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Making Magic -マジック開発秘話-
『アン』の箱詰め その3
2020年2月24日
これまで2週に渡り(その1、その2)、『Unsanctioned』のデザインと16枚の新カードを検証してきた。今回はその3であり、最後の記事となる。
Rings a Bell(ベルを鳴らす)
銀枠カードを作る上での手法の1つが、自分が気に入っている過去のデザインを振り返り、それを調整する方法を見つけることである。《Rings a Bell》は、このカードを元にしている。
《Goblin S.W.A.T. Team》では、対戦相手に気付かれないように(気づいた対戦相手はカードを叩いて止める)そのカード名を言うというのがゲームだった。私は《Goblin S.W.A.T. Team》の全体的なゲームプレイは好きだったが、少しばかり難しすぎ、得られる見返りはその難易度に見合うものではないということに気がついた。《Rings a Bell》はこのカードを、もう少しプレイ可能なものになるように作り直そうという試みである。
まず最初に、単語(《Goblin S.W.A.T. Team》の場合は一連の単語)を固定するのではなく、 《Rings a Bell》では使いたい単語を選べるようにした。最初は、このカードでは好きな単語を選べるようになっていたが、数回のプレイテストでプレイヤーが「a」とか「the」とか「us」と行った単語を選んだ後、我々はもう少し中身があるものでなければならないということに気がついた。様々な制限を検討したが、最終的に4文字という制限が一番明瞭で実用的だった。「ターンに1回」の制限は《Goblin S.W.A.T. Team》から維持されたもので、1回気づけば(あるいは見逃せば)、そのターンの間はそれ以上気にしなくても良くなるようにするものである。
このカードに関してもう1つの面白いものは、プレイヤーがその単語を言ったことに気づいた場合に何をして示すかである。私はゴブリンを叩くことに大満足はしていなかった。プレイヤーがベルを持っているというのはどうだろうか。ホテルや店舗で目にするような、いわゆる呼び出しベルだ。これは非常にクールなアイデアだと思った。
これは銀枠カードなので、カードでベルを使うように提示するのも問題ないとは思ったが、持っていない場合の解決策も準備すべきだとはわかっていた。わかりやすく、そして理想的には笑えるものにするために、ベルを持っていない場合はベルの真似をするように書くことにした。最初の文章では、「リーン!」と言うことになっていた。ルール文を弄っていたとき、ベルのマネをすると書くだけにして、ベルがリンリン鳴ることを強調するためにはフレイバーテキストを用いることにしたのだった。
Spirit of the Season(季節の精)
これも、クリス・ムーニー/Chris Mooneyによる「脳みそから印刷へ行った」カードである。我々がした変更は、スピリットだけでなくツリーフォークでもあるようにしただけだったはずだ。(Spirit of the Seasonは提出された名前そのままだ。)指摘しておきたい微妙なニュアンスが存在するので、クリスがどのようにこれをデザインしていったのかを見ていこう。
クリスは、季節によって異なる能力を持つカードを作ろうと考えた。過去に、時間帯がいつか、あるいは昼か夜か、といったものを参照するカードを作ったことはあるが、現在の季節を参照するものを作ったことはなかった。能力を持てるようなコストとスタッツを持つクリーチャーで、そしてその能力が季節によって変わるというアイデアだった。クリスがこのカードを緑にしたのは、緑が一番季節に言及しそうに思える色だったからだろう。
クリスが{1}{G}{G}で3/3にしたのは、おそらく、何かおまけをつけられる余地がある範囲内で優秀なスタッツだからだろう。クリスは、うまく働くだけでなくテーマ的に季節にできるだけ関連する能力を持たせようと考えた。最も繋がりが強いのは、春の能力である。緑は基本土地を探してくることができ、その処理は春の芽生えのフレイバーとうまく繋がっている。走り回ることが多い夏には、速攻が選ばれた。活動的になれない休息の時期である冬の能力はライフ回復が採用された。冬に備えて体力を蓄えることが優先される秋の能力として、+1/+1カウンターが使われている。
このカードが提出されたあとで我々がやったことは、この1枚にさまざまな季節が含まれることを視覚的に示す方法としてツリーフォークにしたことと、フレイバーテキストを追加したことだけだった。最後に1つ。私がこのカードをブースター製品として発売される今後の銀枠セットのために残すのではなく『Unsanctioned』に入れると決めたのは、『Unsanctioned』の「箱から出してプレイする」という性質によってこれが1年中プレイされる可能性が高まるからである。銀枠のブースター製品では、ほとんどのリミテッド戦はそのセットが発売された季節1つのうちに行なわれるので、このカードの使われ方が1通りに定まってしまうことになるのだ。
Stet, Draconic Proofreader(ドラゴンの校正者、イキ)
これは、敵対色の伝説のクリーチャーのサイクルの赤白担当である。白の起動型能力を持つ、赤のカードであることが決まっていた。このカードをどうするかを考えていたとき、私は、我々が銀枠のドラゴンを作ったことがなかったことに気づき、そして作ることに決めた。私がデザインに求めたのは、ドラゴンが普通しないことをするドラゴン、ということだった。ドラゴンにとって奇妙な行動とはなんだろうか。校正者を提案したのは、アリ・ニー/Ari Niehだった。
彼が校正者にしようとひらめいたのは、パーマネントの名前から文字を削除するという白の起動型能力からだった。(最初のバージョンではパーマネントだけにしか作用しなかったが、後にアリは面白い相互作用を生み出しうることに気づき、プレイヤーにも作用するようにすることを思いついた。)《Stet, Dragonic Proofreader》は相手の文字によって制限される直接ダメージ系能力を持っているのは変わらなかったが、アリと私は、最高の実装を求めてさまざまなバージョンを試した。そして、さまざまな文字から始まるデッキを作ることを推奨する、この最終バージョンを採用したのだ。
「Stet/イキ」の名前は、編集用語の「抹消取り消し」から来ている。編集されている部分に書き込んで、求められている変更を無視することを伝えるものだ。彼は校正者なので、私は編集者の元を訪れて名前として使える単語がないか聞き、そして「Stet」という返事をもらったのだった。
新しい銀枠カードの中で一番わかりにくいジョークかもしれないので(他にもいくつもわかりにくいジョークが隠されている。銀枠カードには可能な限りのジョークを詰め込みたいのだ)、これについても触れておきたい。このカードのアートにあるジョークだ。《Stet, Dragonic Proofreader》は一体何をしているのか。彼は氷の息で、ハツカネズミ(mice)を氷(ice)にしている。つまり、最初の文字を取り除いてるのだ。
Strutting | Turkey(気取って歩く||七面鳥)
先々週、《Bat-》について語ったときにも言ったとおり、『Unsanctioned』には新しい宿主カード1枚と拡張カード1枚が必要だとわかっていた。《Strutting|Turkey》はその前者である。《Bat-》同様、私は新しい宿主カードを作るにあたって、過去に宿主カードで使われた能力全てを列記していった。
- 6面体サイコロを振る。 あなたはその結果に等しい点数のライフを得る。
- 土地でないパーマネント1つを対象とする。それを破壊してもよい。
- 対戦相手1人を対象とする。6面体サイコロを振る。そのプレイヤーはその結果に等しい点数のライフを失う。
- アーティファクト1つを対象とする。それを破壊してもよい。
- カード1枚を捨ててもよい。 そうしたなら、カードを1枚引く。
- このクリーチャーはからくり1つを組み立てる。
- 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカード1枚を捨てる。
- パーマネント1つを対象とする。あなたはそれをアンタップしてもよい。
- 対戦相手1人がコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。6面体サイコロを振る。 これはそれにその結果に等しい点数のダメージを与える。
- 無色の1/1のノーム・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
- あなたの墓地から宿主カード1枚か拡張を持つカード1枚を対象とする。それをあなたの手札に戻す。
- カードを1枚引いてもよい。
- 6面体サイコロを振る。 このクリーチャーの上に、+1/+1カウンターをその結果に等しい数置く。
- プレイヤー1人を対象とする。6面体サイコロを振る。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上からX枚のカードを自分の墓地に置く。Xはその結果に等しい。
- あなたがコントロールしていて、このターンにこの能力によって戦場に出たものでなく馬でないクリーチャー1体を対象とする。あなたは「それを追放し、その後オーナーのコントロール下で戦場に戻す。」を選んでもよい。
- ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
- 対戦相手1人がコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-1/-1の修整を受ける。
- クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンターを1個置く。
- あなたのライブラリーから基本土地・カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
理想的には、宿主/拡張の基本2色である緑か白にすべきだと考えていた。(《Bat-》が拡張カードとして定まっていて、黒になることがわかっていた。)そこで、緑や白に登場している能力の中で宿主で使っていないものを列記していった。最も見込みがあると思われたのは、軽いクリーチャーを墓地から戻す効果だった。クリスは私の作った能力の一覧を見て、そして(通常白がするように)点数で見たマナ・コストで制限した再活性能力を使うなら、プレイヤーは、マナ・コストを持たないのでルール上点数で見たマナ・コストが0である拡張カードを自由に戻すことができる、とコメントした。問題は、拡張カードを単に戦場に出すと、それは宿主についていない状態なので即座に死亡してしまうということだけだった。
クリスはグレッグ・ルーベン/Gregg Luben(『Unsanctioned』の編集者)と協力して、軽いクリーチャーを戻すことか拡張カードを宿主につけた状態で戻すことができるテンプレートを探した。その方法は、そのカードを追放し、拡張カードであるならつけ、そうでないなら単に戦場に出す、というものになった。
このカードをどのようなクリーチャーにすべきかを決めるのに、同じぐらいの時間を費やしたと思う。白で、飛行を持たないことがわかっていた。宿主クリーチャーでは、拡張がついたときに見る後ろ半分が面白くなるクリーチャーを探すのが常である。そして最後に、七面鳥に落ち着いたのだった。
Surgeon General Commander(軍医将軍統率者)
もう1つ、『Unstable』で求められていたが提供しなかったものとして、5色の宿主/拡張の統率者があった。あのセットには2色の統率者(緑白)《Dr. Julius Jumblemorph》があったが、宿主/拡張カードは5色全てに存在していたのでプレイヤーは5色の選択肢を求めていたのだ。『Unsanctioned』のカードは単色のハーフデッキに入らなければならないので、5色の固有色を持つ単色の伝説のクリーチャーを作らなければならないということになる。マジックにはそういうものがすでに存在しているので、可能なのはわかっていた。宿主/拡張の中心は緑と白だったので、このカードはその2色のどちらかであるべきだということになる。緑のほうが多少フレイバーに富んでいて(そうであれば交配研究所のクリーチャーにできる。ああ、透かしは忘れていた)、しかも5色の固有色を忍び込ませる方法も多く存在している。
宿主や拡張を進展させる選択肢は大量に存在したが、非常に直截的な方法を試すことにした。ゲームプレイ上、宿主/拡張の最大の問題の1つがカード数上の不利なので、拡張カードをプレイすることでカード・アドバンテージを得る(カードを引く)ことができるようにするのは明瞭な解決策に思われた。次に解決すべき問題は、使える宿主/拡張カードを全て入れたとしても、それだけでは統率者戦デッキを作れるだけの枚数に到らないということだった。(宿主20枚と拡張14枚の、合計34枚しか存在しない。)デッキを広げるために《Surgeon Commander》を使う方法はあるだろうか。ゲームプレイ的に拡張に最も近いものは何か。オーラだ。そう。このカードで、オーラをプレイすることにも見返りがあるようにしたらどうか。デッキ内で使えるカードの種類を広げることになるだろう。
次に起こったのは、悪戯な発想だった。宿主/拡張のようなものについえ考えていると、私は、『イコリア:巨獣の棲処』で登場する新しいメカニズム、変容/mutateが条件に合うことに気がついた。『Unsanctioned』が発売されるのは『イコリア』より前だが、この変容を参照できるようにしたらどうだろうか。そうすることで、『イコリア』の発売時には、デッキに入れられるカードが新しく増えることになる。また、これまではしてこなかった、未来のメカニズムの楽しいチラ見せになるのだ。そこで、私はその許可を求めなければならない相手全員に尋ねて回った。全員の答えはイエスだった。これが可能かどうかについて私は確かに懐疑的だったが、可能となったときには大興奮したものだ。さて、それでは、変容というのは一体何をするのか。落ち着きたまえ。『イコリア』のプレビューはまもなく始まる。
次に、5色の固有色という問題を解決しなければならなかった。基本的には、カードのどこかに5つのマナ・シンボルすべてが存在するようにする必要がある。緑のカードなので、マナ・コストが緑を扱っている。当たり前の解決策として、そして過去にも何度も使ってきた方法として、{W}{U}{B}{R}{G}の起動コストを持たせるというものがある。問題は、『Unsanctioned』はハーフデッキ5つのうち2つを混ぜて使う製品だということだった。そのフォーマットでは、5色の起動コストを支払うことができる組み合わせは存在しないのだ。他の製品と組み合わせることで最適化されうるカードを作ることは問題ないが、単に役に立たない部品のあるカードを作るつもりはなかった。
次の解決策は、マナ・シンボルを起動コストではなく効果に持つ何かをすることだった。結局のところ緑のカードなので、タップしてどんなマナでも出すことができるのだ。単にタップして好きな色のマナを出せるようにするのはどうだろうか。問題は、タップして好きな色のマナを出すときに使っているテンプレートは「好きな色1色のマナ1点を加える。」というものだということである。それでは、5色の固有色を持たせることはできない。最終的に、これにタップして緑以外の好きな色のマナを出す能力を持たせることにした。(マナ・コストで緑は確保されている。)
しかし、この解決策は私には据わりが悪く感じられた。このカードをタップしても緑マナを出すことができないことでいくらか弱くなっていたので、私は、好きな色のマナを出す能力をマナ・シンボルで書き下すことにした。ああ、これは通常はしないことだが、ここに足を踏み入れることにしたのだ。なんと言ってもこれは銀枠なのだ。5色の固有色を持たせるため、このテンプレートが正しくないという事実をネタにすることができるのだ。最終的に、《Surgeon Commander》が「創造的なテンプレート」を好むということを強調するためにフレイバーテキストを使った。
カード名は、これが統率者戦向けのカードであるということと統率者戦向けのテンプレートの冗談を使おうとしていることから、その冗談に合わせたカード名を選ぶことができるということに気づいてつけられたものである。統率者戦は、最初はエルダー・ドラゴン・ハイランダーと名づけられていて、その当時、統率者は将軍/generalと呼ばれていたのだ。それなら、将軍という単語を使った名前で、線で消して統率者に書き換えられているというのはどうだろうか。私は、将軍という単語を使った表現を探した。よく知られた語(少なくともアメリカでSurgent Generalとは公衆衛生局長官のことである)であり、このカードを実際に軍医にすることができるので、私は「Surgeon General」を採用することにした。なお、このカードを指すときは、単に《Surgeon Commander》とだけ呼べばいい。General部分は消されているので読む必要はない。
このカードにはかなりの手がかかったが、その仕上がりには大満足している。
Syr Cadian, Knight Owl(騎士フクロウ、ケイディアン卿)
工程の初期に、マックス、ギャビー、私は会議を開き、新カードのコンセプトについて未完成なアイデアを投げ合った。そしてそこで、私は、Knight Owlという白のカードがあると面白いと思うと言ったのだ。『Unhinged』で《Ladies' Knight》というカードを作ったことがあり、そろそろ新しい騎士のダジャレを作る時期だと考えたのだ。ゲイビーはそのアイデアを採用して具体化した。騎士の職についたフクロウである。騎士でもあるフクロウは、一体何をするのだろうか。ゲイビーの最初のバージョンでは、我々が伝統的に騎士に持たせていたメカニズムと、フクロウが夜行性なことから夜であるかどうかを参照するメカニズムを使っていた。(『Unstable』には、外が暗かったらボーナスを得る《Old-Fashioned Vampire》というカードがあった。)
私がそのカードを受け取ったとき、私は、この白黒のカードを敵対色の伝説のクリーチャー・サイクルに加え、闇の色である黒の起動型能力を夜に言及したものにするのはクールだと考えた。そして、それと対応する白の起動型能力で昼間なら能力を与えるものを持たせるのは面白いと気がついたのだ。あらゆる可能性を検討し、《Syr Cadian, Knight Owl》には、夜にはフクロウが夜行性なことから飛行を与え、周りを見渡しやすい昼には警戒を持たせることにした。
これを基柱とできるようにするため、もう1つ能力を持たせる必要があった。騎士であり(騎士が最も多い2色である)白黒なので、騎士部族はクールなテーマだと思われた。それから、楽しいメカニズムの名前を探すべく、「night」を含む表現を探し始めた。そして「night life(夜遊び)」という表現に行き着き、これと絆魂/lifelinkを組み合わせてKnight lifelinkにすれば自軍の騎士全てに絆魂を持たせることができると気がついた。
デザインの最後の要素は、名前である。伝説のクリーチャーなので、ただ「Knight Owl」というだけではなく名前が必要となる。『エルドレインの王権』では騎士には卿/Syrという称号がついていたので、そこから始めることにした。再びダジャレを探し、「Syr Cadian」を見つけたときにはこれだと思ったのだった。(circadianは「24時間周期で自然に繰り返す」という意味である。)
Underdome(地下ドーム)
その1で、『Unsanctioned』の最初の計画では新規デザインは単色ハーフデッキそれぞれに3枚、合計15枚の予定だったと言った。最終的にこの製品には、5つのハーフデッキすべてに入っている、16枚目の新規デザインが存在している。これはなぜか。それは、敵対色の伝説のクリーチャー・サイクルができたからである。それまで銀枠に存在しなかった敵対色の統率者が必要だとわかっていたが、『Unsanctioned』はそれらを簡単に作れるようにはデザインされていなかったのだ。ハーフデッキ構造を採用しているので、この製品に必要なのは単色のカードなのだ。その解決策として、1色のデッキでも有用だが2色目が使えるようであればさらに強化されるような敵対色の伝説のクリーチャーをデザインすることにした。しかし、4分の1の確率でしか使われない(組み合わせうるハーフデッキは4つある)起動型能力を持つのはやはり奇妙に思われた。
ある日、ガヴィンは私に、この問題をどう解決するかと聞いてきた。私は、各ハーフデッキに5色すべての色のマナを出せる土地を入れることを考えた。しかしそんな土地は、『Unsanctioned』では使わないことにした分数を使っている《City of Ass》しかなかった。必要なものをデザインすればどうだろう。そのためにはどうすればいいのか。ガヴィンは、16枚目のアートを発注する予算は準備したと言った。新しい銀枠土地をデザインするのだ。
条件は非常に単純だった。銀枠で、好きな色のマナを出せるものでなければならない。それだけだ。ただそれだけなのだ。驚くべきことに、これは諸君が想像する以上に難しい問題である。銀枠であるということは、つまり、黒枠でできない何かであるということであり、土地でその条件を満たすのは難しいのだ。《Underdome》のデザインを思いついたのはクリスだった。タップして好きな色のマナを出せるが、そのマナは特定のカード群にしか使えない、という土地は色々と作ってきた。クリスは、そのカード群を銀枠カードだけにするというのはどうか、と考えたのだ。このデザインは単純で説得力のあるものだった。プレイデザインに相談し、タップして戦場に出す必要がないかを確認して、問題なしということになった。
クリエイティブ的には、これを外箱に描かれたボクシングのリング、ただし誰もが離れたあとの姿にすることにした。
銀枠を知るためには銀枠が要る
これで、わずか3週間で、『Unsanctioned』のデザインについての話は終わりとなる。(少なくとも、新規カードすべてのデザインについての話は。)銀枠ファンの諸君にはご褒美だろう。語ってきた16枚の新規カード(《Underdome》5枚以外は各1枚)と、これまでほとんど再録されたことがない『Unglued』『Unhinged』『Unstable』からの再録カード70枚、フルアート土地10枚(プレミアム版と通常版それぞれのサイクル1つ分)、通常枠の新アート基本土地60枚(各基本土地タイプ12枚ずつ)。これまで銀枠カードに接したことのない諸君には、何度もプレイできる形態の銀枠製品を試すのに最適だろう。
いつもの通り、この記事や『Unsanctioned』、またこれらのカード、あるいは銀枠カード全体についての諸君の感想を聞かせてほしい。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、多様性に関する記事のその2をようやくお見せする日にお会いしよう。
その日まで、あなたがアンアンアン とっても大好きになれますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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