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企画記事
『マジック・オリジン』みんなが選ぶトップ3!
『マジック・オリジン』みんなが選ぶトップ3!
by 金子 真実(WotC 日本コミュニティ担当)
皆さんこんにちは!
ここのところ少し涼しい日が続いていますが、梅雨が明ければ夏本番!今年も暑い夏がやってきそうですが......マジック的にも、アツい夏がやってきますよ!そう、7月17日は『マジック・オリジン』が発売です!
5人のプレインズウォーカー、その「起源」に焦点をあてたオリジンの物語。それぞれのプレインズウォーカーになるまでの物語はすでに以下の記事にて公開されています。
彼らは今後、物語でどのような立ち位置になっていくのか? 彼らと秋のセット『戦乱のゼンディカー』との関係は!? と気になること満載ですが、まずはこの『マジック・オリジン』のカードが気になる今日このごろ。今回もまた、あの3人にカードをピックアップしてもらいました!
鍛冶 友浩の場合
通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。
主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。
最近はプロツアーでのニコニコ生放送の実況や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。
1位 《ゴブリンの群衆追い》
10年の時を超えて、あのゴブリンが帰ってきた!
2マナで1/2と単体ではちょっと物足りないスペックだが、強力なのはその能力。
一緒に攻撃に参加した他のゴブリン1体に付き+2/+0のボーナスが付くのだ。今のスタンダード環境には《ドラゴンの餌》や《軍属童の突発》といったトークンをばら撒く呪文があるので、誘発条件は簡単!さらに、このオリジンにも1マナのゴブリンがあるので、これを中心にしたデッキ構築も難しくないだろう。
また、ライバル部族のマーフォークには青信心も稼げそうな《潮流の先駆け》、エルフには《群れのシャーマン》といったカードも収録されているので、よりカードプールの広い、例えばモダンやレガシーにも影響を与えるのではないだろうか。
個人的には、このオンスロート時代のイラストのまま新枠で再録されたことが嬉しく、《サイカトグ》でブロックできなかったプロテクション(青)が懐かしいのだが、そこは話が長くなるのでやめておこう。
2位 《衰滅》
さて、注目カードの第1位に《ゴブリンの群衆追い》を選び、更にはマーフォーク、エルフといった部族のお話をしておいてなんだが、オリジンにはそんな部族シナジーをあからさまに咎めるカードも収録されてしまっている。せっかく戦場にクリーチャーを並べようにも、全体除去が蔓延る環境では優秀な部族でも一瞬で絶滅の危機。それが、《衰滅》だ。
しかも、スタンダードに限らずモダンでも活躍している《包囲サイ》、《黄金牙、タシグル》、そんな彼ら4/5たちにとって非常に都合の良い-4/-4修正と、既存のアーキタイプに少し手を加えるだけで簡単に扱えてしまう。呪禁持ちの《龍王オジュタイ》も5/4と巻き込めるサイズ修正であることから、メインデッキ入りしてもおかしくはない。逆に言えば、そんなアブザンがお祭状態なメタゲーム環境では活躍の余地が無いのかもしれない。
強力なカード故に、フィールドにあるデッキ分布を書き換える事になりそうな注目の1枚なことは間違いないだろう。
3位 《精霊信者の剣》
3位にはあえてこの《精霊信者の剣》をピックアップしてみたい。イラストにはエルフ、フレイバーテキストにはゼンディカーのことが触れてあるあたり、緑のデッキに使われるようにデザインされたのだろうか。唱えるコストと装備のコスト、サイズの修正能力は地味な印象を受けるかもしれないが、手札を使わずに《不屈な自然》が攻撃の度に唱えられるのと同じ効果を得られるというのは侮れない。
難点といえば、あくまで装備品なので効果を得るのにクリーチャーが必要になるということだろうか。そこは土地シナジーがあり、オリジンのトップレアと噂される《巨森の予見者、ニッサ》のお供として持たせてみるのはいかがだろう。他には《秘宝の探求者》という選択肢もあるが、これなら伝説のアーティファクトでも安心して使うことができるだろうか。
気が早いが、次回のセットの舞台がゼンディカーになることも告知されているので、土地を置く効果が大化けする可能性もある。もしかすると早めに集めておいた方がいいかも?
『マジック・オリジン』総評
5人のプレインズウォーカーが目覚めるまでのストーリーということで、各所にフレイバーが残されており、対人ゲーム以外の部分も楽しめるとてもよいセットになっていると感じます。《異端の癒し手、リリアナ》/《反抗する屍術師、リリアナ》が先行プレビューで発表されましたが、まさか両面カードでプレインズウォーカーになるということを表現されるとは思いませんでした。
高名や占術、果敢に魔巧といったキーワード能力は今までの基本セット的でなく斬新で、リミテッドへの影響が大きいでしょう。特に、高名は2~3ターン目に出るクリーチャーをゲームの主役に押し上げるほどに強力ですが、そこは今週末のプレスリリースで実感してください。
また、構築シーンでも活躍するカードも十分にあり、スタンダードに限らずモダン、レガシーのプレイヤーからしても早く使ってみたいカードを見つけられるでしょう。発売から2週間が経てばプロツアーもあります。世界中の強豪プレイヤーたちがいったいどんな構築デッキをデザインしてくるのか、お楽しみはまだまだこれからです!
射場本 正巳の場合
通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。
彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。
1位 《大オーロラ》
いいねえ! 《世界火》とか《原初のうねり》とかこういう大雑把な呪文大好き。この手のカードにありがちな出せる土地にタップイン制限がついてないところも素敵ポイント。《大オーロラ》から《大オーロラ》につなげたら気持ちいいだろうなあ。まさにオーロラエクスキューション!
素直にマナの出せるパーマネントを高速展開してから打ってもいいし、相手とパーマネント差つけてから打ってもいいね。
統率者戦なら土地多めのデッキでリセットも可能な《アラーラの子》ターボランドデッキなんかで使うとすごいことになりそう。デッキの原型はあるから《大オーロラ》が手に入ったら早速改造してみようかね。
統率者戦以外でも、モダンのエルフとかにおしゃれで入れても意外といけるかもよ。スタンダードだと緑信心ならマナ調達できて、《女王スズメバチ》でパーマネント数も稼げるから結構いけるんじゃないかなー。
重いけどなんかいろいろやってみたくなるいいカードです。
2位 《ニクスの星原》
《補充》+《オパール色の輝き》とか《不朽の理想》が好きだった身としては触角が動かずにいられないカード。エンチャントでうねうねやるの楽しいよねー。今でも「本殿」全種類そろえるのとか大好きで、統率者デッキにこっそり入れてる。このカードはそういったコンボに近いことを1枚でこなしてくれるんだから期待が持てる。新カードの《万神殿の伝令》もあるし、《空位の玉座の印章》も再録されてるし、スタンダードでもなんかできるかもね。
今はまだ『テーロス』ブロックがローテーションアウトしていないのでエンチャントが使えるマックスタイミング。各種神々とコンビを組んでも面白いことできそうだし、素直に星座デッキに組み込んでもよさそう。
そういやクリーチャー・エンチャントってマナ・コストと同じパワー/タフネスになるのかな?(編注:なります。)《開花の幻霊》が4/4になるならうれしいよね。『テーロス』以外でも「隆盛」や「包囲」シリーズ使うって手もあるし、考えてるだけで楽しくなっちゃう。
3位 《テレパスの才能》
相手のカードを使えちゃうっていうのもいいよね。《分かち合う運命》デッキとか大好きだったなー。自分のデッキにはマナ加速とリセット呪文しか入ってなくて勝ち手段を相手のデッキに依存するやつだったけど、相手にアホだなーって顔されるのが楽しかった。思えばクリーチャー同士の戦闘とかダメージレースに興味がなかったから、こういう裏道的な方法で勝とうとするのが楽しかったんだよね。
このカードはというと相手のライブラリーを7枚削りながら相手のインスタントかソーサリー使えちゃうお得さが魅力。魔巧を達成するのは簡単なので大体2枚使えちゃう。もちろん相手がちゃんとインスタントやソーサリーを入れていたらの話だけど、果敢も3回誘発するわけだから《ジェスカイの隆盛》とかと合わせるとなんかできそうな予感。
でもやっぱりパーティ感覚で多人数戦で使うのが一番楽しそう。インスタントやソーサリーが2枚入ってそうな相手を見極めるのが本当のテレパスの才能だね。
『マジック・オリジン』総評
『マジック・オリジン』の目玉といえば変身するプレインズウォーカー! ついに伝説のクリーチャー=統率者として使えるね。今思うと『統率者(2015年版)』プレインズウォーカー・統率者はこの前振りだったのかも。早くニッサ使いたいな。
そして両面カードが加わったので、ついにスタンダードで予示から『デュエル・マスターズ』で言うところの「3D龍解」、三段階の変身をすることが可能になりました! 実際、《ヴリンの神童、ジェイス》みたいに能力起動にタップが必要なやつは、予示で出して、次のターン以降に表にして能力を起動すると、相手のクリーチャー除去をかわせたりしていいのかもよ。後はライブラリーの上を操作できればいいんだろうけど、まあそこは占術とかでがんばろう。
それと、このセットで思ったのは「熊」の性能が本当に上がったなーってこと。《トーパの自由刃》とかコモンの2マナ2/2にプラス能力が2つもつくなんて自由すぎるでしょ。《真珠色の一角獣》がかわいそう。あれでも『第5版』のころはエース(?)だったんですよ。でも近年のクリーチャー強化からしたらこんなもんなんだろうね。あー、でも《前線の僧侶》とかいいよね。ライフ回復好きとしてはたまらない。個人的には《オニュレット》も再録してほしいなー。
浅原 晃の場合
通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。
デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。独自の視点から、セットに切り込む。
1位 《巨森の予見者、ニッサ》 /《精霊信者の賢人、ニッサ》
『マジック・オリジン』の目玉である変身プレインズウォーカー。その中でひと際光るのはみんな大好きニッサ。変身プレインズウォーカーというのはこの『マジック・オリジン』が初めての試みで、通常のプレインズウォーカーと大きく違う点は元がクリーチャーである分、クリーチャー除去で対応されやすいという点。ニッサは変身タイミングこそ中盤以降となるものの、変身条件が出したターンで達成しやすく、フェッチランドで相手のクリーチャー除去もかわせるなどの安心仕様なのがうれしい。しかも、変身した場合の強さもピカイチとアフターケアも完璧。ギデオンが正義超人、リリアナが悪魔超人だとしたら、ニッサは完璧超人と言ってもいいくらい。また、個人的な持論としてプレインズウォーカーは最低でもどれだけの仕事をしてくれるかで評価すべきというのがあるので、戦場に出た段階で《森》を持ってこれる+変身後も最低でも1ドローは保障してくれるのは高評価。唯一の不満点を挙げるなら、リリアナは変身時にゾンビトークンを生み出すのに、ニッサは何も生み出さないことくらいか。ヘイ、マロー、ギブミーナメクジトークン!
2位 《紅蓮術師のゴーグル》
かの《ミラーリ》を彷彿とさせる、いや、あの《ミラーリ》を超える逸材的なアーティファクト。コピーというのは、誰しもが憧れるワードであり、それを、こうも簡単に成し遂げてしまうのは、とてもすごい(ゴクリ......と思ってしまったのは自分だけではないだろう。しかもコピーの作り方が、これ自身がマナ加速でありながら、その赤マナを利用すればコピーが作れるというスマートなものでこれまた好感触。コピーできる範囲こそ赤い呪文に限られては居るものの、赤の呪文は火力の他にも《コラガンの命令》や《はじける破滅》などのコントロール向けのカード、《蒸気占い》《マグマの洞察力》といったドローサポートもあるため、用途は思ったよりも幅広い。赤い呪文以外も何とかしたいというあなたにも、《軍族の雄叫び》経由ならコピーがたくさんできるため、《テレパスの才能》とかを打つと非常に気持ちよくなれるだろう。5マナの伝説のアーティファクト+安心の浅原印のおススメならば、もう鉄板も鉄板、いわゆる板なのは周知の事実。しかし、自分も《特務魔道士ヤヤ・バラード》には1回くらい会ってみたい。もちろん、うまくやれる自信はゼロです。
3位 《悪魔の契約》
ストーリー上の物語を想像させるカードを、創造力を掻き立てるデザインでカード化してくるというのはさすがの一言。こういったデメリットを内臓した能力を見たときにまず考えるのは、デメリットをメリットにできないかということだろう。つまり、3つの選択肢を使って、悪魔のアドバンテージをウマウマした後に、最後に相手にこの契約を押し付けてのスーパーウマウマフィニッシュが理想的。スタンダードのプールでは《果敢な泥棒》のように、同じタイプのカードを交換する能力が存在しているので、相手に押し付けることは不可能ではない。もちろん、相手にエンチャントが無ければ押し付けられないので、《苦悶の神、ファリカ》などを使って相手の戦場にエンチャントを出していくと良さそう。無事相手に押し付けて、敗北を待つときの気分は、まさに若々しいリリアナ。オーホッホッホッホ。ただ、このエンチャントを張ったときに使われて一番嫌なカードは《最悪の恐怖》。これを打たれたときには、もう、気分は年老いたリリアナ。ヨボヨボ。いっそ殺してとなるが、問題無くすぐに死ぬので、そこは潔く「なんじゃこりゃぁぁ!!」と言いながら逝きたい。
『マジック・オリジン』総評
『マジック・オリジン』は尖ったコンセプトのカードが多く、見た感じとてもデッキの作りがいがあるセット。プレインズウォーカーはもちろん、信心系のデッキを強化するカードや、赤のビートダウンを強化する懐かしの《ゴブリンの群集追い》。また、《一日のやり直し》や《ニクスの星原》など、書いてあることはすごいが、どうやって使うべきか非常に難しいカードまでずらりと揃っており、デッキビルダーにとっては魅力的なセットになっている。ちなみに定期的にカウンターバーンを組みたくなるという持病を持っている自分は《溶鉄の渦》に可能性を感じ始めている。《真珠湖の古きもの》との組み合わせは、プロツアーは未知数として、フライデー・ナイト・マジックでは確実に見ることになるだろう。いろんなデッキが作れそうなこのセット、デッキを作る楽しさをぜひ感じてみて欲しい。
プレリリースに行こう!
『マジック・オリジン』のプレリリースは今週末! 新しいパックを開封する時のドキドキ、いつになっても変わりません。一足先に新しいカードに触れて、プレインズウォーカーの灯を胸に宿しましょう!
おわりに
今回も、それぞれのチョイスに重複なし! 3人とも全然視点が違うのが面白いですよね!
ピックアップされなかったプレインズウォーカーも使いドコロが気になるカードですし、《ピア・ナラーとキラン・ナラー》あたりもスペック高そうです!
もちろん構築の話だけでなく、リミテッドも早くやってみたいですよね! ドラフト、楽しみです!
5人のプレインズウォーカーが今後もストーリー上でどんな役割を果たすのか、それは今後のお楽しみですが、今はともあれ『マジック・オリジン』を全力で楽しみましょう! それではご一緒に、「Crack-a-Pack!」
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