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開発秘話

Play Design -プレイ・デザイン-

第一印象:『基本セット2019』フューチャー・フューチャー・リーグ

Andrew Brown
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2018年8月3日

 

 「第一印象」へようこそ! これは(Mファイルのように)年4回セットが発売されたときに、プレイ・デザインのデッキリストと最近のセットのフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL)集中期間での彼らの思考過程を紹介する、定期的に掲載する予定の記事だ。「FFL集中期間」とは、我々がカード・ファイルに競技的なバランスの微調整のほとんどを行うセット・デザイン中の3か月間のことだ。

基本セットのスタンダードをデザインする

 マジックの発売スケジュールと、我々が発売のどれぐらい前にそのカードファイルを完成させなければならないかを考慮すると、プレイ・デザインの仕事のほとんどは、最強の戦略を予測してそのフォーマットがどんなものになるかを推測することになる。

 夏セットの発売は、我々がスタンダードに影響を与えるカードを作る時にその環境にある8セット中4セットの情報を持っているという点において独特なものだ。これはつまり我々はカードをどのように位置づければよいか、そしてそのままにしておくとそれらが環境内でどのような相互作用を起こすかより正確に分かるということだ。今回は数枚のカードと、我々がテストと理論構築を通していかにしてそれらを完成させたかを調査していこう。

ゾンビの復権

 『イニストラードを覆う影』と『異界月』のローテーション以来、久しぶりにゾンビ部族が注目を浴びた。《死が触れぬ者、リリアナ》がゾンビとのシナジーがあるので、我々は環境でやっていけるゾンビ・デッキがあるかどうかを調べ始めた。このデッキの反復過程の初期に、我々は2マナ域に穴があることを発見した。そして、我々は最終的に《墓地の司令官》になるカードを作り始めた。

{1}{B}
3/1
{T}, あなたの墓地からクリーチャー・カード2枚を追放する:タップ状態の黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体生成する。

 

 この最初のバージョンは有望だった。これは《瘴気ミイラ》よりも強く、白をタッチせずにすむ黒単色の選択肢を提供してくれた。全体的にこのバージョンは弱すぎ、アグレッシブなクリーチャーをタップしてトークンを生成するという矛盾した方向性をもたらしていた。

{1}{B}
3/1
{2}{B}, あなたの墓地からクリーチャー・カード2枚を追放する:タップ状態の黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体生成する。

 

 最初のバージョンをテストしていて、我々はこのデッキに余ったマナの使い道もないことを発見した。このバージョンは正しい方向への次の一歩だ。序盤のアグレッシブなクリーチャーとして強力で、ゲーム後半のトップデッキとしてもなかなかいい。これは多くの素晴らしい仕事をしたが、十分な強さではなかったので、我々はこれをさらに強化することにした。

 完成版の《墓地の司令官》は、それまでの各バージョンで我々が好きだった、すべての要素が組み合わさっている。妥当な強さのアグレッシブなクリーチャーに、遅いゲーム向けの能力がついている。

 FFLで我々は無数の戦略を試しているが、特定のメタゲーム向けに調整されていないデッキもある。「グランプリ・レントン」は、我々が今テストしているメタゲームの中で強いと思うデッキのトーナメントに持っていくバージョンを作ることに挑む新しい工程だ。GPレントンのために、我々は「明日がグランプリなら、このデッキのどのバージョンを登録するか?」ということを自問することが多い。

Andrew Brown - 「ゾンビ」
「グランプリ・レントン」 / スタンダード (『カラデシュ』~『基本セット2019』)[MO]
18 《
4 《イフニルの死界
1 《愚蒙の記念像
-土地(23)-

4 《戦墓のグール
4 《戦慄の放浪者
4 《墓地の司令官
4 《金属ミミック
4 《死の男爵
4 《呪われた者の王
-クリーチャー(24)-
2 《強迫
2 《致命的な一押し
2 《喪心
3 《死が触れぬ者、リリアナ
4 《リリアナの支配
-呪文(13)-
 

大発見を碑に刻む

 オリジナル・バージョンの《民兵のラッパ手》は「パワー2以下」というリミテッドのアーキタイプ向けのカードだった。すべてがスタンダードのトップメタを目指しているわけではないが、プレイ・デザインとして、我々はすべてのカードが使われることを目指している。我々はこのオリジナル・バージョンにとって、白単《オケチラの碑》デッキが最適の場所であると結論づけた。

{3}{W}
3/2
民兵のラッパ手が戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上からカードを4枚見る。あなたはその中からパワーが2以下のクリーチャー・カード1枚を公開してあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。

 

 このバージョンをプレイしていると、これがスタンダードのカードとしては弱すぎるのは明らかだった。我々はこのカードが強化したデッキとそのプレイの仕方が好きだったので、次の段階に進んでコストを低くした。

{2}{W}
2/2
民兵のラッパ手が戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上からカードを4枚見る。あなたはその中からパワーが2以下のクリーチャー・カード1枚を公開してあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。

 

 マナとパワーが1少なくなったことは正しい方向への道のりだった。《民兵のラッパ手》が自分自身を探せないことは噛み合っていなかったが、パワーが2になり、空振りする確率が減った。さらにプレイを重ねることで我々はこのデッキのほとんどのクリーチャーが2/2以下であり、全体的に《ショック》に弱いことを実感した。その後我々はこれのタフネスを増やし、警戒を追加するべきだと確信した。

Andrew Brown - 「白青モニュメント」
「グランプリ・レントン」 / スタンダード (『カラデシュ』~『基本セット2019』)[MO]
10 《平地
1 《
4 《氷河の城砦
4 《灌漑農地
1 《曲がりくねる川
4 《シェフェトの砂丘
-土地(24)-

4 《空渡りの野心家
4 《格納庫の整備士
4 《善意の騎士
2 《悔恨する僧侶
4 《弱者の師
4 《民兵のラッパ手
2 《博覧会場の警備員
2 《戦利品の魔道士
4 《雲先案内人
-クリーチャー(30)-
4 《オケチラの碑
2 《イクサランの束縛
-呪文(6)-
 

どんな薔薇にも棘はある

 我々の棘のある友達である《茨の副官》のもともとの目的ははエルフに恩恵をもたらすカードになることだった(後にその役割は《エルフの部族呼び》に引き継がれた)。我々はかなりの量のエルフ部族のビートダウン・デッキやビッグマナ・エルフ・デッキなどを試してみたが成果は得られなかった。しかし他のカードをテストしているときに、それらのための新しい目的が見つかる。

{1}{G}
2/3
あなたがコントロールしていてアンタップ状態のエルフを3体タップする:緑の3/3のビースト・クリーチャー・トークンを1体生成する。

 

 オリジナル・バージョンをエルフ・デッキに入れてテストしていて、我々はそのコストとサイズに魅了されてしまった。{1}{G}の2/3なので、これは序盤の戦場を支配した――特にアグレッシブな赤や白の戦略に対して。我々はその後、緑に普通に強いカードを作って、他のカードをエルフにすることにした。

{1}{G}
2/3
[カード名]があなたの対戦相手のコントロールしている呪文や能力の対象になったとき、1/1の緑のエルフ・クリーチャー・トークンを1体生成する。

 

 赤に《削剥》や《稲妻の一撃》などの強力な火力カードがあるので、我々は《茨の副官》に1対1ではこれを完全に除去しきれない除去耐性のテキストを与えた。緑にアグレッシブなデッキに対する優れた回答を与えているので、我々はこのバージョンに満足している。

 我々がこの最終バージョンにたどり着いたのは、コントロール・デッキを相手にしているときに、《茨の副官》が我々が望んだほど有効ではなかったからだ。我々がプレイしていた緑単デッキは余ったマナを使う方法があまりなく、このデッキが《残骸の漂着》に根本的に弱いことを踏まえて、我々は《茨の副官》に大量のマナを使う能力をつけたいと考えた。

Andrew Brown - 「緑単」
「グランプリ・レントン」 / スタンダード (『カラデシュ』~『基本セット2019』)[MO]
20 《
4 《ハシェプのオアシス
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《緑地帯の暴れ者
4 《茨の副官
3 《原初の飢え、ガルタ
4 《鉄葉のチャンピオン
3 《不屈の神ロナス
3 《打ち壊すブロントドン
4 《蔦草牝馬
-クリーチャー(29)-
4 《顕在的防御
3 《キランの真意号
-呪文(7)-
 

 『ラヴニカのギルド』が発売されたら、そのセットのFFL集中期間のデッキの中からお気に入りのデッキをいくつか紹介するために私はまた戻ってくる。それまでの間、私はほとんどのプロツアーと西海岸のグランプリに顔を出すので、声をかけてくれ!

―Abro (@Murk_lurker)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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