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Making Magic -マジック開発秘話-
基本根本 #12 その1:リミテッド(メカニズム)
2020年3月9日
新しい年が始まって数か月が過ぎ、いよいよ自分でマジックのカードやセットを作ってみたいプレイヤー諸君向けのシリーズ、「基本根本」の新記事を掲載する時期がやってきた。この連載記事は、アマチュアのマジック・デザイナーに向けた実用的な技術的アドバイスをするとともにそれ以外の諸君にも我々がどのようにセットをデザインしているのかを覗き見する機会を提供している。
これまでの「基本根本」は以下の通り。
基本根本 #1:カード・コード(リンク先は英語)
この1本目の記事はもっとも技術寄りのもので、我々が話すときに同じカードのことを確実に示せるようにするシステムの使い方を説明している。
基本根本 #2:デザインの骨格(リンク先は英語)
この2本目の記事で、セットをデザインする上でもっとも重要な道具の「デザインの骨格」を紹介している。(この中でカード・コードを使用しており、そのためにそちらの記事が先になったのだ。)
基本根本 #3:デザインの骨格を埋めよう
この3本目の記事はそれぞれのデザインの骨格を埋める方法について話している。まずはコモンからだ。
基本根本 #4:より高いレアリティ
この4本目の記事では他のレアリティを埋めていくことについて話している。
基本根本 #5:初期プレイテスト
この5本目の記事では、フィードバックを集めてセットを進化させていくためのプレイテストの最良の使い方について論じている。
基本根本 #6:繰り返し
この6本目の記事では、繰り返しの概念とセットを徐々に進化させていく方法について語っている。
基本根本 #7:デザインの3つのステージ
この7本目の記事ではデザインにおける異なった3つの段階について、セットの進化に伴ってどのように優先度が変動していくかを通して説明している。
基本根本 #8:問題解決
この8本目の記事では、デザインの初期から中盤にかけてよくある問題に関する疑問に答えている。
基本根本 #9:評価
この9本目の記事では、自分のセット全体を見て、どのような微調整が必要か判断する方法について語っている。
基本根本 #10:クリエイティブ要素
この10本目の記事では、メカニズム的要素とクリエイティブ的要素をどう組み合わせて一体感のあるセットに編み上げるかについて論じている。その中で、トップダウン(フレイバーから始める)とボトムアップ(メカニズムから始める)という両方のデザインについて論じた。その後、カード名やクリーチャー・タイプ、フレイバーテキストの扱い方について詳細に述べた。
基本根本 #11:アート
この11本目の記事では、後期プレイテストにおいてアートを用いることの重要性と、それをセットにどのように組み込むかについて語っている。
そしていよいよ今回の記事、シリーズの第12本目に到達することになる。今週と来週で(そう、今回は「基本根本」初の2部作なのだ)、リミテッドの重要性と、それがどうデザインに影響を及ぼすのかについて語っていく。
自分に配られたものでプレイする
この連載記事を書く上での課題の1つは、セットをデザインするにあたって意識しなければならないことが大量にあるということである。何らかの順番でそれについて書かなければならないが、工程中に同時に意識しなければならないものが大量にあるので、意識しなければならない順番通りというわけにはいかないのだ。典型例を挙げれば、今回の記事ではデザインにおけるリミテッド(主にシールドデッキとブースタードラフト)の影響について語っていく。これらのことについて私が語るのは今回だが、工程の早期に検討すべきものだ。
もう1つ注意しておきたいこととして、リミテッドは多くのプレイヤーにとってマジック体験の大きな要素であるので、我々はどのブースター製品もリミテッドでプレイできるようにデザインしている。そうは言うものの、シールドやブースタードラフトでプレイすることを全く計画していないマジックのセットをデザインしているのなら、今回私が語ることの多くを無視してもいいだろう。(そうであっても、何らかの教訓は得られるかもしれない。)リミテッドを無視する場合、構築済みデッキを用いてプレイテストを行なうことが必要になるだろうことに注意すること。
それでは、なぜリミテッドがセットのデザインに重要なのかの検証から始めよう。
1.それによって、セット内に意味があるものを増やすことができる
意識して、可能な限り多くの構築フォーマットのためにデザインしたとしても、実際に使われることがあるカードを作れる枚数には限界がある。(ただし、パワー面でのインフレ、つまりセットをそれ以前のすべてのセットよりも強力にすること、をしない限り。)リミテッド・フォーマットは、非常に楽しく興味深いデザインを含む大量のカードを作る余地を作ってくれて、人々が実際にそれらを使うようにしてくれるのだ。コモンやアンコモンの大多数はこの分類に入ることになる。
2.それは、プレイヤーにセット全体を体験する方法を与えてくれる
セットを作る上で楽しいことの1つが、新しい環境を作り上げることである。リミテッドは、その環境をもっとも強い表現で見せる手段である。それには、フォーマットでプレイできる既存のセットがある場合にはかなり難しくなる、その環境に何が存在し、何が存在しないかを調整できるということが大きいのだ。
3.それは、セットの良い見本として働く
リミテッド戦は、プレイヤーにとって新セットを試し、新しいメカニズムやテーマを体験する素晴らしい機会として働く。リミテッドをプレイしたあと、触発されたプレイヤーがお気に入りの構築フォーマットでメカニズムやテーマを試そうとすることもよくあることである。またリミテッド戦は、プレイヤーにとって、そのセットが好きかどうか、それを買い足すかどうかを決めるための素晴らしい方法でもあるのだ。
4.それは、セットに定義を与える助けとなる
27周年を迎えているゲームの拡張セットを作る上で最大の課題の1つは、セット同士の特徴を出すことができなくなることである。これを避けるため、我々は各セットに濃いメカニズム的(そしてクリエイティブ的)な特徴を持たせている。リミテッドの需要は、これについてさらに注意深くさせるとともに、シナジーの詳細にさらに注意を払って作るようにするのだ。
5.それは、プレイテスト中の助けとなる
リミテッドでプレイできるセットは、プレイテスト上非常に有利になる。そのセットのカードだけあればプレイできるということであり、何が成立していて何が成立していないのかに注目する助けとなりうるのだ。
それでは、セットをリミテッドでうまく成立させるために何をしなければならないのか。注視すべきことは大きく2つある。メカニズムとテーマである。今回は、メカニズムがどのようにリミテッドを形作るか、そしてセットを構成するにはどうしたらいいかについて見ていこう。テーマは来週見ていくことにする。
《深海住まいのタッサ》 アート:Jason A. Engle |
メカニズム
最初に検証しなければならないものの1つが、そのメカニズムがリミテッドでどれほど成立するかである。そのために、それぞれのメカニズムのいくつもの側面に注目する必要がある。(それぞれについて、『テーロス還魂記』の名前のあるメカニズムである星座、信心、脱出の3つを例として使っていく。)
部品的か主軸的か
(これらの用語について詳しくはこちらの記事(英語)を確認のこと。)
そのメカニズムを持つカードがそれだけでうまく成立するか、他の特定の種類のカードがなければ成立しないか。例えば、フラッシュバックは非常に部品的である。デッキにフラッシュバック・カードを1枚だけ入れてプレイすることができる。他のフラッシュバック・カードがなくても問題ない。非常に基本的な必需品であるマナを必要とする他には、デッキに何か特定のものを入れる必要はないのだ。それと対照的に、スリヴァーは非常に主軸的だ。スリヴァーの強さはお互いの相互作用から来ているので、デッキにスリヴァーを1枚だけ入れるようなことはないだろう。メカニズムが部品的であればあるほど、セット作成側で調整しなくてもリミテッドでうまく成立するのだ。主軸的メカニズムをリミテッドで成立させることはできるが、そのためにはデザイン側からの助力がさらに必要となる。
星座
これは、エンチャントと組み合わせて使う必要がある、主軸的なメカニズムだ。ただし、ここで、星座を持つ『テーロス還魂記』のカードはどれもエンチャントではないということに注意してもらいたい。(このメカニズムが『ニクスへの旅』で初登場したときはその逆だったが、今回はプレイデザイン上の懸念から変更されたのだ。)つまり、これは、A群のカード(星座カード)とB群のカード(エンチャント)を必要とするA/Bメカニズムなのだ。これは、リミテッドの観点から見たメカニズムの最大の疑問である。つまり、A群のカードとB群のカードの両方の開封比を充分高くしなければならないということになる。(「開封比」とは、そのテーマやメカニズムが無作為なブースターに入っている枚数を示す用語である。例えば開封比が2であれば、ブースター内にはそのテーマやメカニズムのカードが平均して2枚入っているという意味である。)通常、両カード群のカードがコモンに一定量必要ということになる。
信心
これもまた主軸的なメカニズムであるが、星座に比べると参照するもの、つまり色マナ・シンボルは土地でないカードのほとんどが持っているものなので制約はそれほど厳しくない。しかしながら、それはデザイン上配慮が必要ないということではない。まず、これはデッキのすべてあるいはかなりの部分を1色にすることを強く推奨するものであり、それが存在する環境の一部を決定づけるものである。そして、マナ・コストに複数の色マナ・シンボルを含むカードを増やす必要があるが、通常、そのようなことはコモンではしない。星座と違い、信心は、1色が濃いデッキで最も有用ではあるが散らすことは比較的簡単である。
脱出
これは、脱出を持つカード1枚だけでも簡単に使える部品的メカニズムである。興味深いことに、このメカニズムはこれを持つカードすべてが同じリソースである墓地にあるカードを必要とするので、何らかの補助なしでは同じデッキに大量に入れることは難しい、反主軸的メカニズムなのだ。(これについては後に触れる。)
どのような前段カードが必要なのか
そのメカニズムをセットに入れるなら、そのセットで他に必要になる、あるいは邪魔になるものは何か。通常存在するものを増やしたり減らしたり取り除いたりする必要はあるのか、また平均的なセットでは存在しないものを必要とするのか。そのメカニズムがセット内の他のカードにどのような影響を与えることになるのかを理解することが鍵である。
星座
このメカニズムに必要なものは非常に直截的である。セット内には、多くの、非常に多くのエンチャントが必要となる。それをどうやって行なうかが問題である。通常のセットでは、エンチャントをメカニズム的に参照できるものにするために必要なだけの開封比には全く及ばない。充分な枠を確保するための唯一の方法は、クリーチャーに入りこむことである。これが、テーロスのセットにクリーチャー・エンチャントが存在している理由である。「エンチャント関連」テーマはこれなしでは成立し得ない。
信心
このメカニズムには2つのものが必要である。1つ目に、マナ・コストに複数の色マナを含むパーマネントが多く必要である。先述の通り、これは通常はコモンで多くはしないものである。2つ目に、単色でのプレイを推奨し報奨するカードが必要である。こちらのほうが、テーマを決定づけるという意味でセットにおいて重要である。(テーマについては来週。)
脱出
このメカニズムの反主軸性は、デッキ内により多くの脱出カードを入れられるようにするための補助カードを入れることを推奨することになる。その好例となるのは、自分のライブラリーからカードを墓地に送ることができるようなカードや、効果のために自身や他のものを生け贄に捧げられるパーマネントや、軽いインスタントやソーサリーである。メカニズムを成立させるために必要となるものだけでなく、より多くプレイできるようにするものについても考えることが重要なのだ。
それはどれだけの枠を必要とし、どれだけの枠を埋めることができるのか
これは、そのメカニズムのサイズを問うている。それが必要とするカードは何枚か。それが必要とする開封比はどれだけか。それが持つデザイン空間はどれだけか。メカニズムをリミテッドの観点で評価するためには、それが必要とするものが何であるか、またそれにどれだけのことができるのかを理解することが必要なのだ。正しく作用するためにすべきことを厳密に計画するにあたって、完全に理解することは重要なのである。ここで、シールドとドラフトでは異なるものが必要だということを指摘しておくべきだろう。通常、メカニズムやテーマがシールドで成立するためには、大量に存在することが必要になる。我々は、数量を決めるにあたって、シールドで成立するけれどもブースタードラフトで最高に働くようにすることが多いのだ。
星座
『テーロス還魂記』には、このメカニズムを持つカードが13枚存在し、そのすべてがクリーチャーで、3色(白、青、緑)、3レアリティ(コモン5枚、アンコモン5枚、レア3枚)に分布している。このメカニズムには出力となる効果が必要なので、作ることができる効果の種類によって制限される。ほとんどの場合、エンチャントは自分のメイン・フェイズの間にプレイされるので、効果は先行的、汎用的なもの、つまりその効果がいつ発生しても満足できるものに限られることになる。これが非常に主軸的なので、それを使ったリミテッドのデッキを組み上げるには充分な枚数を手にできるだけの一定量の開封比が必要である。
信心
『テーロス還魂記』には、このメカニズムを持つカードが22枚(と、ボックス購入特典カード1枚、プレインズウォーカーデッキ専用カード1枚が)存在し、そのほとんどはクリーチャーだが他のカード・タイプにも存在している。3色(青、黒、緑)に集中しているが、5色全てに存在しており、4レアリティ(コモン3枚、アンコモン11枚、レア2枚、神話レアに神々が6枚)に分布している。信心には拡大可能な効果が必要であり、それがデザイン空間に大きく切り込んでいる。これが、コモンがこれほど少なくアンコモンがこれほど多い理由である。拡大型効果は高いレアリティに偏りがちなのだ。アンコモンがこれほど多い理由としては、このメカニズムをコモンで作るのは難しいので開封比を高めるために必要だからである。星座などのメカニズムの主軸性から、プレイヤーがリミテッドでそのメカニズムを軸にしたデッキを組めるように十分な数のカードを作る必要が生じる。
脱出
『テーロス還魂記』には、このメカニズムを持つカードが23枚存在し、5色すべてに、さまざまなカード・タイプで、4レアリティすべて(コモン9枚、アンコモン6枚、レア3枚、神話レア5枚)に分布している。このメカニズムはあらゆるカード・タイプで、ほとんどの効果で成立するので非常に自由度が高い。そのサイズを決定づけるのは、それがそのセットに求めるものよりも、そのセットがそれに求めるものである。
《ぬかるみの捕縛》 アート:Chris Rallis |
骨格の改訂
メカニズムの需要と制限を決めたら、それを軸にセットの構造を配置し始めることができる。これには、その後で直接デザイン骨格に適用させる、実際の数量を決めることが伴う。『テーロス還魂記』の3つのメカニズムを例に用いて、どのようにそれを行なうかを見ていこう。
まずは星座から始める。成立させるために、星座カードとエンチャントのコモンやアンコモンにおける開封比は一定以上必要になる。適切な値にするのは、単に計算だけの問題ではなく(ただし、メカニズムごとに異なる、開封比の違いによる感じ方の理解は有用である)、試行錯誤によるものである。経験に基づいた推測を立てたり同様のメカニズムのある既存のセットを指標として用いたりして始めることはできる。その後、成立させるのに充分な量が存在しているかどうかを把握するためにプレイテストを行なうのだ。新しい数字の組を試すたびに、それをデザイン骨格に当てはめる。鍵は、そのメカニズムがリミテッドで常に存在するようにするために調整しなければならない変数を理解することである。開発部では、我々はまずシールドから始め、その後で環境の大きな懸念を理解したと感じたらブースタードラフトに移行することが多い。
何が起こるか、そしてデザイン骨格を用いることがそれほど重要な理由は、多くの場合、デザインにおいて強勢が生じ始めるところで見え始めるものだ。例えば、「エンチャント関連」テーマを成立させるためにクリーチャー・エンチャントが必要だということを明らかにするセットの計算をしているときがそうである。また、数字をデザイン骨格に当てはめることで、必要なものに合わせられる場所について考えなければならなくなる。例えば、エンチャントの数を増やすことで、呪文効果を見て、これをオーラに変えられないだろうか、と考えることになるかもしれない。『テーロス還魂記』では、《ぬかるみの捕縛》は-3/-3を与えるオーラである。デザインの初期には-3/-3を与えるソーサリーであったのが、エンチャントの数を増やすためにオーラに変更されたということは充分ありうる話だ。数をいじることで、いくつの色に入れるかなどについても考える必要が出るだろう。開封比を調整するための良い手法として、メカニズムを少数の色に集めるというものがある。これは、例えば星座がなぜ3色にしか存在しないかという理由である。
信心は、マナ・コストに複数の色マナ・シンボルを持つカードの開封比を高めることを求めることになる。これもまた、デザイン骨格に加える必要がある。この要求に伴う圧力により、追加の色マナを比較的簡単に吸収できる中量級から重量級の呪文に持たせることになる。セットの異なる部分が、それぞれ異なることを必要とすることんあるが、それらは重複することがありうるということを明記しておこう。『テーロス還魂記』のコモンのバニラ・クリーチャーのサイクルは、エンチャントの数と複数の色マナ・シンボルを持つマナ・コストのカードの数の両方を増やすために用いられている。信心はまた、単色テーマを扱うカードを増やすことを推奨することにもなる。このような新しい要素をデザイン骨格に加えることを恐れてはならない。セットをデザインする中では、最初は言及するとは思っていなかったものに言及することに気づくことはよくあるのだ。デザイン骨格は現行の文書であり、現時点でのデザインの求めるものを反映して常に変化し続けるべきものなのである。
脱出は、「リソースとしての墓地」テーマとうまく噛み合う効果をセットに増やすよう圧力をかけてくるだろう。まず、既存のセットに何が存在しているかを見て、それから数を増やすためにどのような効果を追加することができるかのブレインストーミングを行なう。前段カードのようなものの開封比を定めるのは良いことである。その後、それをデザイン骨格に加える。「墓地前段カード」のようなものを、最終的な形がわからない状態であってもカードに記載することには問題はない。その存在が、追加する必要があるものであるという状況説明の助けになるのだ。
これらすべては、メカニズムを決めてから、もう少しあとの工程で行なうものであるということを明記しておくべきだろう。つまり、セットをメカニズムに合わせて調整する中で変更する必要があるであろう最初のデザイン骨格を組み上げているということである。この反復工程の大部分は、セットの既存の部分が必要とするものを理解し、それからそれ以外のカードを適合するように変更していくことなのだ。デザイン骨格は、何を変更する必要があるのかを見ることができるようにこれを記していく素晴らしい場所である。構築用カードも物事を定義づけるが、セット全体というよりもコード個別の調整であることが多く(また工程の後半でもあり)、そのためリミテッドのほうがセットの構造を決めるのに良いことが多いのだ。
最後に、プレイテストが開封比を最終的に決定するための最高の道具だということは、どれだけ強調してもしたりない事実である。どれだけ理論立てたとしても、実際にそのセットでプレイして何が成立して何が成立しないかを見る以上のものは存在しない。開封比を決めようという場合には、実際のブースターを模倣しなければならない(コモン10枚、アンコモン3枚、7/8の確率でレア1枚、1/8の確率で神話レア1枚)ということは忘れてはならない。また、正確な開封比のバランスを掴むためには何度もプレイテストを行なわなければならない。少ない回数では、1回ごとの違いがおかしな理解をもたらす可能性があるのだ。
私は、マジックのデザインは部分的に芸術で部分的に科学だとよく言っている。今日語った部分は、起こすべきものが適切な量だけ起こるようにするために実際に計算をする必要がある、科学の側に依ったものである。鍵は、デザイン骨格を用い、新しいことを知るたびにそれを常時更新し続けるということである。おそらく、場所が足りなくなっていくことだろう。その理由は、2つのうちどちらか1つである。(先述のバニラのサイクルのように)複数の需要を1枚のカードに組み合わせる方法を見つけるか、あまりにも多くのものを詰め込みすぎていて何かをボツにする必要があるか。取り除くことでセット内の他の部分がうまく動くようになるなら、ボツにすることを恐れてはならないのだ。
禅とセット調整の極意
今日語ったことはかなりの作業量だが、それによってデザインは真に輝くようになる。セットデザインの基本根本を楽しんでもらえていれば幸いである。今日はここまでだが、来週、このパズルの残り半分、すなわちテーマを携えて戻ってくることになる。いつもの通り、諸君からの今日の記事に関する意見を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、その2でお会いしよう。
その日まで、すべての作業があなたのセットを素晴らしいものにしますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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