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コラム

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あなたの街のティーチングマイスター 第4回:アノアデザイン(大阪府) 堀川優一さん

瀬尾 亜沙子
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 「ティーチングマイスター」とは、初心者にマジックを教える認定資格を持つ人のこと。ティーチングマイスターが教えるマジック体験会「多元宇宙への招待状」の開催を記念し、全国各地にいるティーチングマイスターの紹介インタビューをシリーズで掲載していきます。

 第4回は、マジックの公式漫画や大会の写真記事などでもおなじみのこの方です。

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 堀川店長(右)、お店の立ち上げ時から一緒にやってきた水鳥あひるさん(左)、そして看板犬のウルザ君と一緒に。水鳥さんとのコンビは、毎週公式Twitterで掲載されているマジックの4コマ漫画の原作&作画担当や、先日単行本が発売した「マンガで分かる!Magic Story」の脚本&作画担当としてもおなじみです。
 

小学生時代からティーチング

――マジックとの出会いはいつですか?

堀川:小学生のころはファミコンブームだったので、個人経営の小さいゲーム屋さんが、地元のこのへんにいっぱいあったんです。そこにマジックのすごく古いカードが飾ってあって。もともと僕、小さい時に「ドラゴンハート」という映画を見て以来、西洋の騎士とか、ファンタジーが大好きだったんですよ。だから、「このカードは“ファンタジー”だ! かっこいい!」ってビビッときたんですけど、「全部英語だから無理や、できへん」と。そしたら『第4版』で日本語版が出たので、おこづかいをはたいてスターターデッキ*を買ったのが最初です。

*ランダムなカードと規定数の基本土地、計60枚が封入されたかつての製品。『第6版』以降は「トーナメントパック」となり枚数も75枚となった。

――超初期! でもスターターデッキに入ってるのはランダムなカード60枚だから、それだけじゃゲームはできないですね。

堀川:喜んで持って帰って開けて、「これだけじゃダメだ」と気づくわけです(笑)。それで、弟にもう1個買わせて、色ごとに半々に分けてデッキを作りました。

――なるほど、がんばりましたね。

堀川:中学校では、ほかの子供向けカードゲームが大流行するんですけど、そこで「マジックってゲームがあるんだよ」って教えて、はやらせました。今とやってることあんま変わらんのですけど、みんなに《稲妻》をあげたり、ルール教えたりして。

――あえてマジックをはやらせたのはどうして?

堀川:マジックのゲーム性が気に入ってて、「相手のターンに行動できないカードゲームなんて、おもしろくない」と(笑)。それにファンタジーの雰囲気とか、フレーバーテキストもめっちゃ好きだったんですよ。たとえば《ルアゴイフ》のフレーバーテキストとか、すごく印象に残ってますね。あと《ゴブリンの長槍使い》とか、《ゴブリンの王》とかもアホっぽさが好きで、それでゴブリンデッキ使ってました。

 

マジックができる場所が欲しくて

堀川:高校受験でいったん途切れて、復帰するのは2014年夏、『タルキール覇王譚』のちょっと前です。たまたま「DARK SOULS(ダークソウル)」というゲームを見てたら、マジックの世界観みたいだなと。

――「DARK SOULS」の宮崎プロデューサーは、元マジックプレイヤーだそうですよ。

堀川:あ、そうなんですか。だからか。それで、「そういえばマジックって今どうなってんやろ?」とふと調べたら、ちょうどその翌週にグランプリ神戸があると。

――ナイスタイミング!

堀川:ティーチングに行ったらデッキがもらえるらしいとわかって、じゃあまずそれに行こうということで、大阪の日本橋にティーチングを受けに行ったんです。そしたら「《シヴ山のドラゴン》がタダでもらえた!」ってびっくりして。

――ティーチングでもらえるデッキに入ってるんですね。

堀川:そう、あのころの憧れのカードがデッキに入ってる! しかも“シヴやま”だと思ってたら“シヴさん”だった! って二度びっくり(笑)。

堀川:そのあと友達2人と、水鳥さんと合計4人でグランプリ神戸に行って、そこからマジックを再開しました。

――なるほど。そこから、このお店にはどうつながるんでしょう。

堀川:しばらくFNM(フライデー・ナイト・マジック)とかに出てたんですが、その頃はこのへんにマジックを遊べる場所がなかったんで、ここから車で1時間くらいの場所に通ってたんです。そしたら、そこで出会ったプレイヤー3人が、うちの近所に住んでることがわかって。当時ってFNMは8人いないと成立しない仕組みだったんですけど、我々は4人いるので、「あと1人いれば、わざわざ往復2時間かけて出向かなくても、近所でFNMが開けるやん!」と。
で、その前から今の店の場所をギャラリー兼デザイン事務所として借りてたんですけど、片隅に席をちょっと作って、毎週金曜にFNMをやるための場所にした、というのがスタートです。

――場所もあるし、マジックやる人も7人いるし、ちょうどいいと。そうするとお店ができたのっていつごろですか?

堀川:最初に開いたプレリリースイベントが『運命再編』のときだから、2014年末くらいですね。
その後、けっこう人が来るようになって、お店を毎日開けるようになって、お客さんから要望があったので、競技イベントができるように席数も増やして……と、どんどんマジックの割合が増えていった感じです。もともとは「マジックをやりたいけどやる場所がない人のための隠れたオアシス」くらいのつもりだったんですが、いつの間にか。

――堀川さんは、お店をやりながらマジックを遊んでる感じですか?

堀川:僕がマジックやりたくて店やってるので、僕がマジックできなくなったら店は閉める、くらいの感じです(笑)。

――特に好きなフォーマットは?

堀川:スタンダードが一番好きです。なんていうか、スタンダードありきで新セットが出るので、一番調整されているフォーマットだと思うんですよね。
これは僕の持論ですけど、店のFNMくらいだったら、好きなカードを中心に組んだデッキで勝とうと思えば勝てるんですよ。ほかのお客さんの顔ぶれを見て、対策カードをサイドボードに入れといたりして(笑)。使いたいカードを使ってちゃんとデッキになるのが、スタンダードの最大の魅力だと思ってます。

――最近お気に入りのデッキなどはありますか?

堀川:実は僕自身は、全然デッキ作れないんですよ。毎回、パック開けて出てきたレアカードから、それが使われてる強いデッキをネットで調べて作ってます。同じデッキを回しながら、少しずつ調整するのが好きです。

――そうなんですね。

堀川:だからこそ、FNMとかで自分が思いつかないようなユニークなデッキと対戦するのが楽しいんですよ。いわゆるトーナメントデッキを使ってても、そういうデッキに負けますし。
あと、がちがちのトーナメントデッキを使う人がうちの店は少ないので、逆に自分が練習台になろう、という意図もあります。そうすると、やっぱり最初は僕が勝つんですけど、やってくうちにどんなデッキの人とも勝ったり負けたりになっていきますね。うちのお客さんがよそのお店の大会に出かけようってなったときに、そっちのお店にいるトップメタデッキに勝てるようになっててほしいですから。

――練習台にもなるし、自分としてもそういうデッキを回すのが楽しいということなら、一挙両得ですね。

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ティーチングと番人

――ティーチングマイスターの資格を取ったのはいつですか?

堀川:2019年の夏です。ティーチングマイスターの制度が始まったとき、前々から初心者の人に教えたりはしてたので、どうせ教えるんなら取っておこうと思って。ただ当時は別の仕事もあって忙しかったので、先に水鳥さんが取って、水鳥さんが店にいないときもあるので自分もそのあと取りました。

――ただこの時期だと、しばらくしてコロナの時期に入ってしまいますよね。

堀川:FNMは少しずつやってました。当時は半分くらいの人がオンラインで参加してたんです。ビデオカメラとDiscordを使って、お店にいる人と家にいる人が対戦できるようにして。

――そういう工夫をしながら、イベントを続けて来られたんですね。

堀川:はい。で、うちのお店はFNMの前にティーチングのイベントがあるんです。なのでその時期も、時々はティーチングやってました。

――ティーチングに来るのって、どういう方なんでしうょうか?

堀川:MTGアリーナの前は、ほかのカードゲームをやってたり、放送を見たりして、「ここに来ればマジックがタダで教われると聞いて……」みたいな人が何人かで連れ立って来るパターンが多かったんですが、MTGアリーナ後はアリーナをやっていて紙も始めたい、という人が1人で来ることが多いです。

――昔は「興味がわく→お店に来る」だったのが、「興味がわく→MTGアリーナをやる→お店に来る」って流れに変わったんですかね。

堀川:そうですね。だから教えるのはむちゃラクで、あとはMTGアリーナと紙はどう違うか、とかの話になります。「飛行持ちのクリーチャーはフワフワしてませんよ」とか、「誘発を忘れないように注意しましょう」とか。あと、「土地をタップするときはちゃんと横にしましょうね」とか。MTGアリーナみたいに、ちょこっとだけ傾ける人いるんで(笑)。

――ティーチングをやってよかったことは何ですか?

堀川:ティーチングを受けたあとでFNMに出に来てくれる方って、やっぱり最初はなかなか勝てないんですよ。でもだんだんわかってきて、「がんばってFNMを3-0しました!」みたいな報告を聞くときが、一番うれしいですね。マジックって、そこから先の道もすごいありますけど、FNM 3-0っていう目標だけでも全然いいと思うんです。

――成長してひとつのゴールにたどり着いてくれたら、その過程がうれしいと。そういうときって、堀川さんが直接コーチになって指導するわけではなくて、後ろから応援してる感じなんですか?

堀川:僕はFNMに出て、「お前の3-0は俺が止める!」って、番人になって倒してます(笑)。で、僕が負けたら「よくやった、成長したな!」って。番人なんで、強いデッキを使うようにしてるっていうのもありますね。
 

ティーチングは出得

――いよいよコロナも空けて、ティーチングへの意気込みをお聞かせください。

堀川:マジックって年齢・性別・国籍関係なく誰でも楽しめるもので、紙のマジックって、そういういろんな人と顔を合わせて対戦する部分がやっぱり一番おもしろいので……その世界に多くの人を招待できたらと思います!

――ティーチングを受けたいと思ったら、どうすればいいですか?

堀川:基本的に毎週金曜日の18時半からティーチングやってますんで、そこに来てもらうのが一番いいですけど、それ以外でも手が空いてたらできます。
ティーチングを30分から1時間くらいやって、そのあと20時からFNMなので、「時間が合えばやってる様子を見学してってください」と伝えてます。こんな感じの人たちがこんなふうにやってるんだなというのがわかれば、次も参加しやすいかなと。

――なるほど、それはいいですね。それでは最後に、ティーチングに行ってみたいと思っている人へのメッセージをお願いします。

堀川:まず、出得です。無料でデッキとかもらえるので。そしてマジックは、簡単です。ちょっと難しいイメージがありますけど、なんとなくプレイしてもちゃんと遊べるのが、マジックの素晴らしいところです。もちろん厳密に言ったら複雑な要素もありますけどね。いろいろ動画見たりするのもいいんですけど、とにかくやってみるのが一番早くてわかりやすいと思います。

――その通りですね。今日はありがとうございました。

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シアトルでマロー(マーク・ローズウォーターさん)にもらったサインもレジ前に飾っています。


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アノアデザイン
住所:大阪府和泉市府中町1-9-1 2F
電話番号:0725-24-3548
店舗サイト:http://mtg.anoad.com/

「アノアデザイン」は由緒ある商店街の近所にあり、もともとはギャラリーにしようとしていた名残で堀川さん自身の絵画などが飾られ、楽しい雰囲気のお店です。


ティーチングマイスターによる初心者講習会
「多元宇宙への招待状」 2023年9月3日~10月29日開催!

詳細はこちらから。

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