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佐藤レイの「一歩踏み込む!」リミテッドの極意
第4回:もっと勝てる!『ストリクスヘイヴン:魔法学院』シールド
お久しぶりです、マジック・プロリーグ(MPL)所属の佐藤レイです。今回もまた皆さんにリミテッドについて話すことができてとても嬉しいです。
これまで第1回、第2回ではドラフト・フォーマット、第3回ではシールド・フォーマットについて解説してきました。今回の『ストリクスヘイヴン:魔法学院』についてもどちらのフォーマットに触れようか悩んでいたのですが……「この環境のシールドは難しい」という話をとても多く聞きますし、実際にぼくもそう思うので、今回もまたシールドフォーマットについて解説していきます。
それでは……「もっと勝てる!『ストリクスヘイヴン:魔法学院』シールド」、始めていきます。よろしくお願いします!
もくじ
- この環境のシールドはなぜ難しいのか。
- もっと勝てる!ポイント1 デッキ構築:「できるだけ多くの勝ち筋を用意する」
- もっと勝てる!ポイント2 プレイング:「リーディングやプレイの幅を広げる」
- もっと勝てる!ポイント3 情報収集:「SNSを利用する」
- 最後に
この環境のシールドはなぜ難しいのか。
なぜ『ストリクスヘイヴン:魔法学院』は難しいのでしょうか?
それはこの環境においてシールドとドラフトが全く別のゲームであるためです。
基本的にはこの環境のドラフトにおいては、大学をそれぞれ選んで、その大学ごとの色のカードたちをピックしていってデッキを作り上げていきます。いわば普段の環境よりも色の組み合わせが限られていて、適切なポジションにさえつければ必然的にプレイヤーのデッキの完成度は高くなりやすいです。
一方シールドにおいては特定の大学だけが強く枚数も十分にあるプールを引ければ、すんなりとデッキを構築することもできますが、そうでなければ自分なりにデッキを補強していかなければなりません。
またゲームスピードが違うこともしっかり考慮しなければなりません。2マナ域を重視したテンポゲームであるドラフト環境に比べ、シールドはとても遅いアドバンテージが重要な環境になっています。それゆえ、最適なデッキ構築も変わってくるのです。
もっと勝てる!ポイント1 デッキ構築:「できるだけ多くの勝ち筋を用意する」
ではシールドで勝てるデッキとはどのようなデッキなのでしょうか?
幸いにも5月8~9日に第2回目となるシールドのアリーナ・オープンが行われました。2日目で7勝したデッキを見ながらポイントを見極めていきましょう。
7 《島》 5 《森》 1 《沼》 2 《ウィザーブルームの学舎》 1 《プリズマリの学舎》 1 《アーチ道の公共地》 -土地(17)- 2 《針棘ドレイク》 1 《クアンドリクスの初学者》 1 《クアンドリクスの神童、ジモーン》 1 《騒々しい写本、コーディ》 1 《クアンドリクスの誓約魔道士》 1 《セッジムーアの魔女》 1 《顕現の賢者》 1 《クアンドリクスの栽培者》 1 《歯車の文書管理人》 -クリーチャー(10)- |
1 《選択》 1 《苦悶の悔恨》 1 《情報収集》 1 《複数の選択》 1 《新たな芽吹き》 1 《再造形》 1 《ゼロ除算》 1 《炎血の発想》 1 《抜き打ち試験》 1 《悪意の熟達》 1 《ひらめきの瞬間》 1 《うねる曲線》 1 《本への没頭》 -呪文(13)- |
こちらは日本のスタープレイヤーであり、MPL所属の八十岡翔太さんのアリーナ・オープン7勝デッキです。
ベースはクアンドリクス(青緑)ながら、《セッジムーアの魔女》《悪意の熟達》《苦悶の悔恨》といった強力な黒いカードをタッチしています。それだけではなく、なんと《炎血の発想》のためだけに赤までタッチしていて、さらに《騒々しい写本、コーディ》も入っているのが特徴的です。
もう1つデッキを見ていきましょう。
7 《平地》 7 《沼》 1 《森》 1 《クアンドリクスの学舎》 1 《アーチ道の公共地》 -土地(17)- 1 《魂浸し、ダイナ》 1 《墨の決闘者、キリアン》 1 《光輝の学部長、シャイル》 1 《轟く語り部》 2 《汽水トラッジ》 1 《星霜の巡礼者》 1 《セッジムーアの魔女》 1 《湿原のスペクター》 1 《悪意に満ちた部隊》 1 《柱落としの救助者》 -クリーチャー(11)- |
2 《悪意の打ちつけ》 1 《マナの税収》 2 《検体探し》 1 《輝く抵抗》 1 《除名》 2 《魔道士狩りの猛攻》 1 《劇的な終焉》 1 《シルバークイルの命令》 1 《力線の発動》 -呪文(12)- |
1 《環境科学》 1 《封印突破法》 1 《拡張解剖学》 1 《墨獣召喚学》 1 《害獣召喚学》 1 《殲滅学入門》 -サイドボード(6)- |
こちらも日本人プレイヤーの方のアリーナ・オープンにおける7勝デッキです。
一見シルバークイルのドラフトデッキのようですが、そこに緑をタッチしています。足しているカードは《力線の発動》と《魂浸し、ダイナ》なのですが……なんというか少し地味に見えるかもしれません。しかしこのタッチにこそ環境の攻略のポイントがあります。
八十岡さんのデッキでは《顕現の賢者》を使用しながら、黒だけでなく《炎血の発想》のためだけに赤までタッチされていました。このデッキでも《劇的な終焉》を使用しながら《力線の発動》と《魂浸し、ダイナ》を足しています。
これらすべてを同じデッキに入れようとする行為は、まるでドラフトのような「綺麗」なデッキの構築を目標としているとなかなか難しいのではないでしょうか。どちらも素晴らしいタッチで、とてもシールド的だと感じます。
デッキを構築する際に「できるだけ多くの勝ち筋を用意する」ことを意識してみましょう。そしてそのために時にはデッキを綺麗に組みすぎないことも必要です。
もっと勝てる!ポイント2 プレイング:「リーディングやプレイの幅を広げる」
もっと勝てるようになるためにはデッキ構築だけではなく、もちろんプレイングもとても重要です。ここではこの環境ならではの気を付けるべき点を3つ紹介します。
相手の講義カードを覚える。
相手がプレイしてきた講義・カードはしっかりと覚えましょう。そしてできることなら持ってこなかったことも情報にできるようになれるといいでしょう。「こちらに強力なクリーチャーがいるのに《殲滅学入門》を持ってこないのなら相手のプールにはおそらく存在しない」など、相手のプールを読むことで一歩踏み込むプレイができるかもしれません。
相手が白or青を含む計3マナを立てていたらアタックしないほうがいいことも。
環境の除去やインスタントを覚えることは最適なプレイのために大切です。とはいえミスティカルアーカイブもあるこの環境ではなかなかすべてを把握することは難しいでしょう。
絶対にケアしたいのは《除名》と《本への没頭》の2つです。ここだけは忘れないようにしましょう。
青相手には手札を減らして、黒にはときには増やす。
終盤に余った土地を置くか置かないかですが、青相手には《アルカイックの教え》があるかもしれないので積極的にセットしましょう。逆に相手が黒ならば《真っ白》がプレイされるかもしれないので大事な除去などがあるときは手札を3枚に維持する必要があるかもしれません。
ただ基本は「学舎」サイクルがデッキに入っている場合はトップデッキしたカードをプレイできるように土地はどんどん置いておきましょう。
細かいテクニックをあげるとキリがないのでこのくらいにしておきますが、常に大切なのはカードプールをしっかりと把握しておくことです。例えば「この環境には全然確定カウンターがない」とわかっていることでカードのプレイする順番が変わったりするので、覚えられるだけ覚えましょう。
もっと勝てる!ポイント3 情報収集:「SNSを利用する」
リミテッドにおけるデッキ構築が上手くなるために、トライアンドエラーを繰り返す以外にも実際に勝っているデッキを見て学びましょう。
そこでもっと勝つためにおすすめなのはSNSを利用することです。今回のアリーナ・オープンのようなイベントがあった際には実際に勝っているデッキをアップしている人が多いので見てみると勉強になることがあるかもしれません。
ぼくはTwitter検索で「アリーナオープン 7」や「ArenaOpen 7」などと調べて、2日目に7勝したプレイヤーのデッキリストを15人分くらい見て色構成や学舎の枚数などをスプレッドシートにまとめたりしていました。
(Mはメインカラー、Tはタッチカラー)
大きなイベントの後くらいしかできませんが、「白黒2色だと土地16枚にしている人いるな」とか、「思っているより2色できっちり組んでいるプレイヤーも多いな」など参考になる点もあるかもしれません。
8 《森》 8 《島》 1 《クアンドリクスの学舎》 -土地(17)- 2 《スカーリドの群棲》 1 《針棘ドレイク》 1 《プリズマリの誓約魔道士》 1 《夢の大梟》 1 《大魔導師の名誉教授》 1 《大図書棟の助手》 1 《練達の対称主義者》 1 《クアンドリクスの栽培者》 -クリーチャー(9)- |
1 《秘儀の引き去り》 1 《詰め込み期間》 1 《情報収集》 2 《現地調査》 2 《抜き打ち試験》 1 《耕作》 1 《ゼロ除算》 1 《魔道士の決闘》 1 《旋風のごとき否定》 1 《オリークの誘惑》 1 《本への没頭》 1 《青の太陽の頂点》 -呪文(14)- |
1 《環境科学》 1 《拡張解剖学》 1 《予言学入門》 1 《害獣召喚学》 2 《マスコット展示会》 -サイドボード(6)- |
今回のアリーナ・オープンにおいてSNS上最も話題となったのが、言わずと知れたアメリカの超強豪「LSV」ことルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasさんの《マスコット展示会》2枚がサイドボードにある超強力なクアンドリクスのデッキです。
本人も「自身の人生の中で最も強く作れたシールドデッキだった」と言っていて、もちろん7勝していました。《青の太陽の頂点》や《夢の大梟》《オリークの誘惑》《大魔導師の名誉教授》といった他のレアも強力だったり、履修持ちカードもたくさん入っていたりと、言うことありませんね。こんなプールが欲しいです(笑)。
最後に
今回はもっと勝てる!ポイントとして、
- デッキ構築において「できるだけ多くの勝ち筋を用意する」こと
- プレイングにおいて「リーディングやプレイの幅を広げる」こと
- 情報収集において「SNSを利用する」こと
の3点を紹介させていただきました。どこか一部分だけでも、読んでいただいた皆さんの参考になれば書いて良かったです!
ぼくのTwitterアカウント(@r_0310)でもリミテッドの強かったデッキなどアップしていくので、良かったらフォローしてみてください。本記事やデッキについての感想などもいただけるととても嬉しいです!
ではまた次回お会いしましょう! ありがとうございました!
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