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開発秘話

Play Design -プレイ・デザイン-

Mファイル『基本セット2019』編・赤緑・多色・アーティファクト

Dan Musser
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2018年7月20日


 さあ、続きだ。今日は『基本セット2019』の開発秘話を残り全部お見せしよう。まだ最初の半分を見ていないなら、ここからどうぞ

 「Mファイル」シリーズを初めて読む人のために説明すると、このコラムは私たちの社内データベース「ドレイク」からデザイン中の面白いコメントを集めて紹介するものだ。マジックのカード製作には多くの人やツールが関わっているのだが、ドレイクはカードの変更や開発者たちのコメント、フィードバックを記録する場所なんだ。

 『基本セット2019』では多くのカードについて、リード・セット・デザイナーのイーサン・フライシャー/Ethan Fleischerが「#M19CardStories」というハッシュタグをつけてTwitterで話をしている。デベロップ・メンバーやデザイン・メンバーが積み重ねたコメントだけでなく、イーサン直々のより詳しい話も楽しんでほしい。

 今回のコメンテーターは、こちらをクリックして確かめてくれ。


ドスン

EEF: 新カードです。{R}で撃てるソーサリーの《投げ飛ばし》。
YS: ミニ・チームからのリミテッドに関わる穴埋め的な変更を追加。
MDT: 〈ふっ飛ばし/Flang〉というカード名にも加点です!
ABRO: 僕も何かをふっ飛ばすのが大好きだ。
EEF: ごめんなさい。〈ふっ飛ばし/Flang〉と《投げ飛ばし》(Fling)は名前が似すぎでした。さようなら、〈ふっ飛ばし/Flang〉。
MDT: いやああああ。
DSJ: 《ドスン》で決定。


 カード名。マジックのカードで最も大切な部分のひとつであるカード名は、開発中に何度も変わるのが普通だ。《ドスン》は《投げ飛ばし》をもとに作られたが、1マナ軽くなりソーサリーになっている。驚くべきことに、このカードのデザインは最初から最後まで変わらなかった――かなり珍しいケースだ。〈ふっ飛ばし/Flang〉という名前は惜しいけれど、私たちはプレイヤーを混乱させるわけにはいかない。〈ふっ飛ばし/Flang〉は《ドスン》になったのだ。

投げ飛ばし》は素敵なカードです。なんと言ってもその汎用性の高さ! 相手の除去の対象に取られたクリーチャーを生け贄に捧げてもよし、相手ライフの最後の数点を削り切るのに使うのもよし…… #MTGM19 #WOTCstaff #M19CardStories 1/4



もちろん、中でも最高なのは《反逆の行動》との組み合わせです。対戦相手のクリーチャーを「借りて」攻撃し、その後それを生け贄に捧げて別のクリーチャーまで除去できます。たまらないですね、反則級です! 2/4



このコンボは、ぜひとも新規プレイヤーに見つけてほしいと思っています。でもその際に優先権やスタックの働きを学ばなければいけないのは、あまり望ましくありません。そこで私たちは、軽いソーサリー版の《投げ飛ばし》を作りました。これで、5マナかかるコンボを4マナで実現できます。 3/4



このコンボは、基本セットにしては上級者向けのものです。なので新規プレイヤーがすぐに使うことは予想していません。しかし彼らがそれに気づいたとき、とてつもない「アハ体験」を得ることでしょう。ビデオゲームでクリア方法を思いついたときのように! 4/4




力の頂点

EEF: 新カードです。「注目のストーリー」1枚目: ニコル・ボーラスが神にも等しき力を持っていた頃。
EEF: カード名候補: 〈プレインズウォーカーの意志/Planeswalker's Will〉、〈龍知/Dracopotence〉。
ABRO: こりゃすごい。これで追放したこのカードは続けて唱えられるのかな?
YS: 良い指摘だね、ABRO。そうなるなら、このカードは作るべきじゃないな。うーん……「[カード名]はあなたの手札からのみ唱えられる」とか「[カード名]が手札から唱えられたなら」とか付け足すことはできるね。そうすれば続けて唱えられないし、結果的にカード・パワーも下がってコストを軽くできると思う。
EEF: このすごさを残しつつ強くなりすぎないよう、追放するカードの枚数を減らすというのはどうでしょう?
EEF: {7}{R}{R}{R}で7枚→{6}{R}{R}で5枚。
EEF: {6}{R}{R}で5枚→{7}{R}{R}で手札から唱えられた場合のみ効果を発揮。続けて唱えられなくなりました。
EEF: 追放されたカードをマナ・コストを支払って唱える。→{W}{W}{U}{U}{B}{B}{R}{R}{G}{G}を加える。
DEL: 文言の削除ですか?
EEF: 追加です。「手札から唱えられたなら」の一文を削除。
EEF: 「{W}{W}{U}{U}{B}{B}{R}{R}{G}{G}を加える。」→「{R}{R}{R}{R}{R}{R}{R}{R}{R}{R}を加える。追放されたカードを唱えるために、任意のマナを望むタイプのマナであるかのように支払ってもよい。」5色のマナの使用状況をすべて記録するのは大変です。
ABRO: 「手札から唱えられたなら」を戻さないか? やっぱり続けて唱えられるようにはしたくない。
EEF: では、手札からのみ唱えられるようにします。
MDT: {R}を何個得られるのかわかりにくいです。{R}の数を数字にできますか? プレイヤーの皆さんが『カラデシュ』における{E}{E}{E}{E}{E}{E}と同じ不満を感じるかと。
EEF: 好きな色のマナ10点を加えるように変更。
EEF: 唱えるのに制限をかけるのではなく、手札から唱えられたならボーナス(マナ)を発生させるように変更。
EEF: ボーナスを付けたので、{7}{R}{R}→{7}{R}{R}{R}。
ID: 得られるマナの色を選ぶのはいつ? デジタル版で面倒なことになりそう。
ROSEJ: Magic Onlineでは大問題ですね。神話レアの体験が損なわれるのは望ましくありません。
EEF: デジタル版への実装がうまくいくよう微調整するのは賛成です。ぜひ提案を聞かせてください。
ELI: 好きな色1色のマナ10点を得てから、残りのターンの間、任意のマナを望むタイプのマナであるかのように支払ってもよい。テキストにマナ・シンボルを10個並べることにならないよう、「好きな色1色」にすることを提案する。
EEF: なんと、《Black Lotus》のテキストですね。好きです。


 ボーラスの失墜と復活への物語を伝えるカード・サイクルの1枚である《力の頂点》は、独特さと刺激と、そして強力さを感じられるものにしなければならなかった。このような派手な効果を作るときは、スタンダード全体に大きな影を投げかけないよう慎重に慎重を重ねて取り組む必要がある。

 このカードは、初期版から最終版に至るまで何度も変更が繰り返された。初期版では《力の頂点》から《力の頂点》へつなぐことができたため、1枚目を唱えると瞬く間にデッキの大部分を掘り進めることができた。10マナもかかるのは事実だが、それでも私たちの意図した効果ではなかった。

 それから、『カラデシュ』ブロックで多く寄せられた不満を受けて、メリッサが素晴らしい指摘をしているね。エネルギー・カウンターの数を確認するのに、プレイヤーはカードにあるエネルギー・アイコンをすべて数えなきゃいけなかったんだ。

 こうして最終版が完成した。《Black Lotus》のテキストを取り入れた最高の1枚がね!


苦しめる声

EEF: 《苦しめる声》を仮再録。
JWW: 会議を経て本再録にしました。
EEF: (構築で)強すぎるなら、《かき回すゴブリン》なども候補にあります。それともアンコモンにしますか?
VEENA: 公式な最終回答ではありませんが、プレイ・デザインの会議に持ち込んだところ、「これは赤の最強フィルター呪文だが、赤はこれを持つべき」だと私たちは感じました。


 カラー・パイを正しく明確に分けるため、通常、赤のドロー効果は青のドロー効果と大きく異なる。私たちは赤にドロー効果があってほしいと考えているものの、それは簡単に使えるべきじゃない。伝統的に、赤のドロー効果は新たにカードを引くためにカードを捨てる必要がある。私たちはこれを「かき回し」と呼んでいる。

 『基本セット2019』の開発初期段階では、まだこのセットのストーリーが固まっていなかった。だからイーサンは《苦しめる声》を仮再録とした。その後ストーリーが固まると、サルカンがウギンの幻視に苦しむ『タルキール覇王譚』のフレイバーが、ボーラスを含めたドラゴン・テーマと完璧に合致したのだった。

新規カードが収録された初めての基本セットである『基本セット2010』の開発者たちは、いくつかの古いカードをより一般的なものにリメイクしました。《空民の助言》を《予言》として作り直したのもその一例です。#MTGM19 #M19CardStories #WOTCstaff 1/4



『基本セット2019』の開発初期の頃、私は《苦しめる声》を《空民の助言》のようにリメイクする可能性に目を付けました。何度も再録されたカードですが、そのコンセプトはあまり一般的ではありません。2/4



しかし『基本セット2019』のストーリー内容が固まると、最初に出た『タルキール覇王譚』版の《苦しめる声》がこれ以上ないくらいぴったりでした。物語の中で、ウギンの目にいるサルカンが文字通りウギンの声に苦しめられているのです。ヴォルカン・バガ/Volkan Bagaによるアートも燃えますね。3/4



だから《苦しめる声》、今年は許してやりましょう。ですが気をつけなさい。私は見ていますからね! 4/4




電光吠えのドラゴン

DEL: 私の頭の中でマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterの声が聞こえました。「印象的なコモンだろうか?」
EEF: {3}{R}{R}、3/4、攻撃強制→{2}{R}{R}、2/2、攻撃誘発で+1/+0と先制攻撃。
YS: こいつを「{2}{R}{R}、2/2、飛行、先制攻撃」にする案が出た。
EEF: 「攻撃誘発で+1/+0と先制攻撃」を削除し、先制攻撃は常時持つようにしました。前のバージョンもとても可愛らしいものだったので、よりシンプルな新バージョンも気に入ってくれると嬉しいです。
ELI: かわいい! 赤のコモンに飛行持ちがいるのは珍しい。このカードを手にとったら、ドラゴンがサブ・テーマであることを存分に感じられるはずだ。
EEF: {2}{R}{R}、2/2、飛行、先制攻撃→{5}{R}{R}、5/6、{2}{R}: ターン終了時まで飛行を持つ。赤のコモン枠には不適切でした。
EEF: 「{3}{R}{R}、3/3、飛行」に変更。戦場に出たとき{2}{R}を支払えば、何かに3点。
MDT: コモンに見えません。
ABRO: アンコモンっぽいよね。
JDR: メリッサとABROと同感です。
AF: コモンのドラゴンは、コモンらしくないかドラゴンらしくないかのどちらかになるものだ。ここでは罪の軽い方を選ぼう。このカードは「赤緑ランプ」戦略に必要だ。
EEF: このカードは多くの働きを見せてくれます。このセットにドラゴンの部族テーマを持たせるために、コモンのドラゴンが必要なのです。


 コモンのドラゴンは奇妙に見えるだけでなく、開発者のコメントをいつも以上に引き出す! ドラゴンといえば巨大で、派手で、強力なものだ。それをどうやってシンプルなコモンで表現すればいいだろう? ドラゴンの部族は、このセットのテーマのひとつになっている。だからドラゴン戦略をアピールできるようなカードがコモンに必要だったんだ。

 しかし多くの議論を費やしたが、最終的に全員が納得する完璧なものは見つからなかった。結局のところ、「コモンのドラゴン」そのものがレアなわけだ……

私は、『基本セット2019』リミテッドでサルカンとテーマ的に結びつくドラゴンの部族デッキを組めるようにしたいと考えました。#M19CardStories #WOTCstaff 1/9



そのためには、ドラゴンの開封比を高める必要があります。(開封比とは、ブースターパック内の特定のカードの平均枚数のことです。)アンコモンのドラゴンはドラゴンの開封比を0.0375枚分上げますが、コモンのドラゴンは0.099枚分も増加させます。2/9



アンコモンには、絶好の再録カードを用意しました。《火山のドラゴン》というシンプルかつエレガントな1枚と、《ドラゴンの卵》という最高のトップダウン・デザインかつ2体分のドラゴンを相互作用で活かせる1枚です。 3/9



しかしこれだけではドラゴンの開封比が不十分で、かといって赤のアンコモンのクリーチャーをすべてドラゴンにはしたくありませんでした。マジック世界の広さを感じられながらも簡単にカードの見分けがつくようにするためには、さまざまなコンセプトのものを用意することが肝要なのです。 4/9



そこで必要なのが、コモンのドラゴンでした。過去に私たちがデザインしたコモンのドラゴンは、(『マスターズ』シリーズでレアリティが下がったものを除いて)2枚しかありません。《ドラゴンの雛》と《稲妻の金切り魔》です。 5/9



『運命再編』で登場した《稲妻の金切り魔》はとてもクールなデザインでしたが、やや弱いこととシャッフルが多くなることが問題でした。(シャッフルの多さが引き起こす問題については、《エルフの再生者》のときにお話ししましたね。)6/9


『基本セット2013』で登場した《ドラゴンの雛》は、このセットに収録すると認識的なズレを生じさせました。《ドラゴンの卵》から孵化したドラゴン・トークンが2/2なのに、《ドラゴンの雛》が0/1?「それらは違う種のドラゴンなんだ」と主張することもできるでしょうが、私にはそのズレの気持ち悪さが耐えられませんでした。 7/9


私たちは新カードをデザインすることに決めました。そして調整を繰り返したすえに、3/3飛行で火を吐くような疑似キッカー能力を持つドラゴンが生まれました。リミテッドでマナを伸ばす戦略に力を与え、マナ・フラッドしたときの保険としても優秀です。 8/9


普段なら、赤のコモン枠に3/3飛行クリーチャーは収録しません。ですがこれこそ、セットのテーマに合わせてカラー・パイを曲げる一例なのです。 9/9




緑探しのドライアド

EEF: 新カードです。《生類の侍臣》に可能性を与える1枚。そして《シンドバッド》の再来!
YS: ミニ・チームからのリミテッドに関わる穴埋め的な変更を追加。
AF: たぶん《シンドバッド》より強いのでは?
ID: コモンだと強い気がする。
MJJ: カード名通りコモンにしてほしいな。
EEF: カード名を〈ありふれた農夫/Common Farmer〉から〈優れた農夫/Uncommon Farmer〉に変更。
EEF: 1/2→1/3
YS: わお。「シンドバッド」が「シンドオーケー」になって、さらに「シンドグッド」に?
AP: 私には「シンドグレイト」に見える。


 カード・パワーの上昇について話そう! ごめんよ、『アラビアンナイト』。とはいえ墓地を肥やすことが役立つ場面はあるから、厳密に言えば《緑探しのドライアド》が《シンドバッド》のアップグレード版というわけではない。緑に色が移ったのは、間違いなく適切だろう。土地かどうかを参照するのは青よりも緑らしさを感じるし、サイズが上がったのも小さなドライアドにふさわしいね。


ペラッカのワーム

EEF: 『エルドラージ覚醒』からの再録です。これの評価は「A+」? それとも「モティ」?
MDT: モティ!
ABRO: モティ
EEF: CQIでした。この枠は新規カードのデザインが必要だと考えます。
EEF: レアに格上げします。世界は《ペラッカのワーム》を戦場に出す気持ちよさを知るべきでしょう。


 『エルドラージ覚醒』当時のスタンダードをプレイしていた人なら、この巨大なワームがアンコモンだったことを覚えているだろう。今回レアに格上げした理由を説明するために、まずは上記のコメントで飛び交っていた略語の意味を教えよう。

  • 「A+」は、私たちがブースタードラフトにおけるカードの強さを評価する際に用いる基準で、上から2番目に高い評価を表している。
  • 「モティ」(元祖リミテッドのボム・カード《マハモティ・ジン》を略した言葉だ)は、その基準の最高評価を表している。基本的にはレアか神話レアに与えられる。
  • 「CQI」は、「継続的品質改善/continuous quality improvement」という確かに言いにくい言葉の略語だ。私たちが「CQI」と言う場合、この枠のカードに改善が必要だということを意味する。

 さて、用語を整理したところで話を続けよう。プレイ・デザインは、《ペラッカのワーム》のような脅威が基本セットのドラフト体験を脅かすことを望んでいなかった。一方イーサンは、巨大でアドバンテージ満載の怪物をスタンダードで楽しんでほしいと考えていた! そして互いに譲歩した結果、レアリティを上げるという結論に至ったわけだ。おかげでリミテッドでの登場頻度には……リミットがあるね。

「ぎえー!」という悲鳴が聞こえます。「《ペラッカのワーム》がレアになるなんて!!!!1!!」 #M19CardStories #MTGM19 #WOTCstaff 1/10



「前はアンコモンだったのに!」――あまりの衝撃に、高く積み重ねた『エルドラージ覚醒』の《ペラッカのワーム》の束を倒してしまったことでしょう。 2/10



「しかも4度目の再録じゃないか!」――3つの束に分けておいた『コンスピラシー』の《ペラッカのワーム》はドミノのごとく崩れ、飼っているネコのもとへ音を立ててなだれ込みます。 3/10



「なんでアホらしい死に様だ」――そして『モダンマスターズ 2015年版』の《ペラッカのワーム》コレクションに押し潰されて死ぬ直前にそう思うのです。4/10



ですが本当に大切なことは? 死に様ではなく「生き様」では? 5/10



ペラッカのワーム》を戦場に出すまでは、「本当の生」を味わったとは言えません。7点のライフを得て7/7トランプルのクリーチャーを従え、たとえ対戦相手が除去を持っていてもカード・アドバンテージを得られるという喜びは、他にはないのです! 6/10



「今こそ『ワームの父』がスタンダードに再び姿を現すときだ」と最初に提案したのは、確か@Murk_Lurkerだったと思います。その提案に、私は飛び上がりました。先ほど言った通り、《ペラッカのワーム》はマジックの歴史上最高のカードのひとつです。皆さんも一度味わえば、「史上最高の1枚」として記憶に刻まれるはずです。 7/10



私はプレイ・デザイン・チームの面々に《ペラッカのワーム》について聞いて回りました。「《ペラッカのワーム》はA+?」と。(「A+」はアンコモンに与えられる最高の評価です。)誰もが大笑いしたあとに「モティ」と答えました。(「モティ」はリミテッドにおける最高の評価です。)8/10



私は決断を迫られました。『基本セット2019』のリミテッドにおけるプレイ体験やパワー・バランスをめちゃくちゃにするか、このカードをレアに格上げするか、あるいは こ の カ ー ド を 収 録 リ ス ト か ら 外 し ス タ ン ダ ー ド で ペ ラ ッ カ の ワ ー ム を 戦 場 に 出 す 喜 び を 奪 い 去 る か。 9/10



というわけで、私の進む道は明らかでした。良心にかけて誓います。後悔はひとつもありません。 10/10




ギガントサウルス

EEF: 超巨大バニラです。
ROSEJ: 『イクサラン』のコモンに{6}{G}{G}で9/9がいます。
EEF: {4}{G}{G}→{G}{G}{G}{G}{G}
ROSEJ: こっちの方が好きです。ブロッコリーが並んでる方が恐竜らしい。
KEN: これの直後に《尊原初》!
YS: 良いね。良いよ、最高だよ!
YS: もしこれがダメなら、10/7にしても超エキサイティングだし、ネット上でも盛り上がると思う。
EEF: ですが10/10が美しいですね。
ID: トランプルを付与する《不屈の神ロナス》と組み合わせたら強そう。


 グゥアアアアアアアオオオオオオオ!!


サテュロスの結界師

EEF: 新カードです。
YS: ミニ・チームからのリミテッドに関わる穴埋め的な変更を追加。
MDT: これ好きです!
JDR: これについては、任意であることが良いとは思えません。確かにカードを引きたくないときもありますが、クリック数が増えるのは避けたいです。
EEF: クリック数を減らすために「引いてもよい」を削除します! 素晴らしい指摘でした、ジュール。
AP: {2}{G}{W}→{1}{G}{W}、2/4→2/2。エンチャントを唱える前に、先にこのカードを唱えておきたいだろう。
DEL: 過去の「エンチャントレス」はドルイドのクリーチャー・タイプを持っていました。ご確認ください。
EEF: ドルイドにしました。


 カードを直感的にわかりやすく、また機能的に使いやすくするため、私たちはテンプレートの作成に取り組んでいる。このカードをプレイするなら、100%絶対とまでは言わないが、まず間違いなくエンチャントを唱えたときにカードを1枚引きたいだろう。カードを引くかどうかの選択をみんなに任せることもできたけれど、それが活きる状況は極めて少なく、文字数を増やし、ルールを複雑にし、デジタル版の手間を増やすことに見合うとは思えない。それから、ドルイドのクリーチャー・タイプ。エンチャントレスはみんなドルイドなんだ。


変遷の龍、クロミウム

EEF: 穴埋め的な新カードです。
YS: ミニ・チームからのリミテッドに関わる穴埋め的な変更を追加。
DEL: タイプ行がいっぱいになりました。
EEF: すべて6マナ6/6飛行にしたのは、リミテッドのテストのためです。
SPS: 基本セットで、断片の3色の神話レアのドラゴン・サイクルをやるのはどうかと思いますぞ。
AF: 感触としてはふさわしいと思う。
ELI: AFに同意。基本セットでもカッコよくて記憶に残るようなものを扱えるはずだ。
EEF: プレイ・デザインが「典型的なコントロールのフィニッシャー」を求めています。
ABRO: そう、リクエストしたのは僕だ。
EEF: 新デザインです。この龍は身を隠す必要に駆られると呪禁を持つ人間に姿を変えられます。
DEL: 質問ですが、「白の人間」ですか? 色は元から変えないほうが良いと思います。
EEF: 「白」を削除し、「破壊不能」を追加しました。
EEF: 破壊不能→ブロックされない
EEF: 起動型能力のコストを{2}→{1}
DEL: {3}{W}{U}{B}→{4}{W}{U}{B}。6/6→7/7。
DEL: 「打ち消されない」を追加。起動型能力のコストを{1}→カード1枚を捨てる。
GJ: 実にクールだ。


 一般的に、基本セットは通常のブースター製品と比べて複雑さが抑えられている。しかしエルダー・ドラゴンの再登場は、それを覆すほど魅力的だった。彼らを新たな神話レアのサイクルとして登場させることが圧倒的支持を受けて決定したほどに。恐れ知らずのリーダーたるアーロン・フォーサイスがコメントしている通り、とにかく「ふさわしい」んだ。開発中のどこかで、《変遷の龍、クロミウム》には超フレイバー重視のユニークな防御能力が与えられた。伝説として多元宇宙に語り継がれる彼の長い人生の一時期に、彼は人間のふりをしたことがあったんだ。


破滅の龍、ニコル・ボーラス

回転

クリックで変身します

EEF: 『レジェンド』のボーラスはスーパー・スペクターでした。
DEL: このカードの名前を決めるのは難航しそうですね。カード名の欄に「ニコル・ボーラス」とマナ・シンボル4つが含まれるのは決まっていますし、豪華さを感じられるようにあまり余白を多くするわけにもいきません。カード名の候補を早めに検討してもらえますか?
AP: 冗談じゃない! 手札をすべて失った対戦相手を4/4飛行で殴り続けたいときもあるのに、それができないなんて悲しい! デザインは最高だ。数字を見直そう。
PI: 超クール! ただ、ちょっと強すぎるかも。
EEF: 変身する前に相手を倒してしまいますかね?
AF: コストを上げて、2枚捨てさせるようにするのはどうだろう?
EEF: スペクター能力→アップキープに対象の対戦相手はクリーチャーを生け贄に捧げるかカードを捨てる。
EEF: 対象のプレイヤー→対戦相手
YS: ミニ・チームからのリミテッドに関わる穴埋め的な変更を追加。
EEF: {1}{U}{B}{R}、4/4→{2}{U}{B}{R}、5/5。「あなたのアップキープの開始時に、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げるかカード1枚を捨てる。その後、そのプレイヤーの手札にカードがない場合、[カード名]を追放し、その後、これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。」→「[カード名]が戦場に出たとき、各対戦相手はそれぞれカード2枚を捨てる。 {4}{U}{B}{R}: クリーチャー最大1体までを対象とする。あなたはそのクリーチャーのコントロールを得る。[カード名]を追放し、その後、これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。」
ELI: デザイン的に言いたいこともあるけど、まずはルール上曖昧な点を確認したい。自身を対象に取れないよう、「対戦相手がコントロールするクリーチャー最大1体までを対象とする」じゃない?
EEF: いいえ。盤面の状態に関わらず変身できるようになってほしいんです。
ABRO: FFLのミーティングを経て、サイズを5/4に変更。起動型能力のコストを{5}{U}{B}{R}に変更。
EEF: 5/5、{4}{U}{B}{R}で起動→5/4、{5}{U}{B}{R}で起動。
AP: 変身時の効果を《支配魔法》から《英雄の破滅》に変更。
EEF: 《英雄の破滅》→ライブラリーを7枚《石臼》する
EEF: 「対戦相手1人を対象とする」→「各対戦相手は」
EEF: {5}{U}{B}{R}で起動→{4}{U}{B}{R}で起動。
EEF: {2}{U}{B}{R}、5/4→{1}{U}{B}{R}、4/4。対戦相手に手札を捨てさせるのは、戦場に出たときのみに。攻撃したときは捨てさせません。{4}{U}{B}{R}でライブラリーを7枚削る→{3}{U}{B}{R}で《悪魔の布告》。
EEF: 起動型能力のコストを{3}{U}{B}{R}から{4}{U}{B}{R}に変更し、ソーサリー・タイミングに。{3}{U}{B}{R}、{T}でも良いかもしれません。
EEF: 変身時の《悪魔の布告》効果を削除。
EEF: 早い段階で戦場に出せて、かつ変身させたくなるようなグリクシスの大型クリーチャーを見つけるのは難しいですね。
AF: かなり調整を繰り返してきたな。何ターンかあとに変身させられるだけでも面白いのでは?
ABRO: そうだね。
MDT: そうですね。
YS: たしかに。


 なんと、「ニッキー・B」ことニコル・ボーラス氏も再登場だ。今回は高コストのフィニッシャーではなく、スリムで優れたカードになっている。《破滅の龍、ニコル・ボーラス》は、さまざまな変更や調整が繰り返されたすえに、今日私たちが見る最終版に至った。

 スタンダードで共存する期間があるため、《王神、ニコル・ボーラス》とは異なるデザインにする必要があることは、イーサンも意識していた。プレイヤーたちが今回のボーラスを強大なプレインズウォーカーに変身させたくなるように、私たちは多くのアイデアを試した。ライブラリー削り、クリーチャー破壊、そして《精神の制御》効果まで、あらゆるものを試した。

 でも最終的には、最もシンプルな答えに行き着いたんだ。「極めて強力で倒すのが難しいプレインズウォーカーが裏にあるけど、どう?」ってね。


覚醒の龍、ニコル・ボーラス

回転

クリックで変身します

EEF: すべて新能力です。
DEL: テンプレート化完了しました。チェックお願いします。
EEF: 良いですね。
EEF: [+1]: プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する。→[-2]: パーマネント1つを対象とし、それを破壊する。
EEF: 数字を微調整。
EEF: 初期忠誠度5→7。[+1]: カードを2枚引く。→[+2]: カードを2枚引く。[+2]: プレインズウォーカーを破壊する→[-3]: クリーチャーかプレインズウォーカーを破壊する。[-2]: リアニメイト→[-4]: リアニメイト。[-10]: 奥義→[-12]: 奥義。
DEL: 確認:どの能力にも赤を感じられませんが、それは?
EEF: 良い気づきです、DEL。「破壊する」→10点のダメージを与える。
NB: 強化候補。
AP: その意気だ、ニコラス卿。


 クリーチャー側の《破滅の龍、ニコル・ボーラス》が十分に煮詰められたおかげで、プレインズウォーカー側の《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》は比較的小さな調整で良いところに収まった。

さて、大物について語りましょうか。今回の基本セットのテーマが「ニコル・ボーラスのオリジン」に決まると、私はまずニコル・ボーラスの両面カードが必要だと考えました。#MTGM19 #M19CardStories #WOTCstaff 1/6



今回のニコル・ボーラスのデザインを行う上で特に難しかったのは、スタンダードにはすでに7マナのプレインズウォーカーである《王神、ニコル・ボーラス》があることでした。それとの競合を避けるため、今回は4~5マナ域のスリムなものにする必要がありました。 2/6



デザイン初期の段階ではグリクシス・コントロール向けのバージョンを試しましたが、コントロール・デッキはあとでプレインズウォーカーに変身する中堅サイズのクリーチャーには興味を惹かれないということに、すぐ気づきました。 3/6



今回のボーラスはミッドレンジ・デッキ向けにするのが良いと気づいた私たちは、カードパワーの基準を第1面に置き、変身頻度を少なめに設定しました。そして変身できればとんでもない力を振るうようデザインしました。 4/6



重要なのは、第2面も十分に魅力的なものにすることです。4/4飛行クリーチャーを変身させるほどの価値を持たせなければいけなかったのです。 5/6



見た目の話もしますと、第1面のアートはD.アレクサンダー・グレゴリー/D. Alexander Gregoryが描いた《ニコル・ボーラス》の姿を試したことがあります。しかし最終的には、《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》で描かれている昔ながらのキャラクター・デザインを採用しました。 6/6




隕石ゴーレム

EEF: 新カードです。
ROSEJ: これも超クールですね。
EEF: パーマネント→土地でないパーマネント
EEF: {6}、2/2→{7}、3/3
EEF: 土地でないパーマネント→パーマネント
MDT: 本当に「パーマネント」で大丈夫ですか? ブリンク効果のようなものと組み合わさるとすごくつまらなくなりそうです。
PI: 「土地でないパーマネント」ではなく「パーマネント」である理由は?
EEF: パーマネント→土地でないパーマネント
DEL: 確認:結局、「パーマネント」と「土地でないパーマネント」どっちですか? 文字数の観点、回答とリスクの観点、土地破壊は嫌われるという観点、さまざまだと思いますが。
EEF: 相手の戦場に何もないときに自分のパーマネントを吹き飛ばさないよう、「対戦相手がコントロールしていて」と付け加えます。「土地でないパーマネント」の方が肯定的だと私は思います。


 見事なフレイバー。強力な効果。そして抑圧的すぎず、自然とゲームが続く。これまでは、除去として機能するアーティファクトは一度戦場に置いてから機を見て能力を起動するのが一般的だった。だが私たちは、コストを重くして強力な「戦場に出たとき」の効果を持たせる方が楽しいプレイ体験を生み出すことに気づいたんだ。それから、上記のコメントを見ると、このカードが土地を破壊できるようにすべきかどうかで大いに揉めているね。みんなはどう思う?

よし、もう1枚#M19CardStoriesを語ってからベッドに倒れ込むことにしましょう。私たちはプレインズウォーカー・デッキに取り組んでいました。今回は5つの単色デッキです。 #MTGM19 #WOTCstaff 1/8



私たちは主力となるクリーチャーやゲームを決めるボム、それからエンチャント、アーティファクトなど、バラエティ豊かなカードを用意したいと考えていました! しかし同時に、それらすべてを対処され得るものにしたいと思っていました。新規プレイヤーの皆さんに、このゲームではどんな問題にも解決手段はあるということを知ってもらいたいのです。 2/8



ですが、それを単色の構築済みデッキ5つで実現するのは言うほど簡単なことではありません! すべての色がどんな問題でも解決できる手段を持っているわけではないのです。しかし幸運なことに、マジック・デザイナーとしての経験が長い私は、以前にもこういう状況に遭遇したことがありました。 3/8



それは『統率者(2014年版)』のリード・デザインを務めていたときのことです。そう、この製品も単色の構築済みデッキ5つで構成されています。そのとき私たちは、《不安定なオベリスク》を作りました。 4/8



マナ・アーティファクトでありながら《名誉回復》でもある《不安定なオベリスク》は、やや複雑すぎました。『霊気紛争』の《万能溶剤》は目的がよりはっきりしていて、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場する古代錬金術を思わせるコンセプトも、非常に共感を得られやすいものでした。 5/8



しかしプレイテスト中に、「《万能溶剤》の効果は抑圧的だ」という問題が見つかりました。対戦相手の戦場に《万能溶剤》があるのに、大切なボム・クリーチャーを差し出す人はいません。その結果、ゲームは間延びしてしまうのです。私たちは、互いに干渉はできてもスムーズなゲーム展開を望んでいました。 6/8



そこで私たちは、戦場に出たときにパーマネントを破壊する能力が誘発するアーティファクトを求めました。他にもあれこれ能力を持ってややこしいことになるのは避けたかったので、自然とアーティファクト・クリーチャーになりました。 7/8



(「『土地でない』パーマネント」に変更したので、@CubeAprilがこれを「明滅」させて全員の土地を吹き飛ばすこともできなくなりましたよ。) 8/8




冒涜された墓所

EEF: アーロン・フォーサイスからの新カードです。(彼の他に誰がいます?)
EEF: 《トーモッドの墓所》のような効果で大爆発しないか心配です。
AF: ああ、クリーチャー1体ごとにコウモリが1体生成されるわけではない。そこは明白かと思ったが、テンプレートを変えてターン終了時に参照する方が良いかな。
EEF: 「クリーチャー・カードが1枚」→「クリーチャー・カードが1枚以上」
ID: 組み合わせるものによっては壊れる恐れがある。コンボの可能性を見てみよう。
EEF: 「発掘」デッキではどういう挙動になります?
AF: 《ゴルガリの墓トロール》を「発掘」すると、コウモリ1体を生成する。
ROSEJ: 《ナルコメーバ》や《黄泉からの橋》がデッキに入れるだけなのに対して、このカードにはマナとカードが必要ですね。
MJJ: 《屑鉄場のたかり屋》との相性が良いね。1回の起動でコウモリを2体得られる(コストで1体、解決されたら1体)。
EEF: FFLから、終了ステップに一度に誘発するよう提案がありました。あるいは条件付きのタップ能力?
EEF: 各終了ステップに誘発するよう変更。
DEL: 誘発条件を戻しました。お楽しみください。


 マジックのカード・デザインにおける制限の好例だ。初期案ではほとんど制限がなく、墓地から追放されたクリーチャー・カードの数だけ1/1のコウモリを生成できた。大量のクリーチャーと《冒涜された墓所》があれば、《トーモッドの墓所》で私たちが意図するよりずっと早く大量のコウモリを繰り出せてしまうんだ。その後のデザインで1ターンに1体までという提案もあったが、私たちはそれらの間を取って1ターンに数体は生成できるようにした。折衷案というわけだ!


異形化するワンド

EEF: マーク・ヘジェン/Mark Heggenからの新カードです。
DOUGB: こちらが持つ破壊不能クリーチャーを変えていいんですか? やったー! 牛農家になろう。
ELI: 恐竜に変えるというのはどうですか?
EEF: 牛に変える方が面白いと思います。装備品から、通常のアーティファクトに変更。
ABRO: マジック的にはヤギ>牛じゃないかな。
EEF: ですが3/3というサイズはヤギにふさわしいと思えません。
EEF: どのクリーチャー・タイプにしたら一番面白いかについて、たくさんの議論を交わしました。類人猿と象も候補に挙がりました。それとも、新しいクリーチャー・タイプを登場させましょうか?
EEF: 起動コスト{2}→{3}
EEF: 蓄積カウンターを使用するように変更。
EEF: 3/3の雄牛→2/4。より雄牛らしく。
AF: 蓄積カウンターの数を3個に変更。起動コストを軽くできるだろうか?
EEF: 起動コスト{3}→{1}
DEL: 「雄牛でない」という対象の制限を削除しました。


 製品設計者のマーク・ヘジェンがデザインしたこのカードは、そのデザインの美しさについて、特にどのクリーチャー・タイプに変えるのが一番面白いかという議論が活発に交わされた。マークによる初期案が雄牛で、その後さまざまなクリーチャー・タイプが提案されたものの、最終的に彼の雄牛案が通ったのだった。

 最後に小話をひとつ。蓄積カウンターが採用されたことでカード・テキストが長くなり、このカードの初期案にあったフレイバー・テキストは失われた。それは「君と牧草地へ」というものだった。ナイス・トライだ、マーク。よくやった。

 ではまた次の機会に。

ダン・マッサー (@Daniis7)

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa)

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