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開発秘話

Play Design -プレイ・デザイン-

Mファイル『イコリア:巨獣の棲処』編・人間とその他

Jadine Klomparens
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2020年4月30日


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 Mファイルへようこそ! 私はジェイディーン・クロンペアレン/Jadine Klomparens、あなたに『イコリア:巨獣の棲処』のカードがどのようにしてそうなったのかの舞台裏を見る定期記事をお届けするためにここに来ました。今回は『イコリア』がもたらした巨大な怪物たち以外のものを取り上げていきます。

 ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのマジックのデザイナーは、私たちが作っているカードについてコミュニケーションを取る助けとなるたくさんの手段を使っています。そのうちの1つであるドレイクは私たちが個別のカードについてのコメントを残す内部のデータベースです。ドレイクのコメントはデザイナーの気にしたことなら、変更が行われた記録や共有するべき懸念、もしくはただ単に「これはすごい」でも何でもありです。これらのコメントはマジックのカードを作るための仕事のほんの一部を反映しているに過ぎませんが、アイデアができたところからカードとして完成するまでの数か月に渡る旅路の全体像を感じさせてくれます。

 こちらをクリックすると今回のコメンテーターをご覧いただけます。

 では行ってみましょう!


一心同体

DGH: 新作。
DGH: +1/+0を追加。
ABRO: 構築フォーマットでクールだ。
DGH: ーN/ーN効果を回避するためにこれが+1/+1になる可能性はある?
DGH: 計算(?)のために+1/+1に変更。

 『イコリア』に取り組んでいる間、私はずっと3つの事柄を考えていました。人間、怪物、そして人間と怪物です。一部の人間と怪物が協力するというアイデアは、このセットのテーマにとって重要なものでした。なので私たちはそれを表しているカードが存在するようにしました。《一心同体》はそういうカードの1枚であり、プレイデザインが特に興奮したカードです。

 《一心同体》のような防御的な対除去呪文は、クリーチャー除去を大量に積んでいる戦略に対抗する選択肢として、私たちがほとんどのスタンダード環境で欲しいと思う楽しいカードです。このようなカードを作るときの問題点は、このデザイン空間のほとんどのデザインがお互いにとてもよく似てしまうことです。この防御をするというデザイン空間で独自性を出すことは簡単ではありませんが、《一心同体》の人間か人間以外もしくはそのどちらも守る能力は、防御呪文を新しくエキサイティングな方法で実行可能にしました。


心を一つに

DSJ: これか人間と人間以外の両方をコントロールしているとおまけが付く《予期》を試すことができる。コストが1マナ軽くなるかドローする枚数+1のどちらか。
DGH: 今はコストが1マナ減らすほうを試してる。
DSJ: 私はドラフトで予想よりずっと良かった。これは達成するためのクールな「サイドクエスト」を加え、そしてクリーチャー・タイプに関連する事柄を思い起こさせる。
VERHEYG: これは本当に楽しめた。構築フォーマットでも楽しそうだ。
DGH: 2マナ軽くなった。
MMAJ: 楽しいデッキを組むクエスト。
DOUGB: これにつくアートが大好き :)

 『イコリア』のセットデザインのある時点では、もっと多くの「人間と人間以外が協力する関連のこと」のカードをファイルに入れようとする動きがありました。《一心同体》のようなカードは、それをするためにまとめて作られたカードです。他にも美学の一体感を強調するために元々のデザインから修正されたものがあります。《心を一つに》は《予言》の再録としてファイルに入れられましたが、全く別物として印刷されました。

 修正されたカードに対する私たちの取り組み方は、さまざまな報酬を試し、そしてプレイテストでどんな人たちがそれを好むかを見るというものでした。《心を一つに》のマナ軽減は私たちが試した報酬の中で最も楽しいもののひとつだということ分かり、そして新しいテキストが定着することがすぐに明らかになりました。実際、私たちはリミテッドでこれが大好きで、同じように構築フォーマットでも試してみたいと考え、そしてデッキの軸にして報酬が見合うようにようにコスト軽減を2マナに増やしました。


イルーナの神話

DGH: 穴埋めからの新作。
DGH: 対戦相手のものも対象に取れるように変更。
DGH: 土地以外なら何でもコピーできるように変更。
DGH: 土地もコピーできるように。
DGH: これを唱えてトークンが出てくるのに対応できないのはおかしいと思ったので「そうしたとき」を追加。このテンプレートで大丈夫か?
ELI: 私はいいと思う。
DGH: クリーチャー・トークンは格闘能力を得て、これはその後のクローンが使える(自分が唱えるこれ以降のの神話も含む)。この最近の変更の中で比較的意味のある機能的変更の1つ。

 神話サイクルにおいて、私たちは単色や2色のデッキがプレイすることを考慮するけれども、3色すべてにアクセスできるデッキが追加の力を開放できるカードが欲しいと考えました。具体的に私たちは、この呪文の強化をするためだけに時々3色目のマナにアクセスできる2色デッキでこれらが魅力的になるように多くのことを考えました。この目標は私たちの選んだ3色で強化される効果に大きな圧力をかけました。それらは3色で唱えることに意味が感じられるようにエキサイティングで十分な強さを持っている必要があったのですが、強すぎるとそのボーナスが達成できずに唱えた場合に価値がないと感じてしまうので、あまり強くすることはできませんでした。

 《イルーナの神話》は押さえつけるのが難しかったもののひとつです。強化されていれば元のカードのコピーであるトークンを作り格闘するという基本的な仕組みは良かったのですが、細かい部分が難しかったのです。格闘するというのはかなりの強化なので、元の呪文が強化なしで唱えることに価値があるようにするためには少し時間がかかりました。これを達成するために、私たちは元の呪文に満足行くようになるまで、コピーできるものの範囲をゆっくりと広げていきました。それを行った後、私たちはもう一度格闘能力のタイミングの問題を見直しました。元々、格闘能力は《イルーナの神話》の効果の一部でしたが、それはつまりトークンが生成されて格闘が終わる前に対戦相手が除去を使ってそれを邪魔するタイミングがないということでした。私たちはそのようなゲームプレイを好まなかったので、《イルーナの神話》に行われた最後の変更は対抗手段を講じる時間があるようにするテンプレートの変更でした。


無情な行動

AP: このカード好き。アンコモンがふさわしいかな? 《英雄の破滅》に極めて近いことを踏まえると、強すぎるかもしれない。{1}{B}{B}がいいと思う。
DGH: アンコモンに移す。
GFAN: 最初のプレイテストで、このカードが「+1/+1カウンターが置かれていないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する」と思ってた。キーワード・カウンターもカウンターだということに気が付かなかった。
ABRO: エキサイティングなカード。これはソーサリーになるのではないかと思っている。しかし私はこの割合で試したい。
DSJ: そうならないことを願うよ。私はこれぐらいが我々が{1}{B}の除去に求めているパワー・レベルだと思う(参考までに、私は実際《喪心》は弱すぎると思う)
KEN: 「カウンター無効」
ABRO: モード式に。より強い2マナインスタント速度の除去カードが求められている。ダグとコンセプトについて話す。
NKM: これはヴィンテージで強いかもしれない。「Shops」のクリーチャーに強い。

 マジックには、わずかな例外を除いてどんなクリーチャーでも倒せる黒の2マナインスタント除去呪文の長く壮大な伝統があります。そう、《破滅の刃》《喪心》《夜の犠牲》《究極の価格》に《無情な行動》という新しい友達ができたのです。私たちは環境の除去のカードパワーを短い周期で保つようにしていて、『イコリア』では強力な黒の除去呪文を導入する時期が来ていました。

 元々のデザインの《無情な行動》はクリーチャーからカウンターを3つ取り除くモードを持っていませんでした。そのバージョンは強力なカードでしたが、環境にカウンターが置かれて出てくるクリーチャーの数が、私たちがこれを本当に上質な除去呪文だと思えるよりもちょっと多すぎることが分かりました。私たちは《無情な行動》がもう少し幅広い範囲をカバーできるようにしたかったので、カウンターを取り除くモードをつけました。今はどんなクリーチャーが出てきても《無情な行動》はそれに対して何らかの対処をすることができます。


絶滅の契機

DGH: 強すぎるか? 4マナ? 追放をつけるか? もしくは他のテキスト?
DGH: {1}{B}{B}→{3}{B}。
DGH: 追放をつけた。

 ドレイクのコメントが欠落していますが、《絶滅の契機》はプレイデザイン・チームのメンバーの間で幅広い議論が行われたカードです。このようなデザインは、排除する必要のあるものを排除するけれども、戦場に対戦相手のものがある程度残る全体除去型の効果として、この環境でクールな役割を果たすことができます。また私たちは必要ならばこれが奇数や偶数の相棒デッキに対する安全弁として使用可能なことにも興奮しました。

 これを達成するためには、《絶滅の契機》に《空の粉砕》のような伝統的な全体除去よりも優先して使う説得力のある理由をつけることが必要でした。私たちが思いついたのは、戦場全体に対処する能力と、戦場で最も気になる部分を確実に対処する能力とを引き換えにすることでした。《絶滅の契機》を破壊から追放に変更することにより、私たちは《絶滅の契機》が《空の粉砕》で対処できないクリーチャーを確実に対処できるようにし、そしてどちらの全体除去をプレイするかという選択をより興味深いものにしました。


火の予言

DGH: 占術をルーティングか「マリガン」にするか?
ABRO: ここではそれに賛成だ。
DGH: どっちがいい?
DSJ: 私はロンドン・ルーティング(デッキの底)がいいと思う。《孤光のフェニックス》みたいなのを達成したかったらもっとみんなに頑張ってデッキを組んで欲しいと思う。
ABRO: 占術→ロンドン・マリガン。

 《火の予言》は《ヤヤの挨拶》の同型再録として『イコリア』のファイルに入ってきましたが、私たちは何か他のものを試したいと考えました。このカードの基本的なデザインはリミテッドでうまく機能していたので、私たちが興味を持ったのは占術の部分を別のタイプのカード選別に交換することだけでした。ロンドン・マリガンは完全にプレイヤー間に広まり、私たちは「デッキの底」のテクノロジーを他の場面で掘り下げることに興味があったので、《火の予言》でロンドン・ルーティングを試してみることにしました。私たちはこれの使われ方と、このテキストがカードに残ったことを気に入っています。


安堵の再会

DGH: サイクリングとは分けるように変更。『カラデシュ』の再録。うまく行けばここでもコンセプトはうまくいく。
DGH: 《禁じられた友情》の話の第3章かもしれない? 何が2章かはよく分からないが。
DOUGB: ははは、すごいな。
ID: 《胸躍る可能性》を考えると赤のルーティングが多すぎるかもしれない。テストはできる。
MJJ: 《発展》のいい的のひとつ。

 同じ効果のバリエーションを印刷することのリスクの1つを、プレイデザインは「臨界量」問題と呼んでいます。いくつかの効果は、同じスタンダード環境の中で私たちが欲しいだけ印刷しても安全です。例えば、もし《火の予言》のバリエーションをある環境で印刷したい場合、その効果を16枚詰め込んだデッキが強くなることを心配しなくてもかまいません。しかし4つのバージョンの《サバンナ・ライオン》を印刷する場合、白のアグロがスタンダードで強いデッキの1つになると想定されます。

 《安堵の再会》が『イコリア』のファイルに追加されたとき、私たちは『エルドレインの王権』の《胸躍る可能性》を踏まえると潜在的な臨界量のリスクがあると警告を発しました。私たちには8枚の赤のルーター呪文にアクセスできることが、どれほどこの効果を使うデッキを強化するかはっきりとは分かりませんでしたが、見つける必要があることは分かっていました。テストの後、《安堵の再会》と《胸躍る可能性》の両方があるのは楽しいことであると分かり、《安堵の再会》はファイルに残されました。


怪物の代言者、ビビアン

DSJ: このデザインを5マナで満足行く数字の設定にできると思う?
DGH: 5マナで試してみる。[-2]→[-3]、忠誠値4→3。
PC: これを出すのは超エキサイティングだ。
MMAJ: 「次の」は一番簡単なつまみだ。《実験の狂乱》のバリエーションとして、すべての1マナと2マナをプレイすることを奨励することにならないか心配だ。素敵なカード。
DGH: 先回りで「次の」に変更。いい指摘だ。
HINDY: これは出したカードと同じのを持ってこられるようになってるの?
DGH: 「違う名前の」を追加。文字数が収まるか要チェック。
DGH: 名前を参照しないテキストに変更して、それが機能するなら「小さい」CMC? もし駄目ならまた収まるかどうか?
DGH: [-3]→[-2]。

 ライブラリーから探すことができる効果が最終的にどのように使われるかを見るのは、いつも興味深いことです。このような効果を持ったカードがファイルに現れたとき、それがさまざまな使い方でプレイされることは容易に想像できます。それらの使い方が結果的にゲームを楽しいものにするように、それらのカードの最強の使い方を考え出すのがプレイデザインの仕事です。私たちがプレイした《怪物の代言者、ビビアン》のマイナス能力の最初のバージョンは、今唱えたクリーチャーと点数で見たマナ・コストが同じクリーチャーを探すことができました。これは考えてみるのは面白かったのですが、実際にやってみるとほとんど全部の場合で同じクリーチャーをもう1体出したくなりました。

 このプレイパターンはかなり強力ですが、これに関する私たちの大きな懸念はとても楽しくないということでした。デッキに探して持ってくるために用途の狭い効果のツールボックスとして大量の1枚挿しカードを入れることを奨励する教示者効果は素晴らしいのですが、ビビアンはそれとは逆でした。これを修正するために、私たちはまず探すクリーチャーを違う名前の同じ点数で見たマナ・コストにしてみました。このバージョンの問題点は、高マナ域で幅広い名前のクリーチャーをプレイするのが本当に難しいという点でした。ビビアンの最も自然な動きのひとつは、5ターン目に彼女をプレイして6ターン目に6マナクリーチャーを唱えるためにマイナス能力を使うことですが、スタンダードのほとんどのデッキは何種類もの6マナクリーチャーをプレイするのに苦労していました。

 その後、私たちが試した次のバージョンは、唱えたクリーチャーよりも点数で見たマナ・コストが小さいクリーチャーなら何でも探すことができました。3マナの用途の狭いクリーチャーデッキに入れた場合、それより大きなクリーチャーなら何でもそれを見つけて来られることを知って、とてもこのバージョンを気に入りました。これによりビビアンのマイナス能力は、デッキに探してくる対象となるツールボックスを入れることを奨励するために必要だった安定性を手に入れました。このバージョンのビビアンのマイナス能力は、コストの軽いクリーチャーを持ってくるため素のパワーの面で少し弱くなったので、その埋め合わせとして忠誠値のコストが[-3]から[-2]になりました。


髑髏の予言者

ABRO: ナイスカード。
DSJ: 3枚削れるようにできる?
DGH: FFLではETBセルフミル効果は臨界量か?
DGH: ETBから2つ目の起動型能力に、2枚削りから1枚削りに。
DSJ: 3/1は面白いマナ・クリーチャーのスタッツかもしれない。前にもやったことがあるかな? いくらかパワーを戻せるかもしれない。
DGH: 分かった。2/1→3/1。
HINDY: 2つの能力を組み合わせることはできる? これはなぜか気になる。
DGH: マナの巻き戻しが簡単なのでこっちのほうがいい。削るのを2枚にできるか?
DGH: 2枚削るように。

 もともと、《髑髏の予言者》のライブラリーからカードを墓地に置く能力はタップ能力ではなく戦場に出たときの誘発型能力でした。何度かテストをした後、私たちは《髑髏の予言者》が構築フォーマットで『テーロス還魂記』の脱出と組み合わせると私たちの望むよりも強力であることを発見し、そしてこの相互作用の強さに制限をかけるために起動型能力のバージョンに変更しました。私たちは《髑髏の予言者》にこの環境の他のマナ・クリーチャーにはできないことをさせたかったので、攻撃的な可能性を与えるために3/1のスタッツを与えました。

 他にここで強調しておきたいことは、このライブラリーを削る能力をマナ能力の一部ではなく独自の起動型能力にしたことについてです。マナ能力は最も頻繁に巻き戻される能力というだけでなく、いろいろな意味でマジックにおいて少し特別なものです。プレイヤーがマナをいじりながら呪文を唱えて、完璧な支払い方法にになるまでタップとアンタップを繰り返すのは非常によくあることです。そういうわけで、私たちは巻き戻しにくい効果をマナ能力につけることを避けようとしていて、そしてライブラリーの上から2枚をめくって墓地に置くことはかなり巻き戻しにくいということが分かりました。


死のオアシス

DGH: また変更。新カード。《屑鉄さらい》の転生の部分。
ABRO: ETBで《死者再生》追加。
DGH: 《死者再生》を削除、《疫病造り師》のテキスト追加。
DGH: 《疫病造り師》を削除、生け贄を追加、セルフミルを追加。
DGH: 「トークンでない」を追加。

 《死のオアシス》は最初、あなたがコントロールしているクリーチャーが死亡したときにそれよりも点数で見たマナ・コストが小さいクリーチャーを墓地から手札に戻すテキストだけを持っていました。そのデザインはエキサイティングに思えましたが、プレイするとそのエキサイティングさがあまり伝わってきませんでした。《死のオアシス》を唱えるためにターンを使いながら自分の墓地を増やすことはとても難しいということが判明しました。このカードにはもう少し何かが必要だったので、いくつかのことを試してみました。最初の試した2つのものはクールでしたが、実際にはカードを送る安定したエンジンを得る助けにはなりませんでした。

 エンジンが回り始めやすいようにするため、私たちはこの効果に墓地を増やす効果を追加しました。これで、実際に何も手札に戻せなかったとしても、クリーチャーが死亡すると何らかの恩恵を受けることができます。私たちはこのカードの効果には満足しましたが、このカードのエンジンが回りすぎてライブラリーが枯渇しゲームに負けてしまうのではないかということを心配しました。このカードには解除する手段が欲しかったので、これの仕事が完了ししたらこれをテーブルから降ろせるように生け贄に捧げる能力を追加しました。


ドラニスのクードロ将軍

TABAK: 確認ですがクードロは自身を生け贄にできてもいいんですか?
DGH: 確認済み。
TABAK: クードロの本気ですね。
DGH: もうちょっとだけやれることを増やしたい。
DGH: 墓地対策を追加。
ELI: この誘発条件は「あなたのコントロール下で」をつけるべき?
TABAK: そうだと思いますよ。.
HINDY: 脱出に対してついでに強すぎる感じがする。それが良いか悪いかは分からない。
DGH: 最後のをクリーチャー2体から人間2体に変更。

 《ドラニスのクードロ将軍》に関するプレイデザインの興味深い仕事は、これの墓地対策のテキストが環境にとって良いか悪いかを判断したことです。《ドラニスのクードロ将軍》の墓地対策はプレイデザインが「巻き添え被害」と呼んでいるものの素晴らしい例です。《ドラニスのクードロ将軍》の墓地対策のテキストは、それ自体を目当てにしてデッキに入れるぐらいの強さではありません。意識しているのが墓地対策ならもっと良い選択肢はたくさんあります。しかし、《ドラニスのクードロ将軍》の強さは、人間デッキが墓地対策のために何もしなくても勝手に効果的な墓地対策ができるところにあります。

 私たちはすべての戦略にそれらを倒すために行える対策があるようにしたいと考えていますが、その対策のために他の何かを差し出さなければならないようにしたいとも考えています。ある戦略に対する巻き添え被害がその環境に十分散りばめられていたなら、誰もその戦略を倒そうとしなくてもそれが成功を収めるのはとても難しくなります。逆に、対処しにくい戦略に対する少量の巻き添え被害はそれらの戦略を相手にしていて楽しいものにする助けになります。《ドラニスのクードロ将軍》をプレイしてこの環境の検討を行った後、この環境には心配するほどの量の墓地に対する巻き添え被害はなく、《ドラニスのクードロ将軍》の墓地対策テキストを印刷するという結論を出しました。


奇妙な根本原理

AP: これ好き。CMCを7までにしてもよい? よくない?
VERHEYG: ナイス!
DGH: 大差でレア投票に勝利した。
DSJ: これでデッキを組もうとしたが、手札からコンボで殺すシナリオを除けば《死の頂点、ネスロイ》のほうが強いことが分かった。これらのデザインは近すぎて、どちらかを選ばないと駄目な気がする。
DGH: CMCから名前に。
DMUS: ワオ。エキサイティング。
DOUGB: 素敵なテキストだ! エキサイティング。

 『イコリア』では、私たちは『アラーラの断片』で始まった根本原理サイクルを完成させるチャンスを得ました。何年も前に始まった象徴的なサイクルを完成させることは難しい仕事になる可能性があります。新しいカードは古いカードの評判や、長年のプレイによって支えられた評判に応えなければいけません。私たちは根本原理にできるぐらいすごくて、スタンダードで適切なパワー・レベルのテキストに出会うたびに、それをこのセットで機能させるために戦ってきたと言ってもよいでしょう。

 もともとのテキストの《奇妙な根本原理》は点数で見たマナ・コストが異なる各パーマネントを戦場に戻すものでした。このカードは社内で大人気でしたが、墓地からパワーの合計が10以下で好きなだけクリーチャーを戦場に戻してくる《死の頂点、ネスロイ》と不幸にも似通っていました。これを修正するため、私たちは《奇妙な根本原理》を強化して点数で見たマナ・コストではなく、名前が異なるカードを戻すようにしてこの2枚のカードの違いを大きくしました。これにより《奇妙な根本原理》は数字を意識するのではなく、さまざまなクールなものをたくさんプレイすることを意識するようになり、そして全体的に強化されました。

 以上でMファイル『イコリア:巨獣の棲処』編は終わりです。みなさんが楽しんでくれることを願います。ではまた次の機会にお会いしましょう!

(Tr. Takuya MASUYAMA / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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