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プレインズウォーカーのための「テーロス」案内 その1
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プレインズウォーカーのための「テーロス」案内 その1
The Magic Creative Team / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2013年8月21日
この記事は第一エキスパンション名の元となった世界、テーロスを紹介する「プレインズウォーカーのための案内」、全三回の第一回である。
テーロスの次元
神々の気まぐれ、運命の英雄、壮大な旅、都市の城壁の向こうに広がる荒々しき自然、荒れ狂う海、文明の起源、神殿と全焼の捧げ物、重装歩兵と密集軍、ハイドラ、ゴルゴン、ミノタウルス、神聖と冒涜の祭礼と儀式、偉大なる思想家、啓蒙されし専制君主、森での饗宴、信仰の力――テーロスは神聖なる魔法と怪物の危険に満ちた、英雄が生まれ伝説が作られる次元である。
アート:Zack Stella |
ニクスの地
テーロスにて定命の者達が眠り、夢を見る時、彼らは「ニクスを訪れている」のだと言われている。それは夜の世界であり神々の故郷として知られる地である。従って、夢は神々からの贈り物とみなされている。神々が定命の者達の前に現れる時、その者はニクスそのものが「注入される」。神々の姿形に影がかかる所では、あたかも神々が昼と夜の世界を同時に手にしているかのように、代わりに夜空が目に見えるようになる。
アート:Sam Burley |
神々の魔法、エンチャント
神々それ自身が生けるエンチャントである。このため、あらゆるエンチャントは神々からの贈り物――神格の力によって魔法が独自の形を成したものであると考えられている。加えてニンフのような他のクリーチャーが、あらゆる神々へと通ずる夜空へ実際に「注入」された時、そのニンフはニクス生まれの神々のしもべであると示され、彼らは神々の命令によってのみ、定命の者達の住まう陽光の世界を訪れる。
アート:Volkan Baga |
テーロスの神々
数えきれない世代に渡る物語と信仰が、テーロスにおける最も重要な面を監督する神々の万神殿へと繋がってきた。
太陽の神、ヘリオッド
アート:Jamie Jones |
領域:ヘリオッドは法、正義、応報、血統の絆を司る。ヘリオッドは一族の名誉、道徳と美徳の問い、弁論、婚姻、他者を守る英雄的行動、暁の食事、そして自己犠牲といった物事を統括する。ヘリオッドの名はしばしば法的な議事録の一部として使用され、彼への生贄は偉大な助力が――もしくは厳格な正義が――必要とされる時に捧げられる。
特徴となる品:ヘリオッドは太陽の槍クルソーを手にしている。彼の力によって祝福され、天上からテーロスのいかなる所へも放つことができる。埋もれた伝説によれば、ヘリオッドはかつて存在した沿岸の大都市アリクスメテスへとクルソーを放ち、海に帰したという。
アート:Yeong-Hao Han |
性格:ヘリオッドは誇りと自信を放っている。彼の存在は空を光で満たし、生者達が星明りのニクスへと接触することを防いでいる。また彼自身も同じ、畏敬と光輝の圧倒的なオーラをまとっている。彼は陽気で社交的で、気軽に友人を作り絆を結ぶ。彼は自身をあらゆる者の盟友とみなしている。しかし他の者は、ヘリオッドの忠実さは変わりやすいことを知っている。今日のヘリオッドの最大の盟友が、明日には彼の天罰の対象となるかもしれない。
アート:Nils Hamm |
崇拝者:ヘリオッドは太陽の神であり、文字通りに世界に日の光をもたらしている。そのためテーロスのほぼあらゆる者が、彼に少なくとも建前上の感謝をしている。太陽神のきらめく瞳へ示す敬意として、毎朝、夜明けの最初の光の方角へと目配せをするという習慣を持つ家庭もある。ヘリオッドを献身的に崇拝している者たちは主に人間と、毎月最初の快晴の朝にヘリオッドを祝福するラゴンナ団のケンタウルス達である。太陽へと礼拝をするため、ヘリオッドの神殿の多くは屋上庭園へと続く階段を特色としている。ヘリオッドに関係する最大の祝日は夏至であり、厳かに行われる饗宴、婚礼、忠節の誓いなどで三日間に渡って祝われる。
海神タッサ
アート:Jason Chan |
領域:タッサは海の神であり、水棲生物達と海の深みの秘密をも統括している。だが彼女はまた古の知識、噂、緩やかな変化、内省、途方もない距離、長い航海、遠方への調査といったものの神でもある。タッサは潮の干満、潮流、さざ波、更には時の流れといった、繰り返される様式の神とみなされることもある。
特徴となる品:タッサは二叉槍デケーラを手にしている。彼女はデケーラを振るうことによって潮汐を操り、海に渦潮を起こす。伝説によれば、ある生者の船乗りがかつてデケーラを盗み出し、敵の船団を滅ぼすために使用した。タッサは彼の一族全員をウナギに変えてしまうことによってその者を罰したという。
アート:Yeong-Hao Han |
性格:タッサは現状に満足することのない神だが、同時に変化を急ぐこともない。彼女は常に土地を再成形し、海岸線を変化させ、制度をひっくり返そうと励んでいる。緩やかにやがて起こる、発展的な変化のために。
彼女は口を開く時は、しばしば未来形を用いて、常に「明日何がもたらされるか」に言及し、今日の現実には決して興味を示さない。タッサはなかなか怒ることはないが、一度激昂したなら鎮めることはできない。彼女の怒りは鳴動し、荒れ狂って止められない波のように増大し、村々をまるごと押し流す――そして潮流とともに静まり、彼女の怒りの形跡を穏やかに海へと持ち去る。
アート:Clint Cearley |
崇拝者:トリトンとメレティスの人間達がタッサ崇拝者の大半であるが、探検や貿易、はたまた戦のために海へと出て行く者達もまた同様にタッサを崇拝している。トリトンは彼女を他の神々の上に立つ存在であると賛美するものの、タッサは彼らへと何の偏愛も見せず、見たところあらゆる定命の者達へと平等に無関心を見せている。貧者達は魚や塩の提供者として、裕福な者達は真珠や真珠貝の提供者として彼女を崇拝している、あらゆる者がつぶやく祈りと静かな瞑想とともに。
死の国の神エレボス
アート:Peter Mohrbacher |
太陽の神ヘリオッドを最初の陽光が照らした時、最初の影が投げかけられた。ヘリオッドはそれを見て怖れ、世界を取り巻くと言われテーロスとその死の国との間を隔てる五本の大河の彼方へと消し去った。その影は死の神エレボスとなった。やがてエレボスは自身の役割を受け入れ、ヘリオッドが自分を消し去ったことを知りながらも、常に太陽神の背後に立ち続けている。
領域:エレボスは死と死の国を統べるが、彼の務めはそれだけではない。自身の起源ゆえに彼はまた不運、不吉な運命、不本意、嫉妬、苦しみの神でもある。そして黄金がありふれていて価値を持たない死の国の王であるために、彼はまた富の神でもある。
エレボスは他の神々よりもニクスとの繋がりが強いように思われるかもしれないが、それは真実ではない。エレボスの領地には太陽も夜もない。
特徴となる品:エレボスはマスティクスを手にしている。黄金の柄をもち、果てしなく伸びる細い影のような途方もない長さの鞭である。彼は必要とあらばその鞭を用いて苦痛を負わせるが、より頻繁な使用法は渋る死者を絡めて彼の領域へと引き込む――もしくは引き戻す――ことである。
アート:Yeong-Hao Han |
性格:エレボスは死の国の力ある守り手であり王である。彼は憐れみを持たないわけではないが、その憐れみは他者の感情を彼自身が代理となって感じてやることに限られている。そして彼が自身の運命を受け入れていることから、彼の臣下である死者達もまた、彼ら自身の運命を受け入れねばならない。彼は日が差す生者達の世界をぼんやりと羨んでいるが、それはあくまで夢想のような感情に過ぎない。彼は、あらゆる生者の魂がいずれは自分のもとに加わることを知っており、そのためある種の満足と確信を抱いている。他者が苦しむ時、それはエレボスに平穏をもたらす。だが彼は喜びはしない。何故ならその疎外感と追放こそが彼自身を存在たらしめているために。
アート:Dan Scott |
崇拝者:死の国の神は性質の異なる三種類の生者達に崇拝されている。死を賛美する者達、富を羨む者達、自身の運命を受け入れようと祈る者達である。最初の集団は最小の勢力ながら最も危険な存在である。彼らはヘリオッドとその影の間に対立を引き起こそうとしている。二番目の集団は最大の勢力である。死者は俗世の富を残していくため、エレボスは彼の領域の豊穣な(彼にとっては美しいが価値のない)黄金と同様に、富と関連づけて考えられる。最後の集団はエレボスの心に最も近しい――追放されながらも、その運命とともに平穏を追い求める者達である。
鍛冶の神パーフォロス
アート:Eric Deschamps |
領域:パーフォロスは鍛冶、静まらぬ大地、そして炎の神である。彼は知性ある生き物の魂を満たす熱とエネルギーの、荒々しい創造力を統べる。彼のエネルギーは混沌として現れ、動力となり、労働と情熱によって形を成す。それゆえにパーフォロスはまた職人や執念の、そして創造と破壊の循環を司る神でもある。
特徴となる品:パーフォロスは巨大な鎚アクモンを所持している。その鎚頭はどこか金床に近い形となっている。アクモンの一撃は大地を溶かし、金属を叩いたならその火花は新たなエンチャントとなり、火花の幾つかには生命さえも宿るという。
アート:Yeong-Hao Han |
性格:パーフォロスの存在下に座すことは、霊感を与えられることである。彼は炎へと放り投げて新たに作り直すだけで、最も華麗で繊細なものを創り出す。彼は合理的ではあるが、究極的には自身の創造と破壊の衝動を守るため、どのような規則にも従うことはない。このことは時折、彼が一つの地域をそっくり溶岩で覆い、何か新たなものへの道を開けることを意味する。彼の主な欠点は、限界と強制に対する欲求不満である。彼は生者達に更なる表現力があることを感じ取り、その創造力の限界を永遠に押し広げ続けている。これは時折彼を激しく落胆させることになり、そして彼は世界を荒々しい破壊で打ちすえる。
アート:Mathias Kollros |
崇拝者:鍛冶の神にして青銅の秘密をテーロスへともたらしたパーフォロスを崇拝する者達は、かつて創造された何よりも頑丈な物体や武装を追い求めている。そしてパーフォロスの最も神聖なるシャーマン達だけが、パーフォロスの炉からもたらされたと言われる新たな金属、「鉄」を僅かに所持している。だが彼を崇拝するのは鍛冶屋だけではない。特に人間とサテュロスの芸術家は彼の助力を求め、火山の祭壇へと山道を登り、創造性の蒸気を深く吸いこむ。戦士達はかがり火を点す時、彼へと敬意を捧げる。陶工たちは彼を称える印を作品へと刻む。
狩猟の神ナイレア
アート:Chris Rahn |
領域:ナイレアは狩猟、季節、そして森の神である。狩猟を司ることから、彼女はまた捕食と飢えにも関連づけられている。季節を支配していることから、彼女はまた変質や再生の神でもある。ナイレアは彼女の住まう木立の中心、蛹の中で眠りながら力と平穏を支えている。
特徴となる品:ナイレアはテーロス最高の射手であり、彼女はエフィクシスと呼ばれる短弓を所持している。彼女の友であるニンフのテオフィラは、狙いを定める鍛錬のために蛍や極小の蚕といったような幻影を呼び出す。ナイレアは捕食を咎めはしないが、娯楽のための狩りをひどく嫌っている。彼女の動物を狩るために彼女に祝福を求めずにニストスの森へ入り込んだ密猟者を、彼女は手ずから殺す。
アート:Yeong-Hao Han |
性格:ナイレアは普段よそよそしく用心深いが、友人達へは陽気で楽しい姿を見せる。彼女は獰猛で動物的な一面を持ち、動物達の安息所である森の護り手という義務を負い、人間達が彼女の領域へと勢力を広げることを防ぎ、手つかずの自然を守っている。何者かがナイレアの領域を侵したならば彼女は直ちに怒り、報復する。季節は彼女の気まぐれで変化し、怒れる時はその変化を遅らせる。彼女はパーフォロスと同盟を結んでおり、浄化が必要とあらば、もしくは人間達が野生の遥か深みまで侵入してきた時は、森に炎を放つことも厭わない。
ナイレアは暖炉の神ケイラメトラと不穏な関係にある。ケイラメトラはナイレアの季節への干渉に激怒し、同様にナイレアは農業は世界の自然のサイクルの逸脱であるとみなして嫌っている。
アート:Mathias Kollros |
崇拝者:ナイレアを称えるための神殿は存在しない。彼女は概して神殿や都市といった建築を嫌っている。あらゆる種類のニンフ達が彼女へと敬意を払っている。サテュロスやケンタウルスといった人間以外の知的生物や、セテッサの多くの市民も同様である。彼女の聖地はしばしば蝶の群れに囲まれた一本の木からなる。それらの木々の一本を見かけたなら、彼女がそばにいる証拠だと言われている。人間のうち彼女に従う者は一匹狼、追放者、そして原野に生きることを選んだ人々が多い。都市生活者達の中にも彼女を称え、特に季節が正しい時節に変化することを祈って森へと赴く者がいる。ナイレアは生贄を嫌っており、機嫌をとるのが難しいことでも悪名高い。
捧げ物次第で、崇拝者達はナイレアの祝福を簡単に勝ち取り、また同じくらい簡単に彼女を怒らせてしまう。彼女は家畜であろうと野生であろうと、生物へのいたわりと保護的な行動を見ることを喜ぶ。
第二回では、我々は主要な三都市国家への旅に出るつもりだ――メレティス、アクロス、セテッサ。それまで、テーロスを楽しんでくれ!
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