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Making Magic -マジック開発秘話-

継承されるタイプ その3
2025年6月16日
2週間に渡って、タイプ的メカニズム(クリーチャー・タイプに関連するカードを含む)の歴史を振り返ってきた。今回が3週目かつ最終週となる。各年の最も影響力のあったタイプ的デザイン・カードの振り返りを、2013年から再開しよう。
2013年
セット:『ギルド門侵犯』、『ドラゴンの迷路』、『基本セット2014』、『テーロス』
私のチョイス:《波使い》(テーロス)
2013年のタイプ的テーマは小さかった。セットの中では、スリヴァーによって『基本セット2014』が最も大きなセットだった。このセットのスリヴァーはシャンダラー出身のため、人型に似たフォルムをしていた(成功ではなかった)。2013年のカードとして、『テーロス』の《波使い》をチョイスした。タイプ的テーマの歴史を辿る旅で興味深いことの1つは、このテーマが柔軟になっていくのを見ることだ。このテーマは我々のツールボックスにおける貴重なツールのため、どうやって使用するかを日々考え続けている。《波使い》はその良い例だ。
フレイバーの面で言うと、クリーチャーが波を形成して攻撃するのを再現したかった。クリーチャー・カードがどうやって波を作るか? 考えた結果、クリーチャー・トークンで波を表すのが相応しいということになった。水・エレメンタル・トークンは波の表現にピッタリだ。しかし、ここで1つ問題が生じた。我々は、《波使い》が除去されたら、波も消え去るようにしたかったのだ。
それをテキストとして書こうとしたが、冗長になってしまい、適切な長さに収めることができなかった。ブレイクスルーとなったのは、トークンのタフネスを0にできると気付いたことだ。《波使い》によって、トークンが戦場に存在できるようにすると上手くいくのでは? 《波使い》に「エレメンタルは+1/+1の修正を受ける」を追加し、生成するトークンを1/0 にした。この変更によって我々が作りたかった雰囲気を再現することができ、カードも良いものになった。また、《波使い》はエレメンタルのタイプ的カードともなり、デッキにエレメンタルをもっとたくさん入れたくなるカードにもなった。
《残酷なハイソニア》についても少し触れておきたい。このカードも、クールなタイプ的デザインをしている。当初、ハイソニアの怪物的能力は自身以外のすべてのクリーチャーを破壊する能力にデザインしたかった。しかし、途中で彼女をゴルゴンのタイプ的カードにできることに気付いたのだ。他のクリーチャーすべてを破壊ではなく、ゴルゴン以外を破壊にするとどうなるだろうか? この変更は、彼女自身を破壊しない観点を維持したまま、他のゴルゴンを入れる動機付けにすることができた。これは我々が「逆タイプ的/reverse typal」と呼んでいるもので、特定のクリーチャー・タイプにプラスの効果を与えるのではなく、そのクリーチャー・タイプ以外のクリーチャーにマイナスを与えることである。
2014年
セット:『神々の軍勢』、『ニクスへの旅』、『コンスピラシー』、『基本セット2015』、『タルキール覇王譚』
私のチョイス:《刃の隊長》(タルキール覇王譚)
『イニストラード』ブロックは特定のクリーチャー・タイプを中心に構築するドラフト・アーキタイプがあったが、タイプ的テーマはブロックのより大きな構成要素になっていた。『タルキール覇王譚』では、タイプ的メカニズムをセット内のアーキタイプ同士を繋ぐ接着剤とするアイデアがあった。白黒にはアイデンティティが必要だった。アブザン(白黒緑)とマルドゥ(赤白黒)を結びつけているのは、敵対色の組み合わせでした。では、この2つを結びつけるのは何だろうか? このセットは争い合う氏族をテーマにしており、戦士のクリーチャー・タイプは頻繁に使用されていた。これはドラフト・シナジーを作るのに充分なメカニズム的繋がりとなった。2色のドラフト・アーキタイプ同士をタイプ的メカニズムで繋ぐアイデアは非常に有用であり、現代ではデザインの定番手法となっている。
2015年
セット:『運命再編』、『タルキール龍紀伝』、『マジック・オリジン』、『戦乱のゼンディカー』
私のチョイス:《揺るぎないサルカン》(タルキール龍紀伝)
『運命再編』は戦士のタイプ的テーマを引き継いでいた。『マジック・オリジン』は黒緑エルフのタイプ的テーマを持っていた。『戦乱のゼンディカー』は同盟者のタイプ的テーマを再録していた。さらに同盟者テーマの一環として新しい能力語「結集」も作った。
2015年のカードとして私が選んだのは『タルキール龍紀伝』の《揺るぎないサルカン》だ。『タルキール覇王譚』ブロックは、新しいドラフト構造に基づいてデザインされていた。ブロックの第1セットと第3セットは大型ブロックで、第2セットは小型セットだ。大型セットは独自のメカニズムを持ち、小型セットは各大型セットと合わせてドラフトできるようにデザインされていたが、大型セット同士を組み合わせたドラフトはしない仕組みになっていた。
この構造をフレイバー的観点から説明するための手段として、我々はタイムトラベルの物語を思い付いた。主人公のサルカン・ヴォルは過去に戻り、重要な出来事を改変したことで世界線が変動する。その結果、第3セットの舞台が改変後の世界として用意されるのだ。「良いセットを作るためには何を改変すればよいだろうか?」と自問し問いかけた。そうすると、かつて『スカージ』というセットを作成し、ドラゴン・セットとして宣伝したが、実際にはそのようなセットではなかったことを思い出した。その後『ドラゴンの迷路』というセットを作成したが、これはドラゴン・セットではないのでそのように宣伝はしなかった。しかしセットの名前に「ドラゴン」が含まれていることにより、ドラゴンの活躍が期待されるセットになっていた。その期待には答えられなかった。以上の記憶から、ドラゴン・セットを求める欲求が貯まっているのではないかと推察した。よって、ドラゴン・セットを作ることにしたのだ。
2016年
セット:『ゲートウォッチの誓い』、『イニストラードを覆う影』、『異界月』、『コンスピラシー:王位争奪』、『カラデシュ』
私のチョイス:《戦墓の巨人》(イニストラードを覆う影)
『ゲートウォッチの誓い』では同盟者のタイプ的テーマが引き続き使用された。同盟者用の新しい能力語、盟友も導入した。盟友は起動型能力が持っており、その能力のコストにアンタップ状態の同盟者をタップするコストが追加される。『イニストラードを覆う影』と『異界月』では怪物のタイプ的テーマが復活した。『カラデシュ』では、あまりサポートされていなかったクリーチャー・タイプである霊基体、工匠、組立作業員、ドワーフ、霊気装置、飛行機械に焦点を当て、枚数は少ないがこれらのタイプ的カードが含まれていた。
2016年の私のチョイスは《戦墓の巨人》だ。『イニストラードを覆う影』のカードだ。このカードは、イニストラードの核のメカニズム要素である怪物のタイプ的効果が部分的に反映されている。また、クリーチャー・タイプを参照する領域がかなり多様化していることもわかる。初期の頃のタイプ的効果はすべて戦場を中心としていたが、デザイン空間を掘り進めていくうちに、カードがどの領域にあってもクリーチャー・タイプを持っている事実が新たなデザイン空間を生んでいることが明らかになった。更に、このカードはメカニズム的に他のゾンビを参照するだけでなく、トークン生成を通じてゾンビ・デッキのサポートにもなるため、素晴らしい役割を果たすカードである。
2017年
セット:『霊気紛争』、『アモンケット』、『破滅の刻』、『イクサラン』、『Unstable』
私のチョイス:《太陽の化身、ギシャス》(イクサラン)
『アモンケット』と『破滅の刻』は白黒ゾンビのタイプ的テーマを持っていたが、『イクサラン』はこの年の中で最もタイプ的が前面に押し出されたコンテンツであった。当初の『イクサラン』はプレイヤーが資源を奪い合う、2つの陣営の対立が舞台のアイデアがあった。これはリチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが何年も前にデザインしたカードゲーム「Vampire: The Eternal Struggle」のメカニズム「edge」に着想を得たものだった。しかし、この着想は『コンスピラシー:王位争奪』で「統治者」メカニズムとして実現した。つまり『イクサラン』のデザイン開始段階では、我々は全く新しいテーマを探す必要があった。
世界構築チームはイクサラン次元の構築に多くの労力を費やしていた。この次元に何があるかを考えていったとき、私は設定上大きな役割を担っていたクリーチャー・タイプ、海賊と恐竜に惹かれたのだ。海賊は過去にもデザインしたことがあったが、上手く作れたとは言い難かった。恐竜はかつて存在したが、オラクル更新で削除されていた。吸血鬼もこの次元の物語で重要な存在であったため、タイプ的テーマとして取り入れることが可能だった。最終的に4つ目のクリーチャー・タイプとしてマーフォークを足し、『タルキール覇王譚』で私がデザインした「3、3、2、2」モデル、クリーチャー・タイプのうち2種族は3色陣営であり、別の2種族は2色陣営であるモデルを採用することになった。
2017年のチョイスは《太陽の化身、ギシャス》だ。『イクサラン』ブロックで最も人気のあったクリーチャー・タイプが恐竜だからだ。今振り返ると、このブロックは我々がタイプ的テーマを重視し過ぎた失敗例である。当時学んでいた教訓を充分に活かすことができなかった。セットは全体的にタイプ的テーマに焦点を当てており、『ローウィン』で経験していたサイロ化問題を多く抱えていた。ドラフトは誘導的であり、双方向性、方針転換性に欠けていた。さらに悪いことに『ローウィン』で有効だった「タイプ的の潤滑油(多相などが該当)」の必要性を認識していたものの、クリエイティブ上の制約から良い解決策を見いだせていなかった。私の意見としては、『イクサラン』はマジック史上で最も精彩に欠けたタイプ的セットになってしまった。
2018年
セット:『イクサランの相克』、『ドミナリア』、『バトルボンド』、『基本セット2019』、『ラヴニカのギルド』
私のチョイス:《若葉のドライアド》(イクサランの相克)
『ドミナリア』のドラフト・アーキタイプには白黒騎士、青赤ウィザード、緑黒苗木といったタイプ的テーマがいくつかあった。『バトルボンド』には戦士のタイプ的テーマがあった。そして『基本セット2019』には個性的なタイプ的テーマがたくさんあった。2018年のカードのお勧めは《若葉のドライアド》である。このカードはタイプ的効果の興味深い使い方をしているからだ。
『イクサランの相克』では昇殿と呼ばれるメカニズムが導入された。パーマネントが10個以上あると効果が有効になる閾値メカニズムである。昇殿カードには、その前と後になる効果が必要である。昇殿に達する前に何かを得て、昇殿後に何かを得る必要がある。理想的には、前で得たものが後で強化されるべきだ。クリーチャー・トークンを生成する能力は、昇殿を達成する助けになるので適している。次に、昇殿後はどのような強化効果がもたらされるべきかを考えた。特定のクリーチャー・トークンを強化できるタイプ的効果が良いことに気が付いた。《若葉のドライアド》は最初に1/1のトークンを生成し、昇殿後それらは3/3になる。この種の効果の利点は、タイプ的特徴が、デッキ構築にも役立つことだ。《若葉のドライアド》は単体でも優れているカードだが、苗木トークンを生成する他の手段があれば、より強力なカードとなる。
2019年
セット:『ラヴニカの献身』、『灯争大戦』、『モダンホライゾン』、『基本セット2020』、『エルドレインの王権』
私のチョイス:《限りないもの、モロフォン》(モダンホライゾン)
『灯争大戦』では、動員というメカニズムが導入された。新しいクリーチャー・タイプの軍団を生成する能力だ。このメカニズムにより、『灯争大戦』では軍団を参照する個別のカードをデザインできた。『基本セット2020』は赤緑エレメンタルのアーキタイプがあった。『エルドレインの王権』は騎士のタイプ的カードが赤、白、黒にあった。このセットは野生の様々なクリーチャーを表現するため、逆タイプ的テーマの「人間でない」もあった。しかし、私が2019年のカードとして選ぶのは『モダンホライゾン』の《限りないもの、モロフォン》だ。
『モダンホライゾン』は『マジック』でこれまでに登場したほとんどのメカニズムを扱う、高度で複雑なセットだった。プレイヤーから頻繁に寄せられる要望に可能な限り多く応えることを目指した。要望はタイプ的テーマに関するものが多かった。我々はセットに多相クリーチャーを追加し、1枚限りのタイプ的デザインを多数作成することで、その要望の多くを実現した。またスリヴァー・テーマも用意し、スリヴァーはマジックの過去の有名な能力を得られるようになった。スリヴァーをデザインする上での課題の一つは、スリヴァーに与える能力をセットに用意することであるが、『モダンホライゾン』は過去のメカニズムをどれでも扱うことができるため、スリヴァー・テーマは理想的なデザインをすることができた。
とはいえ、どれだけ多くタイプ的カードをデザインしようと、要望すべてを網羅はできないとわかっていた。そこで、私はまだ統率者となれるクリーチャーが存在しないクリーチャー・タイプ用の統率者として、あらゆる種族の統率者となれるカードを作ることにした。モロフォンに5色の固有色を持たせ、好きなタイプ的テーマでデッキを組めるようにした。そして、最も汎用性の高いボーナスを与えることにした。それが+1/+1修正である。どんなタイプ的テーマもクリーチャーが必ず入るためだ。そしてモロフォンにはさらに選んだタイプの呪文のコストを軽くする能力も追加した。モロフォンは大ヒットしたカードとなり、タイプ的テーマの人気の高さを改めて証明してくれた。
2020年
セット:『テーロス還魂記』、『Mystery Booster』、『イコリア:巨獣の住処』、『基本セット2021』、『ジャンプスタート』、『ゼンディカーの夜明け』、『統率者レジェンズ』
私のチョイス:《海門の擁護者、リンヴァーラ》(ゼンディカーの夜明け)
『イコリア:巨獣の住処』には人間のタイプ的テーマに加え、人間以外を対象としたアンチタイプ的テーマ(例:変容は人間以外に適用)があった。『基本セット2021』には、何枚かの新しい個別のタイプ的デザインが登場した。『ジャンプスタート』の各パックは、それぞれ異なるメカニズム・テーマに基づいてデザインされており、そのテーマの多くはタイプ的だった。2020年から私が選んだカードは『ゼンディカーの夜明け』の《海門の擁護者、リンヴァーラ》だ。
ゼンディカーへの3度目の訪問で、冒険パーティーのテーマに新たなアプローチで試みることにした。同盟者に焦点を当てるのではなく、古典的なRPGゲームのパーティーに倣い、4つのクリーチャー・タイプ、つまりウィザード、クレリック、ならず者、戦士に焦点を当てることにした。多くのタイプ的テーマは「掘り下げる」こと、つまりある特定のタイプを数多く必要とするものとなっている。『ゼンディカーの夜明け』のパーティー・メカニズムは、複数の異なるクリーチャー・タイプを所有することを求めるものだった。パーティー・デザインの多くはパーティーの規模、言い換えると4つのクリーチャー・タイプのうち何種類をコントロールしているかによって閾値が決まるものだった。リンヴァーラのようにクリーチャー・タイプを4タイプすべてコントロール、または「パーティーが全員そろっている」、つまり4人いることに重点を置くものもあった。『マジック』の誕生後長い年月が経過してから生まれた、タイプ的に対する斬新でユニークなアプローチである。
2021年
セット:『カルドハイム』、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』、『モダンホライゾン2』、『フォーゴトン・レルム探訪』、『イニストラード:真夜中の狩り』、『イニストラード:真紅の契り』
私のチョイス:《ティアマト》(フォーゴトン・レルム探訪)
カルドハイムは10の領界からなる次元である。各領界には中心となるクリーチャー・タイプがある。そのため、個別のタイプ的カードが数多く誕生した。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』ではクリーチャーのクラスを用いて生徒を異なる大学へと分けたが、タイプ的デザインが大量に作られたわけではなかった。『モダンホライゾン2』にはリスのタイプ的アーキタイプが存在した。『フォーゴトン・レルム探訪』では、人気ある『ダンジョンズ&ドラゴンズ 』のクリーチャーを題材として、タイプ的テーマが作られた。イニストラードでは、馴染みある怪物のタイプ的テーマが2つのセット両方で復活した。
私が選んだ2021年のカードは『フォーゴトン・レルム探訪』の《ティアマト》だ。このカードは正確には「ユニバースビヨンド」カードではないが、『マジック』のメカニズムは別の愛されている作品に適用できるという底力を示している。《ティアマト》は5つの頭を持つドラゴンであり、それぞれの頭は異なる色になっている。そのため、ドラゴンを5体サーチできる5色のクールなドラゴンにデザインしたいという欲求を、抑えることはできなかった。
2022年
セット:『神河:輝ける世界』、『ニューカペナの街角』、『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』、『団結のドミナリア』、『兄弟戦争』、『Unfinity』、『ジャンプスタート2022』
私のチョイス:《希望の源、ジアーダ》(ニューカペナの街角)
『神河:輝ける世界』では、忍者や侍といった神河で登場したクリーチャー・タイプに焦点を当てたいと考えていた。しかし、どちらのタイプもカードの枚数がそれほど多くなかったため、タイプ的テーマは関連する職業を含む拡張された形となった。忍者はならず者と、侍は戦士とペアを組むことになった。前者は青黒のドラフト・アーキタイプであり、後者は赤白だった。『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』は赤、青、緑のドラゴンのタイプ的テーマに傾倒していた。このセットはパーティー・メカニズムも存在していた。『団結のドミナリア』には単色のタイプ的ロードのサイクルがあった。『Unfinity』にはドラフトで赤白道化師 のタイプ的アーキタイプがあった。『兄弟戦争』のドラフトでは白青兵士のタイプ的アーキタイプがあった。『ジャンプスタート2022』ではカード20枚のハーフデッキ が導入され、その多くはタイプ的デッキであった。
私は2022年のカードとして『ニューカペナの街角』から《希望の源、ジアーダ》を選んだ。このセットの物語では天使が重要な役割を担っていたため、天使のための格好よい統率者をデザインしたいと考えたのだ。ドラゴンや天使のような大型クリーチャーは、戦場に一度にたくさん出すのが難しいため、タイプ的カードを作成するにはデザインのハードルが高い。ジアーダはゲーム序盤に戦場に出てきて後続の天使を唱える手助けとなり、またジアーダが戦場を離れても天使へのボーナスが継続する点がお気に入りだ。
2023年
セット:『ファイレクシア:完全なる統一』、『機械兵団の進軍』、『機械兵団の進軍:決戦の後に』、『指輪物語:中つ国の伝承』、『統率者マスターズ』統率者デッキ、『エルドレインの森』、『ドクター・フー』、『イクサラン:失われし洞窟』、『「ジュラシック・ワールド」コレクション』
私のチョイス:《うろつく玉座》(イクサラン:失われし洞窟)
『機械兵団の進軍』は『マジック』が訪れたことのあるほぼすべての次元が出てきたため、タイプ的カードはたくさん存在したが1枚限りのデザインが多かった。『指輪物語:中つ国の伝承』にはタイプ的テーマがいくつかあり、黒赤のオークとゴブリン、青緑エルフがドラフト・アーキタイプとして存在した。他の多くのクリーチャー・タイプは1回限りのデザインだった。『エルドレインの森』には青黒フェアリーと赤黒ネズミのタイプ的テーマがあった。『イクサラン:失われし洞窟』ではオリジナルの『イクサラン』に存在していた4つのタイプ的テーマがすべて再登場し、このセットでは特に恐竜に重点が置かれていた。
2023年から選んだカードは《うろつく玉座》だ。このセットにはタイプ的テーマが数多く存在していたため、どのクリーチャー・タイプに効果を適用するか選べるという、長年定番のデザインとなっているカードを選んだ。このカードのデザインは、我々が何度も手掛けてきた誘発型能力をコピーするという人気テーマを、タイプ的デッキ用のカードへと落とし込んだものだ。
2024年
セット:『カルロフ邸殺人事件』、『Ravnica: Clue Edition』、『サンダー・ジャンクションの無法者』、『Fallout』、『モダンホライゾン3』、『Assassin's Creed』、『ブルームバロウ』、『ダスクモーン:戦慄の館』、『ファウンデーションズ』、『ファウンデーションズ』ジャンプスタート
私のチョイス:《渓間の洪水呼び》(ブルームバロウ)
『カルロフ邸殺人事件』では探偵のタイプ的カードが登場した。『サンダー・ジャンクションの無法者』では5つの異なるクリーチャー・タイプ(暗殺者、海賊、邪術師、ならず者、傭兵)をまとめた無法者という用語が作られた。『モダンホライゾン3』ではエルドラージのタイプ的テーマが、『Assassin's Creed』ではアサシンのタイプ的テーマがあった。『ファウンデーションズ』は単発デザインのタイプ的デザインが何枚か存在し、『ファウンデーションズ』のジャンプスタートにはタイプ的ハーフデッキが大量に存在した。しかし、この年で最もタイプ的カードが多かったのは『ブルームバロウ』だ。10組の2色ペアすべてが動物のクリーチャー・タイプを中心にデザインされていた。タイプ的カードの開封比は過去のタイプ的セットよりも低かったが、動物それぞれが、その動物のフレイバーを反映したメカニズム・テーマを与えられていた。
2024年のカードは《渓間の洪水呼び》だ。これは、その色と関連するクリーチャー・タイプ4つをすべて参照するサイクルの1枚だ。各種族の集合は1度しか登場せず、名前も付いていないため厳密には包括メカニズムではないが、この手法は異なるクリーチャー・タイプ間にシナジーを生み出すクールな手法である。今後、こういったデザインはもっと増えていくと考えている。『ブルームバロウ』から得られた大きな教訓の一つは、タイプ的テーマは、セットに高いタイプ的の雰囲気を持たせるため、開封比を高くしておく必要はない、ということである。これはずっと昔に『イニストラード』ブロックで学んだ教訓を発展させたものだ。同じクリーチャー・タイプをプレイしたくなる要素は、そのクリーチャー達がメカニズムの面で連携しているという知見を拡張させている。この教訓は、今後のタイプ的セットのデザインに大きな影響を与えるだろう。
私はタイプ的を学んでいる
3週間を費やしたが、タイプ的デザインの歴史を隅から隅まで巡ることができた。楽しんでいただけただろうか。いつものように、今日の記事やタイプ的カード、テーマへの感想やフィードバックをメールやソーシャル・メディア(X、Tumblr、Instagram、Bluesky、TikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。
来週は「マイワード:青」が寄稿される予定だ。
それまでの間、読者のタイプ的テーマが楽しく、新鮮なものとなることを願っている。
(Tr. Ryuki Matsushita)
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