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養育者、マーウィン

Quinn Murphy
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2018年4月6日

 

古き部族、新しき伝説

 エルフはマジックの中でも最も古い部族の1つです。エルフには長年にわたりさまざまなテーマが与えられてきましたが、ゲーム上では常に最も爆発力を持つ部族という位置づけが確立されています。主だった部族の力は、基本的に各クリーチャーがマナを生み出せるため、戦場に大量のエルフがいることで大量のコストを支払えるようになるというものです。これにより、巨大な何かを生み出して攻撃することで勝つか、極めて有利になる何かを唱えることができるでしょう。

 しかし『ドミナリア』は、これまでのマジック:ザ・ギャザリングと同じものばかりではありません。

 伝説について扱うのです。

 今日お話しする伝説のクリーチャーは、私が今まで見た中でも最もクールなエルフ・カードの1つでしょう。系統で言えば、《エルフの大ドルイド》、《ティタニアの僧侶》、それから……《教区の勇者》でしょうか。

 あらゆるものの母親にとっての助産婦であり、その誕生を見守るものなのです。

養育者、マーウィン

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 マーウィンはエルフを使う強力な動機付けを与えてくれます。エルフを戦場に出すたびに、彼女はパワーとタフネスを――そして能力で生み出せるマナを――1ずつ増やすのです。マーウィンがいる間に何体のエルフが出たかのみを数えるため、戦場にエルフが何体いるかをそのつど参照する《エルフの大ドルイド》や《ティタニアの僧侶》とは大きく違うと言えるでしょう。

 また、マーウィンは自分自身のみを強化しますが、《エルフの大ドルイド》は他の全てのエルフを強化します。自身のみを強化する能力は長所でもあり、短所でもあります。最も除去に狙われやすい立場ですが、除去されなければあっという間に手が付けられないほど大きくなるかもしれません。

 また、彼女の伝説という特殊タイプは、あまりに強すぎて制御不能にならないようにするためと言えるでしょう。マーウィンが複数並んだ戦場だなんて、考えられますか?

 これだけの制限下にあっても、私はマーウィンがとても強力で面白いカードだと思っています。彼女の能力は、一見してすぐに思いつくものよりも、さらに多くのものと関係しているのです。数多く存在する彼女との相乗効果をスタンダードで探してみましょう。

あらゆる相乗効果の母

 『ドミナリア』のエルフが私たちに何を与えてくれるのかを考慮する前でさえ、すでに多くの――正確に言えば21体のエルフが、スタンダードでマーウィンの指導を待ちわびています。そのすべてがマーウィン・デッキで完璧に機能するわけではありませんが、素晴らしく相性の良いものもいくつかあります。

 今のままではエルフ・デッキを作るには十分ではありませんが、『ドミナリア』によってきちんとこれが完成する機会を与えてくれるでしょう。

エネルギーの収集

 『カラデシュ』のエネルギーを生み出すエルフたちとともに使うことで、その「機構」コンボの爆発力と一貫性をより高められるので、「エネルギー・エルフ」デッキに《養育者、マーウィン》を採用できるかもしれません。

 機構コンボについて知らないのであれば、戦場に3種の機構すべてが並んでからの動きを紹介しておきます。

  • 自分がクリーチャーを出すと、《抽出機構》によりエネルギー・カウンター1個を得る。
  • 自分がエネルギーを得ると、《製造機構》により自分のクリーチャー1体に+1/+1カウンター1個を置く。
  • 自分のクリーチャーに+1/+1カウンターが置かれると、《活性機構》により1マナを支払って霊気装置・アーティファクト・クリーチャー・トークンを生成できる。それによって《抽出機構》によりエネルギー・カウンターを……

 このコンボはあっという間に手が付けられなくなるものですが、私たちは《削剥》の世界に生きているので、全てが存在していないときや、一部だけ出ている状態からも最大限の価値が得られるようなデッキを必要とします。しかし幸運にも、通常の局面での有用性を補うカードは存在します。それらの多くはエルフ、あるいはエルフに関連したものなのです。

 マーウィン自身は、機構コンボの各部分をそれぞれ最大化します。エルフを出すと、マーウィンは《製造機構》のように自身に+1/+1カウンターを置き、《活性機構》の能力をも誘発させるのです。そしてタップして大量のマナを出せるほどに大きくなれば、《活性機構》能力に支払えるマナをさらに用意して、コンボをより多く繰り返せるようになります。

呪文を唱えやすく

 《パンハモニコン》のカードテキストは実際のところ、「戦場に出た時の効果をとんでもないものにしてしまう」というものです。マーウィンと《パンハモニコン》が一緒に並んだ状況は、まともなものではないでしょう。エルフが1体出るたびに、パワー/タフネスとマナを生み出す力が倍の成長を遂げるのです。

 《勝者の戦旗》は、マーウィン(と、他のエルフ)の能力を軽く底上げするアーティファクトです。さらに重要なのが、多くのエルフを唱えて多くのカードを引くことで、さらなる「控え」を与えてくれるところでしょう。マーウィンは手札を使い切るに十分なマナを簡単に生み出せる類のカードなので、補充し続けられる手段は有用です。

 《養育者、マーウィン》と《光輝の勇者、ファートリ》は、すごいコンボになります。マーウィンのマナ能力は、置かれているカウンターの数ではなく、彼女自身のパワーに基づいてマナを生み出すことを忘れないでください! かなりの数のクリーチャーが並んでいる戦場にファートリを出せば、突然爆発的な量のマナが出ることになるでしょう。クリーチャーが4体いれば、ファートリの[-1]能力でこのプレインズウォーカーを出すのに必要なコスト以上のマナを生み出せます。その後は、そのマナを使ってさらにエルフを展開し、マーウィンを育てましょう。それにより、ファートリの能力もさらに強力になっていくのです。

 《ロナスの碑》とマーウィンがともにある時は、特に警戒が必要となります。この2つが出ているときにエルフを出すと、マーウィンは本来よりもさらにマナを出せるようになります。あらゆる緑のエルフはコストが1減り、その上、《ロナスの碑》の+2/+2とトランプルの恩恵をマーウィンに与えると、+1/+1カウンターと合わせて出せるマナを3マナ分増やすことにもなるのです。このマナを使えばより多くのエルフを展開できるでしょう。あるいは、この伝説の存在が圧倒的なサイズになるまでにそれほどの苦労はかからないため、そのままゲームに勝てるかもしれません。

順応する

 彼女はフレイバーテキストで「すべての者にとってのリーダー」であると書かれているのだから、というのが私の主張です。

 マーウィンと《秘儀での順応》の組み合わせは、さらなる準備が必要になることと引き換えに、さらなる爆発的反応力を与えます。

 この2枚が並べば、《秘密の備蓄品》、《スラムの巧技》、そして《饗宴への召集》といったカードによってマーウィンはさらに素早く大きくなれるのです。先ほどのエネルギー・デッキには含みませんでしたが、機構コンボに《秘儀での順応》を加えると、《活性機構》が生成する霊気装置がエルフになるため、実質的にコンボの成果は倍増するでしょう。

 ここで問題となるのは、クリーチャー・タイプの繋がりを生み出すことにしか使い道のないカードがデッキに必要となることです。私は、これは楽しくて夢が膨らむコンボだと思ったので紹介しましたが、実際に競争力のある戦術にはならないでしょうね。

新たな伝説

 私にとって《養育者、マーウィン》は、とても興奮するカードです。リニア・コンボは分かりやすく強力ですが、他にも数多くの――強さはともかく、楽しくて興味深いこと間違いなしの――相互作用が考えられます。しかし、これからどのようなデッキが上位に来るのかはわかりません。本当、何が活躍するか気になりますね!

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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