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Making Magic -マジック開発秘話-
ダンジョン語り その2
2021年7月26日
先週、『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ:フォーゴトン・レルム探訪』の伝説のカードの初期デザインについての話を始めた。今週は、その続きである。
《タラスク》
《タラスク》は、体高15メートル体長21メートル、体重100トンの巨大クリーチャーだ。主要物質界に生息しており、「モンスター・マニュアル」掲載のクリーチャーの中で最も厄介なクリーチャーの1つである。
〈タラスク〉(バージョン #1)
{10}{G}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― 恐竜
17/17
[カード名]を唱えるためのコストは{X}少なくなる。Xはあなたがコントロールしているパーマネントの中のレベルの最大値に等しい。(コストが{10}{G}{G}{G}のカードのレベルは13である。)
破壊不能
《タラスク》の最初のバージョンは、マジックで進行中の、前回の「最大のクリーチャー」より+1/+1したクリーチャーを作り続けるという遊びを受けて17/17になっていた。マジックの最初の「最大のクリーチャー」は、『アルファ版』の《大地の怒り》(8/8)で、次が『アンティキティー』の《サルディアの巨像》(9/9)、それから『ザ・ダーク』の《リバイアサン》(10/10)、『アイスエイジ』の《Polar Kraken》(11/11)、『ミラージュ』の《ファイレクシアン・ドレッドノート》(12/12)、『レギオン』の《クローサの雲掻き獣》(13/13)、『ラヴニカへの回帰』の《世界棘のワーム》(15/15)で、『ラヴニカのギルド』の《動じない大ワーム》(16/16)になる。(確かに、『Unglued』には《B.F.M. (Big Furry Monster) 》(99/99)、『コールドスナップ』にはマリット・レイジ・トークン(20/20)が存在した。)
コスト低減のおかげで、これ以外の自軍の重いクリーチャーに基づいて早く出すことができるようになっている。先週行ったとおり、デザイン・チームは「マナ総量」の言い換えとして「レベル」を検討していた。(正確に言えば「点数で見たマナ・コスト」の置き換えで、この語は後に『ストリクスヘイヴン』の時に「マナ総量」に置き換えられている。)破壊不能だったのは、《タラスク》が殺しにくいことで有名だからである。
〈タラスク〉(バージョン #2)
{10}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― 恐竜
14/14
[カード名]を唱えるためのコストは{X}少なくなる。Xはあなたがコントロールしているパーマネントの中の最大のレベルに等しい。(コストが{10}{G}{G}のカードのレベルは12である。)
破壊不能
[カード名]はレベルが2以下であるクリーチャーにはブロックされない。
17/17バージョンは少しばかり戦場に出しにくすぎたので、まな・コストとサイズの両方を小さくした。また、これに、開発部語で「daunt/威圧」と呼んでいるもの(パワー2以下のクリーチャーにはブロックされない)を、このカードらしくパワーではなくレベル(マナ総量)を参照するようにした能力を持たせている。
〈タラスク〉(バージョン #3)
{10}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― 恐竜
15/20
[カード名]を唱えるためのコストは{X}少なくなる。Xはあなたがコントロールしているクリーチャーの中のパワーの最大値に等しい。呪文鎧{10}(対戦相手がこのクリーチャーを対象として呪文を唱えるコストは{10}増える。)
次のこのバージョンでは、コスト低減で参照するのがマナ総量ではなくタフネスになり、破壊不能は護法{10}に入れ替わった。(呪文鎧は、護法の初期デザイン名である。)これらの変更により、マナ・コストはそのままに、サイズを14/14から15/20にすることができた。
〈タラスク〉(バージョン #4)
{6}{G}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― 恐竜
10/10
装甲{10}(このクリーチャーが対戦相手がコントロールしている呪文や能力の対象になるたび、そのプレイヤーが{10}を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。)
あなたがこれを唱えたなら、[カード名]は速攻を持つ。
[カード名]が攻撃するたび、 クリーチャーやプレインズウォーカーのうち対戦相手がコントロールしている1体を対象とする。これはそれに自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。
次のこのバージョンでは、護法{10}(なお、デザイン名が呪文鎧から装甲に変わっている)はそのままだったが、それ以外のすべてが変わっている。唱えた場合には速攻を持つようになり、クリーチャーやプレインズウォーカーにダメージを与える攻撃誘発も追加された。(この、唱えた場合、というのは、コストを払わずに戦場に出した場合のための安全弁である。唱える以外でクリーチャーを戦場に出す方法はいろいろとあり、リアニメイトが最大の脅威である)。マナ・コストも、{10}{G}{G}から{6}{G}{G}{G}になり、スタッツは15/20から10/10になった。サイズが縮んだ理由は、まず第一に、攻撃時にクリーチャーを殺せる能力が非常に強力だからである。
最終バージョンでは、護法{10}は《タラスク》を唱えていた場合のみ有効になっており、また、噛み(パワーに等しい点数のダメージを与える)が格闘に変わり、《タラスク》はプレインズウォーカーを噛むことができなくなった。
《ティアマト》
ティアマトはD&D内でも最も有名な、名前のついたドラゴンの1体である。色彩竜には5種類いて(興味深いことに、マジックにもその5色が存在する。アンコモンにはサイクルが存在している)、ティアマトは各色1種類、合計5種類のブレスを吐けるのだ。
開発部が働いているウィザーズの3階のキッチンにはティアマトの巨大な壁画があるので、私がオフィスにいたときは毎日ティアマトを目にしていたものだ。D&Dのセットを作ると決めたときに作ることになるとわかっていたカードの中で、ティアマトがまず筆頭だった。このカードの最初のバージョンはこうだった。
〈ティアマト〉(バージョン #1)
{2}{W}{U}{B}{R}{G}
伝説のクリーチャー ― ドラゴン・神
10/10
飛行
[カード名]が戦場に出たとき、あなたのライブラリーからドラゴン・カード最大5枚を、それぞれ異なる名前を持つように選んで探し、公開し、あなたの手札に加える。(その後、ライブラリーを切り直す。)
先週と今週の私の話のほとんどは、カードがどれほど変更されたか、というものである。ティアマトはそうではなかった。この最初のバージョンは、最後のバージョンと非常に近いのだ。10/10でなく7/7になり、他のティアマトを出してくることが禁止されるようになったこと以外は、マナ・コストに到るまで印刷されたものと同一であった。興味深いことに、この最初のものが非常に近かったにも関わらず、チームはいくらか違うバージョンを試していた。
〈ドラゴンの女王、ティアマト〉(バージョン #2)
{W}{U}{B}{R}{G}
伝説のクリーチャー ― ドラゴン・神
6/6
飛行
[カード名]が戦場に出たとき、あなたのライブラリーからドラゴン・カード最大5枚を、それぞれ[カード名]でない異なる名前を持つように選んで探し、公開し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。
あなたがコントロールしていてこれでないすべてのドラゴンは+1/+1の修整を受ける。
これは{W}{U}{B}{R}{G}だけで6/6であり、他のドラゴンを強化することもできる。これはおそらく、ドラゴンの指導者というティアマトのフレイバーのために加えられたものだろう。最終的に、ドラゴンはすでに大きく、このカードは大量のドラゴンを教示者することでドラゴン・デッキをプレイしやすくすることに特化しているので、チームはティアマトにドラゴンを強化させる必要はないと決定した。プレイテストの結果、マナ総量に等しくてクールな7/7にできるということがわかった。
私がこの話をしているのは、デザインがすぐに出来上がってそれ以上の反復工程が必要ないときもあるということを強調したかったからである。最初のデザインはキャラクターのクールな取り上げ方になっており、基本的にそのままだたのだ。
《モンスター見聞家、ヴォーロ》
ヴォーロは、その口承術で有名な人間の冒険家である。彼の世界のさまざまな場所にあり、彼が目撃した多くの怪物などのことを語るガイドは、さまざまなD&Dの本の題材になっている。彼は人気のキャラクターなので、我々はその楽しいデザインを見つけたいと考えた。
〈ヴォーロ〉(バージョン #1)
{U}{W}
伝説のクリーチャー ― 人間
1/2
[カード名]がブロックされた状態になるたび、あなたは「これをアンタップし、戦闘から取り除く。」を選んでもよい。[カード名]がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、カードを1枚引く。
おそらくこの第1バージョンは、ヴォーロがいつもトラブルに巻き込まれるがうまく生き残ってきているということを描こうと考えたのだろう。カードを引く能力は、彼が自分の冒険を通じて知識を学び続けていることを表している。彼は情報を扱うので当然青だが、なぜ第1バージョンが白だったのかはわからない。
〈名高い伝承師、ヴォーロ〉(バージョン #2)
{G}{U}
伝説のクリーチャー ― 人間・ウィザード
2/2
[カード名]が戦場に出るに際し、クリーチャー・カード名3つを選ぶ。
あなたが、その選ばれた名前のうち1つを持つ呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。
対戦相手が、その選ばれた名前のうち1つを持つ呪文を唱えるためのコストは{1}多くなる。
{G}{U}, {T},:その選ばれた名前のうち1つを持つクリーチャー1体を対象とする。それをタップまたはアンタップする。
デザイン・チームはすぐに、ヴォーロを特別な存在にしているのは彼が生き残ることではなく彼の知識だということに気がついた。クリーチャーの知識を使って、カードを強力にするクールな方法はないか。
プレイヤーがクリーチャーについて知れば知るほど、このカードも強くなるのだ。これの最初の方法が、ヴォーロが戦場に出るときにプレイヤーに3つ名前を宣言させて、そしてそれらをプレイしたことによってプレイヤーには利益を、対戦相手には不利益をもたらすようにするというものだった。これは2つの方法で行なわれた。1つ目に、マナ・コストを変えた。自分のそのカードを軽くして、相手のそのカードを重くした。2つ目に、それらと相互作用できるようにした。自軍のクリーチャーをアンタップし、対戦相手のクリーチャーをタップするのだ。全体として、能力の小洒落た詰め合わせになった。
このとき、ヴォーロは白青から緑青になった。正直なところ、最初からこの色であるべきだった。緑青は、世界のクリーチャーについて知りたいと思う人を再現するのにいい仕事をする。また、サイズが1/2から2/2になった。
〈モンスター見聞家、ヴォーロ〉(バージョン #3)
{1}{G}{U}
伝説のクリーチャー ― 人間・ウィザード
3/3
警戒
[カード名]が戦場に出るに際し、クリーチャー・カード名3つを選ぶ。
[カード名]はその選ばれた名前のうち1つを持つクリーチャーにはブロックされない。
あなたが、その選ばれた名前のうち1つを持つ呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。
次のこのバージョンはいくらか単純化されている。3枚名前を指定するのは一緒だが、それが影響するものは減っている。それらの名前のクリーチャーはやはり軽くなるが、対戦相手がコントロールしているそれらの名前のクリーチャーではブロックできなくなった。これはクリーチャーに関する知識のおかげでクリーチャーに捕まらなくても済んでいるというフレイバーを表している。さらにヴォーロには警戒がつき、マナ・コストは{G}{U}から{1}{G}{U}になり、サイズは2/2から3/3になっている。
〈モンスター見聞家、ヴォーロ〉(バージョン #4)
{3}{G}{U}
伝説のクリーチャー ― 人間・ウィザード
3/4
[カード名]が戦場に出るに際し、異なるクリーチャー・タイプ3つを選ぶ。
あなたが、その選ばれたタイプのうちちょうど1つを持つ呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。
{3}{G}{U}:あなたのライブラリーの一番上にあるカード10枚の中から、その選ばれたタイプのうちちょうど1つずつと同じタイプを持つクリーチャー・カード最大3枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
次のこのバージョンは、「クリーチャー3つを選ぶ」部分は残っているが、今回も得られる利益は変わっている。呪文は{1}軽くなるままだが、複数のクリーチャー・タイプを持つクリーチャーが{2}ないし{3}安くできるという抜け道を塞いでいる。
もう1つの能力は、指定したクリーチャーを自分のライブラリーの一番上にあるカード10枚から持ってくることができるようにするものである。この2つ目の能力も、悪用を防ぐために「選ばれたタイプのうちちょうど1つ」がつけられている。能力が強くなったので、カードも強化されることになり、マナ・コストは{1}{G}{U}から{3}{G}{U}になった。これによって、ヴォーロのタフネスを1点上げることができるようになった。
興味深いことに、このカードの印刷されたバージョンは全く新しい方向に向かっていた。他のクリーチャーを指名するのではなく、さまざまなクリーチャー・タイプのクリーチャーが入ったデッキをプレイすることで利益が得られるようになっている。デザイン・チームは、こうすることで楽しい基柱となる統率者になると考えたのだ。効果に関して言うと、デザイン・チームは青緑ができることなのでコピーを作ることにした。(緑は自軍のクリーチャーだけをコピーでき、青は誰のものでもコピーできる。)また、マナ・コストやスタッツも調整した({2}{G}{U}の3/2へ)。最終的なデザインは非常に新奇で、そしてヴォーロをうまく再現できている。
《ギルドの重鎮、ザナサー》
ザナサーは、スカイポートと呼ばれる場所にあるザナサーの盗賊ギルドの親玉であるビホルダーだ。彼は、その名前を冠したD&Dの本でもっとも有名だろう。
ザナサーのデザインの話は、そのキャラクターが最初セット内の別の枠のためにデザインされていたという点で、これまで語ってきた他のカードとは少しばかり異なる。このセットが最初に作られたとき、ザナサーは青のレアの枠で作られていて、別のキャラクターであるエルデス(アボレスとして知られているクリーチャー)が青黒の神話レアの枠に存在していたのだ。ザナサーのデザインの話は、このカードのデザインと並行して進んでいた。
エルデスはさまざまなクリーチャーに変身して、最終的にグラジラックスになっていた。この2枚の枠の、カードの最初のバージョンはこうである。
〈エルデス〉(バージョン#1、青黒神話レア枠)
{2}{U}{B}
伝説のクリーチャー ― アボロス
2/5
[カード名]が戦場に出るに際し、対戦相手1人を選ぶ。
あなたはいつでもその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見てもよい。
あなたはその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚をプレイしてもよく、そのためにマナを任意の色のマナであるかのように支払ってもよい。
〈ザナサー〉(バージョン#1、青レア枠)
{2}{U}{U}
伝説のクリーチャー ― ビホルダー
3/4
あなたがコントロールしているパーマネント1つが呪文や能力の対象になるたび、あなたはそのパーマネントをオーナーの手札に戻してもよい。
エルデスは古の、神秘的な、そして邪悪なクリーチャーなので、最初のバージョンのデザインはその神秘的な環境支配力を、対戦相手を支配することで再現しようとしたものである。このデザインでは、他のプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカードをプレイすることができるようになっている。クールで、強力で、神話レアらしいものになっている。
ザナサーの最初のバージョンは、自分のものを操作して守る能力を扱っているので、自分がコントロールしているパーマネントであれば何でも、対戦相手が傷つけようとすることに対応してでも、なにかが起ころうとしているときにそれに対応してでも、戻すことができる。
それぞれのカードの第2バージョンがこうだ。
〈エルダー・ブレイン〉(バージョン#2、青黒神話レア枠)
{2}{U}{B}
伝説のクリーチャー ― エルダー・イリシッド
4/5
あなたのアップキープの開始時に、対戦相手1人を選ぶ。このターン、あなたはその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見てよい。あなたはその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚をプレイしてもよく、そのためにマナを任意の色のマナであるかのように支払ってもよい。
〈ザナサー〉(バージョン#2、青レア枠)
{1}{U}{U}
伝説のクリーチャー ― ビホルダー
3/2
妄想的準備 ― あなたがコントロールしているクリーチャー1体がブロックされた状態になるたび、あなたはそれをオーナーの手札に戻してもよい。
防御的悪事 ― あなたがコントロールしている1体以上のクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーがあなたに自分のコントロールしているアーティファクト1つのコントロールを得させないかぎり、カード1枚を引く。
青黒神話レア枠の第2バージョンはほぼメカニズム的にそのままだった。対戦相手のデッキから呪文を唱えられるままである。唯一の変更点は、このクリーチャーが戦場に出たときに選んだ対戦相手1人だけに限るのではなく、毎アップキープの開始時に新しく対戦相手を選ぶようになったということである。
大きな変更があったのは、そのカードが表すのが誰かということであった。エルデスではなく、マインド・フレイヤーの最終形、エルダー・ブレインになったのだ。それは人の精神を操作するので、このメカニズムはエルダー・ブレインでもそのまま使えるものだった。身体を再現するため、{2}{U}{B}の2/5から{3}{U}{B}の4/5になった。
ザナサーはいくつもの変更を受けた。1つ目に、自軍のクリーチャーが対象になったときではなく、ブロックされたときにオーナーの手札に戻せるようになった。2つ目に、「好奇心」能力を自軍の全クリーチャーに与える能力を得た。(「好奇心」能力とは、開発部語で、戦闘ダメージを与えた時にカードを引くという能力のことである。両能力ともにフレイバー語がつき、ザナサーは{2}{U}{U}の3/4から{1}{U}{U}の3/2になった。
デザイン・チームはこの青単色のレアのデザインをおおよそ気に入っていたが、青黒の神話レア枠については調整が続いていた。
次はこうだ。
〈エルダー・ブレイン、イオーラウム〉(バージョン#3、青黒神話レア枠)
{4}{U}{B}
伝説のクリーチャー ― エルダー・ホラー
5/6
あなたのアップキープの開始時に、対戦相手1人を選ぶ。ターン終了時まで、あなたはその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見てもよい。あなたはその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚をプレイしてもよくその呪文を唱えるために、マナを任意の色のマナであるかのように使ってもよい。
このバージョンでは、特定のエルダー・ブレインになり、マナ・コストとサイズが{3}{U}{B}の4/5から{4}{U}{B}の5/6に変更になっている。テンプレートが少し調整されたが、基本的には同じまま残っていた。
〈オリンドールのエルダー・ブレイン〉(バージョン#4、青黒神話レア枠)
{4}{U}{B}
伝説のクリーチャー ― エルダー・ホラー
5/6
あなたのアップキープの開始時に、対戦相手1人を対象とする。ターン終了時まで、そのプレイヤーは呪文を唱えることができず、あなたはそのプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見てもよく、あなたはその選ばれたプレイヤーのライブラリーの一番上にあるカード1枚をプレイしてもよく、その呪文を唱えるために、マナを任意の色のマナであるかのように使ってもよい。
次のこのバージョンは、基本的にはこのデザインの最終版となった。あなたがそのライブラリーの一番上にある呪文を唱えられるというだけではなく、選ばれた対戦相手はそのターンに呪文が使えなくなった。これが追加された理由は、対戦相手も自分のライブラリーの一番上にあるカード1枚をプレイできる方法があった場合、ルール上の問題が生じたからである。これによって、このクリーチャーのコントローラーだけがそのカードをプレイできるということが明らかになった。また、このカードは別の伝説のエルダー・ブレインに変わっている。
このとき、両カードにカード・コンセプトとアートの説明がついた。
舞台:『Zebra』
色:青黒クリーチャー
場所:地下の、マインド・フレイヤーの住処
行動:マインド・フレイヤーのエルダー・ブレインが塩水だまりの上で浮いている。普通のマインンド・フレイヤー(230-231ページ)が、池の周りの床に跪き、頭を垂れ、テレパシーでエルダー・ブレインの指導者と意思疎通している。エルダー・ブレインの触手の1本は他のマインド・フレイヤーの顔にかけられている。
焦点:エルダー・ブレイン
雰囲気:不気味に粘ついている
舞台:『Zebra』
色:青クリーチャー
場所:入り組んでいて大きな地下室のような感じの、ザナサーの地下の隠れ家。
行動:ウォーターディープで活動する犯罪の王でもある、ビホルダーのザナサー。このビホルダーについての過去の資料を参照のこと。(ビホルダー全般については、227-229ページ参照)ザナサーが床から1メートルほど上を浮遊している。直径およそ2.5メートル。眼柄の3つには、魔法の輪がかかっている。ザナサーのペットのゴールドフィッシュ(体長1メートルほどの鯉)をアートのどこかに入れてください。ただし参照図のように目立たせないでください。他に、犯罪王の下働きをする1~2人のヒューマノイドがいるかもしれません。
焦点:見た目にクールなザナサー
雰囲気:サイコパスの犯罪王が、気にもとめることなくあなたを分解しようとしている。……犯罪王のペットの魚にちょっかいを出したならなおさら。
アートが戻ってきて、デザイン・チームはこの青黒の神話レアのカードのほうが青単色のレアのカードよりもザナサーらしいと考え始めた。対戦相手がカードをプレイすることを防ぐ能力は、ビホルダーのアンチマジック・フィールドにかなり近いと思われる。また、ザナサーがキャラクター的に黒を持っていないのがおかしいと感じた人々がいたので、カードを入れ替えることにした。
青単色のカードについて、デザイン・チームはそれをイリシッドにしたいと考え、この元のアートを置き去りに、新しいアートを発注した。それが《イリシッドの学者、グラジラックス》である。
ザナサーのデザインの話が、諸君が気づいたよりも少しばかり複雑だったというのはこういうわけである。
冒険の終わり
本日はここまで。さまざまな伝説のカードがどのようにデザインされたかの話を楽しんでもらえていれば幸いである。いつもの通り、この記事や話題にしたカード、あるいは『フォーゴトン・レルム探訪』全体について、諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『フォーゴトン・レルム探訪』に関する質問にお答えする日にお会いしよう。
その日まで、デザインしていたときの我々と同じようにあなたがカードのプレイを楽しんでくれますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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