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リミテッドでの色のペア・パート2
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リミテッドでの色のペア・パート2
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2013年10月4日
先週、リミテッドにおける色のペアについての一般的なお話をしましたが、今週は『テーロス』のそれについてより突っ込んだお話をしようと思います。もしかしたら、あなたはもう友達と地元のフライデー・ナイト・マジックで、もしくは「Magic Online」でドラフトをしたことがあるかもしれません。ではこのセットに色のペアがもたらした様々な戦略についてのお話を始めましょう。
青白:英雄的シナジー
デザインからデベロップに引き継がれた時点では、ほとんどの英雄的メカニズムは青と白にあり、そして我々はその2色を英雄的メカニズムを中心的とした色のままにしました。実際に白は英雄的メカニズムの中心であり、よって青白、赤白、緑白のデッキは英雄的メカニズムを多く備えています。
青白が他のデッキと違うところは白の英雄的クリーチャーを青の呪文で誘発させ、テンポの作成とブロッカーを回避することの両方を行うところです。《波濤砕きのトリトン》はちょっと強い「亀」(3マナ1/4)にしか見えないかもしれませんが、これに《目ざといアルセイド》のようなクリーチャーを授与すれば、あなたは(正に文字通りの)神さえもブロックするサイズのブロッカーだけでなく、対戦相手が対処困難なアタッカーも手に入れるでしょう。
青黒:(黒の信心)コントロール
信心が可能にした素晴らしいことの1つは、それが土地のタイプを参照しないので、実際に単色にしなくても単色デッキと同様に信心の利点の多くを得ることができる点です。例えば『シャドウムーア』でもしあなたが2枚の《石の顎》を持っていたなら、あなたは23枚の《山》をプレイするよう強く強く推奨され、それはドラフトを型にはめすぎて、ドラフトをするごとにデッキが十分に変化するようなことを許しませんでした。
青黒の基本戦略は《悪意の幻霊》、《悪魔の皮のミノタウルス》、《蘇りし者の密集軍》などの序盤を支える黒いカードを並べ、そして後半に《タッサの褒賞》や《記憶の壁》のようなコントロール要素をプレイすることです。しかしあなたのパーマネントの多くは黒いので、《アスフォデルの灰色商人》や《フィナックスの信奉者》の恩恵を受けることができます。
もう1つの戦略として、ゲームを長引かせることができた場合に《タッサの褒賞》や《蘇りしケンタウルス》などのライブラリーを削る手段が、あなたのライブラリーよりも早く対戦相手のライブラリーを削りきってしまうのを見かけるかもしれません。
赤黒:ミノタウルス
2大除去色の組み合わせである赤黒は、多くの場合デッキを組むのが困難です。デッキを機能させるための秘訣は、狙いを定め、いったん除去呪文をピックし終わってから、クリーチャーを探してデッキを埋めていく、という流れを考えてデッキに入れるものを決めていくことです。
今回我々はミノタウルス部族を使い、そしてデッキの方向性を決めるために《クラグマの戦呼び》や《怒血のシャーマン》のようなカードを入れました。幸運にも、デッキに欲しいミノタウルスの多くはピックの序盤で他のプレイヤーと取り合いになるほど強力ではありません。あなたは早めにミノタウルス・ロードを捕まえたいと思うかもしれませんが、他のミノタウルスよりもデッキを機能させる除去を取るべきです。
赤緑:怪物ランプ
赤緑はマナ加速してファッティを出す色として知られており、このセットでもそれは変わりません。赤と緑は怪物化の主要な色であり、あなたにガッシリとした怪物どもをお手ごろ価格で供給してくれ、そしてそれらは後で強化することも可能です。インスタント速度で起動できるため、怪物化は一種の抑止力としても機能します――6マナある状態の《不機嫌なサイクロプス》の前に立ちはだかるのは難しいことでしょう。また、マナを立てた状態で2体の怪物化クリーチャーで攻撃すれば、しばしばどんなブロックもチャンプ・ブロックにしてしまいます。
これら全てをサポートするために、緑には《旅するサテュロス》のようなマナ加速として機能するいくつかのカードが存在します。このクリーチャーは他の戦略では早くピックしませんが、もしあなたが赤緑をやってみたいなら、《落岩》のような他のデッキがほとんど撃てないような重い呪文を唱えられるので、何枚か早めにピックするようにしてみてください。
白緑:+1/+1カウンターとコンバット・トリック
この英雄的デッキが青のそれと違うのは、他のクリーチャーをタップするのでも回避するのでもなく、ただひたすらサイズで上回って倒すことを目指している点です。《戦識の重装歩兵》や《力のうねり》のように白と緑は純粋な強化の色であり、このデッキの大多数の英雄的クリーチャーは呪文の対象になったときに追加で+1/+1カウンターを得てブロックをさらに困難なものにします。あなたが《信条の戦士》で攻撃した場合、対戦相手は難しい判断を迫られるでしょう。彼女を2/2から10/10にするのは2枚のコモンの強化呪文だけで簡単にできてしまうのですから。
白黒:ライフ獲得
敵対色の組み合わせの中で、白黒はライフ獲得を特徴とするコントロール的な色のペアです。『基本セット2014』の《アジャニの群れ仲間》や《天使の協定》のようなライフ獲得で誘発するカードはありませんが、代わりにあなたのライフ総量をリソースとしていつ呪文を唱えるかを選べます。またアグロ・デッキによる序盤の攻勢で失ったライフを取り戻すことができるので、あなたは他のデッキよりも除去やブロックをより良いタイミングで行えます。
白と黒は授与の多い色であり、他の色よりも余分にコモンの授与カードが存在します。この2色のライフ獲得能力と遅いゲーム展開はうまく行けば幻霊を授与するする時間が稼げて、それらを2倍使えるでしょう。
赤青:インスタント/ソーサリーと占術デッキ
『テーロス』では赤青のデッキは様々な形を取ることができます。時には《蒸気の精》や《ミノタウルスの頭蓋断ち》のようなカードで序盤にダメージを押し通すアグロデッキにすることも、またある時は《前兆語り》と《記憶の壁》で《パーフォロスの激怒》のような呪文を手に入れて何度も使い回すコントロール寄りのデッキにすることもできます。
いずれの場合にせよ、赤青デッキは占術でその時に欲しいカードを探すようにできています。もしあなたが《先見のキマイラ》を持っていれば、主力のアタッカーを得るだけでなく、全ての呪文が他の呪文に繋がりブロッカーを除去するところまでたどり着けるでしょう。
緑黒:墓地活用
『テーロス』の黒緑は、去年のスタンダードで定番だったリアニメイト・デッキとよく似た、自分の墓地を削るコントロール・デッキに向かう傾向にあります。《菅草の蠍》と《悪意の幻霊》は序盤の相打ち要員で、《蘇りし者の行進》はそれらを手札に戻してきます。これは明確に、1対1のカード交換を行い、時間をかけてカード・アドバンテージを得るデッキです。
《神々との融和》や《蘇りしケンタウルス》などの『イニストラード』ブロックのような自分の墓地を削るカードが『テーロス』にも少しだけ存在し、これらは《ファリカの癒し人》か《蘇りし者の行進》のどちらかが手札にあれば簡易の教示者へと早変わりします。
赤白:一気呵成
これは一般的に『テーロス』のリミテッドの最速デッキで、そして英雄的デッキの最後の組み合わせです。他の英雄的デッキとの違いは、赤の英雄的カードは永久的なボーナスを得るカードがほとんどなく、従ってそのアドバンテージを完全に活かすにはあなたのターンに動く必要があります。《レオニンの投網使い》はこのデッキにピッタリで、あなたのアタッカーが小さくても数で攻めて全てをブロックをすることを困難にさせます。
このデッキには人間が多く含まれており、《乗騎ペガサス》はそれらを背に乗せて対戦相手まで運ぶのを得意としています。また《タイタンの力》は理想的なコンバット・トリックで、かなり頻繁に、ブロックされていないクリーチャーに唱えて対戦相手のライフを片手で数えられるほどにするでしょう。この状況はタップする効果や《気絶》効果がもっとも効果的な場面です。
青緑:テンポ・デッキ
最後に注目していただきたいデッキは青緑のテンポ・デッキです。このデッキは緑のライフ獲得と青の飛行を組み合わせ、盤面を膠着させながら空から対戦相手を攻撃します。
この戦略の成功の鍵は、《航海の終わり》のようなバウンス効果で対戦相手の展開を場が膠着するまで遅らせることです。緑の怪物達はアタッカーとして優秀なだけではなく、例えば《ネシアンのアスプ》は突破困難な壁として立ちはだかります。そして《ナイレアの信奉者》のようなカードで序盤に受けたダメージを取り戻すことができるでしょう。いったん地上を膠着させたなら、あとは飛行クリーチャーや《彼方の工作員》のようなクリーチャーで殴り放題です。
もちろん、《雨雲のナイアード》を中盤まで温存できれば、《ネシアンのアスプ》――もしくはヘリオッドの禁じた《巨体の狐》はドラゴン級の飛行クリーチャーになります。
奇策妙案
今回ご紹介したのは我々がお勧めする主なデッキの方向性ですが、これがドラフトの全てということではなく、これ以外の戦略を支援するカードはたくさん存在します。除去と大型クリーチャーで構成された重い赤白デッキや、ブロックを回避して相手を倒すアグレッシブな青黒デッキを作ることも可能です。重要なのはドラフトで起こる事柄に制限をかけることではなく、その代わりに、それぞれの色のペアにリミテッド環境のバランスを取り問題を解決する助けとなる具体的な方向性を与えることです。
『テーロス』のドラフトが「Magic Online」で始まるとともに、私はプレイテスト中に見つけ出されなかった種類のデッキをコミュニティが考え出すのを楽しみにしています。私は我々が試さなかった異端の戦略を開発する複数のコミュニティがあると確信しており、それらはドラフトを素晴らしくするものの一部です。我々は数多くリミテッドのプレイテストをしていますが、それでも全てを発見することはできません――我々が全てを知っているようでは、その環境は人々を長期間に渡ってドラフトさせるだけの十分な深さを維持することはできないでしょう。私は今回ご紹介した『テーロス』の主な戦略は、長期に渡ってプレイヤーの興味を十二分に保てると自信を持っていますが、プレイヤー達が我々が意図して仕組んだのではない「隠れた」アーキタイプを発見することで、このフォーマットの新鮮さは長期に渡って保たれることでしょう。
ではまた来週お会いしましょう。
サムより
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