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第一印象:『ラヴニカのギルド』フューチャー・フューチャー・リーグ
2018年10月19日
「第一印象」へようこそ! これは(Mファイルのように)年4回セットが発売されたときに、プレイ・デザインのデッキリストと最近のセットのフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL)集中期間での彼らの思考過程を紹介する、定期的に掲載する予定の記事だ。「FFL集中期間」とは、我々がカード・ファイルに競技的なバランスの微調整のほとんどを行うセットデザイン中の3か月間のことだ。
アンドリュー・ブラウン/Andrew Brownは『基本セット2019』の記事のときに数か月後に戻ってくると約束したのだが、皆は代わりに私を押し付けられたんじゃないだろうか。
ラヴニカへの再回帰、ローテーション、そして誇り
『ラヴニカのギルド』の発売を通して起こったことはミクロとマクロ両方の視点でたくさんある。まず、ラヴニカは素敵だ。そして雰囲気とメカニズムの実行の観点での一定水準の期待を伴ってギルドが戻ってきた。
『ラヴニカのギルド』は以下の5つのギルドを取り上げている。
- ボロス(赤白)
- セレズニア(緑白)
- ゴルガリ(緑黒)
- ディミーア(青黒)
- イゼット(青赤)
残る5つのギルドは今後発売予定の『ラヴニカの献身』で取り上げられる。
次に、スタンダードのローテーションが起こった。さあ、『カラデシュ』と『アモンケット』に別れを告げて、多色の良さを抱きしめる時が来た! ローテーション後の5セットでのスタンダードでは、秋セットがそのフォーマット内に占める割合が原因となって自然と強調される形になる。ギルドとマナ基盤としてのそれらの持つショックランドに焦点を当てるということは、新しいフォーマットでの初期探索の過程においてそれら2色の戦略に自然と引き寄せられるということだ。
導入の最後に、個人的な記録として『ラヴニカのギルド』は私がプレイ・デザインの一員として開発全体に参加した初めてのセットでもある。ここまでのプレイヤーのカードへの反応を見るのはすごい経験であり、皆が私が楽しんだのと同じぐらいこのセットをプレイすることを楽しみ続けてくれることを願っている。
それではデッキリストを見ていこう。
ボロス
ボロスのプレイヤーは攻撃したがっているが、それらは彼らが少々の複雑さを楽しまないということではない。教導はアグレッシブであることに報酬を与える、戦場の複雑さを作り出す完璧な連携だ。我々が新しいデッキのテスト過程で頻繁に戦わせていた基本となるアグレッシブなデッキの1つが、教導を持った2体の鍵となるクリーチャーを特徴としたボロス・デッキだった。
6 《山》 6 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 4 《手付かずの領土》 -土地(24)- 4 《ゴブリンの旗持ち》 4 《空渡りの野心家》 4 《アダントの先兵》 4 《ボロスの挑戦者》 4 《軍勢の切先、タージク》 3 《軍勢の戦親分》 3 《正義の模範、オレリア》 -クリーチャー(26)- |
4 《ショック》 2 《溶岩コイル》 2 《議事会の裁き》 2 《暴君への敵対者、アジャニ》 -呪文(10)- |
《軍勢の切先、タージク》は「あなたがコントロールしている他のクリーチャーに与えられる、戦闘ダメージでないダメージをすべて軽減する」がつくまでに、さまざまな反復工程を通ってきた。これはデッキにさらなる角度を加える2つのことを達成した。ボロスのプレイヤーにダメージを与える全体除去に対する追加の絶縁体をもたらしたこと、そして教導のプレイパターンを強化したことだ。私がダメージ呪文を持っている場合、対戦相手がどのように戦場にいるタージクの教導の誘発を活かすか選ぶことをもう待てなくなってしまった。攻撃クリーチャーが宣言される前にタージクを必ず除去しなければいけない。
《正義の模範、オレリア》の開発の大部分は、彼女が4マナクリーチャーとして戦場に何らかの影響を即座に与える必要があるということを我々が理解するところから始まったが、我々はボロスのカードに速攻で過負荷をかけることには興味がなかった。彼女の戦闘開始時の誘発型能力は、単体の脅威として強力でありながら先に戦場に出ているものがあるときにも強くなる良い妥協点だ。
過程の後半、オレリアは決定的な5点目のタフネスを追加された。『ラヴニカのギルド』での《溶岩コイル》の主な役割の1つは、『イクサランの相克』のオールスターの一員である《再燃するフェニックス》に対する追加の対策を供給することだった。我々は《再燃するフェニックス》のこのフォーマットでの存在がオレリアの活躍する機会をついでに奪うことは望んでいなかった。最終的には、メタゲームが回ったときに大いに満足の行くものになった。ボロス・デッキのプレイする4マナ域はメタゲームの様相とプレイヤーたちがそれぞれの週末に選んだ除去の種類によって流動的なものになるだろう。
こぼれ話:ドナルド・スミス/Donald Smithはすぐに我々の《手付かずの領土》向けのクリーチャー・タイプの番人になった。最終的にマジックのカードに選ばれたクリーチャー・タイプには多くの意味があり、《手付かずの領土》のようなカードがスタンダードにある場合なおさらだ。ボロス・デッキでどのクリーチャーをプレイするかを選ぶ手段はたくさんあるが、ドナルドは彼のマナ基盤を最大限に活かすためによく兵士を選択していた。
セレズニア
召集は過去のラヴニカのセットから『ラヴニカのギルド』再録された唯一のメカニズムだ。全部新しいメカニズムにするとか、いくつか再録するとかといった特別な目標があったわけではない――マナを払うためにクリーチャーをタップするのが正しい感じがするとセットデザインが単純に判断しただけだ。
8 《森》 6 《平地》 4 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 -土地(22)- 4 《ラノワールのエルフ》 3 《協約の魂、イマーラ》 2 《茨の副官》 1 《シッセイの後裔、シャナ》 2 《管区の案内人》 2 《秋の騎士》 2 《豊潤の声、シャライ》 4 《敬慕されるロクソドン》 2 《不和のトロスターニ》 -クリーチャー(22)- |
2 《軍団の上陸》 4 《ベナリア史》 4 《議事会の裁き》 2 《大集団の行進》 4 《開花 // 華麗》 -呪文(16)- |
このセレズニアのデッキは私がその出来栄えを特に誇らしく思う2枚のカードを特徴としている。1枚目は《開花 // 華麗》で、プレイ・デザインが多くの手間をかけたが、最終的な出来栄えにはとても満足したカードだ。分割カードでよくあるように、《開花 // 華麗》のどちらの半分も構築フォーマットのデッキで使うのに十分な強さではないが、序盤のドローを円滑にし、後半は相手を倒す機会を与えてくれるというのか? それをカード1枚で全てできてしまう。
《秋の騎士》も同じようなものだ。選択肢がどれか1つに偏らないモードを持つのカードを作るのが理想的であり、そのさまざまな状況での追加の汎用性はそのカードをデッキに入れたくさせる。《秋の騎士》はそれをメイン・デッキに入るアーティファクトとエンチャント対策(1ゲームマッチのMTG Arenaにとっては朗報だ)と、標準より少し下のサイズのクリーチャーか、ライフを獲得する能力によって達成しようとした。これは自分が有利でも不利でも使える選択肢だが、どの役割においても最も効果的な選択肢となることはない。
すべてをくっつける接着剤であり、プレイ・デザインの「素晴らしい3マナ域」の議論の主題である《管区の案内人》のことを叫ばずにこの議論を終わらせることはできない。この話は次のリストへと続く……
ゴルガリ
公開されているデッキリストを見ればすぐにわかるが、ゴルガリのデッキ構築にはとても多くの手法が存在する。これは私のお気に入りの一例であり、親しみを込めて「黒緑トラクション」という名で知られている。
8 《森》 5 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 2 《愚蒙の記念像》 1 《廃墟の地》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《光胞子のシャーマン》 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《管区の案内人》 3 《貪欲なチュパカブラ》 2 《ゴルガリの拾売人》 3 《地底王国のリッチ》 2 《千の目、アイゾーニ》 1 《腐れ巨人》 -クリーチャー(27)- |
2 《暗殺者の戦利品》 3 《採取 // 最終》 2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 2 《ビビアン・リード》 -呪文(9)- |
私は《管区の案内人》が大好きだ。
宿根と墓地を最大限に活かすには多くの方法がある。プレイ・デザインは《千の目、アイゾーニ》の虫の群れや強烈な《ロッテスの巨人》の誘発で終わったゲームを多数行ったが、このデッキは前者に寄っていて、2対1交換を積み重ねて対戦相手をゆっくりと、しかし確実に削っていく古典的なゲーム・プランを取っている。
《光胞子のシャーマン》は《開花 // 華麗》と興味深い類似点がある。前段カードは墓地を使うデッキにとって特に重要であり、何枚か前段カードを引いても軌道に乗ることができず割高な受益カードを唱えるときには失望感を抱くことがある。《光胞子のシャーマン》はシナジーを働かせ、確実に後半戦に移行できるように土地を戻すことを許可することでその格差を埋めようとしている。パワーが3あるので戦闘で相打ちを取ることでも効果的なカードであり、宿根を強化するための追加のクリーチャーになってくれる!
我々は《地底王国のリッチ》を、いわば先程のデッキの《正義の模範、オレリア》と《再燃するフェニックス》の枠として選んでいる。基本的に戦場に出たときの効果がない5マナのクリーチャーは極めて優れたスタッツがなければ採用されない。そのような理由で、《地底王国のリッチ》はこれと一緒にアンタップを迎えられた場合にだけ追加のカードを提供してくれる。しかしながら、このリッチの除去耐性は長期間に渡ってゲームを圧倒する完璧な手段につながることがある。このカードの選択は完璧な答えを見つけて墓地を満たしている場合は冗談ではなく、《千の目、アイゾーニ》のような宿根を持ったフィニッシャーでこちらの必然性をさらに強固なものにする。プレイヤーが追放除去を使っていない時が《地底王国のリッチ》を最大限に活かせる時だ。
我々のゴルガリのデッキに関して興味深い話が残っている。我々は《暗殺者の戦利品》が特にエターナル・フォーマットで強くなるだろうとすぐに理解したが、無条件で何枚もメイン・デッキに入れていたカードではなかった。この柔軟性はあらゆるタイプの問題のあるパーマネント(特に『イクサラン』ブロックの変身土地)に対処できる美しさがあるが、2マナ域に対処するために《暗殺者の戦利品》に頼ると、すぐに危険な状態になってしまうことがありうる。
私はこの環境がこのカードの存在をどう対処していくか、そしてプレイヤーが互いにこの柔軟性を咎めるためにどんな種類の重い呪文を選ぶか、見るのを楽しみにしている。
ディミーア
今回私が紹介することにしたディミーアのデッキは最も諜報に重きを置いた構築ではないが(そしてそれらの諜報重視のデッキリストがオンラインで飛び出てくるのを見てきた)、これは『ラヴニカのギルド』の諜報を持ったクリーチャーの中で私のお気に入りを特色としたものだ。
いや、私はそれのコストが5マナだとは言っていない。
9 《沼》 7 《島》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 -土地(24)- 4 《雇われた毒殺者》 1 《物盗りインプ》 4 《万面相、ラザーヴ》 3 《泥棒ネズミ》 2 《探求者の従者》 4 《正気泥棒》 3 《真夜中の死神》 2 《疫病造り師》 3 《破滅を囁くもの》 -クリーチャー(26)- |
2 《アルゲールの断血》 2 《喪心》 4 《ヴラスカの侮辱》 2 《陰惨な生類》 -呪文(10)- |
《万面相、ラザーヴ》は『ラヴニカのギルド』の開発過程において実際に大量の変更は行われなかった、それは私が彼を注意してプレイしていなかったというわけではない。彼のもたらすデッキ構築のパズルは私がマジックを最も楽しんでいる部分の素晴らしい一例だーー私が頼ろうとするべきなのは起動型能力、常在型能力、死亡誘発、はたまた単純に強烈な脅威か?
このディミーア・ミッドレンジは《陰惨な生類》を特徴としており、これもまたデッキ構築で機能するいくつかの興味深い条件を作り出している。
『ラヴニカのギルド』に宿根が存在するにも関わらず、我々はプレイヤーが望むならば必然的な結果に向かって単にクリーチャーを貯めるだけでなく他の方法で墓地を活かす機会を与えたいと考えた。《陰惨な生類》は別の考えをするように求めている。
突き詰めると、我々はクリーチャーを除去し、カードアドバテージを生み出し、対戦相手を削りきろうとしているが、そうするための方法は普通のものではない。
諜報、そしてディミーアというギルドそのものはより良い決定を行うための情報をもたらすものであり、そしてその情報こそが最終的なラザーヴの姿を決定するものになるだろう。
イゼット
イゼットには、恐ろしく大量の呪文に関することが多い気の狂った実験というかなり明確な独自性がある。私の好きなイゼットのカードは多色ではないが、この鳥がどのギルドと協調しているかは明確だと考えている。
3 《島》 6 《山》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 2 《湿った墓》 2 《水没した地下墓地》 1 《竜髑髏の山頂》 -土地(22)- 4 《弧光のフェニックス》 4 《弾けるドレイク》 -クリーチャー(8)- |
4 《選択》 4 《ショック》 2 《突破》 1 《シヴの火》 4 《航路の作成》 4 《稲妻の一撃》 2 《アズカンタの探索》 2 《イオン化》 1 《標の稲妻》 3 《発見 // 発散》 2 《発展 // 発破》 1 《イゼット副長、ラル》 -呪文(30)- |
マジックにはさまざまな方法で蘇るさまざまなフェニックスが存在しているが、大量の呪文を唱えることを奨励するものは存在しなかった(いや、《チャンドラのフェニックス》は数えない)。能力が誘発する呪文の数を決めること、誘発する条件、そして《弧光のフェニックス》のパワーとタフネスの調整はかなり複雑な過程を経た。我々はプレイヤーに呪文を温存させ、対戦相手の終了ステップに呪文を連発して《弧光のフェニックス》を戻し続けさせたくないということを決めたので、戦闘開始時の誘発に変更した。
この埋め合わせをするために、我々はこの火の鳥に速攻を持たせ、そのことがこれを複雑さを避けたいときや単純に手札から唱えたときにも強くした。
ちょっとしたヒント:《弧光のフェニックス》を手札から唱えるのは悪くない初動だ! 私は最初に《弧光のフェニックス》を捨てなければいけないと視野狭窄に陥っているプレイヤーがよくいて、そのことがこれを何度も戦場に戻すことを困難にしていることに気がついた。
呪文の数が3というのは最終的にうまくいったように感じた。このようなタイプの「探索」で、我々はプレイヤーに努力したときに報われることができ、それを行なわせようとするのに十分な衝撃があると感じさせ(例えば手札ではなく戦場に戻ってくるなど)、しかしその経験が安いものであったりプレイパターンを過剰に繰り返すものにするほど簡単ではないものにしたいと考えた。
ボーナス・デッキリスト
私はMTG Arenaで《パルン、ニヴ=ミゼット》を唱えることの大ファンなので、皆の3色への探求への足がかりとしてもう1つ別のデッキリストを紹介しようと思う。
2 《島》 2 《沼》 2 《山》 4 《湿った墓》 2 《水没した地下墓地》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《進化する未開地》 -土地(26)- 4 《破滅の龍、ニコル・ボーラス》 2 《パルン、ニヴ=ミゼット》 -クリーチャー(6)- |
4 《シヴの火》 3 《思考消去》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《渇望の時》 2 《アズカンタの探索》 2 《ドラゴンの財宝》 2 《概念の雨》 4 《ヴラスカの侮辱》 2 《最古再誕》 4 《発見 // 発散》 1 《詭謀 // 奇策》 -呪文(28)- |
『ラヴニカのギルド』フューチャー・フューチャー・リーグのデッキリストを取り上げたこの記事はいかがだっただろうか。誰かが『ラヴニカの献身』のときに戻ってきて、残る5ギルドを取り上げる予定だ。ではその時まで、『ラヴニカのギルド』を楽しんでくれ!
――マイケル・メジャース (@MichaelJMajors)
(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)
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