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翻訳記事その他
『イニストラード:真紅の契り』の伝説たち
2021年11月12日
『イニストラード:真紅の契り』の出席者リストの入手に成功しました。じつに強烈な面々です! 馴染みの顔に新顔に、牙ありに牙なしに、人間に……スライムの怪物に。出席の顔ぶれを見ていきましょう。
新登場の伝説たち
翼の伝令、ドナール
アヴァシンの敬虔な信者であるドナールは、その裏切りと続く死から喪失感に苛まれた。彼はより深い意義を求めて巡礼の旅に出た。数か月後、とある森の空き地で夜を明かし、ドナールは響き渡る鳥の鳴き声に目を覚ました。目を開けると、彼は鳥に囲まれていた――生きた鳥と霊の鳥の両方に。アヴァシンの死以来初めて、彼は平穏を得た。以来彼は鳥とともに生きている。それらの音楽的な歌声は、彼が痛ましくも失ってしまったあらゆる霊的な支えをくれるのだ。
捜査員、ジェイコブ・ハーキン
ジェイコブ・ハーキンは常に詮索の心を忘れない。幽霊やその他の霊が、例え姿を隠していても見えるという神秘的な能力と合わさって、彼はイニストラードの奇怪な事件における雇われ調査員となっている。ジェイコブは若いうちに、特にネファリアの沿岸地域で名声を得ていた――少なくない謎を解明してのけただけでなく、むごたらしく死ぬことなくそれを成し遂げたために。
ジェイコブの物語はこちらで読むことができる。
コウモリ男爵、ティモサー
ティモサー・マルコフは残忍にして強大な吸血鬼であり、戦場を飾る最高の戦士のひとりでもある。そのティモサー・マルコフは今、苦難の時を過ごしている。かつての恋人が結婚するという知らせを耳にするのは辛いものだ、それも相手を諦めきれていないとあれば。確かにティモサーがオリヴィア・ヴォルダーレンと付き合っていたのはほんの数百年間に過ぎないが、彼は本気だった。結婚式に参列することは決してないが、招待状を受け取るのは嬉しいことだ――噂によれば、彼は親友にそう語っていたという。
蝕むもの、トクスリル
ネファリアに数ある教団の中でも、「トクスリルの寺院」と「グロルナクの落とし子」ほど古くから敵対しているものはない。グロルナク側がその神の化身を召喚すると思われた時、トクスリルの側は同様に、デーモンの血を注入したナメクジへと古の儀式を執り行った(そして巨大化魔法を幾らか唱えた)。その産物がトクスリル、超巨大な、凄まじい速度で増加する怪物である。それは創造された数秒後には寺院の半分をのみこんだ。残ったトクスリルの信奉者たちは、自分たちの創造物をグロルナクの落とし子の怪物に差し向ける時が来るのを今か今かと待ちわびている。
ヘンリカ・ダムナティ
ダムナティ家はデーモンと取引を行ってその強力な血を手に入れる吸血鬼の血統であり、その始祖がヘンリカだ。ダムナティ家が振るう魔法は吸血鬼にとっても危険であると主要な血統は考えており、遠い昔にはダムナティ家は幾度も大規模な粛清の対象となった。ヘンリカは生存者たちを今日まで率いて、真紅の復讐対象の一覧を大切に抱え続けている。オリヴィア・ヴォルダーレンはダムナティ家の魔法に興味を抱き、事を丸く収めるためにヘンリカを結婚式に招待した。オリヴィアの名がヘンリカの一覧にあるかどうかは不明である。
天使の拳、トーレンズ
ガヴォニーの平民の英雄、トーレンズ。だが彼は常に今のような美徳の模範であったわけではない。過去には聖戦士の地位を放棄してあさましくも逃亡し、貴重な魔法の武器を盗み出し、詭弁を駆使してガヴォニーとケッシグの長い距離を旅した。苛まれし預言者エルスを捕らえたものとの恐ろしい遭遇から、トーレンズは真の道を見出す機会を得た。今やイニストラードの貧しき農民の勇者として、トーレンズは人々を守るためにその太陽の鎚を振るい、人々が夜の恐怖から身を守れるよう訓練を施している。
トーレンズの物語はこちらで読むことができる。
雑食するもの、グロルナク
ネファリアに数ある教団において、「グロルナクの落とし子」と「トクスリルの寺院」の敵対関係ほど苦々しいものはない。落とし子は相手に先んじようと、旅の商人がギトラグの怪物の卵だと主張するものを手に入れた、彼らはその卵に、数世代に渡って受け継がれてきた秘術の儀式を執り行った。すると途方もなく巨大で粘液にまみれた蛙が孵化した。この怪物こそが真のグロルナクであると宣言し、落とし子は自分たちの「神」を溺愛することに身を捧げた。トクスリルの寺院にもその怪物がいると耳にすると、落とし子は最終決戦の準備を始めた。
復讐に燃えた犠牲者、ドロテア
ドロテアはオリヴィア・ヴォルダーレンが長年に渡って無慈悲に殺戮してきた無数の人間のひとり――そして今や、オリヴィアの婚礼衣装に囚われた多数の魂のひとつである。生前は熟達の呪術師であったドロテアは、血統の魔術を専門としている。もしもオリヴィアの衣装から解放されたなら、彼女は相当な実力の血魔術を振るって戦うだろう。偶然にも、オリヴィアの結婚式を襲撃した聖戦士の中には、彼女のひ孫がいるのだ……
略奪者、カンバー&陽動する者、ロリーン
カンバーとロリーンは全てを理解した上で盗みを行う。ロリーンが略奪先を偵察して陽動を担当する一方、カンバーが獲物を手に入れるのだ。しかしながら、ふたりは墓所の中で眠る数千歳の吸血鬼に対する釈明に失敗した。長年の相棒が、自分を喰らいたいという誘惑に負けてしまうかもしれないという厄介な考えをロリーンは振り払えずにいる。だがイニストラードの高名な墓荒し二人組を解散させるには、少々の吸血衝動では足りないようだ。
霊の報復者、ローダ&若年の霊、ティミン
一般的に霊は人間とあまり協力せず、聖戦士が幽霊の存在を大目に見ることも滅多にない。大患期のさまざまな戦いにて、ローダとティミンは偶然にも(そして繰り返し)互いの生命と死後の生命を救った。やがて別々でいるよりは協力した方が強いという結論にふたりは達し、イニストラードでも最高に奇妙なチームが誕生した。エムラクールが封印されても、その関係は続いている。ともにふたりは人間を助け、霊を助け、ティミンを殺した者を追跡しようとしている。
眠れぬ亡霊、ミレシント
大患期の後に残された霊の多くは復讐を強く望んでおり、ミレシントも例外ではない。生前の彼女はとある小さな町の市長であり衛兵隊長であった。イニストラードのさまざまな怪物によって家族全員を失い、ミレシントは近しい人々を失ったものたちの聖域を作りたいと願った。彼女の小さな町には治癒を学ぶ人々が集まり、中規模の都へと成長した。そして謎めいた悲劇がその都を地図から消し去った。
一人また一人、ミレシントと市民はそれぞれの未練を抱いて霊として蘇った。霊たちは死んでなお共同体意識を持ち続けた。ミレシントに率いられ、それぞれが求める復讐のために彼らはこの次元をともに旅した。彼らは自然災害のように幾つもの街に下り、霊の雲が街路に溢れ、腐敗した官僚や人間に紛れた狼男の死体を残して去って行くのだ。
ミレシントの物語はこちらで読むことができる。
恐怖の顕現、ウンブリス
ウルヴェンワルドを旅すると、イニストラードの銀の月の眩しい光は長い影を投げかける。極めてかすかに、ひょっとしたら視界の端に、ひとつの黒い霧が闇の間を跳ぶ姿が見えるかもしれない。それが近づいていると察するのは不可能だ。感じるのはデーモンの脅威だろうか? 月の中に眠る怪物の存在がもたらした恐怖だろうか? 小枝を踏み折る音、そして素早く振り向いた瞬間、歯と鉤爪でできた姿が君の影から立ち上がる……
再登場の伝説たち
スレイベンの守護者、サリア
大患期以前から、サリアの名高い経歴は広く知られていた。若き聖戦士ながら、彼女は「スレイベンの守護者」と称えられた。プレインズウォーカーのリリアナによってデーモンの解放を強要され、結果的に大天使アヴァシンをも解放した。腐敗した教会を捨て、聖トラフト騎士団を設立した。トラフト本人と肩を並べてエルドラージの侵略と戦った。彼女が非常に勇敢で才能ある女性だというのは疑いない。現在、彼女はスレイベンのかつての栄光を取り戻したいと願っている。その第一歩は? 見たところ無数のゾンビの群れを一掃することだ――けれどその前に、彼女はかつての師であるオドリックからの手紙に返信しなければならない。
サリアの物語はこちらで読むことができる。
ドーンハルトの殉教者、カティルダ
カティルダはドーンハルトの集会の指導者として、イニストラードに昼と夜の均衡を取り戻す活動を率いていた。アーリン・コードやその仲間のプレインズウォーカーたちとともに、彼女たちは月銀の鍵を入手して宇宙を正す儀式を開始した。だがオリヴィア・ヴォルダーレンとその吸血鬼の軍勢が乱入し、カティルダの霊魂を身体から切り離して月銀の鍵に捕らえてしまった。その中で、彼女は力を蓄えて絶好の機会を待っている……
先見的な縫い師、ゲラルフ
ゲラルフ・セカーニは才能ある縫い師であり、姉ギサとは永遠のライバル関係にある。彼に尋ねたならば、この状況のすべては自分にふさわしくなく、姉のあさましい行動にせめて報復してやっているだけだと答えることは想像に難くない。近年、ゲラルフは技を研鑽するために熟達の屍錬金術師であるルーデヴィックのもとで学んでいた。ルーデヴィックの研究室には紛れもない楽しみがあり、ゲラルフの技術は目覚ましい速度で進歩していった。
だが近頃ルーデヴィックは常軌を逸した行動に出るようになり、ゲラルフは師に構っていない。彼は自らの技術を進歩させることに集中している(姉を苦しめるために時折遠回りをしながら)。
結ばれた者、ハラナとアレイナ
ウルヴェンワルドの森は狼男や吸血鬼や憑き者といった、イニストラードでも最も恐るべき生物の棲処となっている。アレイナとハラナは仕事と人生の両方で結ばれており、旅人たちを近隣のガツタフの街へと安全に送り届けている。エムラクールの出現に伴い、ふたりは敵である狼男たちと一時的な同盟を組んだ。しかしながら永遠の夜が始まると、狼男との戦いは再開された。
面汚しの乙女、エインジー
吸血鬼の全血統の中でも、ファルケンラス家を支配するのが重要だとオリヴィアは認識している。彼らは戦場においては無慈悲かつ冷酷であり、ヴォルダーレン家とファルケンラス家が争ったなら、両陣営にとって受け入れがたい人数の死者が出るだろう。権勢を主張する政治的行動として、オリヴィアはエインジー・ファルケンラスを「花嫁付添人」に選んだ。
エインジーは古から生きており、その通りに賢明である。オリヴィアの付添人になるということが何を意味するのか、彼女ははっきりと認識をしており、それについて何もできないことを心から憤慨している。彼女は現在計画をまとめてはいるものの、「婚礼で目一杯の血を飲んでやる」以上のものは得られていない。
苛まれし預言者、エルス
狂人。呪われた者。デビルに苛まれている。デーモンと口をきく。近隣住民の手で湿気が多くみすぼらしい砦に閉じ込められる前、エルスはさまざまに呼ばれていた。お前の健康のため、お前の身を守るため、彼らはそう言っていた。そのため彼女は、世界がどのように終わりを迎えるかを語るのを止めた。彼らはエルスの見る夢が実際に現実となるのは気にせず、ただ彼女の予言が混乱と恐慌を振り撒くことだけを気にしたのだった。しかしながら、天使の拳トーレンズとの運命的な遭遇を経て、彼女は今やその砦に閉じ込められていた恐怖を世界に警告する勇気を得た……
エルスの物語はこちらで読むことができる。
ラトスタイン翁
イニストラードの超自然的な怪物と戦うには、特別な装備が必要だ。幽霊の横行とやり合うなら、狂暴な狼男と同じようにはいかない。そこでラトスタイン翁の出番だ。必要とする物があれば、彼は手に入れてくる――(彼いわく)どんな商人よりも適切な値段で。あらゆる形の、大きさの、素材の杭を揃えている。聖水が要る? 泉がひとつぶんある(いや、お前は行くことはできない)。詐欺師のような雰囲気を漂わせているかもしれないが、ラトスタイン翁は必ず必要なものを調達してくれる……大抵の場合は。
血に呪われた者、オドリック
熟練の戦術家オドリックは常にイニストラードの人類文明を守ってきた。若い頃の彼はアヴァシン教会にてガヴォニー騎手隊の司令官として仕えていた。オドリックが率いる聖戦士の軍勢は、司令官の不屈の意志に深い尊敬を抱いて追随した。教会の長である月皇ミケウスがスレイベン包囲にて死亡すると、オドリックは月皇の後任として設立された議会に加わった。教会の政治は好みではなかったが、人々を守るには自身の参加が不可欠だと彼は感じた。
イニストラードの軍事面での代表者として招かれたように見えたが、オドリックには議会における投票権が与えられなかった。その扱いについて調査すると、議会の同僚は実のところ悪魔信者たちであったと彼は発見した。幻滅したオドリックは首都を離れ、弟子のサリアが新たに設立した聖トラフト騎士団に加わった。それはオドリックがなおも持ち続ける古き価値観に献身していた。
だが、とある吸血鬼との衝撃的な遭遇がオドリックを変えてしまった。彼は残忍な衝動に抵抗し、人々の勇者であり続けられるのだろうか?
オドリックの物語はこちらで読むことができる。
流城のルノ
吸血鬼の主要血統のひとつ、流城家の始祖であるルノは、古の海と嵐の神に仕える高僧であった。彼の血統の吸血鬼は今なお、ネファリアに隆盛しつつある新たな教団に引き寄せられている。ルノ自身も時にネファリアの沿岸地帯において、狂える人間の教団員の隣で礼拝に参加している。永遠の夜が始まると、ルノはクロサスを召喚すべき時は近いと判断した。クラルマー自身よりも強大と言われる伝説のクラーケンを。
深遠の王、クロサス
古の恐るべきクラーケン、クロサスはネファリアの波の遥かな深淵にて眠りについている。多くの教団の信仰対象であるクロサスは純粋な破壊だけを求める。光を極めて嫌うため、クロサスは今まで浮上したいと思ったことはなかった。だが永遠の夜に焚きつけられ、流城のルノはクロサスを不浄させる謎めいた儀式を執り行った。昼がすぐに戻らない限り、イニストラードの全てはこの巨大で不格好な怪物の脅威にさらされるだろう。
魅せられた花婿、エドガー
エドガー・マルコフはイニストラードの全吸血鬼の始祖であり、ソリン・マルコフの祖父でもある。数千年前、エドガーの領地が飢饉に襲われた際、とあるデーモンが彼を説得して血から滋養を得るための手段を探させた。彼は天使を瀉血して人々が血を糧にできるようになる魔法を作り出し、その結果としての儀式が吸血鬼を創造した。エドガーは今日も存命だが、ほとんどの時間は歪んだマルコフの居城の地下深くで無気力な眠りについている。だがその棺は行方不明となり、オリヴィア・ヴォルダーレンは彼と自らの名で結婚式の招待状を送った。一体何が起こっているのだろうか?
真紅の花嫁、オリヴィア
ヴォルダーレン家の当主であるオリヴィアは、ソリン・マルコフの裏切りを決して忘れはしない。吸血鬼の捕食から人間を守る大天使、アヴァシンの創造を。彼が大患期の間に自らの創造物を破壊するよう迫られた際、オリヴィアは大いに喜んだ。だが今、シガルダや他の天使がアヴァシンの穴を埋めている。
夜が長くなる中、オリヴィアはイニストラードの権力を手にし、同時にソリンへと美味な復讐を行う好機と判断した。エドガー・マルコフを蘇らせて壮麗な婚礼を執り行い、自らの権力を確固たるものにする。エドガーはイニストラードの全吸血鬼の始祖であり、加えてソリンの祖父でもある。あのおせっかいなプレインズウォーカーたちが昼と夜の均衡を修復しようとしているが、それを止める方法さえあれば……
マウアーの太祖、ストレイファン
ストレイファン・マウアーは吸血鬼の一血統であるマウアーの始祖であり、ステンシアの辺境の谷を統べている。数千年前、人間であったストレイファンは父だけを敬愛していた。だが不慮の事故により父が死亡すると、ストレイファンは不死の秘密を解き明かすことに取り憑かれるようになった。この執念はやがて、エドガー・マルコフやオリヴィア・ヴォルダーレンといったイニストラードの最初の吸血鬼となる人々との協力へと繋がっていった。
限られた権力と「下位の」吸血鬼の領主という地位に不満を抱くストレイファンは、比類なき冷酷さで臣下の民を扱っている。過去にシガルダが介入を試みたが、ストレイファンは彼女の軍勢を追い払ってのけた。以来、天使たちは彼の領地に足を踏み入れず、その上を横切ることもしていない。ストレイファンがただひとつ怖れるのは、昔の家族の館である。父の死とともに見捨てられたそれは歪み、広間には恐ろしいものが取り憑いているのだ。
ストレイファンの物語はこちらで読むことができる。
(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)
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