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資源の再利用
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資源の再利用
Tom Lapille / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年11月30日
良いゲームのご他聞に漏れず、マジックは多くの人にとって多様な存在だ。
多くの人にとって、マジックは巨大なドラゴンや......
《ウトヴァラのヘルカイト》 アート:Mark Zug |
......強力なウィザードや......
《思考を築く者、ジェイス》 アート:Jaime Jones |
......驚くべき呪文のゲームだ。
《世紀の実験》 アート:Dan Scott |
また他の多くの人にとって、マジックはマナと、カードと、ライフ総量のゲームだ。
《煮えたぎる歌》《予言》《溶岩の撃ち込み》 |
私がウィザーズの人間でなくただのプレイヤーであった頃、私にとってのマジックは圧倒的に後者だった。多くのトーナメントでプレイして国中を回り、そしてそれらのカードが何者であるかよりも何をなしたかの方にずっと興味を持っていた。今や私はデベロッパーであるので両方の事柄に注意を払わなければならず、そしてそれは素晴らしい学習の訓練だった。
しかしながら我々の目に見えないカジュアル層に属する人々の多くは、メカニズム的な強さよりもフレイバーに興味があり、彼らの多くが彼らを惑わせる数字によって容易にしらけてしまうことを発見した。例として、《暁輝きの発動者》を見てみよう。
これはエルドラージ覚醒のリミテッドでとても強力な一枚だ。もし君が8マナ揃えられたなら、これを毎ターン起動するだけで対戦相手はこれを殺さない限り君にダメージを与えることができなくなる。その一方で、これはお手ごろな値段のパワー2のクリーチャーだ。とりわけ8マナを揃える前のカードが素晴らしく良かった場合は、エルドラージ覚醒のゲーム展開のおかげで少しも無茶なものではなかった。しかしながら多くのプレイヤーはこれらを拒絶し、8マナには届かないと言っている。どれほど訓練されたプロとして腕を振るって、そして彼らが間違っているという事実を言っても、それらのカードがこれ以上の魅力を得ることを意味してはいなかった。幸運にも、エルドラージ覚醒の発動者たちの対象となる相手はドラフトに真剣に取り組んでいる層で、その人達はこれらのカードのリミテッドの膠着状態を破壊する価値をすばやく学んだ。我々は発動者たちが多くのカジュアルプレイヤーに何もしないであろうことを知っており、またそれでいいと考えた。
では多くのカジュアルプレイヤーが価値を見誤った別のメカニズムを見てみよう。
《熟慮》はそれがスタンダードにあった両方の時において比較的強力だ。時のらせんブロックでは、主に相手のターンに十分なカードをドローして《神秘の指導》コントロールを可能にするのに一役買っていた。今も似たようなことをしてるように見えるが、代わりに《スフィンクスの啓示》と共に使われている。
しかしながら、私は最近経験の少ないプレイヤーからこのカードに対する素晴らしい反響を得た。彼が言うには、「1ドローするカードのコストは1マナだ。だからこのカードは弱いと思う。」その考えは明らかに他の何枚ものマジックのカードから来ていた。
《選択》《思考掃き》《定業》 |
これらは全て1マナでカードを引いておまけがついてくる。これにわざわざ3マナ払う必要があるだろうか? 私や君はカードを費やすことなくカードを引けるカードが強いことを知っているかもしれないが、しかしそのプレイヤーはそれを知らず、彼に《熟慮》を魅力的に見せることは、私はできないのだ。
潜在的に魅力を下げてしまうフラッシュバック・コストの、より極端な例として、《禁忌の錬金術》を見てみよう。
デベロップの最終フェイズに我々が変更したもののひとつは、このカードのフラッシュバック・コストを6マナから7マナにすることだった。墓地ベースのコントロール・デッキの中で6マナで使われるのは少しばかり優秀すぎると我々は感じて、1点だけマナ・コストを上げたのだ。私の見たところでは、この変更はうまく機能して、依然としてリミテッドと構築の両方でプレイされているのを見かけ、そして我々がこうあって欲しいと望んでいたまさにその種類の、ライブラリーを削る墓地デッキを実現可能にすることを助けてくれた。
君自身は「しかし《禁忌の錬金術》のフラッシュバック・コストは6マナのほうがずっと良かったのに!」と考えるかもしれない。君がマジックのデベロッパーを目指しているのなら、その手の発言には注意するようお勧めする。結局のところ、全てのカードはコストが少なくなればより強くなるし、全てのクリーチャーはトランプルがつけばより強くなる。重要な問題は、もしそのカードが強い場合、マジックはバランス的に皆にとって面白いかどうかだ。例えそれが個人的に好きなデッキや戦略を強化する場合であっても、我々はしばしばその問いにNOの答えを返す。
私にとってのこれの見本はラヴニカへの回帰のゴルガリのメカニズム、活用だ。
私は始めて活用を見たとき、恐怖の余り吐いてしまった。それは美しく、シンプルで、すっきりとしたメカニズムだった。しかし私は我々が活用カードに置いた数字が多くの人に酷く見えることが分かっていた。例えば、ケンがファイルに持っていた{1}{G}の2/2には「活用:{3}{G}」と書かれていた。デヴァイン(訳注:デザインとデベロップの間の期間)のかなり初期にリミテッドで行ったプレイテストで、{1}{G}の2/2自身が既にほぼ強いと言ってもいいレベルだったので、私はそのカードを徹底的にプレイした。実際、我々はたった4マナで活用できるようにすることはできなかった。
しかしながらちょうど《熟慮》のように、これらは「活用:{5}{G}」が恐ろしく見える、容易に比較できるマジックのカードだ。もしプレイヤーの誰かがクリーチャーに+2/+2するのに2マナかかることが不満であっても、私は驚かないだろう。
《ゴブリンの戦化粧》《トロール皮》《幽体の飛行》 |
私も正確にはつかめていないかも知れないが、ショーン・メイン/Shawn Mainが最近言った素晴らしいことを君と共有したいと思う。「8マナまで伸びたことなんてないと言う人に会うたびに、楽観的な人に会ったなと思うよ。」彼の言葉の意味するところは、ほとんどのマジックプレイヤーは自分に都合の良い状況だけを考えているということだ。一度手札を開けば呪文と土地があり、それらのカードを全てマナカーブに沿ってプレイし、そして5ターン目以降は土地を引かなくなる。経験豊富なマジックプレイヤーはマジックのより暗い曲がり角に隠された巨大な運の揺れ――例えば4枚になるまでマリガンをする、土地2枚の初手で初めて最後まで3枚目の土地が来ない、土地5枚の初手から7ターン目までにもう5枚の土地を引く、そしてその他の恐ろしい事柄を知っている。それらのプレイヤーは彼らのベストのドローを最大限に活かすように努め続けている。しかしさらに彼らは最悪のドローをした時の大惨事を最小限に食い止めるようにも努めている。フラッシュバックや活用のようなメカニズムはその助けとなるものであり、従って楽観的な人々にはしばしば過小評価される。
プレイヤーとしての私はこれらのメカニズムがとても好きだ。私は何千回とゲームをプレイし、そしてそれは「20枚引いたうち10枚が土地であった時に、できること」が必要だと知るのには十分だった。しかしながらデベロッパーとしては、これを再びデベロップしようとすることが無いなら幸せだ。どれだけ尽力しようとも、ほぼいつでも悪評を受けることになる。《死橋の大巨虫》を見てみよう。
マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterが今回の特集で言及したように、このカードは公開された時にとても弱いと受け取られて、多くの評者が「この能力を使うのに6マナなんて払うかよ!」と主張した。《高まる残虐性》――多くのプレイヤーがその表半分をプレイするので十分としている――を基準とするなら、+1/+1カウンターを5個載せることをプレイするのに満足が行くのは4マナだ。《死橋の大巨虫》はそのコストに比してとてもお手軽サイズ(《ブラストダーム》や《幻影のケンタウロス》が構築デッキに入っていたことから十分にわかるだろう)で、それに2マナ加えるだけでカードを使わずに《高まる残虐性》を提供してくれる。これは我々が提供しうるこの種のものの中では最高の値で、こういった類のことに対して毎回起こる悪評は挑戦しようという気もなくさせるほどだ。
これについてとても強いと感じているのに、何故これをそのままにしたのか?
まず第一に私だけがマジックのデベロッパーではない。私の同僚の多くが私の不満を共有してくれるのを知っていたが、彼らのうち何人かは同じ反応をしないだろうと思う。そして第二は魅力的なメカニズムを考え出すことはデザイナーの仕事であると言うことだ。彼らはこの手のものを考え出し続け、従って我々はそれらをデベロップし、印刷し続ける。結局、マジックのデベロップの支持者はマジックの支持者のうち非常に小さな部分だけなので、従って我々は自身の声に耳を傾けることはあまりできない。その代わり、デザイナーは我々のマナ・コストを――それがしばしば高すぎるように見えても――実際には正確であると信頼しなければならない。
ラヴニカへの回帰での場合は、私が見つけたとりわけ興味深いものはケン・ネーグル/Ken Nagleのこのセットでのお気に入りのカード、《滑り頭》だ。これはもちろん、このセットで唯一マナ・コストが必要ない活用カードだ。面白いところは、このカードは私には全く何も訴えかけないことで、なぜなら私にとっての活用の魅力は長いゲームにおける別の選択肢だからだ。私が求めるのは何かのクリーチャーと活用カードが相打ちになることで、従って《コロズダの監視者》や《水路の蠍》のようなものが好きだ。もし《滑り頭》が1/1より大きいものと相打ちになればラッキーだと感じるが、1個の+1/+1カウンターは大した違いになりそうにない。私はそれよりもより大きく、より長期的に行きたい。
最終的には、プレイヤーはフラッシュバックや活用のようなメカニズムが好きで、使い続けるのに十分であると、我々は考えている。もし活用カード一式を君が最初の直感でコストが高すぎるように見えたなら、楽観的に見ているのかも知れない。間違った方向にプレイしたゲーム全てを意識するようにして、そしてどの活用カードも君が4枚ほど多く土地を引きすぎた時のためにあることを知っておこう。
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