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Making Magic -マジック開発秘話-
都のおこり
2018年8月27日
来週、『ラヴニカのギルド』のプレビューの準備が整い、ラヴニカ世界をさらに掘り下げた話をすることになる。ラヴニカ次元に旅するのは、今回が3回目である。しかし、それについて話を始める前に、このギルド世界へのこれまでの旅を振り返る記事を書くのが良いと考えたのだ。両ラヴニカ・ブロックがどのようにデザインされたかを検証し、これまで語ったことのない舞台裏の話をいくつかご紹介しよう。楽しみにしてもらえれば幸いである。(それらのデザインについての当時の記事に興味がある諸君のために、リンクを紹介しておこう。『ラヴニカ』記事その1、その2、その3{英語}。『ラヴニカへの回帰』記事その1、その2、その3)
都会派
この話を始めるために、時計の針を2004年の夏に戻さねばならない。前提として、この時点までのできごとをいくつか説明しておこう。
2003年9月、『神河物語』がデザインからデベロップに提出された。デザインの考えは、初めての、その世界、ここでは日本神話風世界、の雰囲気に合うようにメカニズムをデザインするトップダウン・ブロックであるというものだった。面白いことに、私は当時デザイン・チームではなくデベロップ・チームに所属しており、当時の主席デザイナー兼開発担当副社長であったビル・ローズ/Bill Roseと、そのセットが間違った形で作られているという意見を伝え、デベロップ上で多数の頭痛を引き起こしているということについて何度も時間をかけて話し合っていたのだ。
2003年10月、我々は『ミラディン』を発売した。そのセットは好評だったが(何年にも渡って、マジック史上最高の売上記録を保持していた)、デベロップ上いくつもの問題があり、問題のあるカード群がトーナメント環境に悪影響を与え始めた。特にスタンダードにおいてそれは顕著だった。
2003年12月、当時私の上司だったランディ・ビューラー/Randy Buehlerは、ビルに、主席デザイナーと開発担当副社長の両方を兼務するのは忙しすぎると納得させた。そして、ランディはビルに私を主席デザイナーにするということを売り込んだのだった。ビルは私の昇格を認めたが、その条件として私にクリエイティブ・チームも担当することを求めた。『神河物語』についての話し合いによって、彼は、デザインとクリエイティブはもっと統合的でなければならないと確信していた。そして、主席デザイナーがクリエイティブ・チームも監督するようにすることでそれが達成できると考えたのだ。
2004年2月、『ダークスティール』が発売され、トーナメントの問題は悪化することになった。最終的に我々は、スタンダードを含む複数のフォーマットで複数のカードを禁止することになった。
私が主席デザイナーを引き受けた時点で、『神河物語』ブロックが間違った方向に進んでいることは明らかだったが、さまざまなことを変更するには流れの勢いが強すぎたのだ。2003年11月、『神河物語』はすでにデザインの手を離れ、『神河謀反』もまもなくデザインが終わろうとしており、『神河救済』はデザインの最中だった。私が自分の記録をつけるとしたら、その始まりは次のブロック(コードネームで言えば『Control』『Alt』『Delete』)になることだろう。
ここでこの話をしているのは、私が主席デザイナーになったのはマジックが極めて不安定な時期だった、ということを示すためである。私は、私の昇進が正しい判断だったということをすべての人に示さなければならないという強烈なプレッシャーを感じていた。私が主席デザイナーとして全体を担当した初めてのブロックは、すばらしいものでなければならなかったのだ。
いろいろな印象
すべきことが非常に多かったので、私は、その新ブロックの第1セットのリード・デザイナーを自分で務めることにした。そうすることで、マジックに必要だと私が感じていた新しいこと、すなわちブロック計画を手がけることが可能になるのだ。『ラヴニカ』までのブロックの作り方は、次のようなものだった。まず第1セットをデザインする。その後、第1セットが使っていない空間を使って、第2セットをデザインする。その後、最初の2セットで使っていないところで可能な内容で第3セットをデザインする。あとのセットのために何かを温存することもあるが(『アポカリプス』での敵対色カードなど)、それは例外であって規則ではなかったのだ。新しい私の指揮の下ではブロック全体について一番最初に通して考えることにしたので、あとのために何かを残しておく必要があれば、それについては先に決めることになるのだ。
《遥か見》 アート:Martina Pilcerova |
このブロックに入るにあたって、このセットについて1つだけ決まっていることがあった。多色テーマにするということである。すでに2000年に『インベイジョン』ブロックで大成功を収めており、その成功を踏まえて可能な限り早くに新たな多色ブロックを作ることが決まっていたのだ。充分な議論を経て、適切な期間は5年であるということになった。私が嬉しかったのは、多色テーマは非常に人気が高いということがわかっていて、しかも『インベイジョン』という非常に人気があったブロックを前提にしてデザインすることになるということもわかっていたからである。私の目標は、多色を楽しくしているものを可能な限り取り入れながら、『インベイジョン』ブロックとは可能な限り違う感じにすることだった。私は、「金色で『インベイジョン』でない」を合言葉に『ラヴニカ』のデザインを始めたのである。
それでは、「『インベイジョン』ではない」というのは一体どういうことだろうか。私はそのブロックを研究し、そして以下のテーマを見つけ出した。
- 可能な限り多くの色をプレイする
- 友好色は敵対色よりも強い(友好色のカードは敵対色のカードの3倍ある)
- 色関連テーマ(このブロックでは、それが何色かをメカニズム的に参照するものが多い)
これらのテーマを逆転させることにしたのだ。
- 可能な限り少ない色をプレイする
- 敵対色は友好色よりも強い
- 色関連はしない
これらのそれぞれについて、どのように考えたかを説明していこう。
可能な限り少ない色をプレイする
もちろん最も少ない色数は1色だが、それではこのブロックの唯一の条件である多色に反してしまう。つまり、2色をプレイするということになる。これを踏まえて、私は2色であるということがいったいどういうことなのか、かなりの時間をかけて考えることになった。そしてその調査の結果生まれたのが、混成マナである。カードが赤でありかつ緑である、のではなく、赤であるかまたは緑である、というのはどういうことになるだろうか。マジックのカードにおいて、効果ではモードによる選択を扱ってきたが、マナ・コストでは扱ったことがなかったのだ。(マナを支払う代わりにマナでないコストを支払う、代替コストという例外はある。)このことから、私は「かつ」と「または」の違いが厳密に何なのかを考え、混成マナを作り出したのだった。
興味深いことに、混成マナを作り出したとき、私は、まだ存在していないとは信じられないほど基本的なものを見つけたことにひどく興奮した。私は開発部内を走り回り、誰彼となくそれを見せた。そして、その反応は一様に盛り上がりに欠けるものだったのだ。
私:すごくクールなものを作ったんだ。ちょっと見てくれ。(作ったカードを見せる)これは赤でありかつ緑である、じゃないんだ。これは、赤「または」緑なんだ。
相手:ふむ。それは何のために必要なんです?
私:これは道具だ。これでいろんなことができるようになる。
相手:例えば?
私:赤デッキにも緑デッキにも、赤緑デッキにも入れられるカードを作れる。
相手:それはプレイヤーからの要望なんですか?
私:いや。
相手:それなら、何のために必要なんです?
私:要望されていないのは、可能だと思われていないからだ。
相手:何か理由があるかもしれませんよ。
私:このアイデアにまったく興奮しないのかね。
相手:そろそろ戻って仕事しないと。その奇妙なマナがうまくいくといいですね。
これから見ていく通り、開発部内で混成マナが盛り上がるにはいくらかの時間がかかった。
敵対色は友好色よりも強い
ある色が友好色であり、ある色が敵対色だということを示すにはどうするか。そのための方法の1つが、友好色はメカニズム的に組み合わさるようになっていて敵対色はお互いに憎み合っているということを見せることである。また他の方法としては、友好色をプレイするほうを簡単に、敵対色をプレイするほうを難しくするというものもある。初期のマジックでは、その両方をいくらか行なっていた。『インベイジョン』ブロックはこの後者の好例である。『インベイジョン』には350枚のカードがあった。『プレーンシフト』と『アポカリプス』はそれぞれ143枚あった。『インベイジョン』と『プレーンシフト』は友好色を、『アポカリプス』は敵対色をテーマにしていたので、友好色をテーマとしたセットには493枚あり、143枚と比べるとおよそ3.5倍の差があったことになる。
この新ブロックでは、この流れを覆して敵対色のカードをかなり増やすことができるが、考えれば考えるほどそれは間違いだと思えてきたのだ。私はカラー・パイの大ファンだが、敵対色が大量のカードでやり取りし合うのが最善のゲームプレイに繋がるとは思わなかったのだ。好きな色の組み合わせでプレイさせたいのだ。『インベイジョン』でないものにするための最善の方法は、色の組み合わせを均等に扱うことかもしれない。『ラヴニカ』ブロックは、色の組み合わせ10種すべてを均等に扱うことで特徴づけられるのではないか。
色関連はしない
これは、理解するのに一番時間がかかったものである。もちろん、「色関連」をブロックで濃く扱わないようにすることはできたが、私はそこにもっと重要な内容が潜んでいるのではないかと感じたのだ。色が組み合わさっているのが、メカニズムがその3色のものだから、というよりも、理念がその2色のものだから、というほうが強かったらどうだろうか。私は色の独自性や理念についてかなり時間をかけて考えてきたので、色を組み合わせるという発想は私の好奇心をかきたてるものだった。
クリエイティブに
ビルのおかげで、私はクリエイティブ・チームを監督していた。私はデザイン工程の早期に統合したいと心から思っていたので、決まりを定めたらすぐに新しい世界に必要だと感じていることについてクリエイティブ・チームと話し合ったのだ。デザインとクリエイティブの間で多くのやり取りが必要だと考えて、最初に私は何が必要なのか、その骨子を彼らに伝えることにした。
このセットは、すべて均等に扱われる、2色の組み合わせ10種が中心となること。そして、それらの2色それぞれの組み合わせが理念的にどういう意味を持つのかを掘り下げたいと思っていることも伝えたのだ。それがすべてだった。彼らに、出発点として伝えたのはそれだけだったのだ。
クリエイティブ・チームの最ベテランだったブレイディ・ドマーマス/Brady Dommermuthは、それについて検討する時間がほしいと言った。そして、複数の発想を検討している間に数か月が過ぎた。やがてある日、ブレイディ・ドマーマスは、2色の組み合わせがそれぞれ独自性を持った陣営だという、ギルドの発想を見つけ出したのだ。その発想を元に彼は、ギルドのような組織化されたシステムが発生しうる類の場所として都市世界という発想に行き着いた。
しかし、先述の通り、この発想が生まれるには数か月かかることになる。
混成の誕生
この問題を解決するための取り組みの中で混成マナが生まれ、私の率いるデザイン・チーム(マイク・エリオット/Mike Elliott、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe、タイラー・ビールマン/Tyler Bielman、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfield、私)はさまざまな混成のデザインを作り上げた。そして、プレイテストを行なった。そのプレイテストでは、2色の組み合わせ10組すべてにおいて伝統的な多色カードと混成カードの両方が、高い開封比で存在していた。現在、多くの開発部員は、長い間マジックをプレイしてきたプレイヤーである。多くは元プロプレイヤーで、中には殿堂顕彰者もいる。開発部のプレイテストでは、経験上、開発部は平均的なプレイヤーよりもずっと多くのものを扱うことができるものである。私がウィザーズで経験した中で、開発部員がセットが難しすぎると不満を言ったのはこのプレイテストが唯一だった。
例えば、通常開発部でシールドデッキのプールを開封したとき、各色とアーティファクトそれぞれのクリーチャーの束と非クリーチャーの束、最後に土地の束と、13個の束を作ることになる。このプレイテストでは、2色の伝統的な多色カードを置くためにさらに10個の束が必要となったのだ。さらに、混成の組み合わせについて10個の別の束が必要となった。カードの束が合計33個必要だったのだ。
開発部員のほとんどは、どんなシールドのプールでも最適な色の組み合わせを見つけることができると自負しているが、組み合わせがあまりに多かったため、彼らでさえも決定手順を省略し始めることになった。このプレイテストからはっきりわかったのは、「これはやりすぎだ」ということだった。
私は少しパニックに陥りながら、このプレイテストを終えた。私が描きたいものを、ユーザーが扱える方法で描くにはどうしたらいいだろうか。10組は多すぎるのか。そもそも私が考えたことは間違っていたのか。私は、新しい発想を渇望していた。そのとき、ブレイディが話があると言ってきたのだった。
ギルドがあれば……
ブレイディがギルドというシステムと都市世界の2つを提案してきたときのことは忘れられない。感動したのだ。私の答え:「それは、5つではなく10個に分割されたカラー・パイの新しいあり方のようだ」
ブレイディと私はクリエイティブ・チームを召集し、そしてそれぞれのギルドをどう表現できるかについての話し合いを始めた。我々は、どうすれば各ギルドをそれぞれの2色の理念を混ぜ合わせたものの具現化にできるかについて議論を重ねたのだ。私は1回の会議で、クリエイティブ・チームがこれを完璧に仕上げてくれると確信した。
そして私はデザイン・チームに戻り、クリエイティブ・チームがフレイバー面でやっているのと同じことをメカニズム面でもやることになると伝えたのだ。その2色にとって、協力するというのはどういうことなのか。どうやって勝利を目指すのか。その2色ができることを共有することで、どんなシナジーが生まれるのか。そして、各ギルドがメカニズム的に表すものを固めるため、それぞれに独自のメカニズムを持たせることにした。
ギルドというシステムは、私のもう1つの問題も解決してくれた。2色の組み合わせ10組は、確かに多すぎたのだ。セットを10個の要素に分割することで、すべてのギルドを全てのセットには入れないという単純な方法で複雑さの問題を解決することができた。どのギルドにも輝く機会があるが、それはそれぞれ1セットに限られるのだ。セットの大きさから、4/3/3という分け方が決まった。他の選択肢も掘り下げたが、5/3/2や5/2/3はこなれておらず、ギルドが2つしか存在しないセットはセットとしてうまく成り立たなかったのだ。私は、今手がけているものが素晴らしいものだと確信していたが、先に進めるためには、開発部員と、そして会社全体を説得しなければならなかったのだった。
《オルゾヴァの幽霊議員》 アート:Greg Staples |
「本当に?」
私は、まず、デザイン・チームを固めることから始めた。正確に言えば、その多くを。アーロン、タイラー、リチャードはこの発想を気に入ったが、マイクは少し懐疑的だった。マイクはマジックの主なデザイナーの片翼だったので、彼が躊躇しているのは問題である。次に説得すべきは、私の上司にしてマジック開発部のディレクターであったランディだった。話し合いはうまく進んだ。ランディはその発想を大枠では気に入っていたが、実装については少し懸念があると言った。例えば、ドラフトはうまくできるかどうか。私は彼に、それについては当時の主席デベロッパーであったブライアン・シュナイダー/Brian Schneiderに話すと伝えた。次はビルだった。彼はこの構造自体は興味深いと言ったが、一方で、実装に関してはランディと同じ懸念を持っていた。
この間に、『ラヴニカ』のあり方についての情報が開発部内で広がっていった。文脈無しでこの発想を聞けば、非常に奇妙なものだと思うだろう。多色のセットを作るが、そこに入るのは2色の組み合わせ10組のうち4組だけだというのだ。ユーザーは買ってくれないだろう。そもそもセットとして成立しないのではないか。例えば、ドラフトはデッキを組むことができないはずだ。
多くの否定的な声を聞いて、私は心配になってブライアンと相談した。セットをデザインすることはできるとわかっていても、デベロップ・チームがデベロップできないのであれば別の方法を探す必要がある。私はブライアンの前に座り、そして今やっていることについて詳しく説明した。人々が、デベロップできるかどうか懐疑的になっていると伝えたのだ。ブライアンの答えは、「できる」というものだった。
ブライアンの同意を取り付けたことで、ランディとビルからも暫定的な許可を得ることになった。開発部内にはこの発想に反対する人もいたが、上層部が同意しているので、試してみることを全員が認めることになった。最終的には、これまで作った中で最も人気のあるドラフト環境になったのだ。興味深いことに、ギルドというモデルに進む前に私は混成をこのセットから取り除いたのだが、デベロップ中にブライアンが、このセットには革新的なものが足りないので混成を少量だけ(レアリティごとにサイクル1つ)使っていいかと尋ねてきたのだった。(当時、私は混成マナを『時のらせん』ブロックで使うことにしていた。)
これ以降、開発部内ではこのセットはスムーズに進み始めたが、問題はそれで終わりではなかった。
ギルドのブロック
新しいセットを売り出すのはブランドの仕事である。『インベイジョン』が好評だったので新しい多色セットという発想は喜ばれたが、ギルドという発想は伝わらないのではないかと心配されたのだ。彼らの危惧を鎮めるため、我々は、さまざまなギルドを表し、またその識別のために使えるシンボルを透かしに入れるということを考え出した。すべてが順調だった。プレイテスト・グループの1つからの報告を受け取るまでは。
当時、セットのテストを行なう手法の1つとして、新カードでプレイして報告を送ってくる、独立したプレイテスト・グループにセットを送っていた。プレイテスト・カードは、当時我々が使っていたのと同じような、アートなしのステッカーを同じ色のマジックのカードに貼り付けたものだった。『ラヴニカ』をプレイしていたプレイテスト・チームの1つから、酷評が届いたのだ。それぞれのカードの多くについては好評だったが、全体として何なのかわからないというのだ。なぜ色の組み合わせは4組しか存在しないのか。
これらの報告は、ブランドがこのセットについて持っていた危惧そのものだった。ブレイディと私は、ダメージ・コントロールに入ることになった。それらのカードにはイラストも透かしもなく、カード名も最終的なものではないと説明した。クリエイティブはギルドを伝える上で重要であり、我々はあちらこちらで彼らが素晴らしい仕事をしていると断言して回った。ブランドは了承したと言ったが、数か月後、ブレイディと私が休暇中に、彼らはセット名に「ギルドの都」をつけたのだ。
このセットは爆発的な人気を得て、ギルドというフレイバーは明瞭に伝わったのだった。
「戻ってくる」
『ラヴニカ』ブロックのあとで、我々は多色ブロックを作るのは4年空けること、そしてラヴニカに戻る前に1回空けることを決めた。『ラヴニカへの回帰』は、『ラヴニカ』ブロックの成功によってウィザーズの誰もが再訪に自信を持っていたので、『ラヴニカ』にあったような問題はなかった。あったとすれば、それは逆の問題である。すべてを変えたい人はいなかったのだ。やったことの中で意見が分かれるようなことは、『ラヴニカ』でやった形で染み付いていたのだ。
最大の変更は、ブライアン・ティンスマン/Brian Tinsmanが、ブロックの最終セットに10個のギルドすべてを入れるようにシステムを変えたことから始まった。彼は、ブロックを4つのセットにするというものも含む、さまざまなシステムを提案した。セットは3つにしなければならないということがわかると、ブライアンは6/4/10というモデルを推した。彼は、『ラヴニカ』ブロックのカードを使ったプレイテストまで作ったのだ。問題は、大型セットで扱えるギルドは5個まで、小型セットでは3個までということだった。
考えの枠を外して、私は冬セットを大型セットにして5/5/10にすることを提案した。冬セットを大型セットにしたことはなかったが、これはラヴニカのセットであり、成功の可能性はかなりあると考えたのだ。もう1つ、第2セットを大型にすることで、各セットそれぞれでドラフトをすることができるというのも気に入っていた。私は常々、『ギルドパクト』や『ディセンション』のギルドだけでもドラフトをしたいと思っていたのだ。それぞれのギルドが大型セットでドラフトできるようになれば、そのギルドのファンはそのギルドだけでドラフトすることができるようになるのだ。『ラヴニカへの回帰』と『ギルド門侵犯』が、全てのセットが大型セットで独立してドラフトできる、現在の「3-1モデル」に大きな影響を与えたに違いない。
10個のギルド全てが入った最終セットの『ドラゴンの迷路』は、我々が望んだほどの出来にはならなかった。皮肉なことに、それは遠い昔、最初の『ラヴニカ』のプレイテストのときの多くの問題をそのまま持ったものになっていた。10個のギルドすべてを把握しなければならないというのは、単純に少しばかり難しすぎたのだ。これが、『ラヴニカのギルド』と『ラヴニカの献身』には対応する『ドラゴンの迷路』セットが存在しない理由である。
また、我々は『ラヴニカへの回帰』で、10個の新しいギルド・キーワードを持たせることにした。(20個のギルド・メカニズム全てを検証し、その再録の可能性について語ったストーム値の記事はこちら。)
興味深いことに、『ラヴニカへの回帰』は『ラヴニカ』のデザインに依るところが非常に大きいので、そのデザインについて語ることはあまりない。
三度目も正直
今回の、『ラヴニカ』と『ラヴニカへの回帰』の両ブロックのデザインに関する一風変わった確認を楽しんでくれたなら幸いである。この記事やこれらのブロックについて何かコメントがあれば、メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Google+、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『ラヴニカ』と『ラヴニカへの回帰』の人気カードのデザインについて語る日にお会いしよう。
その日まで、あなたの心に呼びかけるギルドを見つけることができますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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