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『リアリティ・フラクチャー』の伝説たち
2026年9月19日
マジックで最も人気のある英雄や悪役、そしてそのどちらでもない有名人。『リアリティ・フラクチャー』では、多元宇宙の存亡をかけた戦いの最前線に彼らが向かいます。全10話からなる物語が展開され、とりわけ驚天動地のカードが私たちの現実に沢山やって来ました。ならば今こそ、このセットの伝説たちについての知識を仕入れましょう! 「ローウィン・ファイブ」の新たな姿からマニア人気の面々に至るまで、多元宇宙(あるいは模倣宇宙)は心に響く何かしらを全員に用意してくれています。
『リアリティ・フラクチャー』で見かけるキャラクターは馴染み深い姿もあれば、全く違う姿もあります。これら歪んだ映し身たちはジェイス・ベレレンによって創造された鏡像現実世界、「模倣宇宙」の住民です。模倣宇宙の歴史は元のそれとは大きく異なっており、その違いが伝説たちの運命を(そして時には容貌までも)改変してしまいました。現実に対するジェイスの計画や模倣宇宙についての詳細は、「プレインズウォーカーのための『リアリティ・フラクチャー』案内」をご覧ください。
ヴォーソス(背景世界好き)の皆さんからの熱い疑問にできる限り迅速にお答えできるよう、カードが公開されるたびにこの記事を更新していく予定です。『リアリティ・フラクチャー』カードイメージギャラリーに伝説のカードが追加される毎に、そのプロフィールを追加します。
ジェイスの、そして皆さん自身の現実に向き合う時が来ました。『リアリティ・フラクチャー』は2026年10月2日に全世界同時発売です。お近くのゲーム店やAmazon、楽天ブックス、その他マジック製品を取り扱う店舗で今すぐご予約いただけます。
リアリティ・フラクチャー
ジェイス・ベレレン
ジェイス・ベレレンは多元宇宙最強の精神魔道士であるだけでなく、かつては英雄として何度となく世界を守ってきた。だがファイレクシアの侵略において仲間を失い、自身も感染を被ったことで、ひとつの結論に至る――多元宇宙は、このままでは永遠の苦難と争いを運命づけられていると。かくしてジェイスは、新たな現実を作り出すことを決意した。それを苛んできた精神的外傷や苦痛の存在しない多元宇宙を。
現実を彫る者、ジェイス
人間、男性
ジェイスは精神の力や幻影や複製を操る達人だ。次元をひとつまたひとつ築くことで新たな現実を創造している。瞑想領土の魔法を用いて、彼は幻影を実体へと変える技を習得した。そうして生み出したのは、ファイレクシアの脅威もエルドラージの災厄も、ニコル・ボーラスの策謀もない現実だった。自分は多元宇宙の「救世主」であるとジェイスは心から信じており、異なる世界を、理想郷を築けると楽観視している。知性と強い意志、そして強大な力をもって自らの模倣宇宙を創造するために、ジェイスはその身のすべてを注ぎ込んでいる。
多元宇宙を築く者、ジェイス
人間、男性
ジェイスはこれまでにないほど自身を追い込んでいる。不屈の執念と不似合いな無謀さをもって、模倣宇宙の設計と構築に取り組んでいる。彼を突き動かしているのは、これを成し遂げられるのは自分だけだという確信だ。そしてそのための精神力、知性、力、展望を兼ね備えているのも自分だけだという確信だ。自身に課したこの使命に、ジェイスは揺るぎない献身を捧げている。
理論家、ジェイス・ベレレン
人間、男性
ジェイスは瞑想領土にて死んだはずだった。その精神も砕け散った。だが彼の性格の一面である“理論家”が主導権を握り、共感や分別といった他の面を封じ込めてしまった。
ひとりの意志が、万人にとっての理想郷になるわけではない。ジェイスが新たに作り出した現実の玉座にて、その最悪の衝動をひたすらに増大させている。“理論家”はほとんど自制心を見せず、相手の自由意志など構わずに精神操作や読心を行う。その意識はあらゆる場所へと同時に向けられ、計画の最終段階を監視している。目的は手段を正当化する。元の多元宇宙を上書きし、あらゆる生命を彼の未来像に置き換える結果になろうとも。
可能性、タム
ゴルゴン、女性
タミラ、あるいはタムは、自らを見極めようとしている最中だ。自分は何者なのだろうか? どのような存在になりたいのだろうか? タムはジェイス・ベレレンによって生み出され、師である彼に忠実に従うとともにその教えを学んできた。多元宇宙におけるジェイスの諜報員兼工作員として、新たな現実を安定させるために必要な最後のピースを集める役割を担ってきた。だがストリクスヘイヴンの他の生徒たちとの出会いが、彼女に疑念を抱かせた。タムはジェイスに生み出された存在であることには変わりなく、彼の大計画の一部でもある。それでも彼女は、創造主の手法に対して疑問を抱き始めている。
黄金のたてがみのアジャニ
意志堅固なるアジャニ
レオニン、男性
多元宇宙の至る所でアジャニは力を尽くしてきた。亡き兄の遺志を忘れず、友情に篤く、慈愛の心を持って他者を導く。戦いにおいてその声は味方の心を奮い立たせ、力と加護と癒しをもたらす。アジャニはこれまでに多くのプレインズウォーカーを指導してきた。彼らが能力を極め、最高の自身へと成長することを願ってきた。一方で彼は、ファイレクシアに屈していた際に多くの苦痛を振りまいた。多大な努力の末に、その心の傷はようやく癒えつつある。
アジャニは再び多元宇宙を守る決心を固めている――今回は、かつて友と呼んだ者を相手として。
容赦なきアジャニ
レオニン、男性
アジャニからは復讐と破壊の力が溢れ出ている。その咆哮は聞いた者へと恐怖を叩きつける。彼が模倣宇宙の至る所に殺戮の跡を刻むのは、兄の死に関与したと思しき者たちへの復讐を果たすためだ。アジャニの兄ジャザルは慈悲深く公明正大な指導者だった。だが彼はアラーラ次元の衝合戦争において和平を仲裁しようと試み、命を落とした。この経験からアジャニは学んだ――慈悲とは弱さであり、二度とそれを敵に利用させてはならないと。今やアジャニは復讐と憤怒にその身を捧げており、怒れる魂を燃やして攻撃魔法を振るう。
“理論家”が自身の「完璧な現実」を創造する一方で、アジャニはそれに立ちはだかるものを排除すべく襲いかかる。
チャンドラ・ナラー
反逆の先導者、チャンドラ
人間、女性
衝動的なチャンドラは途方もない力をもつ紅蓮術師であり、今は指導者としての在り方を学んでいる最中だ。困難に直面した際は師に導きを求めるのではなく、自らの確信を拠り所として難しい決断を下す。かつて信頼した魔道士が多元宇宙を脅かそうとしている今、慎重に立ち回ることに意味はない――少なくともチャンドラにとっては。
ギラプール・グランプリの最中に、ジェイスは彼女の精神を弄った。以来チャンドラは彼との奇妙な精神的繋がりを感じている。抑圧に立ち向かうためとあらば、彼女はためらうことなく行動を起こす。現実から自由意志を奪おうとしているのが友だとしても例外ではない。彼女はジェイスを救いたいと願っているが、多元宇宙を守るために必要とあらば、彼が作り出した偽りの現実を焼きつくすことも辞さないだろう。
遵守の冷気、チャンドラ
人間、女性
チャンドラ・ナラーはアヴィシュカー領事府の盾護員であり、この職務に求められる資質を完璧に備えている。思慮深く冷静で、計算高く、反乱の鎮圧や霊気輸送の護衛という形でアヴィシュカー領事府の意志を遂行している。その卓越した氷魔法の腕前と領事府内での高い地位は、父親の指導と厳格な自己規律の賜物である。
苦しみや争いのないアヴィシュカーを創造する機会を提示されたことで、あらゆる現実に対する“理論家”の緻密な未来像をチャンドラは受け入れた。
野生語りのガラク
呪い破り、ガラク
人間、男性
ガラクは屈強な狩人にして孤高の魔道士であり、同輩である人間よりも獣との交流を好む。彼は文明社会とその煩わしさを嫌い、自然と調和した生き方を愛している。かつてガラクは心ならずも呪いを受けた。彼はジェイスが多元宇宙を消滅させることを容認できず、この精神魔道士を追う戦いに加わった。
ヴェール被りの解体者、ガラク
人間、男性
シャンダラー次元で一匹の獣を追っていた際、ガラクはオナッケの地下墓地へと足を踏み入れた。そこで彼はかのデーモン、コソフェッドの声を聞いた――その地下墓地に隠された強力なアーティファクトを使えば、自らの内に潜む獣を抑え込むことができると。その言葉に誘惑されたガラクは、魂を束縛する邪悪なアーティファクトである「鎖のヴェール」をまとった。それが秘める力を引き出すと、ガラクの肌には呪いの刺青が鮮やかに浮かび上がった。もはやガラクは一介の狩人ではなくなった。凶暴な捕食者たちを召喚し、それらを従えて戦場へと赴くのだ。
ガラクは模倣宇宙を渡る暗殺者として流血と死の跡を残しつつ、“理論家”のためにこの新たな多元宇宙から厄介な要素を取り除いている。
リリアナ・ヴェス
悔いし者、リリアナ
人間、女性
かつてプレインズウォーカーだったこの冷酷な女性は、自身が救えなかった者たちの記憶に苛まれている。屍術で兄を癒そうと試み、だがその魂を破滅させた。英雄的な自己犠牲を選ぶも、彼女をひたむきに信じたギデオンがその身代わりとなった。多元宇宙を揺るがす数々の戦いで、リリアナは屍術の力を振るってきた。かつては利己的に力を求めていたが、今では大義のために尽力しようとしている。もっとも、今なおその足跡には数多の死体を残していくのだが。
リリアナは尊大な屍術師だが、今は教授を務めてもいる。ストリクスヘイヴンで自身のドッペルゲンガーに誘拐され、模倣宇宙に囚われている。ジェイスは多元宇宙を改変することで多くの人生を「改善」できると考えているが、その筆頭候補がリリアナだ。とはいえもし脱獄したなら、彼女は間違いなく言うことだろう――偽物の現実なんて捨ててしまいなさいと。
過ち無き者、リリアナ
人間、女性
リリアナはベナリアの名高い癒し手であり、先達騎士団と呼ばれる聖職者集団に所属している。植物を用いた治療法に関する深い知識を持ち、そのおかげで死の淵にあった兄を救うことができた。その数年後にはセラの天使たちを、兄を苦しめたものと同じ陰謀団の呪いから救った。その功績によって、リリアナは大天使から神聖なる祝福の証を授かった。
リリアナは自らの治癒の力によって、若さを保ちながら何百年も生き長らえている。長い歳月をかけて彼女は極めて強力な癒し手となり、今ではただ触れるだけで重傷さえも癒やすことができる。
リリアナは「目的は手段を正当化する」という信念をひとりよがりに抱いており、“理論家”が多元宇宙を癒す行為を支えるためにあらゆる手段を用いる。また彼女は「オパール教授」として、ヘクスヘイヴン大学の学長及びヴィゴーブルームの指導者の役割も担っている。
ヴラスカ
鋭き一瞥、ヴラスカ
ゴルゴン、女性
最愛のジェイスは死亡した。そう信じ、ヴラスカは身を引いて静かに暮らそうと努めてきた。彼女は多元宇宙でも平穏な場所に身を落ちつけ、奇妙な養子「おたから」を危険から守り続けた。
若き日に虐待や差別を経験したことで、ヴラスカは革命家となった。彼女は不公平な体制を打倒し、公平な社会を築くことに身を捧げてきた。かつて彼女とジェイスは、ひとつの未来像を共有していた――ファイレクシアのない、苦しみのない新たな多元宇宙を。だが暗殺者として死と隣り合わせに生きてきたヴラスカは、その壮大な計画が払う代償の大きさを悟り、ある時計画から身を引いた。だがジェイスは生き延びており、今もその計画を進めているという噂を耳にしてヴラスカは決意した。あの男を止めるのは自分しかいない。
石の魂、ヴラスカ
ゴルゴン、女性
ヴラスカはラヴニカで生まれ、ギルド無しの子供たちのためにギルドが築いた支援を受けて育った。そしてアゾリウスやボロスの教師たちから保護と指導を受けて才能を開花させた。石に命を吹き込み、彫像を一時的に動かして自身や他者を守る能力さえも身につけた。
自らが動かす彫像たちと同様に、ヴラスカは特定のギルドに永遠に縛り付けられることをよしとしていない。ギルド無しの道を選んではいるが、ヴラスカは公益を守ることを大義と信じており、そのための活動には積極的に身を投じている。
“理論家”にとって彼女は頼もしい味方であるが、愛するヴラスカの代わりでは決してない。
迫り来る破滅、エムラクール
エルドラージ、女性
エムラクールはエルドラージの巨人の中でも最大にして最恐の存在である。多元宇宙の有機生命へと究極の破滅をもたらし、世界をひとつまたひとつと貪り食いながらそれらを自身の姿へと歪めていく。多元宇宙に拒絶されるのではなく受け入れられることを選び、エムラクールは自ら望んでゲートウォッチによる封印を受け入れた。イニストラードの月の中にて、彼女は待っている――受け入れの時を土が迎えるのを、自らの時が満ちるのを。あまりにも長い間、飢え続けてきたのだから。
ヘクスヘイヴン
デンジロア・フェイトホールド
スフィンクス、男性
デンジロア・フェイトホールドは、模倣宇宙のアルケヴィオスに生きる民の前途をより良いものにするためにこの大学を創設した。予言の力は万人の向上のために使われるべきだと彼は信じている。その三つの顔はそれぞれ過去・現在・未来を象徴している。このスフィンクスを無数の巻物が取り巻いているが、そこには絶えず変化する過去・現在・未来の光景が見える。周囲の人々の運命が予見され、映し出されているのだ。従ってこのスフィンクスと話をする際には、自身のあり得る未来が現れては消える様を見ながらということになる。心をかき乱されることだろう。
ウルダロス・セオリクス
スフィンクス、男性
ウルダロス・セオリクスは、知識への渇望と抽象的思考能力を示す生徒を求めていた。このスフィンクスは現実を歪める魔法を駆使し。後にヘクスヘイヴンとなる要塞を築き上げた。当時激化していた魔道士狩りによる猛攻撃から学舎を隔離するためだった。彼は数式で構成された鎖で身を飾っている。セオリクスはジェイスの精神操作の影響を受けたのか、それともセオリクスの魔法のおかげでジェイスは模倣宇宙のアルケヴィオスに強固な足場を築くことができたのか、それは定かではない。
イングリス・スティンガークイル
スフィンクス、女性
他者の感情を読み取り、言葉によって他者を感化する能力を持ってイングリス・スティンガークイルは生まれた。自身の内なる深奥を見つめ、その核心から力を引き出す。そしてその際には力線のエネルギーを用いることで、自身の思考や感情を増幅させる――というのがこのスフィンクスの教えだ。スティンガークイルの追随者たちは言葉を武器のように操り、魔道士狩りや魔女跡追いに対するヘクスヘイヴンの物理的な防衛の最前線を担っている。
アエリド・コンストラリ
スフィンクス、ノンバイナリー
アエリド・コンストラリは、命なき物質に命を吹き込む術を極めている。ヘクスヘイヴンの地下にある力線の合流点からエネルギーを抽出し、魂木の結晶へと凝縮させるというのがその手段だ。この魔法はアエリドの追随者たちにも伝授されており、彼らは巨大な構築物を作り上げて自身と絆を結び、この次元に潜む危険な生物たちに立ち向かう。
クウィア・ヴィゴーブルーム
スフィンクス、女性
クウィア・ヴィゴーブルームは花咲く植物や蔓の翼をもつスフィンクスであり、植物を育ててその素材を自在に操る力を持つ。彼女は魔法の力を用いてどんな環境下でも種子を成長させ、養分を求めて力強く育つよう支える。癒し手たちは植物を用いて傷や病気を治す術をクウィアから学ぶ。
貪欲な写本、コーディ
本、性別なし
ヘクスヘイヴンの大冊子棟において最も厳重に封印されている書物がコーディだ。これには模倣宇宙の全域から集められた危険な秘儀的知識が記されている。錠と魔法的な束縛によって幾重にも封じられているものの、コーディはヘクスヘイヴンの多くの講堂に満ちる精神魔術の影響で自我を得た。そして今、これは悪意の存在と化して脱出の機会を伺っている。
模倣宇宙の片割れ
傷頭のアーニ
名高き勇者、アーニ
人間、男性
「山羊裂き」「傷頭」「鉄頭」――アーニは多くの二つ名で呼ばれてきたが、その武勇と不屈の意志は決して変わることはない。彼はトロールに頭突きを食らわせて勝利し、タスケーリの長としての名を馳せた。ファイレクシア人に頭突きを食らわせてなお生還し、諸領界の尊敬を集めた。戦乙女たちは彼の勝利を称えつつも、今なおシュタルンハイムにこの男を迎えられないことを悔しがっている。
謙虚な書記、アーニ
人間、男性
領界の探求者アーニが綴った歌や物語に耳を傾けた船は数知れない。だが彼の顔を思い出せる英雄や船乗りはごくわずかだ。アーニ自身、そうあることを望んでいる。
アーニはごく普通の羊飼いとして育ち、焚火を囲んで物語を語ることを学んだ。当初はとても忍耐強い、毛むくじゃらの聴衆に向けてのものだった。だが彼の語りを他の羊飼いたちも耳にしたことで、物語は次第に広まっていった。そして新たな題材に出会いたいという情熱に駆られ、アーニは海へと乗り出した。
栄光は、日々死と向き合う英雄や戦士たちのもの。アーニが手にするのは、彼らを不滅の存在とする言葉だ。
ダニサ・キャパシェン
希望の剣、ダニサ
人間、女性
キャパシェン家の後継者であるダニサは、幼い頃から戦術と外交術の両方を学んできた。父の死後に彼女は一族の長としてその座を継ぎ、家族のみならずベナリアの理想の体現者という務めを果たしている。
ダニサの戦闘技術と冷静な立ち振る舞いは、陰謀団との終わりなき戦いへと軍を率いるために不可欠のものである。彼女は一族の名声に恥じない生き方を志しており、名誉を重んじ、自身が耐えられないような要求を部下の騎士たちに課すことはない。
苦悶の槍、ダニサ
人間、女性
ダニサは陰謀団の大胆不敵な騎士であり、キャパシェン家の遺産を受け継いでいる。父の死後に彼女はベルゼンロックの右腕としての役割を引き継ぎ、デーモン信者の軍勢を率いて愚蒙なベナリア諸家との戦いを続けている。
キャパシェン家はかつて、ベナリア全土で最も有力な名家だった。だがその富と権力を妬んだ他諸家との内戦の末、一家は追われて身を隠すことを余儀なくされた。やがてこの高貴な一族は陰謀団に身を寄せ、新たな目的を見出した。そして復讐という一族の誓いをダニサへと受け継いでいった。
今やダニサは一家最大の武器である。キャパシェンとベルゼンロックの名のもとに陰謀団の騎士たちを率いて敵を打ち破り、ベナリアを焦土へと変えるための、一本の槍なのだ。
エドガー・マルコフ
古の血王、エドガー
吸血鬼、男性
イニストラードにおいて、エドガー・マルコフほど多大な影響を及ぼした人物はいない(オリヴィア・ヴォルダーレンは異を唱えるかもしれないが)。遠い昔、エドガーは錬金術による吸血鬼化の秘密を見出してそれを広めた。イニストラードに存在する吸血鬼は全員、何らかの形で彼を祖先としている。そしてその孫であるソリンは、人間が守護者として崇める天使を創造した。
近頃企てた結婚と権力掌握の試みは失敗に終わったが、イニストラードにおいてエドガーが重要な存在であることは変わりない。独り身となった彼は、ヘイヴングルの怪しげな酒場に入り浸るようになった。身を隠しているのだろうか? いや、決して誤解してはいけない――エドガーは次なる好機を待ち構えているのだ。
月光の君主、エドガー
狼男、男性
イニストラードは生き延びる。エドガー・マルコフはその詳細など気にかけない。
遠い昔、エドガーは狼男の呪いと長寿をデーモンの後援者から授かった。まもなく彼が率いる貴族一家は、イニストラードにおける最初の狼男の群れへと変化した。この次元に吸血鬼たちが現れ始めると、エドガーは真の頂点捕食者が誰であるかを知らしめた。
マルコフの群れはこの次元を蹂躙していったが、誰もがそれを歓迎したわけではなかった。エドガーの孫であるソリンは人間の姿をとっていた際に「獄庫」を作り上げ、祖父を幽閉するという裏切りを働いた。人類を脅かすあらゆるものがその牢獄に封じ込められていった。
今やエドガーは自由の身となっている。彼は自身の不在の間に台頭した他の群れの長たちを次々と打ち負かし、狼男の複数の群れを自らのもとにまとめ上げた。マルコフの群れはかつてないほどの力を手にしている。だが、エドガーの完全勝利を阻もうとする勢力がひとつだけ残されている――ソリンとアヴァシン、そして両者が率いる天使とアンデッドの忌まわしい軍勢だ。
フブルスプ
極端な迷い子、フブルスプ
ホムンクルス、男性
フブルスプにとって、領界路の発生は最悪の災害だった。
フブルスプはラヴニカ生まれの慎ましいホムンクルスだが、決して関わりたくないような危険で重大な事件にしばしば巻き込まれるという癖がある。ラヴニカだけでもそんな目に遭ってばかりだったというのに、今や全く違う沢山の世界に迷い込んでしまっているんだから!
危険な悪党どもがうろつく広大な荒野、魔法大学の広場、そしてひとつの次元に留まらない危機……かつてないほどに、フブルスプは家に帰りたいと願っている。もっとも、その家がどこにあるのかを思い出せればの話だが。
だがどんな時でも、フブルスプが必ず見つけ出すものがひとつある……迷子になった自分自身だ。
道を知る者、フブルスプ
ホムンクルス、男性
最高の冒険は、いつだって次の丘の向こうに待っている。魔法のような方向感覚を持つフブルスプは、探検の機会を前にして背を向けたことなど一度もない。
元々フブルスプはイゼット団のとある電衝魔道士によって、道案内役のホムンクルスとして創造された。フブルスプはその仕事を愛していた。近道を見つけるたびに更に先へといざなわれた。彼にとっては、ラヴニカの町全体が解き明かすべきひとつのパズルだった。忘れ去られた書庫、誰も知らない木立、そして本来ならば存在するはずのない路地などを次々と見つけ出していった。
ある時不運な落雷事故によって、フブルスプは従者としての役目を終えた。彼は夢であった多元宇宙の冒険に身を投じた。どこを放浪しようとも、何を目にしようとも、望むならいつでもラヴニカへ戻ることができるのだ。
ひとまず今は、そのつもりはないけれど。
ガリア
浮かれ騒ぐ、ガリア
サテュロス、女性
ガリアが主催する宴は、誰だって大歓迎。そしてガリアはいつだって主催なんだからね!
ガリアは「無法の王」の名に相応しい娘だ。彼女が繰り出す騒々しい宴はどれほど堅物な哲学者をも説き伏せ、巻物を手放して杯を手に取らせてしまう。終わらない遊戯、溢れる杯、尽きることのない食事――退出する理由はどこにもない。
ファイレクシアの侵略でさえ、ガリアの宴を止めることはできなかった。何せ、自分たちは生きている。宴を開くのにこれ以上ふさわしい理由があるだろうか?
悲しきもてなし役、ガリア
ゾンビ・サテュロス、女性
ガリアという名のサテュロスは、同族の誰よりも宴と歓楽に明け暮れていた。その熱中ぶりは凄まじく、とある宴で毒入りの料理を口にしてもなおそのまま騒ぎ続けたほどだ。あのエレボスでさえ、死後にまで及ぶ彼女の宴を止めることはできなかった。
だが蘇りし者となったガリアは個性の多くを失ってしまった。今も宴を開き続けているが、死者となれば参加者を集めるのはずっと難しい。時が経つにつれ、そもそもなぜ宴を開くのか、その理由さえも思い出せなくなっていった。ガリアは今なお卓を整え続けるものの、訪れる者は誰もいない。
ガルタ
とどめ得ぬもの、ガルタ
恐竜、女性
オラーズカの内で休眠状態にあった大恐竜たちが解放された際、真に巨大な一体の獣もまた解き放たれた――それが暴君ガルタ、あらゆるものを貪り尽くす自然の飢餓の顕現である。
ガルタはその後もイクサランの恐竜たちを守り続け、この大陸の力強き守護者としての役割を果たした。ファイレクシア人による侵攻の際、ガルタは故郷を敵から守るためにプレインズウォーカーのファートリによって召喚された。ガルタはその声に応じ、他の大恐竜たちと共に戦場へとなだれ込み、行く手を塞ぐ身の程知らずのファイレクシア人たちを次々と粉砕していった。
動かし得ぬもの、ガルタ
恐竜、女性
ガルタは三本の角を抱く守護者だ。自身の子供を守るのと同様の情熱で、イクサランの他の恐竜たちをも守る。ガルタの強靭な皮膚は大砲による砲撃さえも弾き返し、その角は最硬の金属をも貫く。ガルタとは「万物の中で最も強き者」を意味する。古代の戦場詩人が大恐竜たちに名を与えた際、その類まれなる強靭さゆえにこの名が選ばれたのだった。
イクサランの恐竜たちは肉食の捕食者らを恐れないかもしれないが、鉄面提督ベケット率いる恐竜の密猟者たちは別だ。彼女たちは何世代にも渡り、ガルタの同胞にとっての脅威となっている。ベケットの動きが大胆になるにつれてガルタの決意もまた強まり、活発に移動しては侵略者たる海賊に立ち向かう。
ギデオン
ギデオンの記念碑
人間(故人)、男性
キテオン・イオラは貧民街にて生を、獄中にて教育を受けた。多元宇宙を救い、英雄として命を終えた。勇敢な神聖術師ギデオン・ジュラとしても知られ、決して悪を見逃さず、ゲートウォッチの創設者としても活躍した。彼はニコル・ボーラスとの最終決戦において黒き剣を振るい、そして自らの命を犠牲にして、しばしば衝突していたリリアナ・ヴェスを不可避の死から救った。力ある者はそれを必要とする者を助けるべき、そうギデオンは信じていたのだ。
故郷の次元テーロスにて、彼は名誉とともに称えられている。たとえその瞳は何も映さない大理石であろうとも、ギデオン・ジュラは見守り続けている――今この時も、そして永遠に。
誓い知らず、ギデオン
人間、男性
キテオン・イオラは幼い頃に捨てられ、誰も自分を救ってなどくれないと早々に悟った。獄中でキテオンは堕落した看守から悪しき魔法を学んだ。後にその看守はキテオンと仲間の受刑者たちに持ちかけた――かのタイタン、ヘリオッドを打ち倒せば自由を与えると。
キテオンは成功を収めたが、それは魔法を用いて他の受刑者たちの生命力を吸収し、彼らを死に至らしめたからこその勝利だった。生き残ったのは彼だけだった。キテオンは罪悪感を抱くのではなく、ただ安堵を覚えた。もはや自分の過去を知る者はいない。これからは新たな人生を歩むのだ。
しばらくの間、キテオンはテーロスで最も勇敢な戦士という名声を利用して生きていた。だがやがて、他者の期待に応えることに苛立ちを覚えるようになった。ヘリオッドを倒した時に味わった安堵と力を思い出し、キテオンは悟った。自分についての真実を知る者を全員葬り去れば、二度と何者にも縛られることはないと。
家族もなく、友もなく、繋ぎ止めるものも何もない。かつての姿を思い出されることのないよう、彼は名を新たにした。壊れて萎びた死骸をその足跡に残し、今やギデオン・ジュラという名で呼ばれる男は自由を謳歌している。
ハパチラ
砂漠の牙、ハパチラ
人間、女性
かつてハパチラは、蛇頭の神ロナスの筆頭侍臣だった。「折れた牙」の異名で呼ばれ、あらゆる者から慕われ敬われていた。蛇を操る力と毒の調合術に優れ、無謀にも彼女やその神に立ちはだかる者にとっては恐るべき敵となった。
ロナスの死後、ハパチラは新たな目的を見出した。彼女は壊滅した都ナクタムンの避難民たちの指導者となった。今やアモンケットには新たな神々が誕生している。ハパチラは自身の献身と尽力を通し、ロナスの教えが新たなアモンケットの地でも受け継がれていくことを願っている。
砂漠の霜、ハパチラ
人間、女性
ハパチラはケフネト神の熱心な信者だったが、その神は悪魔ラザケシュとの戦いで斃れた。ラザケシュは自らに屈しなかった神々を来世の門へと幽閉し、アモンケットの太陽を覆い尽くした。迷いと悲嘆の中でハパチラは凍てつく高地の砂漠を彷徨い、やがて雪の中で新たな目的を見出した。忘れ去られた君主たちの声が砂漠に響いており、彼女はその呼びかけに応えた。
今やハパチラは、この砂漠に座す不死の君主たちに仕える侍臣として尊敬を集めている。威厳と狡知ある言葉で彼女は語り、アモンケットに正義をもたらすという希望ある約束を掲げて支持者を増やしつつある。ハパチラの真の望みは、不死の君主たちがナクタムンへ帰還する道を整え、そしてあの偽りの神とその配下の専制君主を玉座から引きずり下ろすことだ。
ジアン・ヤングー
常に友と、ジアン・ヤングー
人間、男性
かの古龍ニコル・ボーラスが多元宇宙のプレインズウォーカーたちをラヴニカに監禁した際、ジアン・ヤングーとその忠実な猟犬モーウーもその中にいた。両者はラヴニカ市民を救うために休むことなく尽力し、負傷者を癒やし、ボーラス軍のゾンビ兵から人々を守り抜いた。ボーラス軍が敗北すると、ヤングーとモーウーは流血を離れて平穏を求め、故郷次元の沈夢へと帰還した。だが悲しいことに、その日々は長くは続かなかった。
数年後、沈夢はファイレクシアの侵略者による攻撃を受けた。ヤングーとモーウーにとっては再び次元外からの軍勢との戦いになったが、今回は自分たちの同胞を守るための戦いだった。戦争が終わった時、ヤングーは灯を失ったことに気づいた。だが彼は気にかけなかった。モーウーと共に旅を続けられる限り、過去の記憶など大して重要なものではないのだから。
独法師、ジアン・ヤングー
人間、男性
沈夢の山賊や盗賊や暗殺者は、誰もがジアン・ヤングーの名を知っている。そしてその名を怖れるべきだと知っている。
モーウーが正体不明の襲撃者に殺害されたことで、ヤングーはそれまでの平穏な生き方を捨て、復讐のみを渇望するようになった。故郷の次元はどれほど癒そうとも修復は叶わない。そう悟った彼は、罪なき者を食い物にする輩を排除しなければならないと決意した――彼らがこの次元を更に壊してしまう前に。
ヤングーは沈夢の地を放浪し、自力で身を守れない弱き人々を助けながら、モーウーの死に関わったものたちを探している。だがどれほど多くの人々を救い、どれほど多くの敵を倒そうとも、モーウーを失った苦しみを拭い去ることは決してできない。
カーン
銀白の防衛者、カーン
ゴーレム、男性
時間旅行者であり、世界の作り手であり、五色のマナを極めし者。銀のゴーレム・カーンは、創造主ウルザが死して以来多くの偉業を成し遂げてきた。現在の彼は、ファイレクシアの侵略における自身の関与への償いを続けている。ミラディンの創造主として、カーンはファイレクシアの多元宇宙侵略に責任の一端を感じており、過ちを正そうと決意した。近年の旅の中でカーンは旧友たちと再会し、ファイレクシアが二度と戻ってくることのないようにその痕跡を捜索してきた。だがザルファーの再生を目の当たりにしたことで、カーンは過去に囚われるのではなく未来の自分自身に目を向け始めている。
金色の守護者、カーン
ゴーレム、男性
偉大なるプレインズウォーカーのミシュラは、第二次兄弟戦争にてこの黄金のゴーレムに命を救われた。その礼として、ミシュラはカーンへと人造の灯を与えた。多元宇宙を旅する新たな力と創造主の祝福を得て、カーンは新たな大冒険へと旅立った。
カーンはミシュラからの贈り物を光栄に思っていたが、終わりのない戦いや荒々しい冒険の日々には次第に疲弊していった。多元宇宙を巡る旅を終えた後、カーンは腰を落ち着けることを決意し、自身の灯を創造のために捧げた。そうして創り出されたのがミラディンである。この輝ける金属の次元は平和と繁栄を享受し、戦争の恐怖を知ることは決してない。カーンはこの次元の番人にして守護者となり、鮮やかな五つの太陽の下で生命が豊かに繁栄していけるよう見守り続けている。
キオーラ
塩と砂のキオーラ
マーフォーク、女性
マーフォークのキオーラは海の生物たちと深い絆で結ばれている。彼女が戦いに挑む際には、クラーケンやリバイアサンや海蛇といった巨大な生物を率いる。そしてその目的は多くの場合、侵略者や暴君から彼らの棲処を守ることだ。
キオーラの最悪の面は、傲慢で自己中心的というものだ。結果として、海の神タッサが持つ魔法の二股槍を彼女は奪い取った。一方で最良の面を見せる時には不屈の守護者となって力を振るい、他者を危機から救い出してきた。
領界路を通って新たな海へと旅する中、キオーラは故郷ゼンディカーへの帰り道を見失ってしまった。だがその道中、彼女はひとつの世界を発見した。あの神、コーシが偽りだったと知って以来、追い求めてきたものがそこにあるかもしれない。
炎と灰のキオーラ
マーフォーク、女性
ゼンディカー最強のドラゴン乗りは、マーフォークのキオーラである。彼女が生まれる何年も前に、キオーラの属するマーフォークの一族はコー帝国の支配から逃れ、アクーム大陸の地熱の池を我が家とした。この地で育ったキオーラや同世代のマーフォークたちは、ゼンディカーの炎と水の双方を等しく受け入れている。
幼い頃から、キオーラは空を舞うドラゴンに魅了されていた。勇気と好奇心に突き動かされた彼女はやがて中央火山へと赴き、強大な獣たちを間近で目の当たりにした。多くの者はドラゴンを怖がったが、キオーラは畏敬の念を抱くようになり、やがて魔法の力で彼らと意思疎通ができると知った。彼女は長い年月をかけてドラゴンたちの信頼を勝ち取り、遂にはその背に乗ることを許された。
今やキオーラは、ゼンディカーの空における最も勇猛な戦士として知られている。彼女はとあるプレインズウォーカーから、大地を溶かして灼熱の溶岩へと変える力をもつ鎚を贈られた。それを振るい、キオーラは故郷を守っている。
コス
地操術士、コス
ヴァルショク、男性
コスはミラディン次元に生まれ育った。長年にわたり、彼はその強力な地操術の力を振るって岩を砕き、ファイレクシア人との戦いのための武器を鍛え上げてきた。コスは絶えず平和と自由を欲し、新ファイレクシアの支配を覆すべく勇敢なミラディンの同胞たちと共に必死に戦い続けた。
そして今、コスはようやく平穏を手に入れた。ミラディンでの戦いが残した傷は永遠に癒えることはない。それでも彼は生き残ったミラディン人たちの父親代わりとして、休むことなく尽力している。ザルファーの地で、コスとその同胞たちは新たな生活に適応しつつある。彼は戦死した仲間たちを偲ぶ記念碑を建立し、一方で生き残った者たちのためには明るい未来を見据えている。
故郷に生きるコス
ヴァルショク、男性
誇り高き父親にして農夫のコスは、平和そのものの人生を過ごしてきた。彼の農園には鋼果を実らせる力強い果樹が育ち、その鮮やかな黄金色の輝きはのどかな次元ミラディンにどこまでも広がっている。コスは自身の庇護魔法を駆使して木々の世話をし、果実を育て、ミラディンの民の繁栄のために尽力している。
毎年、コスの一家はミラディン全土から人々を招いて盛大な収穫祭を催している。コスが特に楽しみにしているのは、行商から戻ってくる友人マラクとの再会だ。かの大いなる創造主カーンもこの集いに加わり、コスたちに驚くべき物語を語って聞かせてくれる。
若い頃のコスは思いを馳せずにはいられなかった――カーンが語るように多元宇宙を旅するとはどのようなものなのだろうか? だが今となっては、かつて自分がそんなことを考えたという事実さえ信じられない。ミラディン以上に完璧な次元が存在するわけはないのだから。
おたから
結節点、おたから
種族不明、男性
おたからは孤独な存在だ。彼はサンダー・ジャンクション次元にあるフォモーリの宝物庫内にて、休眠状態で発見された。見たところ、おたからはあらゆる領界路の正確な位置と、その行き先を見通す能力を持っている。好奇心旺盛で聡明、社交的な性格のおたからは学ぶことが好きで、すぐに他者を信頼する。おたからがその精神に持つ多元宇宙の地図のおかげで、ジェイスは瞑想領土を見つけ出してそこに到達することができた。そして瞑想領土が現実へと変える仕組みを理解するに至った。
現在、おたからはヴリン次元に滞在しており、ジェイスの母ラーナ・ベレレンとヴラスカの保護下にある。
特異点、おたから
種族不明、男性
暗い宝物庫に閉じ込められていたおたからは、多元宇宙に何らかの異変を悟って目覚めた。彼は今、怒りに身を焦がしている。悪夢のような瘴気がおたからを取り巻き、現実の基質に絡みついている。彼は狂暴な獣であり、作り出す力の渦は立ちはだかる者を消滅させることすら可能だ。金属製の壁には爪痕が刻まれ、脱出を渇望するその激しい衝動を物語っている。
“理論家”にとっておたからは危険な存在のひとつに過ぎず、とはいえ彼はサンダー・ジャンクションの宝物庫にて厳重に保管しておきたいと考えている。
ライラ
黎明の大天使、ライラ
天使、女性
ライラは黎明騎士団の指導者である。鋭い洞察力を備え、軍事面だけでなく一般の人々を含めたベナリアへと献身的に仕えている。それゆえに彼女は、ファイレクシアの勢力に対する強固な防衛を指揮することができた。
かつて黎明をもたらす者レイヤは、ファイレクシアが最初に侵攻してきた際にベナリアを守って命を落とした。ライラはその後継者として、第二次侵攻においてベナリアの防衛を指揮した。侵略が終結するとベナリアの人々は七日間に渡って喪に服し、続く七日間を勝利の祝祭に費やした。そしてその祝祭の一環として、ライラはダニサ・キャパシェンから名誉騎士の称号を授けられた。これにより、セラ教団とベナリアとの絆は一層深まった。
トレイリアの大天使、ライラ
天使、女性
トレイリアのアカデミーにはドミナリアの秘術知識の多くが収められている。そしてライラは学長としてそれらを厳重に守っている。
今や「トレイリア」と「天使」は同義語のようなものだ。遥か昔の時代には、天使たちは戦士や将軍として活躍していた。ライラもそのひとりだった。彼女は名高い戦術家であり、第二次兄弟戦争の後も機械仕掛けの構築物への関心を持ち続けた。そしてやがて、工匠の技こそが世界のための偉大な功績を成し遂げる道であると考えるようになった。知識と実験への渇望から、ライラはトレイリアのアカデミーで華々しく名を上げた。他の天使たちも彼女に続くまで長くはかからなかった。
メイブル
渓間の英雄、メイブル
ハツカネズミ、女性
三児の母と伝説的な英雄という役割を同時にこなすハツカネズミは稀だが、メイブルはほとんどそれに苦労したことはない。彼女は小さな身体に不屈の精神を宿し、伝説の剣「岩山炎」を振るう。その勇気と並ぶのは、家族への深い愛情だけだ。あの傭兵、残虐爪が災厄の獣マーハの卵を盗んだ際、渓間を救ったのはメイブルだった。彼女はマーハの卵を取り戻して獣を鎮めることで渓間を破滅の危機から救い、「グッドヒルの英雄」としての名声を得た。
憎しみの世捨て、メイブル
ハツカネズミ、女性
災厄の獣が振るう強大な力を制御できる者は数少ないが、強大な邪術師メイブルにとってそれは第二の天性のようなものだ。
村が滅ぼされて家族と引き裂かれた時、メイブルはその元凶がグラルブであると知った。彼女は王への復讐を誓い、その怒りをただひとつの目的へと注ぎ込んだ。強大な杖「岩山破」を振るって彼女は災厄の獣から力を奪い、呪われし武器の中に蓄えていく。十分な力を蓄えたなら、メイブルは王に挑むつもりだ。その王国を灰燼に帰したなら、王もまた故郷を失う苦しみを味わうだろうから。
マーウィン
保全者、マーウィン
エルフ、女性
ラノワールのエルフであれば、誰でもマーウィンの名を知っている。彼女はドルイドであり、外交官でもあり、ケルフェイのエルフに最も尊敬される助産師でもある。厳格な外交官である彼女は忍耐と知恵を駆使し、対立するエルフの派閥間の対立を仲裁している。
助産師であるマーウィンは、自分たちの土地に加わる新たなエルフたちの多くを最初に迎え入れる。とはいえ、彼らとの関わりがそこで終わるわけではない。マーウィンはケルフェイの若きエルフたちを見守り、子供時代を歩む彼らを導き護る役割も果たしている。
乱伐者、マーウィン
女性
第二次兄弟戦争はしばしば、第一次の倍もの被害を出したと言われている。だがマーウィンやケルフェイの民は、それすらも過小評価だと考えている。戦争の激化に伴ってベナリアの領土が拡大し、結果ラノワールのエルフたちとの正面衝突が起こったのだった。
エルフたちは絶望の中、機械化を受け入れるという苦渋の決断を下した。滅びを免れるためには、この次元の変化に適応しなければならなかったのだ。彼らは悔恨の念とともに自分たちの森を伐採し、生産のための燃料としていった。
マーウィンはケルフェイ随一の伐採手であり、ラノワールの巨木をも単身で切り倒す腕前を持つ。自らの務めに心を痛めつつも、彼女はそれを同胞の生存に不可欠なことだと捉えている。ケルフェイの次世代が、明るい未来の待つ世界で生きていけるように――たとえその世界に、子供時代に親しんだ森の美しさはなくとも。森はまた植え直せばいい、けれど民はそうはいかないのだから。
虐殺少女
最重要指名手配、虐殺少女
人間、女性
虐殺少女の話をする時は気をつけろ。あれはやばい。自分の噂話を聞きつけた時なんてなおさらだ。
あれはラヴニカ最悪の殺人鬼だ。その犯罪歴はスフィンクスが翼を広げたよりも長い。あれにとっては法律なんてただの確認項目、道徳なんて退屈な思いつきみたいなものだ。殺しのこととなると、ラクドス教団の連中でさえあれを特別な目で見てるほどだ。
それを一番よくわかってるのは、この前までギルドを率いてたジュディスだろうな。ま、今は皮膚を身体からはがす方法を沢山勉強してる最中なんだが。
第一対応者、救命少女
人間、女性
爆発事故、火事、地震――危険がラヴニカを脅かす時、そこには必ず救命少女の姿あり! 比類なき軽業で、彼女は街にそびえる数多の尖塔を瞬く間に駆け登る。誰もが様々な憶測を交わしているが、そこに魔法の力は一切使われていない。救命少女を形作るものは純粋に、この娘自身の卓越した技術なのだ。
まあ、治癒の術は別だ。あれは魔法だ。
セレズニアの顔であり英雄として、救命少女は全ラヴニカの初期対応者たちへと感銘を与えてきた。最善を尽くすようにと彼女は誰もに激励するが、セレズニア議事会は公式の注意喚起を発表せざるを得なくなっている。空高く舞う救命少女の軽業を真似しないようお願い致します。
ピア・ナラー
決意の再建者、ピア
人間、女性
ピア・ナラーは高名な人間の工匠にして、悪名高い改革派の闘士だ。更にはアヴィシュカーの革命運動を主導しただけでなく、チャンドラの母親でもある。
かつてピアの夫キランは、領事府の手にかかって命を落とした。その遺志を継ぎ、ピアは新たに選出された議員としてアヴィシュカーを未来へと導いている。また彼女は革命家時代に磨き上げた工匠術を活かして問題を的確に分析し、誰もが納得できる解決策を導き出す。
ギラプール・グランプリという大規模行事を終えた今、ピアは他次元の要人たちとの会合の日々を送っている。アヴィシュカーは多元宇宙で最も緻密に調整された政治機構となる――そしてピアがその未来を確かなものにするのだ。
霊気の苦行者、ピア
人間、女性
生と死、そして衰退と再生は循環するもの。自然はそう教えてくれる。とはいえ、それを受け入れるのは容易というわけではない。ピアは衰退の季節が領事府に訪れる日を待ちわびている。
キランとピアは多くの点で対立していた。領事府への向き合い方もそのひとつだった。キランは秩序と社会性を求めたが、ピアは領事府の影響から遠ざけてチャンドラを育てるのが最善だと信じていた。だが彼から離れることが、チャンドラを諦めることになるとは思いもよらなかった。長年にわたる洗脳の末、ピアの実の家族でさえ、彼女をほとんど認めようとしなくなった。
今やピアは、領事府に立ち向かう数少ないひとりとなった。それでも、いつの日か娘が楽しんでくれるよう願いながら庭を手入れしている。ピアは今なお、領事府の陰険な魔法に対する答えを追い求め続けている。
プロフト
名探偵、プロフト
人間、男性
アルキスト・プロフトは比類なき推理力を誇る名探偵だ。真実を見出したいというひたすらな渇望を常に抱いており、そのためしばしば法と対立する。かつてプロフトはアゾリウス評議会の法魔道士だったが、後にギルドを離れてラヴニカ魔法探偵社に加わった。そこで彼がとる手法は、しばしばアゾリウスが守るべきはずの法そのものに抵触していた。
優れた映像記憶を持つため、プロフトはラヴニカの領界路の地図を作製する上で大いに役立っている。非プレインズウォーカーでありながら次元間ポータルの専門家であるプロフトは、ラヴニカでも極めて重要な人物となった。だがそれは平穏を意味はしない。近頃の彼は、扉を開けるたびに何かに見つめられているように感じるのだ。
悪意ある首謀者、プロフト
人間、男性
アルキスト・プロフトは実在の人物ではないよ。
噂を聞いたことはあるかもしれないね。凶悪犯罪が起きるたびに、雑草のように生えてくるあの噂だ。コルクボードに沢山の人物写真……いわゆる手がかりが貼られて糸で結ばれているものを目にしたこともあるだろう。あるいは、見えざる黒幕が何らかの目的のために長年ラヴニカの犯罪を操っている、というような説を耳にしたこともあるかもしれない。
ちょっと考えればすぐわかるはずだ、そんなことはありえないと。ラクドスの紅蓮術師集団による放火、法魔道士の暗殺、オルゾヴァ本部への銀行強盗、シミックの遺伝子培養槽への毒物混入――そのすべてが繋がっているなどということがあるだろうか? 何の共通点もない個々の事件だ。確かに、ボロスの武器庫から略奪するための陽動だったという説はある。だが槍も剣も一本残らず確認済みだ。
ところで、アルキスト・プロフトの伝説を調べようとする者はどうも行方不明になりがちだ。このあたりでやめておいた方がいいんじゃないかな……自分の身のためにもね。
ルーリク・サー
魔道士壊し、ルーリク・サー
オーガ、男性(複数形)
グルールは、自分たちに正当な意味での「指導者」がいるとは言いたがらない。そしてそう名乗る者がいれば、それは嘘つきだ。幸いなことに、ルーリク・サーはそう名乗るようなことはしない。ただ現れては何かを粉砕するだけだ。
その存在感と特異な身体構造ゆえに、ルーリク・サーは近頃シミックに注目されるようになった。ギルド魔道士たちは、毒入りだが美味な子羊の脚肉を使ってこのオーガを罠にかけた。ルーリク・サーが目を覚ますと、そこはシミックの実験室の只中だった。
その日、シミックはルーリク・サーについて多くのことを学んだ。だが何よりも思い知らされたのは、このオーガを抑え込むことは絶対に不可能という事実だった。やらないほうがいい。
生命大魔術師、ルーリク・サー
オーガ、男性(複数形)
ふたつの頭脳はひとつに勝る。ルーリク・サーはそれを幾度となく証明している。
ルーリク・サーはシミック連合で最も才気溢れる生術師であり、接合の技に革命をもたらした。両者共にこの技術の熱心な推進者でもあり、自身の肉体を用いて実験を繰り返している。丁寧に研ぎ澄まされたカニの爪や優雅に広がる翼こそが、その卓越した技術を何よりも雄弁に物語っている。
サヒーリ・ライ
アヴィシュカーの宝石、サヒーリ
人間、女性
サヒーリ・ライはこれまでずっと、様々な空に広がる鮮やかな夜明けを目にしてきた。そしてそのすべてから新たな作品を創り出す発想を得てきた。プレインズウォーカーの灯を失っても、その歩みは全く鈍ってなどいない。
サヒーリは卓越した知性と飽くなき探求心を持つ天才発明家だ。愛するファートリと共に過ごしたイクサランでの滞在を終え、数多の発想を携えてアヴィシュカーへと帰還した。
アヴィシュカーを飛び回る恐竜型飛行機械は、サヒーリが最も気に入っている創造物のひとつだ。元々はファイレクシアの侵略と戦うために作られたものだったが、それらは詩と科学の融合が何をもたらし得るかを常々彼女に思い出させてくれる。
監視の領事、サヒーリ
人間、女性
サヒーリ・ライは、アヴィシュカーにおける霊気の所在を最後の一滴に至るまで把握している。
領事府の監督官であるサヒーリは、飛行機械の複雑な諜報網を駆使してアヴィシュカー全土を監視している。その探るような目から逃れようと飛行機械を徹底的に避ける者もいるが、彼女の監視網は見た目よりもずっと広範囲に及んでいる。信頼おける自動人形や輸送用車両、さらには愛用する家庭用湯沸かし器でさえ、何らかの形でサヒーリに情報を送ることができるのだ。正確、徹底的、精密――サヒーリの監視体制は万全を期している。
その代表作は精緻な設計で作られており、サヒーリが真に目指すべきは芸術の道だったのではないかと言う者もいる。秘密の部屋からアヴィシュカーを見守りながら、サヒーリが美を欲することはない。それは他者の人生の中にいくらでも見つかるのだから。
サムト
ハゾレトの勇者、サムト
人間、女性
サムトは思考の速さと行動のさらなる速さで知られている。だがナクタムンの生者たちの実質的指導者という役割を務める際は、ハパチラと協力してその速さが民の安全を脅かすことのないよう努めている。彼女は多くの時間を費やしてナクタムンの空き区画の復興を監督し、またアモンケットの新たな神々との対話を行っている。今なおハゾレトの英雄と見なされてはいるが、サムトはすべての神々の信頼を得ようと努めている。共にアモンケットの生者たちのために新たな我が家を築くことが彼女の願いだ。サムトは最善の道を知っているかのように装いはしない。しかし彼女が知っている。アモンケットは、そこに住まう人々が前進を続けることによってのみ繁栄するのだと。
ナクタムンの専制君主、サムト
人間、女性
ナクタムンの専制君主サムトは冷徹で計算高い魔術師だ。アモンケット最強の凍てついた神の傍らで生者たちを支配している。
サムトは恐怖を用いて民を威圧し、従順に服従させている。人々は凍てついた神の力を怖れないかもしれないが、彼らはサムト自身が操る魔法の存在を知っている。サムトは時の流れを遅らせることができ、ほぼ止まったそれはまるで凍りついたようにも見える。そうして敵の一歩先を行くための時間を確保するのだ。
サムトの命を狙う動きはこれまでにもあった。だがハパチラに会って初めて、彼女は自身の統治が終わるかもしれないと考えた。ハパチラはアモンケットの人心を掌握し、それはサムトがかつて直面したどんな脅威よりも遥かに恐ろしいものだった。不死の君主たちが陰謀を巡らせてハパチラをそそのかし、自分に敵対させているのだ。サムトはその事実を痛いほど理解している。
梅澤哲子
逃亡者、梅澤哲子
人間、女性
遠い昔の先祖のひとりが犯した罪ゆえに、哲子は追われる身の人生を過ごしてきた。かの古龍、ニコル・ボーラスは数十年にわたって彼女の一族に刺客を差し向けており、ひとりまたひとりと始末していった。それでもなお、哲子は常に相手の一歩先を行き続けた。
だがドミナリアの人々と共にファイレクシアの侵略と戦う中、かつての逃亡者は気づかされた――自分が持つ魔法の力が、とてつもない戦略的価値を持っていると。彼女は魔法の出入口を開く能力を駆使し、避難民たちをファイレクシアの掌握から逃がすために力を尽くした。
侵略戦争の終結からわずか数年後、哲子は再び逃亡の身となった。とある古龍が死んだという噂は誇張だったのかもしれない……それに、古き遺恨はそう簡単に消えはしないものだ。
追跡者、梅澤哲子
人間、女性
哲子は長い歴史をもつ賞金稼ぎの一家に生まれた。一族は犯罪者に対して消えることのない敵意を抱き、好んで彼らを虐めてきたが、哲子自身はそのような気質を持っていなかった。賞金首とやり合う際、哲子は相手を殺傷しない手段を選んでいる。逃走する犯罪者を魔法の網で捕らえ、その後小さな魔法の停滞球へと瞬間移動させて搬送するのだ。
哲子は獲物を追う興奮を楽しんでいる。彼女はいかなる王国や君主にも忠誠を誓っておらず、追跡相手がどんな罪を犯したのかも気にしない。懸賞金がかけられ、相手が逃亡しているなら、それを追うというだけだ。
テヨ・ベラダ
光盾の熟練者、テヨ
人間、男性
テヨ・ベラダは人々を守るという使命に突き動かされている。彼の故郷、ゴバカーン次元は定期的に猛烈な金剛嵐に襲われる。かつて彼は、村でただひとりの生存者として盾魔道士に発見された。まだ子供だったテヨは何の訓練も受けていないながら、完璧な盾を作り出していた。だがそれは自分を守るのが精一杯だった。
自分だけが生き残ったという罪悪感を原動力に、テヨは盾魔法の複雑な正説をすべて学ぼうとした。だがその厳格な法則は、テヨ自身の直感的な天賦の才とは相容れないものだった。
あの「灯争大戦」にてテヨはプレインズウォーカーへと覚醒した。ラヴニカでの戦いは彼に新たな啓発をくれた。法則ではなく本能のままに戦い、皆を守ることは彼に自由をくれた。確固たる自信を胸に、テヨはその型破りな技を携えてゴバカーンへと帰還した。今や彼は新たな心持ちで故郷を守り抜こうとしている。
金剛刃の魔道士、テヨ
人間、男性
ダイアモンドは極めて壊れにくいだけでなく、触れるものすべてに傷跡を残す。テヨ・ベラダは身をもってその事実を知っている。故郷の村が金剛嵐によって破壊される様を目の当たりにした彼は、その破壊的な力を自ら操る術を見つけ出そうと決意した。
テヨは盾魔法をまとい、金剛嵐の中を無傷で歩く。幾度となくゴバカーン最悪の自然災害に身を投じ、そのたびに少しずつ強くなって帰還した。彼が巡らせる幾何学の「盾」もそのたびに鋭くなっていった。テヨの集大成とも言える技は、都市ひとつをまるで糸を切るようにたやすく裂いた。
テヨは自らを完璧に磨き上げ、金剛刃の暗殺者となった。求めるものを手にしようとする彼の前に立ちはだかる者は、ゴバカーンには僅かしかいない。
サリア
生存者、サリア
人間、女性
プレインズウォーカー、デーモン、背教の天使、人食いカエル、機械生命体の侵略者――今なお、サリアの心を打ち砕くことができたものはいない。
サリアはその武勇を幾度となく証明してきた。聖トラフトの騎士団の創設者として、彼女は常にイニストラードの人々の安寧を何よりも優先してきた。そう、自身の信仰心よりも。
ファイレクシアの侵略によって騎士団は多くの人員を失った。サリアはアーリン・コードと協力し、次元全体の防衛網を築きにかかった。領界路を通ってイニストラードに迷い込んだ者の多くは生きては帰れない。だが次なる脅威がどこから現れようとも、サリアは立ち向かうのだろう。
聖サリアの霊
スピリット、女性
アヴァシンは聖戦士たちから揺るぎない忠誠を集めていた。長年に渡り、サリアもそのひとりだった。他の聖戦士たちはサリアを心の拠り所とした。信仰が揺らぐ時には、サリアが再び自分たちを鼓舞してくれるとわかっていた。力の限りに仕えたなら、永遠の救いが約束されていると。
その忠誠心を称えられ、サリアは獄庫の守護者に任命された。それはアヴァシンが最も恐れる敵を封じ込めた場所だった。
だがサリアは知った――獄庫に封じられていたのは、アヴァシンの味方となるはずだったシガルダ、ブルーナ、ギセラ、リーサだったのだ。揺るぎなかった彼女の信仰心は打ち砕かれた。サリアは職務を放棄し、大天使に対峙した。アヴァシンはサリアの長年の戦友であるオドリックへと、彼女を殺害するよう命じた。
罪悪感に苛まれながら、オドリックは自らの手でサリアの遺物を埋葬した。誰も予想しなかったことに、生前のサリアが獄庫を守り抜いたように、今度は霊となった彼女が大聖堂を守護するようになった。サリアの大聖堂は万人を受け入れる避難所となっており、アヴァシンですら足を踏み入れるのをためらうという。
チビボネ
ポケットのお邪魔虫、チビボネ
スケルトン、男性
チビボネが具体的な理由を持って盗みを行うことは滅多にない。彼にとって、盗みとはひとつの芸術なのだ。確かに観客を激怒させるものではあるが、芸術とは感情を喚起させるものであるべきなのだし、怒りも間違いなくその感情であるのだから。とはいえ、実際のところ判断は少々難しい。チビボネは魔法で動くスケルトンの盗賊であり、スケルトンになる前よりも感情は強くはない。それでもチビボネが行う盗みはアーボーグの霊たちを守っており、彼自身もそのために自身の技を役立てることを何よりも喜んでいる。
屹立する思いやり、デカボネ
スケルトン、男性
デカボネが具体的な理由をもってヤヴィマヤの生き物たちを守ることは滅多にない。彼にとって、優しさとは第二の天性のようなものだ。物心ついた頃からずっと、デカボネは大自然の地とそこに息づくすべてのものを守りたいと強く願ってきた。特に、鳥たちには思いやりを向けてきた。スケルトンであるデカボネに本来、感情が存在するはずはない。それでもヤヴィマヤの、翼持つ美しい生き物たちは彼の心をときめかせるのだ。とはいえ、自分に心があるのかどうかはデカボネ自身にとっても定かではない。何よりも重要なのは、デカボネが生涯の使命を定めていることだ。森の動物たち、とりわけ鳥たちを傷つけようとする者には誰であろうと、彼の強烈な拳が繰り出されるのである。
トミク
オルゾフの法魔道士、トミク
人間、男性
トミク・ヴロナは生まれながらの法魔道士だ。オルゾフの弁護士であった両親は早死にしたものの、その後も彼を育て続けた。そのためトミクは子供の頃から霊と法の双方に親しんでいた。オルゾフ組内で急速に頭角を現し、やがてテイサの右腕となる地位にまで上りつめたことは驚くに値しない。
契約業務やガーゴイルの活用、そしてギルド間に外交的な絆を築く卓越した手腕でトミクは知られている。だがそのどれも、伴侶であるラル・ザレックとの絆には及ばない。
ファイレクシアの侵略が終わると、トミクはラルのイゼット団再建を支えた、彼は今、夫の復帰を確かなものにしようと意欲を燃やしている。
イゼットの火花魔道士、トミク
人間、男性
トミクが生まれた際、ヴロナ家は火花の奔流の中で爆発したと言われている。あくまで伝説だ、恐らくは。だが多くのイゼット団員がそれを信じている。そしてそれももっともな話だ。トミクは、火花魔道士として無比の才能を秘めているのだから。
子供時代のトミクは、両親の実験装置を爆発させて楽しんでいた。彼は瞬く間にイゼット団内で頭角を現した。その背景には彼の伴侶、オルゾフ組の有力な弁護士にして扇動者のラルによる謀略があったとも噂されているが、両者はその疑惑を強く否定している。
ラルは重要な用事でラヴニカを離れ、以来トミクは夫の姿を見ていない。不幸なことに、トミクの激しい気性を宥められる人物はラル以外に存在しない。イゼット団はラルの帰還を心から願っている。さもなくばトミクは苛立ちのあまり、ギルドの建物を更地にしてしまうだろう。
トラクソス
永劫なる災い魔、トラクソス
ドラゴン・エンジン、性別なし
「クルーグの災い魔」とも呼ばれるこのドラゴン・エンジンは、兄弟戦争にてクルーグ王国を壊滅させたことでその二つ名を得た。トラクソスは古代のファイレクシア製戦闘機械を模して設計され、ミシュラ軍の最強兵器として活躍した。それから何世紀もの時を経て、トレイリアの学者たちがこの強大な兵器を偶然目覚めさせた。トラクソスは活動を再開し、ウルザの軍勢を捜索・殲滅するという古の命令を遂行しようとしたが、ほとんど成果はなかった。後にエリシュ・ノーン率いるファイレクシア軍がドミナリアへ再び侵攻した際、彼らはクルーグの廃墟にて予期せぬ事態に直面した。トラクソスはファイレクシアの設計に基づいて造られてはいたものの、侵略者への忠誠心は持たず、彼らをもまた排除すべき敵と見なしたのである。
アカデミーの守護者、トラクソス
ドラゴン・エンジン、性別なし
強大な戦争機械トラクソスは、第一次兄弟戦争を終えて休眠状態となった。それから何世紀もの時を経て、天使でありながら初めてトレイリアの学者となったライラがトラクソスを眠りから目覚めさせた。この伝説的な戦争の道具は守護者にもなり得る、そう彼女は信じたのだった。
かつてミシュラは、九層の同心球からなる完全無欠な世界を夢に見て設計の原案とした。ライラはそこに改良を加え、トレイリアの強力な守護者としてトラクソスを再構築した。彼女はこの機械を、いずれ訪れる避けがたい脅威からトレイリアを守る哨兵を、ひとつの芸術へと昇華させた。今、トラクソスは新たな使命を帯びてそびえ立っている。
ウィンター
苛まれし一匹狼、ウィンター
人間、男性
ウィンターはあらゆる意味で「生存者」だ。報酬次第では抜かりない案内人となるが、かつて彼は誰よりも愛した人物を裏切った。そして何よりも重要なのは、彼はヴァルガヴォスの――次元全体を占める脱出不能の館ダスクモーンの主の、不本意ながらも右腕を務める人物だということだ。ウィンターが館の壁の中に囚われてから十年以上になる。ここでの日々は過酷で、信頼は儚く利他心は死を招く。ヴァルガヴォスは征服を求めていたが、ウィンターはその期待に応えられずに何度も不首尾を重ねた。今や彼はこのデーモンの意志に従う呪いをかけられており、次に一度でも失敗したなら死よりも恐ろしい運命が待ち受けている。
再びダスクモーンに囚われたウィンターは、かつてないほどの孤独の中にいる。だが館の外に広がる次元や、一見して無限の力を持つヴァルガヴォスの限界を目にしたことで、彼は二度と手に入らないと思っていたものを手に入れた……ひとすじの希望の光を。
チームプレイヤー、ウィンター
人間、男性
ウィンターは型破りな生存者だ。次元全体に広がる脱出不能の館、ダスクモーンに十年間も閉じ込められてきた彼はいつしか、力強く狡猾な指導者となった――追随者たちにとっては、その過酷な環境ゆえに他の選択肢はなかったのだが。かつてウィンターは親友が館に食われるのを目の当たりにし、亡霊たちが親友の声で喋るのを聞いた。彼は今、マリーナ・ヴェンドレルを倒したなら、ヴァルガヴォスを操るこの女性によってもたらされたすべての死を覆すことができると信じている。
ウィンターは味方に対しては軽妙に振舞い、敵に対しては容赦なく計算高く対峙する。彼は今、恐るべき気迫で館の打倒に乗り出そうとしている。そして単に生き延びるだけでなく、味方を脱出させることにも執念を燃やしている。愛用の棍棒と持ち前の知性を武器に、ウィンターはマリーナ・ヴェンドレルを追っている。彼女が望むかどうかに関わらず、マリーナをマリーナ自身から救い出すために。
ヤーグル
アーボーグの暴食、ヤーグル
カエル・スピリット、男性
ヤーグルの食欲に果てというものはない。民間人、ゾンビ、霊、その他不運にもその通り道に居合わせたあらゆるものが貪り食われてしまう。幸いにも、アーボーグのエレメンタルであるムルドローサが、自然の摂理を大きく乱すことのないようヤーグルを見張っている。ファイレクシアがドミナリアを襲撃した際、ムルドローサは父であるムルタニへと呼びかけた。アーボーグ防衛のためにヤーグルと融合するようにというのだ。ありえない組み合わせだったが、ムルタニとヤーグルは共に勇敢に戦った。以来ずっと、両者の間には友情がある。少なくともムルタニはヤーグルを渋々ではあるが認めてはおり、ヤーグルもどうやらムルタニを食べる気はないようだ。
オタリアの大巨獣、ヤーグル
カエル・スピリット、男性
放浪の料理人ヤー=クールがクローサの森に足を踏み入れた。そして森からヤーグルが彷徨い出て、オタリアの人々に恐れられる霊となった。
ヤーグルは極上の美食のみを求め、自身の皿に乗せるに値しないと見なしたものは何であろうと踏み潰してしまう。そのため湖水地方を訪れる旅人には、この精霊の縄張りに近づかないよう警告がなされている。その轟くような跳躍音が聞こえた時は、大抵もう手遅れであるためだ。
オタリアの地元民たちはヤーグルにある種の敬意を抱いている。それというのも第二次兄弟戦争のさなか、この地を支配しようと侵攻してきた陰謀団の軍にヤーグルは立ち向かったのだった。この予期せぬ加勢によりオタリア軍は態勢を立て直し、不意を突かれた陰謀団の軍を包囲した。そしてヤーグルは奇妙なゲリラ戦術で敵軍を壊滅させた。今ではオタリアの人々はその恩義に報いるため、ヤーグルが介入した記念日に九人の料理人を派遣し、彼のために食物を供えるという慣習を続けている。
義丸
寵愛受けし友、義丸
犬、男性
義丸はかつて軽脚から皇へと与えられた忠義深い猟犬だ。皇にとっては真の友と呼べるもうひとりの相手であり、同時に彼女への試練でもあった。皇がどれほど長く戻らなくとも、義丸は主の帰還を信じ希望を捨てなかった。神河の空位の玉座に近づく者があれば、即座にそれを追い払った。
今や皇は帰還した。義丸は大喜びでおやつをもらい、腹や頭を撫でてもらっている。だが彼が何よりも楽しんでいるのは、親友と共に過ごす時間だ。
争い好きの野良犬、義丸
犬、男性
都和市の商人たちが忌み嫌うものが三つある。皇国の税、勢団の万引き、そして義丸率いる野良犬の群れだ。
この不愛想で好戦的な獣については多くの伝説が語られている。神河の狼、その古き血筋の最後の生き残りなのかもしれない。何らかの悪戯好きの神が変身した姿なのかもしれない。真相が何であるにせよ、義丸は他のどんな犬よりも素早く賢い。都和市のすべての犬が義丸に従っているらしく、そのため「野良の皇」と呼ぶ者さえいる。
義丸の群れは統制された戦術でよく知られている。大型の犬たちが戦いを引き受けている間に、小柄で身軽な子犬たちが獲物を持ち去るのだ。義丸は先頭に立って指揮を執り、確実に噛みつける相手がいればどこへでも襲いかかる。
百合子
影からの希望、百合子
人間、女性
何世紀にも渡って、「虎の影」は神河に潜んできた。子供なら誰でもその物語を知っている。「虎の影」は、皇の威光が届かないあらゆる場所を守護するのだと。
孤児であった百合子もこの物語を耳にしながら育った。都和市で過ごす過酷な夜も、誰かが自分を見守ってくれていると想像すれば心の支えになった。ある日、図々しい皇国兵が百合子の恋人に暴言を吐いた際、彼女は自らこそが英雄にならねばならないと悟った。百合子は闇の中でその兵士を絞殺した。その後まもなく、恋人はかの有名な虎の爪を鍛造した。
百合子は密輸人として長年を過ごして、狡猾さや軽業のような身のこなし、そして冷酷さを身につけた。それに比べれば、武術の習得など容易なものだった。百合子は都和市のあらゆる場所へ、皇宮にさえも忍び込む。影の住人であっても味方は必要だという信念に守られながら。
剛毅なる刃、百合子
人間、女性
最高の戦士は生まれるのではない。鍛え上げられるのだ。
百合子は、当初から何らかひとつの大義のために戦おうとしていたわけではなかった。詩人と語り部の子として生まれた彼女は、神河の歴史にうたわれる英雄たちに憧れを抱いて育った。やがて十代になると、彼らを目指して自身を鍛え上げようと決意した。
百合子は休むことなく、連日鍛錬を続けた。身体が壊れたなら、それは今よりも強固なものへと鍛え直す好機だった。都和市で最も恐れられる荒くれ者たちを探し出しては戦いを挑み、やがて神河の人々の英雄となっていった。「誰もが剣を手に取ることができる」、百合子はその象徴となった。
タミヨウが皇の座を奪うと、百合子はその時が来たと悟った。神河はようやく真に相応しい統治者を得たのだ。百合子は真っ先に忠誠を誓い、以来ずっとタミヨウの傍らに仕えている。タミヨウに辿り着こうとするならば、その最も献身的な生ける盾を突破しなければならないだろう。
リアリティ・フラクチャー 統率者
力線の世話人、ニッサ
エルフ、女性
コーの帝国はゼンディカー全土を支配しているかもしれないが、所有しているわけではない。それを思い知らせてやるのがニッサ・レヴェインだ。
エルフのニッサはスカイクレイブの影で育ち、日々の糧を得るのが精一杯の日々を過ごしていた。彼女はとある伝承を耳にしていた――かつてゼンディカーは自然に覆われていたが、いつしかそれは剥ぎ取られて人工物へと置き換えられていったと。ある夜、夢の中でニッサはひとつの未来を垣間見た。それは、エルフがもはやコーに服従していない世界だった。エルフの未来へと、蔦に覆われた尖塔へと手を伸ばす。それがニッサの至上の使命となった。
ニッサは今、コーに対するエルフの反乱を扇動している。他のエルフはそれを過激と見るかもしれないが、彼女は理解している――エルフが勝利するためには、コーを徹底的に敗北させねばならないのだ。そのためにニッサは、コーが所有する面晶体のネットワークを操り、マナの流れを導く術を磨いてきた。コーの帝国は、自らの兵器を敵に回す事態など想定していない――そしてそこに、彼らの犯した重大な過ちがあるのだ。
憤怒の天使アクローマ
天使、女性
強大な戦争魔道士ニヴィアは、トレイリアの魔術師たちとの戦いで恋人を失った。彼女は比類なき憤怒に駆られた。その悲嘆と怒りによって、ニヴィアの強力な戦闘魔法は純粋かつ破壊的なマナへと変化した。ニヴィアはそのマナからひとつの存在を具現化させた。それは彼女自身の姿を模しつつも、その内に燃える怒りを力の源とする天使だった。
かくしてアクローマが生み出された。復讐という明確な目的のために創造された彼女は、なすべきことをわかっていた。彼女はニヴィアの名のもとに、トレイリアの魔術師たちが操る精神操作の魔法をものともせず、彼らを次々と屠っていった。ニヴィアが受けた不当な仕打ちを正し終えると、アクローマはドミナリア全土のための復讐に乗り出した。この次元の各地に、炎をまとう天使の神話が伝わっている。それは天災のように空を舞い、不正義を働く者をどこまでも追い詰めて断罪するのだ。
恐怖の天使、アヴァシン
天使、女性
大天使アヴァシンは、自らの翼の下に群れを守る――生ける間も、そして死した後も。
アヴァシンは人類を守るため、反逆の狼男ソリン・マルコフによって創造された。彼女はまた、屈することなく生き延びるイニストラードの体現でもある。月明かりの下を無事に歩む時、あらゆる人間がアヴァシンの加護を称える。吸血鬼も狼男もデーモンも、もはや彼らに手出しすることはできない。そしてアヴァシンが見返りとして求めるものは? 死後も続く信仰だ。
アヴァシン教会の信徒たちは、生ける命のみならず死後までもこの天使に捧げると誓う。信徒の信仰の強さそのものが自分の力となる――アヴァシンは存在の初期段階でそれに気づいた。彼女は信徒たちへと、戦場へと突撃することで献身を証明せよと促す。もし斃れたとしても蘇らせる。信徒たちが永遠に、輝けるアヴァシンの月光を享受できるように。
聞くがいい――いわゆる姉妹たちが彼女のやり方に憤慨した際、アヴァシンは彼女たちに慈悲を与えた。空を舞うその姿を切り捨てはしなかった。代わりにアヴァシンは、彼女たちを獄庫へと幽閉したのだった。あの汚らわしきエドガー・マルコフや悪しきグリセルブランドと共に、自らの愚蒙を省みるための場所へと。
今や虜囚たちは自由の身となった。いずれアヴァシンのもとへ戻るのだろう。ならば祈りを捧げよう。
救いの手、ダク・フェイデン
人間、男性
あの黄金の手の男は何者だ? 全多元宇宙で最も偉大な慈善家とは? それは勿論、ダク・フェイデンだ!
彼の商業ギルドはフィオーラの国境を遥かに越える勢力を持ち、その交易路は複数の次元にまで及んでいる。誰からも愛し、誰からも怖れられず、そしてマルチェッサ女王からは憎まれ、ダク・フェイデンはまさしくフィオーラそのものの恋人なのだ!
言うまでもなく、次元渡りの相棒シファ・グレントがいなければ、彼は何者でもなかっただろう。ふたりは決して離れることはない。そして誰にも止めることはできない。ラヴニカのオルゾフ組でさえも彼らを羨むほどだ。
ふたりはその収益をすべて、フィオーラの貧民のために寄付している。女王が彼らを憎むのは、その博愛主義精神が民衆に受けているからだと言われている。さらに不埒なことに、ふたりは支援を必要とする他次元にまで寄付を広げようとしているという噂まで流れている。
お菓子の女王、ジンジャー
クッキー、女性
お聞きなさい、お聞きなさい! ガムドロップの冠を戴き、勝利のガナッシュを纏う我らが気高き主――その名も麗しきジンジャー女王の婚礼へようこそ! その治世が長く続かんことを。新たな王配アニシード卿への愛が芽生えたのは、ふたりがまだ生地であった頃のこと。運命によって共にこね合わされ、手を取り合い、心をひとつにしてふたりはこの世に生を受けたのでありました。
我が家を貪る獣たちに脅かされ、ジンジャーは焼き上がったその瞬間にフォークを手に取りました。戦場でのその勇姿たるや! まだ焼かれていなかった同胞たちも、次々と命を吹き込まれました。数は膨れ上がり、創造主たるあの卑劣なパン職人でさえ、我らを抑え込むことはできませんでした。あのパン屋から我ら王国が誕生したのです。そして誰がそれを率いるのでしょう? 言うまでもありません。慈悲深き女王はいつだって我らを奮い立たせ、困難に立ち向かう勇気を与えて下さるのです!
ウェザーライトの海賊、ジョイラ
人間、女性
ドミナリアの空を過ぎる巨大な影を見たなら、その正体は次のふたつのどちらかだろう――ドラゴンか、あるいはかの悪名高き空賊ジョイラの船、ウェザーライト号か。
ジョイラは若いうちから操縦士としての才能を発揮していた。大胆不敵な無法者であり、その身体はほぼ老いることはない。君主や貴族や法執行機関からは犯罪者とみなされているが、英雄を演じてその人生の大半を過ごしてきた。第二次兄弟戦争では忠実な副官のヴェンセールを伴い、大胆な海賊たちを率いて陰謀団と戦った。陰謀団の計画を阻止した後には、彼らの財宝を奪うことにも成功した。
だが戦争が終わると、ジョイラは英雄ごっこを切り上げて盗賊生活に戻ると決めた。英雄だった頃のことなどすぐに忘れられてしまうのは経験上知っている。だが陰謀団からあの「黒き剣」を盗み出したというのは? それこそは永遠に語り継がれる伝説となるだろう。
管理者、メムナーク
構築物、男性
メムナークは、ミラーリの残骸とカーン自身の一部である黄金板から創造された。彼はミラディンの守護者であり、カーンの腹心でもある。
メムナークにとってカーンは理想の存在だ。生命を、繁栄を、そして平和なひとつの世界を創造した父に等しい。カーンの冒険譚を聞いたメムナークは、ミラディンがいかに特異な世界であるかを即座に理解した。戦争と対立が絶え間なく続くドミナリアに比べたなら、ここは楽園だった。カーンは多元宇宙の旅を続けるのではなく、自らの灯を捧げてこの次元に留まり、理想郷を築き上げた。その英断と知啓に、メムナークは深い畏敬の念を抱いている。
メムナークはカーンと協力し、金属世界ミラディンが更に住みやすい環境となるよう絶えず尽力を続けている。その際には、しばしば従順なマイアたちが動員される。愛らしくも有能な働き手である彼らはメムナークを父として、カーンを祖父として深く慕っている。
幽霊弁護士、ニヴ=ミゼット
ドラゴン・スピリット、男性
ラヴニカのドラゴンたちは例外なく、ニヴ=ミゼットに何らかの借りがある……そして彼は、それらの清算状況を厳密に把握している。
ニヴ=ミゼットは何千年も前に生まれた。彼はラヴニカの万年期祭からほどなくして、暴れ狂うネフィリムとの戦いで命を落とした。イゼット団の運営こそ自ら選抜したイズマグナスに委ねたものの、彼はまさにこのような事態への巧みな備えを講じていた。ニヴ=ミゼットは巧みに隠蔽された幾つもの生命保険契約を数千年もの間をかけて結んでおり、オルゾフ組を事実上の破綻に追い込んで自ら幽霊議員の議席を手に入れた。他の幽霊議員たちの富は次第に目減りし、やがて全員が破産し、ニヴ=ミゼットは唯一残る幽霊議員となった。
ギルドこそ変わったものの、ニヴは今なおラヴニカを守るために尽力している。彼に爪を向け、逆に引き裂かれなかった者はいない。オルゾフの長として、そしておそらくは密かにイゼットの指導者としても、その地位を利用して私腹を肥やしていると非難する者もいる。だが彼に言わせれば、あくまで正当な報酬を受け取っているに過ぎないのだ。
昇りたる者、オブ・ニクシリス
天使、男性
終わりのない戦いに飲み込まれた次元は、その戦いを続けさせるための戦士たちを常に生み出していく。だが極めて稀に、その戦いを終わらせる者を生み出すことがある。オブ・ニクシリスは一流の将軍のひとりだった。作戦室においても最前線においても、彼の統率力はなくてはならないものだった。わずか六体のデーモンと自らの剣だけを頼りに、二千の戦士からなる軍隊を食い止めたことさえあった。
暴力の連鎖は彼に重くのしかかっていた。オブ・ニクシリスはデーモンとの契約に縛られない人生を、自身の剣が恒久的な平和をもたらす世界を渇望した。そしてその好機は、謎めいたポータルの出現という形でやって来た。それは黄金に輝く天使の羽で飾られていた。ポータルに踏み入った彼が辿り着いたのは、天使の威光に満ちた世界カペナだった。天使たちは彼の契約を焼き払った。その恩義に報いるため、オブ・ニクシリスは彼女たちに仕えることを誓った。
オブ・ニクシリスが刃を掲げる時、デーモンは単なる悪夢同然のものへと消え去るのだ。
虚空の座、オムナス
エレメンタル、性別なし
ゼンディカーの多様な文化の間に共通点は多くない。だがあらゆる終末神話に必ず登場するひとつの存在がある。それは周囲のあらゆるマナを貪り尽くす、亡霊のようなエレメンタルにして貪欲な虚無……虚空の座、オムナス。
コーの帝国はスカイクレイブの牢獄にこのエレメンタルを幽閉し、封印が永遠に保つことを愚かにも願った。だが虚無を閉じ込めておける牢獄など存在しない。一世紀に及ぶ幽閉の末にオムナスは最後の拘束を食い破り、再び次元を自由に闊歩し始めた。面晶体ネットワークが繋ぐ力線を切断するたびに、オムナスは周囲の世界から生命とマナを吸い上げて力を増していく。だがオムナスは帝国や自我など何ら気にしない。これが渇望するのはただ自らの飢えを満たすこと、そして完全な存在になりたいという常なる意志だ。
戴冠せし反乱者、タミヨウ
ムーンフォーク、女性
神河は常にふたつの世界の間に引き裂かれてきた。皇国が過去の栄光に囚われて衰退を始めた時、タミヨウと彼女率いる蜂起軍は、何としても国を未来へと引きずり出そうと決意した。
タミヨウが蜂起軍に加わったのは、職務質問をされた夫が反逆罪で逮捕されたことがきっかけだった。その罪状は、現代哲学や政治思想を記した巻物に加え、タミヨウ自身が匿名で執筆した文書を所持していたことだった。
タミヨウは夫の逮捕を機に急進思想へと転じ、蜂起軍を説得して攻撃へと駆り立てた。タミヨウが玉座の間に立ち、夫が釈放されて「椿散る日」は幕を閉じた。民衆からは皇と呼ばれているものの、タミヨウ自身はその肩書きを名乗ることをあまりよしとしていない。自分の統治はあまりにも型破りであり、そう呼ばれるのは相応しくないと感じているためだ。それでも民が答えを求めて仰ぎ見てくる限り、彼女はその答えを示し続けるのだろう。
始祖スフィンクス
スフィンクス・アバター、性別なし
多元宇宙に存在するあらゆるスフィンクスの内に、始祖スフィンクスの血と魔力が流れている。高慢で誇り高いこの存在は自らの思考のみを源として、明確な意図をもって子らに姿を与えている。
ヘクスヘイヴンの創始スフィンクスたちは、始祖スフィンクスが最も好む被造物であると言われている。彼らはそれぞれ、始祖のスフィンクスの精神の中核を成す要素を体現する存在として作り出された。神にも等しい始祖スフィンクスにとって彼らは子供とも呼べる存在であり、両者はテレパシーによる絆で結ばれている。そのため、創始スフィンクスたちは模倣宇宙の何処にいようとも、創造主と意思疎通を図ることができる。
始祖スフィンクスはジェイスに次ぐ強大なテレパスであり、記憶を消去し、幻覚を作り出し、さらには都市ひとつを容易に精神支配するほどの力を有している。
熱意ある偽造者、ヴェンセール
人間、男性
多くの魔術師は自身の力を人々のために役立てる道を見出す。だが若きヴェンセールの目に、それは魅力的なものとしては映らなかった。彼は自身の魔力を、望む通りの人生を送る手段として利用した――悪名高きひとりの盗賊魔術師として。
自身と互角の相手に出会ったのは、ジョイラから盗みを働こうとした時のことだった。ふたりの才能は非常に相性が良く、それを認め合ったために争いはすぐに終わった。ヴェンセールの能力は、ジョイラの空賊団にとって非常に有益なものだった。ウェザーライト号から降下し、並みの盗賊には到底侵入不可能な宝物庫や博物館や金庫へと瞬間移動で入り込む。標的にとっては不幸なことに、ヴェンセールは決して並みの存在ではなかったのだ。
ジョイラ配下の乗組員として活躍する間に、ヴェンセールは遂に世界のための行いを成した――ウェザーライト号の空賊たちと共に、その力を用いて陰謀団の軍勢と戦ったのだ。
『リアリティ・フラクチャー』は2026年10月2日に全世界同時発売です。お近くのゲーム店やAmazon、楽天ブックス、その他マジック製品を取り扱う店舗で今すぐご予約いただけます。
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