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コラム

ロン・フォスターの統率者日記

第6回:おすすめ変則ルール紹介

ロン・フォスター

 読者の皆さん、明けましておめでとうございます。今年も皆さんにこのコラムを楽しんでいただけるよう頑張っていきますので、よろしくお願いします。

 2020年を迎え、いよいよ『テーロス還魂記』の発売が近づいてきました。このセットは5年前のテーロス・ブロックと同様に神をはじめとした伝説のクリーチャーが盛りだくさんなようなので、このセットは統率者戦をプレイしている人がすでに使っているデッキの強化にはもちろん、新しいデッキの種になってくれること間違いなしです。この記事を執筆している段階ではプレビューウィークの真っ只中なのですが、私もそれを見ながらワクワクしています。

 実は年末年始は忙しくてマジックはできなかったので、新しいネタは残念ながらありません。そこで、今回の記事では地元のゲームショップで時々使っている変則ルールを紹介したいと思います。

 なお、このプレイの仕方はあくまでも「Wizard's Keep Games(以下ウィザーズ・キープ)」で常連の人と使っている独自のルールで、これから統率者戦に導入させるものではないし、そのような計画はまったくありません。ですが、このルールをいつものマジック仲間とのゲームで使ってみたいという方は、ぜひ一度試してみてください。

変則ルール紹介

土地トラブルを緩和する

 マジックというゲームには、土地カードのトラブルは残念ながら付き物です。単色デッキでさえ土地カードを引かないときもありますが、多色デッキが多い統率者ではさらに色トラブルも起こります。これを防ぐために大勢のプレイヤーはマナ加速・調整の効果が多い緑を使う他に、《彩色の灯籠》や印鑑シリーズなどいわゆる「マナ石」をデッキに入れたり、土地カードをライブラリーから直接出してくれる《進化する未開地》やフェッチランドを使ったりします。これらのカードはかなり有力な土地事故対策となりますが、しょせん引かなければ何も始まりません。

 多人数戦で一人だけゲームができないと気が沈んで楽しくなくなるし、事故っている人も面白くありません。その状況を回避すべく次の方法にたどり着きました(私のTwitterをフォローされている読者の方なら、以前この話題をTwitter上でお話したのを覚えているかもしれません)。「ゲーム開始時、皆がシャッフルする前にデッキから基本土地カードを1枚探して統率領域に置いてよい。そして、ドローステップ中にドローを1回飛ばしてその土地カードを手札に加えることができる。」……ようするに、プレイヤーは皆「フリー《放浪者の小枝》」を持っている状態でゲームをスタートします。

 これで多色デッキもある程度安心してゲームが始められるし、「バーチャル土地」があるので本来土地3枚じゃないとキープしないデッキや手札でも2枚からスタートできるので、マリガンの処理も速くなります。この方法を使うようになって1年近いですが、今まで悪用されたデッキはまだありません。まぁ、マジックのことですから何か悪さできるとは思いますが、少なくともウィザーズ・キープでは現在のところ誰も思いついていません。読者の皆さんの中に、このやり方で何か悪いことができそうだと思われる方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください!

早くプレイしたい

 マリガンの処理を速くするといえば、結構前からジャッジ関係者の間で使われている別のマリガン方法があります。これを考えたのはかつてのレベル5ジャッジでオランダ人のハイスベルト・ホーヘンデーク/Gijsbert Hoogendijkという人なので、使っている人は「ハイス・マリガン」または「ハイス・スタイル・マリガン」と呼んでいます(日本語で書くと「ハイスタイルマリガン」に見えるから何だか格好良くなっちゃいますね)。

 ハイス・マリガンのやり方は簡単です。まず、最初の7枚を引いて手札を見る。何らかの理由でそれが気に入らない場合、手札7枚をライブラリーに切り直さないで脇において新たに7枚を引く。この手順を、使える手札が来るまで繰り返します。「使える手札」の定義は当然人によって異なりますが、私のまわりではだいたい土地が3枚ある手札なら使えると考えています。もしどうしても《太陽の指輪》が来るまでやりたいというならご自由に! 使える手札が来たら、脇に置いたカードをそのままにして最初のターンを行ってからライブラリーに切り直しします。これも時間節約のため。どうせ1番目に置くカードは、十中八九フェッチランドだし。

 「コンボパーツがすぐ揃うからダメじゃん!」と思ってしまう人がいるかもしれませんが、このやり方では意外とそうでもないです。手札を引き直すたび、今まで引いたカードをライブラリーに戻さないわけですから、マリガンの処理が終わるまで二度と引くことはないので99枚のデッキだと7枚ずつ引いてコンボが揃う確率は2枚でもかなり低いし、3枚以上のコンボだと天文学的なものになるでしょう。(読者の中で、この計算をやってみようとする人が絶対いますよね。)

 しかし、このマリガン方法はやろうと思えば確かに悪用できるので、信頼できる仲間としか使わないようお勧めします。

常時統治者

 最後に、同じ統率者諮問委員会メンバーのシヴァム・バット/Shivam Bhattに紹介してもらった変則ルールです。これは、ゲームのテンポを速めて戦闘を促す方法で、クリーチャーをベースにしている環境に結構向いていると思います。

 読者の中でご存知の方もいらっしゃると思いますが、「統治者」は2016年に発売された『コンスピラシー:王位争奪』という、ドラフト向けの多人数戦専門セットに初めて登場した能力です。これと関係するカードは、統治者であることを参照して、マナを倍にしたりクリーチャー・トークンを出したりしてボーナスを与えてくれるだけではなく、自分のターン終了時に統治者である場合カード1枚を引かせてくれる、なかなかいい能力です。

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 どうやって統治者になるかというと、ゲームで初めて統治者の能力があるカードをプレイするか「あなたが統治者になる」という能力があるカードをプレイする他、統治者になっているプレイヤーに戦闘ダメージを与えれば自分が統治者になります。本来、誰も統治者カードをプレイしなければこの能力は発生しません。

 ですが、シヴァムが提案したルールでは、最初に対戦相手に戦闘ダメージを与えたプレイヤーが自動的に統治者になります。これは、ゲームに参加しているプレイヤー全員が統治者カードをデッキに入れていなくても発動します。そして、入れているなら相手から本来通り統治者を攻撃しなくても奪うことができます。

 統治者が存在するだけでゲームの展開が変わってきます。追加ドローをしたくて統治者を争奪することになり戦闘がもっと行われるし、追加ドローがあるから使えるリソースがどんどん増えます。私のデッキはほとんど無限コンボが入っていなくてクリーチャーで殴り勝とうとするので、このオプションが結構好きです。地元でいつも一緒にプレイしている人たちも、『コンスピラシー』が好きで、その続編の『コンスピラシー:王位争奪』のカードを好んで使っているので、このオプションもよく使ってゲームをします。

新たに組んだデッキの紹介

 話はちょっと変わりますが、この前ウィザーズ・キープの店長さんが使っている《戦争織り、タンティス》デッキを紹介しましたよね。実は、そのデッキを組んで11月のマジックフェスト・名古屋に持って行きました。使ってみたら「ジャンドはやっぱり面白い!」と思いましたが、自分の黒・赤・緑のデッキがないことに気がつきました。いい統治者はないかとカードリストを眺めていたら、『エルドレインの王権』に収録されている《フェイに呪われた王、コルヴォルド》が目に入りました。ジャンドと言えばドラゴンっしょ!と心の声が喚いたので、新しいデッキの統率者として選びました。

ロン・フォスター - 「統率者:フェイに呪われた王、コルヴォルド」
統率者戦 (2020年1月)[MO]
1 《フェイに呪われた王、コルヴォルド

-統率者(1)-

4 《
2 《
2 《
1 《踏み鳴らされる地
1 《Bayou
1 《草むした墓
1 《Badlands
1 《血の墓所
1 《樹木茂る山麓
1 《血染めのぬかるみ
1 《ジャンドの全景
1 《根縛りの岩山
1 《尖塔の庭
1 《森林の墓地
1 《ラノワールの荒原
1 《疾病の神殿
1 《竜髑髏の山頂
1 《特別観覧室
1 《泥濘の峡谷
1 《野蛮な地
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《ボジューカの沼
1 《カー砦
1 《ファイレクシアの塔
1 《統率の灯台
1 《統率の塔
1 《聖遺の塔
1 《死者の原野
1 《露天鉱床
1 《古えの墳墓
1 《ならず者の道
1 《イス卿の迷路
1 《進化する未開地

-土地(38)-

1 《屍肉喰らい
1 《苛性イモムシ
1 《臓物の予見者
1 《恐血鬼
1 《桜族の長老
1 《漁る軟泥
1 《ズーラポートの殺し屋
1 《永遠の証人
1 《彼方地のエルフ
1 《肉袋の匪賊
1 《災いの歌姫、ジュディス
1 《土覆いのシャーマン
1 《波乱の悪魔
1 《ウラモグの手先
1 《疫病造り師
1 《芽吹くトリナクス
1 《不死身、スクイー
1 《打ち壊すブロントドン
1 《不屈の追跡者
1 《ウッド・エルフ
1 《ジラ・エリアン
1 《不死の援護者、ヤヘンニ
1 《無慈悲な略奪者
1 《練達の育種師、エンドレク・サール
1 《マイコロス
1 《若葉のドライアド
1 《ギトラグの怪物
1 《ドラゴンの巣の蜘蛛
1 《カーの空奪い、プローシュ
1 《暴虐の龍、アスマディ
1 《活力
1 《ゼンディカーの報復者
1 《共生のワーム

-クリーチャー(33)-
1 《太陽の指輪
1 《戦慄衆の侵略
1 《英雄的介入
1 《稲妻のすね当て
1 《定員過剰の墓地
1 《ラクドスの印鑑
1 《内にいる獣
1 《彩色の灯籠
1 《統率者の宝球
1 《世界のるつぼ
1 《破壊的な流動
1 《砕土
1 《永遠への旅
1 《木霊の手の内
1 《破滅的な行為
1 《グレムリン解放
1 《野生の律動
1 《毒の濁流
1 《犠牲
1 《死の収穫の儀式
1 《憎悪の蜃気楼
1 《往時軍の覚醒
1 《ドラゴン鎮め
1 《呪われた狩人、ガラク
1 《セルヴァラの暴走
1 《苦痛の命令
1 《サンドワームの収斂
1 《冒涜の行動

-呪文(28)-

 コルヴォルドの能力は生け贄と強く関係しているので、それをテーマにしようと思いました。黒に生け贄を利用するカードが多くて絞るのは大変でした。餌が切れないよう、トークン・クリーチャーを生み出すカードもたくさん入れています。《ゼンディカーの報復者》は定番ですが、一番おいしいのは《芽吹くトリナクス》や《共生のワーム》など、自分が死ぬとさらにクリーチャーを生み出すやつです。

 《破壊的な流動》はあまり見かけないカードですが、基本でない土地がよく使われる統治者では結構いいカードで、このデッキではいろいろと活躍してくれます。相手の邪魔をしながら《波乱の悪魔》を誘発してくれるし、こっちが土地を生け贄に捧げるとコルヴォルドが強くなるし、《世界のるつぼ》を出していれば必要に応じて生け贄に捧げた土地を戦場に戻せる。《ドラゴン鎮め》はデッキの性質上カードをいっぱい引かせてくれる場合もありますが、設置するなら手掛かり・トークンとか《Xira Arien》など、他にカードが引ける方法をあらかじめ用意しておいた方がいいです。

 基本的にコルヴォルドを大きくてして相手プレイヤーを殴って統率者ダメージで勝つことが多いですが、《災いの歌姫、ジュディス》や《ズーラポートの殺し屋》だけでも充分ダメージが与えられるので、統率者が戦場に出ていなくても勝てます。なお、このデッキは誘発型能力のあるカードが多くて処理するのが大変なので、丁寧なプレイを心がけてください。

 『テーロス還魂記』は墓地と生け贄がテーマとなっているので、このデッキと相性がいいカードが結構ありそうです。執筆時の段階で公開されているカードの中ではまず《血の野心家》、《悲哀の徘徊者》、《青銅血のパーフォロス》、《終わりなき巣網のアラスタ》が目に付きますね。《運命の神、クローティス》も良さそうです。あ、でも、アラスタを見たら同じジャンド色で《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や《腐後家蜘蛛の群れ》を使った本格的な蜘蛛デッキを組みたくなっちゃいますね……。

 このまま脱線して新しいデッキを組み始めてしまう前に、今週はこのへんで終わりとしましょう。では、また次回!

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