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コラム

ロン・フォスターの統率者日記

第3回:ウィザーズ・キープ・ゲームズ紹介

ロン・フォスター

 読者の皆さん、こんにちは! この原稿を書いている時点では、マジックフェスト・名古屋の準備をしているところで、久しぶりのイベントでいっぱい統率者できるのを楽しみにしています! それに、この週末シアトルとシカゴにて「コマンドフェスト」という新しい統率者専門のイベントが同時開催されることになっています。聞いたところによると、3日間行われるコマンドフェストですでに席が完売となっている日があるようなので、かつてない規模で統率者がプレイされることになるでしょう。

 さて、今までデッキを中心に記事をお送りしていましたが、今回のコラムではいつもプレイしている店舗を紹介したいと思います。このお店は「Wizard's Keep Games」(ウィザーズ・キープ・ゲームズ、「キープ」とは砦を意味します)という名前で、オープンしてから2年ちょっとになります。店主は、1年ほどウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のカスタマーサポートで勤めたことがあるブローガン・アダムズ/Brogan Adamsという方です。ウィザーズ本社から車で約15分、私の自宅からも10分ほどのところにあるこの店舗は毎日開いていて、フライデー・ナイト・マジックはもちろん、毎日違うイベントをやっています。マジックだけではなく、『ダンジョン&ドラゴンズ』やミニチュアゲームのイベントもあります。プレリリースの時や夏休みには、うちの2人の息子もすっかり常連となっています。

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『エルドレインの王権』プレリリースでデッキ構築をしている息子たち。右が長男の隼、左が次男の瑛です。


 

 しかし、私が通っているのは毎週火曜日です。なぜなら、火曜が統率者の日だからです。スタートは「17時~」とありますが、店の営業時間は11時からで、火曜ならいつ行っても統率者をプレイしたがっている人がいます。平日の閉店時間は一応21時ですが、本人もよく統率者戦を楽しむ店主のブローガンさんのOKが出れば、通常の閉店時間を過ぎてもお店に残ってよし。なので、日付が変わってからも試合が続くことも珍しくありません。なお、アメリカは車社会ですから、終電を逃してしまう心配もありません。

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火曜日の店内の風景。後ろで手を振っている人は、お店に入ったとき「ここに席空いているよ!」と挨拶代わりに言ってくれました。


 

 でもそんなに遅くまでゲームショップにいたら食事はどうするの?と思われるかもしれません。でも、それも大丈夫。イベントのある日は、同じショッピングモールにあるピザ屋さんに配達を頼みます。ピザ2切れ+飲み物1つで5ドル(およそ550円)なので、そう悪くありません。プラス2ドルで、飲み物をビールにすることもできます。そう、このお店は当局にちゃんと許可を得てお酒も販売しています。ポテトチップスやチョコなどのスナックも揃っているので、いったん店内に足を踏み入れたら、一歩も外に出ず1日中マジックにどっぷり漬かることができます。

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店内の風景。手前の6人が座っているテーブルでは、統率者の皇帝戦が行われている。


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店内の風景。レジの前に店主のブローガンが構えている。


 

 本社が近いこともあって、ウィザーズ社員も火曜日によく遊びに来ます。もちろん日によって客の入りは変わりますが、だいたい20~30人が同時に入って4人のポッドになって統率者をプレイしています。時々50人以上集まって、座る場所が足りなくなることも珍しくありません。おそらく、シアトル近辺で平日行われているマジックの集まりの中では一番大きいと思います。

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先日撮った試合の写真。私の前に座っているのはウィザーズ社のスコット・ララビー/Scott Larabee、その隣が「統率者のゴッドファーザー」と呼ばれるシェルドン・メネリー/Sheldon Meneryで、私の隣はノルウェー出身で常連のデイビッド・リンスタッド/David Linstad


 

 最近この店で導入されたのは、「統率者リーグ」です。これは、楽しくプレイすることを促すためのもので、結構楽しいです。参加費は毎週5ドルで、1回2試合までカウントされます。この5ドルで、1試合にパック3個とプロモ2枚が付く他に、1か月で一番点数を貯めたプレイヤーにさらにパックが贈られます。試合のパックとプロモの配布は、その卓のプレイヤーで決めるので、だいたいの場合、先に負けたプレイヤーがプロモを受け取ってあとはパック1個ずつを受け取っていきます。(リーグ戦は4人卓でやります。)

 点数はどうやって入れていくって? 下記のスコアシートをご参照ください。

スコアシート内容(簡略版)
点数内容
一番
+1試合中、最初に統率者を召喚する
+1最初にアーティファクトを破壊/追放する
+1最初にクリーチャーを破壊/追放する
+1最初にエンチャントを破壊/追放する
+1最初にプレインズウォーカーを破壊/追放する
+1最初に統率者ダメージを与える
+1最初に他にプレイヤーをやっつける
+1ゲームで最初に負ける
+1プレイヤーをやっつけるとき、最初にちょうどライフに等しいダメージを与える
退場
+1プレイヤーを毒ダメージでやっつける
+1自分と対戦相手を同時にやっつける
+1毒カウンターでゲームに負ける
+1プレイヤーを、そのプレイヤーのターン中にやっつける
+1プレイヤーを、そのプレイヤーがオーナーである呪文またはパーマネントでやっつける
+1戦場のパーマネントが土地のみでやっつける
こんなことしていいの?
+12種類以上のプレインズウォーカーを同時に戦場に出す
+1トークンでないクリーチャーが10体以上戦場に出ている
+1同じクリーチャー・タイプであるクリーチャーを6体以上戦場に出す(トークンもOK)
+1同じゲームで、統率者を4回以上召喚する
+1自分がオーナーでないパーマネントを2体以上コントロールする
+1ひとつの効果に、自分のライフを半分以上支払う
+1クリーチャー1体に、カウンター10個以上置く
+2統率者を召喚するのに、20マナ以上を支払う
スレッショルド
+1土地でない、白枠のパーマネントを10個以上コントロールする
+1パワーかタフネス20以上のクリーチャーをコントロールする
+11ターンに、カードを7枚以上捨てる
+11ターンに、土地を2枚以上プレイする
+1マナを生み出すアーティファクトを5個以上コントロールする
やってやったぜ!
+1自分のターンを飛ばす
+1コイン投げをさせられるカードを使う
+1プレイヤーの墓地を追放する
+1打ち消し呪文を打ち消す
+1呪文または能力の対象を移し替える
+1自分の統率者を破壊または追放する
+1対戦相手のパーマネントを手札に戻す
+1対戦相手のパーマネントをライブラリーに戻す
+11ターンに100点以上のダメージを与える
+1カードを変身、フェイズ・アウト、変異、または予示する
+1呪文を0マナで唱える
+11ターンに、パーマネントを3つ以上生け贄に捧げる
+1自分がコントロールするクリーチャーに-1/-1カウンターを置く
殿堂候補
+2ゲーム中で一番派手なプレイをする(プレイヤー全員による投票)
+3自分のターンを、墓地のカードタイプ7つ以上入っている状態で始める
+3プレイヤーを、自分の統率者でやっつける
+3自分のターンを、トークンでないアーティファクトを20個以上コントロールしている状態で始める
点数から引く
-12回以上、追加ターンを続けて行う
-5ゲームを開始してから5ターン目よりも前に、プレイヤーをやっつける
-1対戦相手の土地を破壊または追放する。ただし以下は例外とする
1) その土地は3色以上のマナが生み出せる
2) その土地はマナを生み出さないか、マナを生み出す以外の能力を持っている
3) 土地以外のタイプを持っている
-5起動コストを含めずに3枚以下でなるコンボでプレイヤー1人以上をやっつける。必要に応じて、ヘッドジャッジが判断する
合計

 
スコアシート印刷用

 なお、このシートは最近使われていたものですが、毎月若干項目が変わります。例えば、『エルドレインの王権』が発売されてから「やってやったぜ!」のところに「当事者カード(出来事クリーチャー)をプレイする」が追加されました。あと、参加者からのフィードバックでシートが変わることもあります。常連客に送られる通知には、「次回から統率者リーグの項目を変えようと思ってます! 次の候補の中から一番好きなのを選んで教えてくださいね」というのがあって、そのとおり一番票を集めたものが追加されます。このように、リーグは安定して楽しめるものでありながら常に変化を遂げていきます。

 こんな感じで、毎週統率者戦を楽しんでいます。ここでせっかくなので、ウィザーズ・キープの店主のブローガンさんの愛用デッキを紹介したいと思います。デッキのコンセプトは、「コンボを決める青使いは嫌いだ! 本来のマジックはクリーチャーのぶつかり合いだ!」だそうです。

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店主のブローガンです。一緒に移っているのは、マジックフェスト・シアトルの後で遊びに来た、当時8歳で最年少でのグランプリの2日目進出を果たしている、アメリカで有名なダナ・フィッシャー/Dana Fischerです。


 
ブローガンの蜘蛛デッキ - 統率者:戦争織り、タンティス
統率者戦 (2019年10月)[MO] [ARENA]
1 《戦争織り、タンティス

-統率者(1)-

5 《
2 《
1 《
1 《Bayou
1 《草むした墓
1 《Taiga
1 《踏み鳴らされる地
1 《Badlands
1 《血の墓所
1 《新緑の地下墓地
1 《樹木茂る山麓
1 《血染めのぬかるみ
1 《ジャンドの全景
1 《野蛮な地
1 《森林の墓地
1 《根縛りの岩山
1 《竜髑髏の山頂
1 《特別観覧室
1 《尖塔の庭
1 《奔放の神殿
1 《疾病の神殿
1 《ガイアの揺籃の地
1 《死の溜まる地、死蔵
1 《ボジューカの沼
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《血に染まりし城砦、真火
1 《オパールの宮殿
1 《統率の塔
1 《ヴォルラスの要塞
1 《ならず者の道
1 《露天鉱床
1 《爆発域
1 《イス卿の迷路

-土地(38)-

1 《漁る軟泥
1 《棺の女王
1 《永遠の証人
1 《裏切り者グリッサ
1 《ゴブリンの名手
1 《蛇術師
1 《凄腕の暗殺者
1 《蠱惑的な船員
1 《開花の幻霊
1 《豪華の王、ゴンティ
1 《毒矢尻の射手
1 《黒薔薇の棘
1 《酸のスライム
1 《カストーディのリッチ
1 《オーランの凍り牙
1 《種子生まれの詩神
1 《隠れしウラブラスク
1 《決断の元型
1 《絢爛なビヒモス
1 《活力
1 《ワームとぐろエンジン
1 《怒りの座、オムナス
1 《囁く者、シェオルドレッド
1 《天空の独裁者
1 《サーボ・タヴォーク

-クリーチャー(25)-
1 《太陽の指輪
1 《思考の器
1 《師範の占い独楽
1 《吸血の教示者
1 《暗殺者の戦利品
1 《悪魔の教示者
1 《遥か見
1 《英雄的介入
1 《Raging River
1 《森の知恵
1 《蜘蛛の襲来
1 《無惨の饗宴
1 《永遠への旅
1 《クローサの掌握
1 《霰炎の責め苦
1 《毒の濁流
1 《ヨーグモスの意志
1 《霊気貯蔵器
1 《滅び
1 《死の収穫の儀式
1 《大会戦
1 《Living Plane
1 《無慈悲
1 《ピールの気紛れ
1 《Ritual of the Machine
1 《ウィンドグレイス卿
1 《Tornado
1 《ウィンドグレイスの裁き
1 《ボーラスの城塞
1 《戦争の犠牲
1 《精神隷属器
1 《冒涜の行動
1 《バジリスクの首輪
1 《稲妻のすね当て
1 《ダークスティールの板金鎧
1 《レンと六番

-呪文(36)-

 あまり見かけないカードが入っていて、なかなか面白いデッキです。自分のまわりのデッキがクリーチャーベースなら組んでみたいものですね。

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お店の看板


 

 次回のコラムでは、名古屋での出来事や面白話をピックアップしたいと思います。乞うご期待!

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