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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

基本根本 #10:クリエイティブ要素

Mark Rosewater
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2018年3月26日

 

 自分でマジックのカードやセットを作ってみたいプレイヤー諸君向けのシリーズ、「基本根本」の新作にようこそ。1年に1回、私はこのシリーズの記事を書いている。自分のカードを作ることに興味がある諸君にとっては、この記事は実践的な技術的アドバイスとして使えるものだ。自分のカードを作ることに興味がない諸君にとっても、マジックのセットがどのように作られているのかという舞台裏を見る機会になるだろう。

 これまでの「基本根本」は以下の通り。

基本根本 #1:カード・コード(リンク先は英語)

 この1本目の記事はもっとも技術寄りのもので、我々が話すときに同じカードのことを確実に示せるようにするシステムの使い方を説明している。

基本根本 #2:デザインの骨格(リンク先は英語)

 この2本目の記事で、セットをデザインする上でもっとも重要な道具の「デザインの骨格」を紹介している。(この中でカード・コードを使用しており、そのためにそちらの記事が先になったのだ。)

基本根本 #3:デザインの骨格を埋めよう

 この3本目の記事はそれぞれのデザインの骨格を埋める方法について話している。まずはコモンからだ。

基本根本 #4:より高いレアリティ

 この4本目の記事では他のレアリティを埋めていくことについて話している。

基本根本 #5:初期プレイテスト

 この5本目の記事では、フィードバックを集めてセットを進化させていくためのプレイテストの最良の使い方について論じている。

基本根本 #6:繰り返し

 この6本目の記事では、繰り返しの概念とセットを徐々に進化させていく方法について語っている。

基本根本 #7:デザインの3つのステージ

 この7本目の記事ではデザインにおける異なった3つの段階について、セットの進化に伴ってどのように優先度が変動していくかを通して説明している。

基本根本 #8:問題解決

 この8本目の記事では、デザインの初期から中盤にかけてよくある問題に関する疑問に答えている。

基本根本 #9:評価

 この9本目の記事では、自分のセット全体を見て、どのような微調整が必要か判断する方法について語っている。

 そしていよいよ今回の記事、シリーズの第10本目に到達することになる。デザインの骨格を作り、それを埋め、プレイテストし、繰り返しを行ない、進化させ、問題を解決し、評価してきた。今回、それらすべてのデザインの作業と並行して行なわれるもの、すなわちセットのクリエイティブ要素について論ずる。

 ここでは、カード名、フレイバーテキスト、カードのコンセプト、世界構築(そしてあるならアートも)の話をする。ウィザーズでは、セットのテーマ要素専任のチームが存在するが、そのチームとやり取りし、デザインそのものがフレイバーと折り合ったものであるようにするのもデザイナーの仕事である。家で作るなら、クリエイティブ的作業の大半(あるいはすべて)をデザイナーがすることが多い。今日の記事では、クリエイティブ要素をどのようにデザインに組み入れるかについて語ろう。

昔々

 最初に、デザインを始めるより前に、それから扱うつもりの世界に関するアイデアを持っていることが多いだろう。世界のフレイバーがデザインの元になっている(『イニストラード』、『テーロス』、『アモンケット』など)ものを「トップダウン」、メカニズムがデザインの元になっている(『ラヴニカ』、『ゼンディカー』、『タルキール覇王譚』など)ものを「ボトムアップ」のデザインと呼んでいる。

 そこで、まず最初にそれぞれの要素が初期のデザインにおいてどのように関わってくるのかという話をしよう。ここではそれを3つの段階に分ける。初期(セットを0から組み上げ始める時期)、適応(まだ注目していなかった要素を投入しなければならない時期)、連合(その2つを編み込んでいく時期)である。各段階で、トップダウンとボトムアップそれぞれのデザインがどのように扱うかについて語っていこう。

初期段階

トップダウン

 通常、トップダウン・デザインではこの質問から始めることになる。「ユーザーがこの既知のフレイバーに基づく世界で期待するものは何だろうか。」

 『イニストラード』には怪物が必要だ。『テーロス』には神々が必要だ。『アモンケット』には典型的なエジプト風のもの(ミイラ、ピラミッド、スカラベなど)が必要だ。デザイン・チームの最初の会合での私の技法は、思いつくものをすべて書き出すことである。その後、デザイナーたちに、最初のカードやメカニズムを作るもととしてそれらのアイデアを用いるように言うのだ。『イニストラード』に怪物が必要だと。どのような種類の怪物が必要だろうか。狼男だと。期待に応えるような狼男をデザインするには、どうしたらいいだろうか。こう考えていった結果、我々は両面カードにたどり着いたのだ。

 ここでの鍵は、そのセットの展望を定めるための指針としてフレイバーを用いることである。カードのほとんどは示唆的で芳醇なプレイテスト名を持つべきである。私は、カードをそれで表現したい元ネタに基づいて命名するという技法を使っている。私は吸血鬼のロードを「ドラキュラ伯爵」と呼んでいたが、それは最終的な実装がそうなるだろうと考えたからではなく、他のデザイナーたちにこのカードがこのセットで果たすべき役割を理解してもらうためだった。

 トップダウン・セットでのポイントは、元ネタによって導かれるテーマを強化するような構造が必要になるので、セットの構造においてフレイバーが有益だということである。『イニストラード』はメカニズム的にまとまっているのではなく、フレイバーを通してまとまっているのだ。つまり、この種のデザインでは、最初からフレイバーを組み込んでおく必要があるのである。

ボトムアップ

 ボトムアップ・セットでは、それほど早くからフレイバーのことを気にする必要はない。クリエイティブ要素についてアイデアがあるのは悪いことではないが、プレイテスト名として機能を表すもの(〈小型破〉)や馬鹿げたもの(〈これってアブナイ〉)をつけても構わない。『ゼンディカー』の冒険というテーマは何か月もの間扱われていなかった。初代『ラヴニカ』の、都市とギルドというフレイバーや、『タルキール覇王譚』の将軍たち/サルカンの出身次元というフレイバーについても同じである。

 セットの中核がメカニズムであれば、初期にすべきことはそのメカニズム同士のつながりを定めることであり、フレイバーにはあまり注目する必要はない。『ゼンディカー』は土地とやり取りするメカニズムを中心にしていて、『ラヴニカ』では2色の組み合わせそれぞれのサイクルを作った。セットにふさわしいデザインの骨格を作れるよう、初期のエネルギーを構造を安定させるものに集中させるのだ。

 ボトムアップ・セットでのポイントは、フレイバーは構造において補助的なものであり、それほど早期に定める必要はないということである。それはセットの到達点について考えてはならないということではないが、デザインを導くようにすることはそれほど必要ではないのだ。

適応段階

トップダウン

 設定とテーマが出来たら、次はあるべきメカニズム的構造を組み上げる番だ。再び『イニストラード』を例に説明しよう。

 怪物が必要で、死に意味を持たせることが必要で、恐怖感を想起させることが必要で、闇の変身が必要だということはわかった。怪物、というところから、必要な怪物を列記しはじめることになる。吸血鬼、狼男、ゾンビ、幽霊、そして犠牲者としての人間。それらを色に割り振り始めたとき、我々はあるパターンに気がついた。5つの部族が自然に友好色の組み合わせに落ち着いていったのだ。もう少し部族要素を加えたところ、突然、ゲームプレイが、怪物がその肝要な要素であるかのように感じられるものになったのだ。

 死の意味と恐怖感の想起から、我々は墓地に注目し、何が死んでいるかを参照するようになった。そこから導かれたのが、墓地メカニズムへの注目と、何かがそのターンに死亡していたかどうかをチェックする新メカニズムの実験であった。それらは直接に、フラッシュバックの再録と、陰鬱の創造につながった。

 闇の変身は、まず狼男をメカニズム的に働くようにすることに注目することから始まったが、最終的には無垢な存在が闇の恐ろしいものに変身するというストーリーを描くことができる両面カードに行き着いた。両面カードという技術ができてから、我々はさまざまなホラーの要素で両面カードで表せるものを探したのだ。

 ここでの鍵は、我々はフレイバーを使ってセットの目標を決め、その後でそれらのテーマを強化する方法としてメカニズムを使ったというところである。怪物の部族、フラッシュバック、陰鬱、両面カード/変身、それらはそれぞれ、我々のデザインを動かす全体的な雰囲気をゲームプレイで再現できるようにするためのメカニズム的実装を探した結果得られたものなのだ。

ボトムアップ

 メカニズム的に必要なものが何かつかめたら、次はそのメカニズムが意味を持つ世界はどのようなものかを考えることになる。今回は、元祖『ゼンディカー』を例に取ろう。

 まず最初に、土地のメカニズムに注目するところから始めた。そして、最終的に主な焦点は、上陸と、さまざまな方法で土地を参照したり扱ったりするものに落ち着いたのだ。そこで我々は、土地に焦点を当てることができるような世界はどのようなものか考えた。また、土地を扱うということはセット内の土地の枚数が多くなるということなので、これも世界設定の制限となった。

 
カビーラの交差路》 アート:James Paick

 こう掘り下げていった結果、我々に必要なのは人々と環境との対立が対立軸になっている世界だということがわかった。つまり、土地がもっと能動的な役割を果たす必要があるのだ。このことから、冒険者が厳しい環境を乗り越える必要があるという冒険世界が作られることになった。人々は、能動的に人々を殺そうとしてくる世界に対して生き残ろうとしているのだ。

 いったんジャンルを掴んだら、さまざまなサブジャンルを掘り下げていくことができるようになる。そして、サブジャンルに合わせて、さまざまな要素や芳醇なものをまとめたリストを作ることになる。

連合段階

トップダウン

 この段階で重要なのは、クリエイティブとメカニズムの2つの要素を組み合わせていくことである。トップダウン・セットにおいては、大抵の場合、フレイバー要素を検証し、それらをメカニズム的に組み合わせる方法を探すことになる。

 『イニストラード』では、この時点で我々は怪物の部族を検証し、それらにメカニズム的テーマを与えていった。ゾンビは遅く、コントロール的なものにすることにした。吸血鬼は攻撃的なものにした。狼男と両面カードを組み合わせ、人間を狼男にする統一された誘発条件と、狼男を人間に戻すまた別の誘発条件を定めた。

 さらに、さまざまなトップダウンのカード・デザインを検証し、メカニズムを組み込むことができる場所を探した。ゾンビ軍団に圧倒されるというアイデアを再現するための、大量のゾンビを生成する呪文があった。この呪文にフラッシュバックを持たせることで、ゾンビの大軍団が一度ならず二度も襲ってくるようにするのはどうだろうか。

 この段階で重要なのは、ユーザーに出発点がわからないような形でフレイバーとメカニズムを組み合わせることである。トップダウンとボトムアップを取り上げたのは、それらはデザイナーの側から見ると全く異なっているが、セットが上手くできていればユーザーにはその作り方がわからなくてもいいからである。

ボトムアップ

 世界の形が決まったら、ボトムアップ・デザインでは、メカニズム空間をその世界から出来たものに割り当てていくことになる。

 『ゼンディカー』では、冒険世界のフレイバーの中から要素を選び、それを基柱にしたメカニズムを作っていった。さまざまなアイデアを掘り下げていったが、最終的には、当時我々が「罠、地図、連中」と呼んだものに落ち着いた。罠は、対戦相手が特定のゲームの処理をした場合にそのカードを低減されたコストで唱えることができるという罠・メカニズムになった。地図は、同一のことを複数回することを求め、それを達成すると報酬が得られるというエンチャント・メカニズム、探索になった。連中は、そのクリーチャー・タイプを持つクリーチャー同士が冒険のパーティのように協力できるという部族テーマ、同盟者になった。

 トップダウンでもボトムアップでも、後で反対側の成分に属する要素を組み立てるためのデザイン空間を取っておいていることがわかるだろう。トップダウン・セットでは、メカニズムにかぶせるフレイバーの枠を温存しており、ボトムアップ・セットでは、定まったフレイバーに基づくデザインのためのメカニズム空間を残しているのだ。

 こうして初期のデザインを解説してきたので、ここからはクリエイティブ要素をいつどこで組み込んでいくかの実践的ヒントを見ていくことにしよう。

カード名

 トップダウン・デザインをしているなら、デザイン名をセットの雰囲気を作る助けとなるものにしたくなるだろう。最初は、元ネタや発想をそのままカード名に使ってもいい。そのカードでプレイする人々が、再現したいフレイバーを把握するようにすることが鍵なのだ。トップダウンでは、初期のプレイテスト名はあまり重要ではない。プレイテスト名はカードを参照できるようにするために必要だが、望むなら無機質だったりバカバカしかったりといった方向に寄せることもできる。

 初期デザインが終わり、外部の人にセットのプレイテストをしてもらい始めるあたりの時期に、もっと実際的な名前を考えはじめる必要が出てくる。トップダウン・セットでは、元ネタの引用から実際にカードで使いたい実際の名前にしていく必要がある。ボトムアップ・セットでは、各カードが表すものがつかめるようにする必要がある。

 この段階の考え方としては、我々がウィザーズでしていることを参考にするのがいいだろう。我々は、アーティストにカードのアートを作ってもらう必要がある。その前に、我々はカードのコンセプトを定めなければならない。

 その呪文は一体何を表したものなのか。例えば、クリーチャーやプレイヤーに3点のダメージを与えるという直接ダメージ呪文があったとする。その呪文は一体何をするものなのか。火を使うのか。溶岩を使うのか。熱を使うのか。大地の力なのか。それとも音なのか。その呪文では、物理的に何を魔法でしているのか。クリーチャーであれば、そのクリーチャー・タイプが何か、そしてそれがどのような役割を果たしているのかを決めるのがここだ。(部族要素を持つカードであれば、すでにデザイン・チームがどの部族であるべきかということを示していることが多い。)

 諸君の多くはアートをカードに付けないかもしれないが、アートをつけるとしたらどのようなものかと考えてみることは、実際の名前を決めるための良い方法である。名前に関するヒントとしてこのようなものがある。

実際のマジックに存在するカード名を避ける

 もし呪文に《稲妻》と名付けたら、多くのプレイヤーはカード名を読んだところでそれ以上は読まなくなるだろう。中身を知っているからだ。それが別の呪文だと理解したとしても、それは混乱のもとであり、そのカードとマジックの《稲妻》[MM2]とを比較することになってプレイテストの記録を歪めることになってしまうだろう。

他の色に関連付けられた単語を使わない

 色の理念は我々のカード名の決め方に深く染み込んでいるので、間違った単語をカード名に入れることは人々を面食らわせることになる。〈火のサイ〉を緑にするつもりだとしても、「火」という単語が存在することでプレイヤーは赤だという先入観を持つのだ。

カード名がその呪文の内容を示すようにする

 カード名には、プレイヤーがその内容を覚えるための助けとなるという機能がある。そのカードがすることと違うことを示すようなカード名を持つことは、プレイヤーが誤ってプレイすることにつながる。

カード名とカード・タイプが合うようにする

 クリーチャーはクリーチャーらしい名前であるべきである。インスタントやソーサリーは、行動を表す動詞で命名されることが多い。アーティファクトは物理的な品物である。エンチャントは実態のない理念や魔法である。土地は場所である。プレインズウォーカーは特定の人物名であるべきである。カード名は予想に従うべきであり、背くべきではない。

カードの機能と矛盾するマジック語を避ける

 カードに「削り」という名前がついていたら、プレイヤーはそのカードの実際の機能と関わりなく、対戦相手のライブラリーから墓地にカードを送らせるものだと思いこむことになる。マジックは25年を費やして語彙を築き上げてきており、さまざまな用語に意味が与えられているのだ。それらの語彙に背くと、プレイヤーが誤った結論に飛び込んでしまうことになる。

実際のマジックのカードに収まるようなカード名を使おうとする

 初期プレイテストで非常に長い名前を使うのは面白いことだが、それを「実際の」カードで使うと、それは実際のものだとは感じられなくなる。

カード名がお互いに違うものだと耳でわかるようにする

 これはマジックが長年に渡り抱えてきた問題である。《活性スリヴァー》(Quick Sliver=クイックスリヴァー)と《つつき這い虫》(Clickslither=クリックスリザー)が最も有名な失敗だろう。カード名の音が似すぎていると、プレイヤーがカードを取り違えることに繋がるのだ。

固有名詞を作るときは、発音できるものにする

 ここで私が使っている方法は、詳しくない人にその名前を見せ、発音できるかどうか見ることである。すぐに簡単に発音できないようであれば、名前を変更することにしている。

「25セント」の単語をなるべく避ける

 これは、開発部語で平均的なプレイヤーが知らない単語のことである。高いレアリティに少量あるのは問題ないが、それは少ない量でこそ上手く働く要素なのだ。

 
〈ルールの法律家〉》 アート:Sean Murray

クリーチャー・タイプ

 クリーチャー・タイプはメカニズム的に意味を持つこともあるが、カードにフレイバーを加えるという働きのほうが大きい。それぞれのクリーチャーがどうあってほしいのか、慎重に考えること。カード名やフレイバーテキストと組み合わせると、プレイヤーの想像力を掻き立てるようなカードにすることができるのだ。

 クリーチャー・タイプに関するヒントにはこのようなものがある。

もっとも一般的に使われるクリーチャー・タイプを当たり前にしない

 すべての赤のクリーチャーをゴブリンにしてしまうことは簡単だが、そうするとそのセットを豊かなものだとは感じられなくなるだろう。

人型クリーチャーは種族と職業を持ちうる

 それが何なのかを示すのが種族であり、それが何の仕事をしているのかを示すのが職業である。ただし、すべての人型種族が種族と職業をそれぞれ持っていなければならないというわけではない。通常、どちらか一方だけを削るとしたら、職業だ。

複数のクリーチャー・タイプを持つことがある

 複数のものを1体のクリーチャーに組み合わせることでかなりの面白さが生まれる。ただし、カードのタイプ行の長さには注意すること。クリーチャー・タイプが枠に収まらなければならない。伝説のクリーチャーは、よくこの枠の問題にぶつかることになる。

創造的であれ

 新しいカードを作っているのだから、新しいクリーチャー・タイプを作ることもできるのだ。

フレイバーテキスト

 カード名やクリーチャー・タイプの他に、世界や登場人物を表現する場所としてフレイバーテキストがある。書くのが難しければ、誰か書くのを好きな人を探してもいいだろう。

 フレイバーテキストに関するアドバイスは次のようなものがある。

必ず必要なものではない

 フレイバーテキストなしでもセットを成功させることはできる。フレイバーテキストを書くことに怖気づいていて、誰も協力してくれる人が見つからなかったなら、ないままにしても問題ないのだ。

過ぎたるは及ばざるが如し

 フレイバーテキストが枠に収まるかどうかわからなければ、ないままにすべきだ。文章量の多いカードは怖気づかせるものなので、不必要なフレイバーテキストを増やすことでその問題を作り上げる必要はないのだ。

フレイバーテキストを呪文の理解を助けるために使う

 カード名とコンセプトが、そのカードのメカニズムから少し乖離していることがある。フレイバーテキストは、その2つの間のつながりを強める良い働きをしてくれうるのだ。

自分の世界を構築するためにフレイバーテキストを使う

 その世界を人々に知らせるための方法はそれほど多くあるわけではない。我々のようにアートや世界構築チームに頼ることができないので、フレイバーテキストをその世界に関する重要な情報を伝えるための方法として使うのだ。

登場人物を構築するためにフレイバーテキストを使う

 登場人物の台詞は、プレイヤーにその人物を把握させるための方法として説明文よりもずっと有用である。

最善のフレイバーテキストは独立して働くということを忘れない

 一言で、理解するために他の情報を必要としないフレイバーテキストこそが楽しいものなのだ。フレイバーテキストを考えるときには忘れずに。

最後の考え

 今日のまとめに入る前に、もう1つ強調しておきたいことがある。メカニズムこそがクリエイティブ要素だということである。その動きが、フレイバーについてのユーザーの受け取り方を形作るのだ。カード名やクリーチャー・タイプ、フレイバーテキスト(そして可能ならアート)にも時間を費やすべきではあるが、セットをプレイすることでプレイヤーに何かを感じさせられるように、メカニズムそのものがフレイバーと統合しているようにすることを忘れてはならない。マジックの最高の成功は、メカニズムとフレイバーが絡み合い、2つの要素ではなく1つのものだと感じられるようになっていたときに起こっているのだ。

全力で城に挑め!

 本日はここまで。この記事が自作のセットを完成に一歩近づけるものになっていれば幸いである。いつもの通り、今日の記事や「基本根本」シリーズ全体についての反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『ドミナリア』のプレビューが始まる日にお会いしよう。

 その日まで、あなたのセットがプレイするのと同じぐらい良い感じを与えられますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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