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『戦乱のゼンディカー』みんなが選ぶトップ3!

『戦乱のゼンディカー』みんなが選ぶトップ3!

by 金子 真実(WotC 日本コミュニティ担当)

 皆さんこんにちは!

 夏も終わり、一気に涼しさが押し寄せてきましたね! もう完全に秋模様! そして秋といえば、読書の秋、食欲の秋、マジックの秋ですよ! そう、期待の新セット、『戦乱のゼンディカー』が10月2日に発売されます!

 「PAX Prime」にて多くの情報が公開され、発売を心待ちにしていた方も多いのではないでしょうか? 私も正直、ドラフトがしたくてウズウズしております......!

 エルドラージが跋扈する世界、ゼンディカー。その世界を救うべく、あの男が立ち上がるっ!ということでなんだかとても映画や漫画みたいな展開ですが、実際このキーアートもほんと映画っぽいですよね。

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 そんなストーリーは、この公式サイトで掲載している翻訳記事「Uncharted Realms」を読むのがオススメですよ!

 さて、このままひたすらストーリーについて語り続けても私は一向にかまわんッ!のですが、この記事タイトルでそれだとちょっと怒られてしまいそうです。そろそろ本編に進みましょう。今回もまた、あの3人に期待のカードをピックアップしてもらいました!


鍛冶 友浩の場合

 通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。

 主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。

 最近はプロツアーでのニコニコ生放送の実況や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。

1位 《白日の下に

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 今回、私が注目度No.1に選んだのは、新キーワード「収斂」を持った多色のソーサリー呪文、《白日の下に》です。この呪文は、クリーチャー、インスタント、ソーサリーをライブラリーから探し出して、そのまま唱えることができるのですが、その選択肢を増やすためには十分な種類の色マナが必要になってきます。普通はこれを用意するのが難しいはずですが、『戦乱のゼンディカー』も加わり、安定して供給できそうです。

 直前の世界選手権2015でも猛威をふるったアブザンの《包囲サイ》や《衰滅》も、「収斂」で4色以上の色マナを注げばライブラリーからサーチしつつ唱えられるのですが、例えば《溢れかえる岸辺》から《梢の眺望》と《窪み渓谷》という白緑/青黒のオプションを入れて4色を揃えるなんてのはどうでしょうか。

 またサーチといえば、古くから「シルバーバレット」と呼ばれる「デッキに1枚だけのキーカードを見つけ出し唱える」という戦略もありましたが、これなら難しいことは考えなくても大丈夫ですね。

2位 《絶え間ない飢餓、ウラモグ

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 さすがにゼンディカーを貪り食っているエルドラージなだけはありますね!

 初出の《無限に廻るもの、ウラモグ》は今もモダン環境で現役活躍中ですが、今回のカードは滅殺と墓地に落ちた時にライブラリーに戻る能力を失ったものの、唱えた時に対処できるパーマネントが2つに変更されました。唱えただけで十分に仕事をしてくれるのと、コストが1マナ軽くなったこともあり、スタンダードや特にモダンでは使われる可能性はより高まったのではと思っています。

 彼のために《魔道士輪の魔力網》でちまちま貯蔵カウンターを貯めるのも楽しそうですが、他の多色カードや土地が強力なため、そういった環境にはならなさそうで残念です。目を細めると《スフィンクスの啓示》に見えなくもない《ニッサの復興》も、こういった重くて強力なカードのバックアップとしては良い選択になるかもしれません。しかし、なぜこうエルドラージはデッキ構築欲をそそるのでしょうか、一見10マナ10/10というマジックらしからぬサイズのクリーチャーだからか、わくわくしてきました!

3位 《乱脈な気孔

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 いつか登場するだろうと言われ続けてきた、対抗色マナを出せるミシュラランド(クリーチャー化できる土地)がついに登場!『テーロス』ブロックにあった占術土地サイクルがなくなるタイミングでこれは嬉しいです。《乱脈な気孔》は絆魂を持っているため、特に長期戦希望のデッキにはぴったりでしょう。《思考囲い》と入れ違いなのが少し惜しいですが、活躍しそうなカードの中に《苦い真理》や《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》というライフを支払うものもあるので、トーナメントでは間違いなく見かけるでしょう。

 ちなみに、覚醒カードを回収できる《ハリマーの潮呼び》の2番目の能力で飛行を持ったりも。このカードのコスト対効果の高さにも注目しています。こういった土地は5つのサイクルで収録されそうなものですが、今セットで一緒に登場したのは《伐採地の滝》のみ。次回の『ゲートウォッチの誓い』に分割収録されるとマローが発表しています。「Zendikar Expeditions」の残りの20枚も気になるし......というのはちょっと気が早い話ですね。

『戦乱のゼンディカー』総評

 セット全体に、数多くの選択肢やシナジーが散りばめられており、リミテッド・構築ともに期待大です。『タルキール覇王譚』のフェッチランド5種に、この『戦乱のゼンディカー』のデュアルランド5種があれば、モダンと同様とはいかないまでも、とても自由度の高いデッキ構築が可能です。そこに、色マナを注いだ分だけ効果の変わる「収斂」やエルドラージという少しクセのあるカードをどうすれば使いこなせるのかなど、考えることが多くとても楽しみにしています。

 また、リミテッドについてはランキングでは触れませんでしたが、『マジック・オリジン』に比べ土地を置く、伸ばすことに意味を持たせるカードが多くあります。前セットからの「上陸」に加え、「覚醒」もその1つですが、土地がクリーチャー化するというコンセプトが面白いですね。他にも気になっているのが、エルドラージ・末裔・トークンが1/1になり、パワーを持ったこと。これによって、トークンの存在感が増し、マナにしてしまうのがもったいなく感じるのではないでしょうか。『エルドラージ覚醒』はリミテッドは自分の中で歴代トップ3に入るくらい面白いと感じた環境でしたが、今回はどうなるのでしょうか。発売が待ち遠しいです!


射場本 正巳の場合

 通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。

 彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。

1位 《絶え間ない飢餓、ウラモグ

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 エルドラージ3神のうち1体が帰ってきた!! このセットの顔とも言えるウラモグは、今回のエルドラージのテーマである追放領域にカードを送り込むことに長けている。相手の追放領域に触れるようになったことで、《忘却の輪》などで一時的に追放していたカードも処理できるようになるだけでなく、「秘匿」土地や待機で追放されているカードまで幅広く対処できるようになったことは大きい。しかし追放してるのに触れちゃうって何なんだろうと疑問がわかなくもないが、きっとこれもあらゆる次元を貪り食うエルドラージならではなんだろう。

 で、当のウラモグだが、追放領域のカードをあれこれいじくるのは手下に任せ、自身はただひたすらにモグモグデッキを食べる。単純にモグモグするだけでゲームを終わらせる力があるのはやはり神のなせる業だ。以前に比べデッキ回復ができなくなってしまったのは残念だけど、コストが1マナ軽くなって、召喚してすぐに何かしてくれるようになったのはうれしい。どうせデッキに戻らないなら、いっそ統率者として使ってしまっても面白いんじゃないか? これだけ無色のカードが増えてきたなら、アーティファクトだけに頼らなくてもある程度カードが揃うだろうし、この先、もしも他のエルドラージ2体が帰ってきたらもっといろいろできるようになるだろう。今後のデッキ構築に期待の高まる1枚だ!!

2位 《エメリアの番人

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 今回のセットは上陸に同盟者と前回の『ゼンディカー』のテイストをそのまま引き継ぎながら、ちょっとだけひねりを加えることで時代の変化を表している。この《エメリアの番人》もそんな上陸の変種を持つ一人。あの《空の遺跡、エメリア》を番するだけあって、《平地》が上陸すると土地以外のパーマネントを墓地から直接戦場に出せる!もう響きがすでに強力。もちろん《真面目な身代わり》など《平地》を戦場に出せる土地以外のパーマネントがあれば連鎖も可能だ。

 これに生け贄手段を追加するだけでデッキの《平地》をすべて出し切ることも可能。さらに複数の《平地》と《領土を滅ぼすもの》を使えば、墓地のパーマネント出し放題な上に無限ループも作れる。これはわくわくする。本来の《空の遺跡、エメリア》と違いクリーチャー以外も釣れるとあってさまざまなコンボが考えられそうである。しかし番人なのに本拠地エメリアを出せないのはちょっと残念。《太陽のタイタン》などを経由してなんとかエメリア連合軍を勢ぞろいさせたいものだ。

3位 《マラキールの解放者、ドラーナ

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 久しぶりにゼンディカーに来てみたら、ドラーナはいつの間にかシャーマンを捨てて同盟者になってしまっていた。今回《墓所からの行進》のような同盟者サポートが増えているのでうれしい変更といえるだろう。過去のセットと今回のセットをあわせ、同盟者の数も揃ってきたのでいよいよ同盟者デッキも強化された感がある。同盟者統率者を使っている同僚は歓喜するに違いない。そしてシャーマンから同盟者になったことでなのか、テクニカルな除去能力はなくなり、ひたすら殴れといわんばかりのゴリ押し能力が追加された。コスト対効果で単純にハイスペックなクリーチャーというだけでなく、3マナであることでタイニー・リーダーズの統率者としても活躍が期待できる。これは大きい。さすがにタイニーでは同盟者は組めないが、吸血鬼は粒ぞろいだ。単色なこともあり、タイニー・リーダーズ入門としては組みやすそうな感じなので一度作ってみてはいかがだろうか?

『戦乱のゼンディカー』総評

 帰ってきたぞゼンディカー!!!ゼンディカーと言えば土地!「Zendikar Expeditions」の発表でも盛り上がってたけど、セット内にも新しい2色土地やクリーチャー化する土地など、さまざまな土地がちりばめられている。基本でない土地が22種もあるセットなんてそうそうお目にかかれない。そして何よりうれしいのがフルアートの基本土地が戻ってきたこと! 特にフォイルが美しく、前回の『ゼンディカー』では集め切れなかったので今回はがんばりたいところだ。

 そして土地関連の能力が多いのもうれしいところ。新キーワードの覚醒は土地がクリーチャー化するおまけつきなので単純に使いやすい。また、上陸を意識して《荒廃した森林》など土地を出すカードを増やしているのもグッジョブ。個人的に単純にドカンと土地が増えてでっかいクリーチャーが出せたら幸せなので大歓迎だ。中でも一推しは《忘却蒔き》。そのまま使えば+1~2マナといったところだけど、《悪夢の織り手、アショク》とか《パララクスの潮流》などと一緒に使えばウハウハ。《虚空の力線》とか張っておいて、フェッチランドを奪ってまた追放とかるするとお得感さらにUPだ。


浅原 晃の場合

 通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。

 デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。独自の視点から、セットに切り込む。

1位 《絶え間ない飢餓、ウラモグ

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 唱えただけでパーマネントを2枚追放、10/10という巨大なスペックに破壊不能がつき、さらに攻撃すれば、相手のデッキを20枚追放という、殿堂のローリーさん(藤田剛史氏)なら「おいおいおいおい、10マナだからってあかんやろ! 《サルディアの巨像》に1マナ足したら何でこうなるん?」と言ってくれそうなクリーチャー。しかも、ゼンディカーの土地をこんだけ食べに食べ続けているのに、前回登場時の《無限に廻るもの、ウラモグ》よりも1マナ軽くスリムになっているあたり、実は健康にも気を使っていそうで手に負えない。

 いろいろ能力がついた分、前回のエルドラージの代名詞である「滅殺」は無くなっているが、攻撃というタイムラグがある滅殺よりも、即効性のある部分が強化されているのは、うれしいと言えるかもしれない。土地をブーストさせて大量のマナを出すランプ系のデッキのアンカーとしては非常に優秀なので、成功するかはともかく、世界各地でウラモグ出しちゃうぞデッキがたくさん組まれるのは間違いないだろう。間違いなさすぎて、これには心配ノイポイントを3つあげたい。

2位 《墓所からの行進

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 今回の同盟者は結集という能力を持つものがたくさんいて、それらは同盟者が出るたびにいろいろな効果を発揮する。この、いろいろな効果とはまさに様々であるのだが、特に重要なのは、重ねれば重ねるほどに意味のあるタイプの同盟者。例えば《カラストリアの癒し手》などは、単体では1点ドレインの効果なものの、2体3体と並べば2点3点とバカにならない効果に上積みされていく。

 ただ、その反面、ボディが貧弱なのに加え、並べるという性質上、全体除去にはどう考えても弱い。同盟者を頑張って並べても《衰滅》されたら、さしもの殿堂の大礒君(大礒正嗣氏)でも「どないせいっちゅーねん」と言ってしまうだろう。しかし、そんな弱点を補いつつ、フィニッシュとしても機能しそうなのが、この《墓所からの行進》。まず、5マナで8マナ分のクリーチャーを釣れるという段階で大きく得をしており、前述した《カラストリアの癒し手》といった同盟者を同時に戦場に出すと一気に効果も誘発するため、気づいたら何か相手のライフ無いんですけどー、ということもあり得そう。これで、死んでいい同盟者を並べつつ、適当に戦ってこれで釣るという、往年の「ゴブリン召集」を思い出すようなデッキが組めるかもしれないし、組めないかもしれない。

3位 《深海の主、キオーラ

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 キオーラはキャラ的に好きなプレインズウォーカーの1人。みんなが深刻な顔をしている中、タッサから奪った槍を使ってうきうきしてみたり、深海生物を出して、デカさでエルドラージに対抗しようとしているところなどを見ると、やっぱり人生はキオーラ的に生きなきゃなという気にさせてくれる。能力としては、自分で自分を守る能力が無いというプレインズウォーカーとしては致命的とも言える問題をさっそく抱えているものの、4というそこそこの初期忠誠度を持ち、[+1]能力が生きない場面でも、[-2]能力が最大2枚のアドバンテージを取りつつ墓地を肥やせるため、探査絡みのデッキではいい働きをしてくれそう。また、『戦乱のゼンディカー』という視点で考えると、重めのクリーチャーや覚醒スペルがあるため、土地はいくらあっても困らない。なので、土地を獲得できる能力を強めに考えてもいいような気もする。

 そして、何よりもすばらしいのが奥義。8/8のタコがドンと出て格闘を始めるのだから、これはもういきなりの怪獣大決戦、「エルドラージ VS タコ」という映画が作られてもおかしくないレベル。[+1]をたくさん使うのは大変かもしれないが、いつか、ぜひ実現を狙いたいと思う。ちなみに、このキオーラには殿堂のヤソ(八十岡翔太氏)も「タコよりも、エビの方が好きだね」と言ってくれるに違いないと確信している。

『戦乱のゼンディカー』総評

 エルドラージと同盟者、各種プレインズウォーカーなど『戦乱のゼンディカー』は見所が盛りだくさん。また、環境も『テーロス』ブロックが落ちることで大きく変わり、プロツアーも全く新しい環境で行われる。個人的には《思考囲い》が無くなったことで、いろいろなデッキに可能性が出てきたように思える。特に特定のキーカードに頼っているデッキ(《紅蓮術士のゴーグル》など)は、これから先活躍する可能性を大きく秘めているだろう。ただし、個人的に大好きな《紅蓮術士のゴーグル》と相性が抜群に悪い欠色というメカニズムをこのセットに投入したことには一言もの申したい、くそっ!謀ったな!マロー!


プレリリースに行こう!

 今週末は『戦乱のゼンディカー』プレリリース!新しいパックの開封は楽しみですよね!今回は「Zendikar Expeditions」が出るかな~?というドキドキも味わえますよ!

 新しいといえば、マリガンルールが変更されます!よりマジックが楽しくなるような変更なので、こちらもチェック!

おわりに

 なんと今回は、全員が《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を選択するという結果になりました!それだけこのカードは注目されているということですね! 実際10マナというコストは膨大ではあるので、どう使うのかデッキビルダーの腕の見せ所です。ちゃんと唱えられれば盤面は一挙逆転!後出し有利の《絶え間ない飢餓、ウラモグ》合戦も見れそうですね!

 リミテッドも「欠色」シナジーや「同盟者」シナジーなどいっぱいあって、どんなデッキをドラフトしていくのか今から考えることが多いです! 早くドラフトして試してみなくては......!

 そんな楽しみな『戦乱のゼンディカー』、10月2日発売です! 10月2日はみなさんご一緒に、「Crack-a-Pack!」

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