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2022年1月20日 禁止制限告知

Gavin Verhey
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2022年1月20日

 

告知日:2022年1月20日

パウパー

発効日:2022年1月21日(Magic Onlineおよびテーブルトップ。Magic Onlineは太平洋時間同日午前10時ごろ適用)

 禁止カード、制限カードのフォーマット別一覧はこちら


(原文注:以下はガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyによる禁止の説明です。)

 先週、パウパー・フォーマット委員会、略して「PFP」の発足の告知をした。これは変更のレベルを高めるために変更の推薦を行う、パウパーフォーマットで活躍するコミュニティのメンバーで構成された新しいグループだ。

 ちょっと前にこのグループが発足してから、数多くの議論、洞察、分析が行われて、それを伝えられることをことを私は誇りに思う。先週、私たちは推薦をまとめ、そしてさらに審査を行って今はこれを自身を持って成立させられる。私たち7人全員が「全会一致」で今回の禁止に賛成したんだ。

 私の解説を動画で観たいという方々は英語版の記事をチェックしてほしい。

 その他の方は、一緒に禁止の理由を見ていこう。

エイトグ

 私たちにとって一番目の、そして一番はっきりしていたことは親和から何かを禁止しないといけないということだった。主な理由は2つ。

1.《エイトグ》の使用率と影響はとてつもなく高くて大きい。それを計測する助けとして私たちはMagic Onlineのプレイ数を見てみた――そこでは最もプレイされているデッキで、次点でプレイされているデッキの2倍以上の使用率だったよ! 驚くべきは、これは全体的な勝率からすると支配的「ではない」のだけど、メタゲームが歪んでいることがこれが支配的ではない理由の1つになっている。《塵は塵に》はサイドボードに4枚入れるのが選択肢になっているカードだけど、メインデッキにも入りだしている。《無効》、《古えの遺恨》、《鋼の妨害》、《悪ふざけ》、《ゴリラのシャーマン》、《存在の破棄》などのカードはすべてサイドボードを埋めている。親和がパウパーに与えている影響はとても大きく、そして不健全だ。

2.親和のプレイパターンはとても一方的で不満がたまり、高速かつブロックできない方法で倒しにくることがありえる。その方法の多くは《エイトグ》と《大霊堂の信奉者》によって燃料を注がれる、もしくは《エイトグ》と《投げ飛ばし》か《結婚式への招待状》で決めるという「20点分カウントする」スタイルのものだ。時には、これに《呪文貫き》などの打ち消し呪文によるバックアップがついてくることもある。親和が強い初動をした場合(大体は《エイトグ》と複数枚の《大霊堂の信奉者》)、最初の数ターン以内に倒す準備が整う。

 《エイトグ》は愛されているカードだし、こいつが『アンティキティー』で初登場して以来楽しんできた人がいることも私たちは分かっていた。パウパーではこいつを使う機会があるから好きだって人もいる。なので、いくつか他の選択肢を探ってみることにしたんだ。

 まず最初に《大霊堂の信奉者》について話し合った。強い初動の多くは《エイトグ》と《大霊堂の信奉者》によって燃料が注がれている。でも《エイトグ》が本当に問題のあるカードということは変わらず、大量のダメージを叩き出せる自由に繰り返し使えるサクり台だ。《大霊堂の信奉者》がいなくなると《投げ飛ばし》や《結婚式への招待状》がもっと使われるようになるだけだと私たちは考えている。《大霊堂の信奉者》はこのデッキの古いバージョンのいくつかでは使われてさえいなかったカードだ。

 他に『モダンホライゾン2』の橋サイクルについても話し合った。これはつまり親和を『モダンホライゾン2』以前に戻すということだ。だけど、これにはいくつか問題があったんだ。

 まず、橋サイクルはパウパーにおいて別のクールなことをできるようにしている。《浄化の野火》とのシナジーを見かけて、これは今のところ強力だが楽しくて適正なパウパーの相互作用だ。「ラクドス金属術」のようなあまり見かけないデッキもあって、これは橋を効果的に使っている。そして今回の禁止によってこれらがもっとプレイされるようになるかもしれない。1つ2つ橋を禁止してみることもできたけど、この極めて局所的なアプローチは親和のプレイしている色の数を考えると問題が解決されるという保証がない。それに、私たちは瞬殺してくる《エイトグ》がいなくて橋を使った楽しいバージョンの親和があると思っている――この問題のほとんどが《エイトグ》による瞬殺のせいだからだ。

 《命取りの論争》についても調査をした。去年加わったこのカードは色マナを補助しながらこのデッキに追加の2枚ドローをもたらした。しかし、このカードはロングゲームへの耐性と息切れからの復帰の可能性を持たせるカードだ。これは現在のバージョンの親和とは逆に私たちが健全だと思っている長いゲームプランへと親和を向かわせる。

 《エイトグ》を禁止しない理由を探してみたけど、結局は禁止が明快で正しい選択のようだった。私たちは他のすべての選択肢を調査して《エイトグ》へと戻ってきたんだ。

 私たちは親和が今の《エイトグ》コンボで決める形とは違う《甲殻の鍛冶工》のようなカードを使ったアグレッシブな大型クリーチャー・デッキのバージョンに戻ることを望んでいる。そういうバージョンにも《エイトグ》が入っているのは分かっているし、代わりは簡単には見つからないけど、他にもまだたくさんの強力なアーティファクト関連のカードがあって、それらがもっと見かけられるようになるのは間違いないだろう。《大霊堂の信奉者》と《間に合わせの砲弾》で同じようなことができるけど、使うためにはマナがかかるね。

 最後に、《エイトグ》の禁止で気になる人もいると思うので《滞留者の相棒》についても話しておこう。私たちは将来の禁止制限告知で《滞留者の相棒》このデッキに戻すことができるチャンスは十分にあると思っている。でもすぐにそうしたいとは思っていなくて、まずは今回の禁止の後に親和がどう変わっていくかを待ちたいと思っている。

 親和から禁止が出るのを予想していた人は多かっただろう。その他の禁止についてはもっと説明がいるので、そのあたりを掘り下げていこう。

眷者の装飾品》と《予言のプリズム》の禁止について

 《エイトグ》の禁止が固まって、私たちは浮上してきて新しく問題になりそうなデッキを探した。「ウルザトロン」から何か禁止する必要があるということで全員の意見が一致した。その理由はたくさんある。

  • データを見れば「トロン」がとても強力なのは明らかだ。Magic Onlineのリーグでの勝率は最高クラス(「トロン」のほうが対策が薄かったとはいえ、「親和」よりも勝っている)で、サイドボード後の勝率を見てみるとほとんどすべてのデッキに有利をつけている。
  • 1ゲーム目では「親和」は「トロン」に有利だった。サイドボード後は「トロン」が有利になるけれども、大量のカードがサイドインされる。「親和」が大幅に弱体化されると、「トロン」のサイドボードのスロットにまた余裕ができてこのフォーマットを支配するデッキになる。
  • 『モダンホライゾン2』以前、ほとんどのプレイヤーがパウパーが安定していると言っていたとき、「トロン」は最も支配的なデッキだった。
  • 「トロン」は多くのミッドレンジとコントロールを環境から叩き出した。なぜなら、「トロン」の生み出すマナの量とカード・アドバンテージと競り合うことはとても難しいからだ。
  • 去年影響を与えようとして《探検の地図》を禁止したけど、結局その禁止の影響はとても小さなものだった。

 私たちは「トロン」を弱めてなおかつ完全に消滅しないような禁止候補をいくつか調査した。いつかどこかの時点でトロンランドを禁止してデッキそのものを完全に排除することもありうるけど、そういう極端なステップに進む前にそのデッキパワーを減らす方法を見つけたいと思っている。では禁止されなかったカードと禁止を出した理由を説明していこうと思う。

 私たちは《一瞬の平和》に目をつけた。「トロン」はこのカードをアグロデッキに対して態勢が整うまでの《Time Walk》として使っていたからだ(「親和」が「トロン」に有利なのは《大霊堂の信奉者》や《投げ飛ばし》で戦闘以外で倒せるから)。このカードと《神秘の指導》のシナジーも問題になっていた。1枚の《神秘の指導》で戦闘が4回飛ばせて、それだけあれば必要な時間が稼げる可能性が高い。

 ところが、《一瞬の平和》には代わりがいくらでもあったんだ。《もつれ》は少し弱いけど《一瞬の平和》の役目を大体こなせる。次に、《中休み》も考慮に値するカードだ。親和がいなくなった後、「トロン」は単純に《石角の高官》をもっとプレイできる可能性が高くなる。それに《一瞬の平和》の禁止は「トロン」の対アグロの相性しか弱体化させない。

 他に目をつけたのは《神秘の指導》そのものだった。このツールボックス・エンジンはものすごい力があって、ロングゲームで必要なものを何でも見つけてくることができる。「フラッシュバックつき教示者」は確かに禁止しうるカードの条件を満たしている。だけど、《神秘の指導》を《強迫的な研究》や《禁忌の錬金術》のようなより普通のカード・ドロ―に置き換えると、この2つのうち後者は回答を求めてデッキを掘り進み、このデッキの汎用性は少し下がるものの多くの面で同じように強いままだ。そして最後に《神秘の指導》は以前「青黒コントロール」で使われていた。他の圧力のせいでメタからはほぼ消え去ってしまったデッキだが、どこかでコントロール・デッキを作るのを助けるために戻ってくることができるかもしれない。

 私は他に《神秘の指導》で持ってくることができてトロンを安定して揃えることができる《輪作》にも目を向けた。これは通常2枚プレイされている。だけど、これはこのデッキの安定性に少ししか影響しない。

 最後に、私たちはこのデッキが《記憶の壁》と《幽霊のゆらめき》か《儚い存在》で作り出せるループに影響する禁止に目を向けた。これらの「明滅」カードが将来パウパーの健全性に問題となる可能性もある。しかし、明滅カードにはかなりの種類があって(《幽霊のゆらめき》、《儚い存在》、《相変位》)、「トロン」デッキのプラン中では小さな役割しか果たしていなくて、《神秘の指導》で持ってこられる1~2枚だけ採用されている。これらはデッキを勝利に導くことができ、ロングゲームでのアドバンテージ獲得手段でもあるけれど、準備にかなりの時間がかかり、最後には他の勝ち手段に切り替えられてしまう可能性がある。

 しかし、私たちが選択肢を探していて「トロン」の動きで何よりも激しく強力なものが1つあった。それは大量のマナを揃え「そして」すべての色の最高のカードをプレイすることだ。「トロン」がすべての色を「タダで」使えるという事実は《眷者の装飾品》と《予言のプリズム》によって成立している。このデッキをすごく強くしているのは、《神秘の指導》を唱えてどの色のものでも最高の回答を探すことができて、サイドボード後に何にでもアクセスできることだ。パウパーの「トロン」は12枚の無色土地が特徴で、常に5色すべてのマナを出したいデッキだ。実際、これらはトロンのリストの多くで4枚フル投入されているの唯一のカードと言ってもいい(他には《熟考漂い》や《衝動》ぐらいだ)。

 《眷者の装飾品》は《予言のプリズム》よりも問題のあるカードだ。これは決して競技的な構築フォーマット向けではなく、統率者デッキのレアリティの都合でコモンなだけで、そしてこれによりトロンは息切れを起こさず、統治者デッキとコントロールの両方に対して余裕でペースを維持できてしまう。これは大問題だ。以前はこれらのデッキはトロンに勝ち目があったけど《眷者の装飾品》の追加によってマナが出るカードでロングゲームもカバーできるようになってしまった。デッキのプレイを見てみると、「ボロス統治者」は統治権を維持して毎ターン追加のドローをするために全力をかけているけども、一方「トロン」は肩をすくめながらマナ・アーティファクトでカードを引き続けるだけだ。

 《眷者の装飾品》の禁止について話し合いをしてきたけど、これで十分だとは思ってない――この「5色トロン」は《眷者の装飾品》ができる前から成功を収めてきた。《予言のプリズム》はトロン先生を始め、可能な限り多くの色を出そうとするデッキでは昔からある定番カードだ。これは「トロン」デッキでは非常に軽いコストでマナを整えてくれて、キャントリップまでついてくる。《虹色のレンズ》のようなカードを1枚使うものや、《彩色の星》のような戦場に残らないバージョンに戻ったとしても十分な変更だろうね。

 さらに、これが広く使われてる小さな理由が、別の強力なエンジンである明滅を助けるということだ。そして明滅はまだ死んでいない。《幽霊のゆらめき》は《予言のプリズム》があればいつでもキャントリップでき、そしてこの禁止によりトロンや他のデッキでの《幽霊のゆらめき》の強さが少し抑えられる。

 《予言のプリズム》は以前は「ボロス統治者」のようなフェアな他のデッキで使われていたけれども、《予備物資》などの他の2マナキャントリップつきアーティファクトができて、マナを無理に安定させる必要のないデッキからは抜けていった。

 より大きなフォーマット規模の話をすると、私たちは5色すべてを簡単に唱えられる「タダ」(キャントリップつき)のカードはこのフォーマットにとって不健全だと思っている。《予言のプリズム》はそれをしばらくの間やってきた。はっきりさせておくと、《マナリス》と《マナの大鉢》には問題はない。私たちは「《マナリス》が強すぎになるまで全部禁止する」道を進むつもりはない。問題なのはマナ出しとドローが組み合わさっていることだ。この理念は《アーカムの天測儀》の禁止と同じで、強さと色の両方にあまりにも楽にアクセスできるので複数のフォーマットで禁止されている。《予言のプリズム》は1マナ重いけれども、「トロン」みたいなデッキでは大した問題にならない。

 5色の件についてもっと見ていくと、《予言のプリズム》「も」、「親和」で(2枚か3枚)プレイされていて、あの5色デッキに燃料を入れているパーツの1枚だ。カードを損せずに多色を扱えることを考えると、最終的にこれが問題になるということが分かった。《予言のプリズム》が親和に入っていてその禁止が巻き添え被害を起こすことは許容範囲だし良い方向に働く可能性が高い。

 色を安定させるカードが禁止されて、私たちは大型クリーチャーを早く出すことに焦点を当てたティムール中心の「トロン」が増えると予想している。これは現在Magic OnlineでHorobiというプレイヤーが使っている「続唱トロン」と呼ばれるバージョンで《大渦の巨人》や《乗り込み部隊》や《苛立つアルティサウルス》などのカードで強力なゲームプレイが見られるけれど、現在の5色トロンよりも対策がしやすい。昔、「ファングレン・トロン」というティムールの似たようなデッキがあって、健全なパウパーのトロン・デッキとして広く受け入れられていた。

 最後に、親和の《滞留者の相棒》みたいに《探検の地図》も今後の禁止制限告知で戻ってくる可能性があるけれども、トロンに何かカードを戻す前にメタゲームとトロンがどうなるかを見たいと思ってる。

予定表

 この禁止がどういうふうにフォーマットに影響を与えるかについてたくさん話してきたわけだけど、私たちはこれがパウパーに多くの動きを起こすと予想している。次に何が起こるかを確かめるのは大変だ。

 フェアリー、統治者、明滅中心のデッキなど以前強かったデッキは今回の禁止で影響を受けてない。これらのデッキが成功するかもしれないし、これを捕食するデッキのうち1つ(もしくは他のデッキ)が上位の席にに来るかもしれない。今回の大変更からずっと先の段階を見越すよりも、まずこの禁止を実行してこのフォーマットの動きとどんなデッキが上がってくるかを見てみようと思う。それから『神河:輝ける世界』のプレビューと発売の期間中にフォーマット全体を監視する。短期間に追加で変更がある場合は、今回の禁止と『神河:輝ける世界』のメタゲームへの影響を見てから3月に行う可能性が最も高い。

 もし君が意見や質問があるなら、PFPのメンバーはそれを歓迎するよ。私たちは君が新しいパウパーをを楽しんでくれることを願っているし、何が出てくるのかチャレンジ(そのうち1つは今週末だ!)を見るのを楽しみにしている。

 パウパー・フォーマット委員会を代表して、ガヴィン。

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