delver-Blade」 |
5位 | 「青白Delver-Blade」 |
6位 | 「青白Delver-Blade」 |
7位 | 「青白イリュージョン」 |
8位 | 「青白Delver-Blade」 |
そうです、トップ8に残ったデッキはわずか3種類。色だけで言えば「青白」2色しかありません。
この結果は少し片寄りすぎな気もしますが、とにもかくにもそれほどまでに「青白」系統のデッキの人気、そしてデッキパワーはすさまじいものがあり、その勢いはMO界のみに限らず、現実世界にも確実に浸透してきています。
実際に日本やアメリカの大会結果を見てみても、「青白」系統のデッキの活躍は驚異的と形容するしかないほどで、今年に入ってから以前よりも「青白」系のデッキと当たる回数が増えた、と感じている方も多いはずです。
ですが先週お伝えしたように、グランプリ・オーランドの決勝を戦ったのは「黒緑タッチ《ケッシグの狼の地》」、「グリクシス(青黒赤)コントロール」というふたつのオリジナルデッキでした。
このことから、「青白」に対抗する術は黒にあり、個人的にはそんなメッセージ性のある結果だと感じました。
時系列が行き来してしまって申し訳ないのですが、ちょうどこのグランプリの前日に僕が「What's Happening」で一目惚れしたデッキもまた、「青白」過多の今のメタゲームに合致した、強力な黒のカードを詰め込んだデッキだったのです。
それこそが、今週のメイントピックとなる「青黒コントロール」です。
「青黒コントロール」
8 《沼》 7 《島》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 3 《幽霊街》 -土地(26)- 3 《瞬唱の魔道士》 1 《聖別されたスフィンクス》 1 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(5)- |
3 《清純のタリスマン》 4 《熟慮》 4 《マナ漏出》 3 《破滅の刃》 1 《喉首狙い》 4 《禁忌の錬金術》 2 《雲散霧消》 3 《死の支配の呪い》 2 《黒の太陽の頂点》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(29)- |
1 《幻影の像》 1 《聖別されたスフィンクス》 1 《墓所のタイタン》 2 《否認》 1 《瞬間凍結》 1 《破滅の刃》 1 《喉首狙い》 2 《漸増爆弾》 1 《雲散霧消》 1 《ミミックの大桶》 1 《決断の手綱》 1 《黒の太陽の頂点》 1 《青の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
いつものごとくコピー元のリストが載っているリンク先をメモするのを忘れてしまったので、ほぼ完全コピーの僕のリストをご紹介させていただきます。デッキをコピーさせていただいたものと73枚は同じで、サイドボードを2枚変えただけです。
今回はなぜ今「青黒コントロール」なのか、このデッキのどこが「青白」系のデッキに強いのか、そんなところをお伝えできればと思っています。
まずはデッキのベースとなる部分を役割ごとに見ていきましょう。
~カウンター呪文~
ご存じ青の代名詞その1。
最近ではメタゲームの大本命である「Delver-Blade」相手にはサイドアウトするプランを実行しているのですが、そうは言ってもこれらがなければ「赤緑《ケッシグの狼の地》」や「緑黒タッチ《ケッシグの狼の地》」のような緑系のデッキ、そして「青黒コントロール」、「太陽拳(青白黒)」が代表する対コントロール戦を勝ち抜いていけないため、メインボードには最低でも6枚のカウンター呪文が必要だと思います。
「青白」系統のデッキがもう少し減るようであれば、《マナ漏出》4枚、《雲散霧消》3枚にしたいくらいなのですが、現状ではこれが精一杯といったところですね。
~ドローサポート~
青の代名詞その2。
僕が昨年から幾度となく「青黒コントロール」を使って学んだことは、ドローサポートを6枚以下にするのはありえないということでした。
それを学ぶ良いきっかけになった失敗例が、対ビートダウン戦などのサイドボードディングでこれらを減らしてしまったことです。そうしてしまうと、こちらがほぼゲームを掌握しかけているところから息切れしてしまい逆転される回数が増えたり、単純に相手の手数に追いつけなくなる回数が激増しました。
至極当たり前のことかもしれませんが、それに気付いてからは、サイド後でも概ね7~8枚のドローサポートを維持するようにしています。
~単体除去~
単体除去は環境を代表するこの2枚。
個人的には黒いクリーチャーの少ない現環境を考慮して、《破滅の刃》を4枚にしたいのですが、どちらにするにせよ、《秘密を掘り下げる者》から《原始のタイタン》まで、ほとんどのクリーチャーを2マナで除去できる優れものです。
《喉首狙い》にするかどうかは、《墓所のタイタン》次第といったところですね。
~「青白」の海を乗り切るための鍵~
3 《清純のタリスマン》、3 《死の支配の呪い》、2 《黒の太陽の頂点》
これら3種類のカードは、今のメタゲームで生き残るために必要不可欠だと思っています。
《黒の太陽の頂点》に関しては、以前から「青黒コントロール」の定番カードでしたが、環境に《聖トラフトの霊》が増えるにつれ、その需要はなおのこと高まってきています。
《清純のタリスマン》と《死の支配の呪い》は、《ムーアランドの憑依地》がはびこる現在のメタゲームで期待以上の活躍をしてくれるコントロールデッキの救世主。これらのカード抜きには、コントロールの復権はないだろうと思えるくらいに際立った強さを誇ります。両方とも、特に「Delver-Blade」に強力ですね。
~勝ち手段~
3 《瞬唱の魔道士》、1 《聖別されたスフィンクス》、1 《墓所のタイタン》、2 《ヴェールのリリアナ》、1 《解放された者、カーン》
勝ち手段を最後に持ってきたのは、僕が他の項目に比べ、この項目をあまり重要視していないがためです。ゲームを長引かせることに成功すれば、極端な話勝ち手段は何でもいいので、相手の除去にひっかかりづらい、または1枚だけでゲームを決定付けるだけのパワーがあればいいと思います。
万能の《瞬唱の魔道士》3枚、《ヴェールのリリアナ》2枚、《解放された者、カーン》1枚は確定として、残る2枚の枠をどうするか。
《墓所のタイタン》は《破滅の刃》が効きませんし、トークン生産能力の関係上その他の単体除去にも強いので、あまり不満はありませんでしたが、《聖別されたスフィンクス》は手札に余った除去で対処されるだけ、ということが多かったので、何か別のカードに変える必要性を感じていました。
このデッキはこのままでも「Delver-Blade」にかなり強かったのですが、その反面で《ミラディンの十字軍》と《聖トラフトの霊》が計6~8枚入った「青白人間」に相性が悪いという課題がありました。
これらのクリーチャーへの対処法はごくわずかしかないため、3ターン目にどちらかが出てきてしまい、そのままあっさり負けてしまうことが多々あったのです。
勝ち手段の取捨選択、そして対「青白人間」への勝率の低さを改善しようと四苦八苦していたところ、グランプリ・オーランドにて、プロツアーチャンピオンのBen Starkが、個性の光る「青黒コントロール」を使って初日全勝を記録したのです。
「青黒コントロール / Ben Starkバージョン」
7 《島》 7 《沼》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 3 《幽霊街》 2 《ネファリアの溺墓》 -土地(27)- 2 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(2)- |
3 《悪性の傷》 4 《熟慮》 4 《マナ漏出》 2 《破滅の刃》 3 《禁忌の錬金術》 3 《雲散霧消》 2 《飢えへの貢ぎ物》 2 《死の支配の呪い》 3 《黒の太陽の頂点》 2 《青の太陽の頂点》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(31)- |
1 《幻影の像》 2 《血統の守り手》 1 《悪性の傷》 3 《虚無の呪文爆弾》 2 《否認》 1 《死の支配の呪い》 1 《黒の太陽の頂点》 1 《殴打頭蓋》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 2 《ネファリアの溺墓》 -サイドボード(15)- |
《破滅の刃》や《喉首狙い》よりも、さらに軽さを重視した《悪性の傷》の採用や、「呪禁」クリーチャーにも効果的な《飢えへの貢ぎ物》の採用といった、除去選択だけを見ても様々な工夫が見受けられるリストに仕上がっています。
特にフィニッシャーと呼べるクリーチャーを入れない構築は目から鱗で、《青の太陽の頂点》と《ネファリアの溺墓》を勝ち手段に据えたのは非常に画期的ですばらしいアイディアだと思います。
このリストは全体的にバランスの取れた形になっていますが、強いて言うなら、もう少し「Delver-Blade」に強い構成にしたいと感じたので、対「Delver-Blade」戦に定評のあった最初のリストに、《ゲスの評決》や《飢えへの貢ぎ物》といった除去を加えてみることに。ついでに《聖別されたスフィンクス》の枠を《青の太陽の頂点》に変更したのが以下のリストです。
「青黒コントロール ver.2」
8 《沼》 7 《島》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 3 《幽霊街》 -土地(26)- 3 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(3)- |
3 《清純のタリスマン》 4 《マナ漏出》 4 《熟慮》 3 《破滅の刃》 1 《ゲスの評決》 4 《禁忌の錬金術》 2 《雲散霧消》 1 《飢えへの貢ぎ物》 3 《死の支配の呪い》 2 《黒の太陽の頂点》 1 《青の太陽の頂点》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(31)- |
1 《幻影の像》 1 《墓所のタイタン》 1 《蔑み》 2 《虚無の呪文爆弾》 1 《破滅の刃》 1 《瞬間凍結》 1 《否認》 2 《漸増爆弾》 1 《雲散霧消》 1 《飢えへの貢ぎ物》 1 《ミミックの大桶》 1 《決断の手綱》 1 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
前述の通り、このリストは除去に《ゲスの評決》と《飢えへの貢ぎ物》を採用しているのが特徴です。《ミラディンの十字軍》や《聖トラフトの霊》への解答を増やしたいとの思いから採用していました。
しかしながら、このアプローチは《宿命の旅人》擁する「青白人間」にとても弱く、《ミラディンの十字軍》や《聖トラフトの霊》はおろか、以前であれば殴られた記憶などほとんどなかった《刃砦の英雄》にまで負けてしまう始末。
対「Delver-Blade」には以前に増して強くなったものの、その他のデッキに弱くなりすぎていて、デッキを改悪してしまった感が拭えませんでした。
勝ち手段も《ソリン・マルコフ》など様々なものを試したのですが、さすがにフィニッシャークラスのクリーチャー0枚、《ネファリアの溺墓》0枚はやりすぎだったため、ここも再検討する必要がありました。
ヤソ(八十岡 翔太)さんから「やりすぎはよくない」とのアドバイスを受けたこともあり、原点回帰というか最もバランスが良さそうに感じた最初のリストを、もう一度調整することになりました。
「青黒コントロールver.3」
8 《沼》 7 《島》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 3 《幽霊街》 -土地(26)- 3 《瞬唱の魔道士》 1 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(4)- |
3 《清純のタリスマン》 4 《破滅の刃》 4 《マナ漏出》 4 《熟慮》 4 《禁忌の錬金術》 2 《雲散霧消》 3 《死の支配の呪い》 2 《黒の太陽の頂点》 1 《青の太陽の頂点》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(30)- |
1 《幻影の像》 1 《聖別されたスフィンクス》 1 《外科的摘出》 1 《蔑み》 1 《ゲスの評決》 2 《否認》 1 《瞬間凍結》 3 《漸増爆弾》 1 《雲散霧消》 1 《決断の手綱》 1 《黒の太陽の頂点》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
このリストに戻してからDE(デイリー・イベント。4回戦限定で行われるMOのイベント)には出ることができませんでしたが、2人構築の調子は良好です。
相変わらず「青白人間」への相性がいかんともしがたいことが懸念材料ですが、それ以外のマッチに関しては、以前よりも勝てるようになりました。
サイドボードを自分が使いやすいように変えたことが主な要因かと思います。
最後に、僕なりのサイドボーディングプランを紹介させていただきましょう。僕自身もいくつかのマッチアップに関してはまだ悩んでいるので、参考程度に留めておいてほしいのですが、各サイドボーディングプランを見て、新たに投入したカードの採用理由なども把握していただければ幸いです。
~対「青白Delver-Blade」~
このマッチアップの焦点は、《死の支配の呪い》を設置できるかどうか、そして《聖トラフトの霊》をきちんと対処できるか否か、この二点に集約されます。
メインボードではほぼ《死の支配の呪い》は割られないので、相手側の《マナ漏出》をケアして3マナ浮かせてキャストできれば勝利は目前です。《清純のタリスマン》は延命、マナ加速の両面で貢献してくれます。
相手のクロックが小さい、または全くない状況ならば、《マナ漏出》を意識して重要なスペルは3マナ余らせてキャストするのが理想になりますが、《聖トラフトの霊》や、装備品付きのクリーチャーに殴られている状況下であれば、積極的に呪文をキャストして相手に対応を迫るといいでしょう。時には、墓地にソーサリー・インスタントカードがなくとも《瞬唱の魔道士》をキャストし、《聖トラフトの霊》へのブロッカーにすることも必要です。
・サイドボーディング
先ほども述べた通り、最近では《マナ漏出》を抜くプランを試しています。以前は《マナ漏出》を残し、代わりに《墓所のタイタン》や《解放された者、カーン》などの勝ち手段を抜いていたのですが、これはサイド後でも《死の支配の呪い》が割られないことに起因していました。
しかしながら、今ではこのカードの存在はほとんどのプレイヤーに認知されており、多くのプレイヤーが《天界の粛清》や《忘却の輪》のような対策カードをサイドインしてきます。そのため、相手の勝ち手段を抑え込んでから悠々と《瞬唱の魔道士》で殴りきる、というプランを選択するのは厳しくなっているので、仮に《死の支配の呪い》の設置に成功したあとでも、速やかに勝利すべく勝ち手段を多めに残しています。
このようなデッキ相手に、2マナの《マナ漏出》をサイドアウトするのは矛盾している気もしますが、サイド後は《聖トラフトの霊》に触れるカードが増えていますし、サイドインするカードの多くが2マナ以下なので、思い切って《マナ漏出》を抜いています。この辺りはさらに調整が必要ですが、みなさんにも色んなプランを試してみてほしいです。
~対「青白人間ビートダウン」~
「青黒コントロール」にとって、最も厳しい相手が「青白人間ビートダウン」です。
《死の支配の呪い》を無効化する《清浄の名誉》、カウンター呪文そのものを否定する《堂々たる撤廃者》、そしてそれらにバックアップされた《ミラディンの十字軍》、《聖トラフトの霊》コンビがこちらのライフを素早く奪い去っていきます。
これらのクリーチャーに有効な《ゲスの評決》や《ヴェールのリリアナ》で対策したいところですが、《宿命の旅人》がそれすらも許してくれません。
残念なことに、今のところ「青白人間」に対して効果的な対策は、《黒の太陽の頂点》の増量くらいしか思い付かないので、これは今後解決すべき最重要課題ですね。
・サイドボーディング
out 4 《マナ漏出》、2 《雲散霧消》、1 《青の太陽の頂点》
in 1 《聖別されたスフィンクス》、1 《蔑み》、3 《漸増爆弾》、1 《ゲスの評決》、1 《黒の太陽の頂点》
先ほどの「Delver-Blade」とは違い、《堂々たる撤廃者》という《マナ漏出》を抜くに値する決定的な要因がこのマッチアップにはあります。先手なら残すのもありだと思いますが、後手ならサイドアウトしたいですね。
このマッチアップだけ勝率が5割を切っているので、先手なら《マナ漏出》を入れたりと、もっともっと試行錯誤が必要です。
~対「青白イリュージョン」~
「イリュージョン」は比較的楽な部類になります。序盤のクロックを単体除去やカウンターで抑え込むことができますし、装備品もないので突然死の心配もありあませんからね。
とにかく《幻影の熊》と《秘密を掘り下げる者》を戦場に残さないこと、《非実在の王》を《幻影の像》でコピーされないように気を付けること。この二点を意識すれば、ゲームを上手くコントロールできるでしょう。
・サイドボーディング
out 1 《マナ漏出》、2 《雲散霧消》、1 《青の太陽の頂点》、1 《解放された者、カーン》
そこまでの大幅な変更な必要なく、軽量除去を足すだけです。相手のクロックはゆっくりなので、《非実在の王》+《幻影の像》のコンボや、《聖トラフトの霊》のような変化球にだけ注意を払えばいいと思います。
~対「赤緑《ケッシグの狼の地》」~
これはこのデッキにとって非常に楽なマッチアップと言えます。特に《内にいる獣》と《原初の狩人、ガラク》の入っていないリストは与し易く、《死の支配の呪い》に触られないことに加え、致命的なスペルが少ないので、戦場のコントロールが比較的容易に行えます。
《清純のタリスマン》でライフゲインを続けていれば、火力で負けることもほとんどなくなるので、忘れずに毎ターン回復するように心掛けましょう。
・サイドボーディング
out 2 《破滅の刃》、1 《清純のタリスマン》、1 《死の支配の呪い》、2 《黒の太陽の頂点》
in 1 《幻影の像》、1 《聖別されたスフィンクス》、1 《蔑み》、1 《ゲスの評決》、1 《瞬間凍結》、1 《雲散霧消》
《死の支配の呪い》は、《墨蛾の生息地》と《ケッシグの狼の地》が揃う頃に置ければいいので1枚減らし、サイドボードからは主に《最後のトロール、スラーン》対策を投入します。
気を付けるべきカードは《最後のトロール、スラーン》、《秋の帳》、《原初の狩人、ガラク》くらいのものなので、慎重に対処していけば相手の行動を捌ききれるはずです。
僕は基本的に《不屈の自然》と《太陽の宝球》は無視することにしていますが、3ターン目に《最後のトロール、スラーン》が出てくるときつい場合、またはこちらの手札が理想的なもので、複数枚のカウンターからフィニッシャーに繋がる展開であればカウンターするようにしています。
~対「黒緑タッチ《ケッシグの狼の地》」~
親戚の「赤緑《ケッシグの狼の地》」とは違い、《業火のタイタン》が《墓所のタイタン》になっているため、苦戦を強いられます。
《業火のタイタン》は《破滅の刃》で簡単に対処できますが、《墓所のタイタン》が一度着地してしまうと、それに効果的なのは《黒の太陽の頂点》くらいしかありませんからね。
このデッキが多くなるようであれば、数枚の《破滅の刃》を《喉首狙い》にする必要がありますが、今のところこのデッキは少ないので《破滅の刃》を優先しています。
・サイドボーディング
サイド後は《墓所のタイタン》に低マナで対応できる《蔑み》、《雲散霧消》が入るので、幾分かマシになります。
「黒緑タッチ《ケッシグの狼の地》」には《破滅の刃》や《喉首狙い》が入っているので、少なくとも2本目は《聖別されたスフィンクス》は入れないようにしています。サイド後の相手のデッキをよく見て、除去を減らしているようであれば3本目で投入するといった具合です。
~対「青黒コントロール」~
コントロール対決で重要なのは土地の並べあい、そしてデッキ内に含まれるカウンターの量、勝ち手段の数です。
このリストは《清純のタリスマン》のおかげで土地の並べあいでリードすることができるので、あとは仕掛けるタイミングを見計らって動くのみです。手札が充実してきたら、勝ち手段の中で最も軽い《ヴェールのリリアナ》から仕掛けてみるといいでしょう。
1本目はコントロール対決で重要なカードがデッキ内に限られているので、《禁忌の錬金術》で《解放された者、カーン》や《雲散霧消》のような、対コントロール戦で重要になるカードを確実に取るように心掛けるといいと思います。
基本的にはどうやっても長期戦になるため、多少土地が詰まるようなことになろうとも、《禁忌の錬金術》でこれらのカードを手に入れておくことで、ゲーム終盤戦での優位を得ることができます。
あとは相手のデッキに《ネファリアの溺墓》が入っているようであれば、《幽霊街》を手札に持っておくといいですね。相手の《幽霊街》でこちらの《幽霊街》を破壊され、その後に《ネファリアの溺墓》を置かれてしまうと一気に苦しくなってしまうので、《幽霊街》は相手の戦場に《ネファリアの溺墓》が出てから置くようにしたいです。
・サイドボーディング
out 3 《破滅の刃》、3 《死の支配の呪い》、2 《黒の太陽の頂点》
in 1 《蔑み》、1 《外科的摘出》、2 《否認》、1 《雲散霧消》、1 《決断の手綱》、1 《聖別されたスフィンクス》、1 《記憶の熟達者、ジェイス》
除去を抜いてカウンターなどに入れ替える、非常に分かりやすいものです。ただし僕は昔からコントロール対決が苦手なので、《蔑み》と《外科的摘出》で相手の手札を見やすいようにしています。
手札を見られれば僕でも仕掛けるタイミングを間違えることはなくなりますし、《外科的摘出》で相手のデッキから《マナ漏出》や《雲散霧消》がなくなれば、それだけでも大きなアドバンテージを得ることができますからね。
墓地を活用するコントロールデッキ対策として、《虚無の呪文爆弾》も試してみましたが、手札を見られること、相手の手札にも干渉できる可能性がある点を考慮して、最終的には《外科的摘出》を優先することにしました。
~対「太陽拳 or エスパーコントロール」~
これは「青黒コントロール」よりも楽なマッチアップです。1本目はこちらの方が有効牌が多いことがほとんどなので、長期戦に持ち込んで《ヴェールのリリアナ》から仕掛け、《雲散霧消》か《忘却の輪》を消費させていき、最終的に《解放された者、カーン》か《青の太陽の頂点》を通すようにするといいですね。
高確率で入っている《青の太陽の頂点》、または《白の太陽の頂点》にだけは気を付けましょう。
・サイドボーディング
out 1 《墓所のタイタン》、1~2 《破滅の刃》、1~2 《清純のタリスマン》、3 《死の支配の呪い》、2 《黒の太陽の頂点》
in 1 《蔑み》、1 《外科的摘出》、2 《漸増爆弾》、2 《否認》、1 《雲散霧消》、1 《決断の手綱》、1 《記憶の熟達者、ジェイス》
おそらく1本目で相手のデッキ内容をほとんど把握できると思うので、それ次第で若干の微調整が必要になります。
相手のリストに《幻影の像》と《太陽のタイタン》がともに2~3枚採用されている場合は、《破滅の刃》を3枚残して、《清純のタリスマン》を2枚抜くといいでしょう。
《漸増爆弾》は相手の《忘却の輪》、そして《白の太陽の頂点》対策です。相手の《白の太陽の頂点》の枚数にもよりますが、基本的にはカウンター0のままで置いておいて、《忘却の輪》を割りたい場合のみカウンターを増やしていくことになります。
~対「白単《鍛えられた鋼》」~
《鍛えられた鋼》が通るかどうか、それが最大の焦点です。
それさえ打ち消してしまえば、対戦相手のクロックは非常に小さなものなので、《清純のタリスマン》だけでも十分な時間が稼げますし、《死の支配の呪い》で壊滅的な状況に追い込めます。
《死の支配の呪い》が引けない場合は、《黒の太陽の頂点》で対処できない《きらめく鷹の偶像》や《墨蛾の生息地》に、しっかりと《破滅の刃》を合わせるようにしたいですね。
・サイドボーディング
out 2 《雲散霧消》、1 《青の太陽の頂点》、2 《ヴェールのリリアナ》
in 1 《聖別されたスフィンクス》、3 《漸増爆弾》、1 《黒の太陽の頂点》
サイド後は《鍛えられた鋼》にも触れる《漸増爆弾》が入るので、1本目よりも若干楽になりますね。
《漸増爆弾》、《死の支配の呪い》、《黒の太陽の頂点》を用いて相手の戦線を壊滅させ、相手が息切れしたところでフィニッシャーを展開できると理想的です。
~対「赤単」~
「青白」系統のデッキを除くと、最もきついのが対「赤単」です。メインボードで《燃え上がる憤怒の祭殿》にカウンターでしか対処できない以上、これは仕方のないことと言えます。
しかし《燃え上がる憤怒の祭殿》を置かれなければ好勝負が期待できますし、現状「赤単」は「青白」系のデッキに押され数を減らしているので、そこまで悲観する必要はないと思います。
・サイドボーディング
out 2 《雲散霧消》、1 《死の支配の呪い》、1 《青の太陽の頂点》、1 《解放された者、カーン》
in 1 《聖別されたスフィンクス》、3 《漸増爆弾》、1 《ゲスの評決》
重いカードを軽いものに置き換えただけですが、《燃え上がる憤怒の祭殿》用に《瞬間凍結》ではなく《マナ漏出》を残すようにしています。
相手の攻勢を削ぐことに成功したのなら、《清純のタリスマン》でひたすらにライフを回復するか、ドローサポートを駆使していち早くフィニッシャーを見つけるのが得策です。
「青黒コントロール」の解説は以上になります。
長々と書いてきましたが、簡潔にまとめると「青白人間」にこそ弱いものの、それ以外の相手には善戦できるデッキだと思います。
リストに関しても、サイドボーディングプランに関しても、まだまだ練り込む余地がたくさんあるデッキだと思いますが、現在のメタゲームに割って入るだけの十分な力があると感じています。
最近はあまりコントロールデッキを特集する機会がなかったので、久しぶりのコントロールデッキ特集になりましたが、この記事で「青黒コントロール」に興味を持っていただけたら幸いです。
それでは、また来週ー!
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