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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

まったくレアリティ

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まったくレアリティ

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2018年3月12日

 

 今日はデザインにおけるレアリティの影響について語ろう。主なレアリティにはコモン、アンコモン、レア、神話レアの4種あり、デザインするにあたってはそれぞれに異なった役割がある。これから4つのレアリティそれぞれについて解説し、カードをそのレアリティにふさわしいものにすることについて語っていく。

その前に

 最初に、カードがどのレアリティに存在するかに影響する別の基準を説明しよう。その後、それぞれのレアリティに当てはまるそれぞれの基準について解説していく。

複雑さ

 これは、カードを理解するのが3つの意味でどれほど難しいかという話である。

  • 理解上の複雑さは、そのカードが何をするかを理解することに関するものである。カードを読んで、その動きを知ることができるかどうか。
  • 盤面の複雑さは、そのカードが他のあらゆるカードとどのように相互作用するかを理解することに関するものである。それと他のカード、特に戦場にあるカードなど公開状態にあるカードとの間の関連や影響を理解できるかどうか。
  • 戦略的複雑さは、カードがゲームの局面を進めるうえで持つ意味を理解することに関するものである。ゲームに勝利するためにそのカードが果たす役割を理解できるかどうか。

 理解上の複雑さや盤面の複雑さが高ければなるほど、カードのレアリティも高くなる傾向にある。複雑であればカードのレアリティは高くなるが、レアリティが高いからと言ってカードが複雑でなければならないということではない。単純でレアリティの高いカードは大量に存在し、それらは他の理由でレアリティが高くなっているのだ。他の2種類の複雑さにおいて単純であれば、戦略的複雑さだけではカードのレアリティを高めるとは限らない。

文章量

 文章量とは、つまりカードにどれだけの単語が書かれているかということである。文章量と複雑さは、かなりの割合で相関関係にあるが、完全に一致するわけではない。一般的に言って、カードの文章量が多ければ多いほどレアリティも高い傾向にある。複雑さと同じように、文章量が少なくともカードのレアリティが高いということはあり、その場合は他の理由によるものである。文章量は、複雑さと同じような効果を持つので、やはりレアリティを押し上げることになる。カードを使うのが難しくなり、また新規プレイヤーにとってカードを見て怖気づかせる要素が多くなるのだ。

効果の大きさ

 カードには効果が小さなものから巨大なものまで存在する。一般的に、効果が大きければ大きいほど、カードのレアリティは高くなる。それには3つの理由がある。1つ目に、大きな効果は重いことが多い。そのため、一般的に、デッキに入れたい枚数は少なくなる。これによって、小さくて軽い効果を持つ、デッキに多く入れたいカードを手に入れるのが簡単になるのだ。2つ目に、マジックはトレーディングカードゲームであり、エキサイティングで集めたくなるようなカードを高いレアリティにしたい。そして、大きな効果はエキサイティングで魅力的なものである。3つ目に、リミテッドのプレイに大きな影響をもたらす。これについてはこのあとで詳しく説明しよう。

カードの影響力

 この分類は、先ほどのものと関係している。我々はカードを影響力のあるものにしたいと考えているが、影響力の強いカードを環境にどれぐらい存在させるかについては慎重でなければならない。多くなりすぎれば、ゲームは非常に不安定なものになってしまう。影響力の強いカードを高いレアリティにすることによって、カードの開封比(特定のカードやカード群が平均的なブースターから出てくる割合)からリミテッドで、カードの入手性からカジュアル構築で、それぞれゲームは落ち着いたものになる。

リミテッドでの効果

 カードの中には、リミテッド向けにデザインされたものがある。それらのカードのレアリティは低くなるべきである。カードの中には、構築向けにデザインされていてリミテッドでは問題になるものもある。それらのカードのレアリティは高くなるべきである。リミテッドを成立させるために不可欠なカードはコモンに、そしてリミテッドを破壊するようなカードは神話レアに寄せることになる。

効果の狭さ

 カードの中には、適用範囲が非常に広いものもあれば、非常に狭いものもある。用途が特定されるカードは、レアリティは中等に寄り、極端なもの(コモンや神話レア)ではなくなる傾向にある。狭いカードがコモンでなくなるのは使えるデッキが少ないからであり、神話レアでなくなるのは派手なものにするのが難しい傾向にあるからである。

派手さ

 この分類は、カードがひと目見てどれほどエキサイティングかの話である。このカードは、プレイヤーを心底新セットでプレイしたいと興奮させるようなものだろうか。そうであれば、このカードのレアリティは高まることになる。この分類は、大きさや効果の影響などのレアリティを高める傾向にある他の多くの属性と組み合わさる傾向にある。レアリティが低く派手なカードは、単純で超機能的なものになる傾向がある。

世界における存在

 この分類はフレイバーに関連している。その世界で、これを見かける頻度はどれぐらいか。どこにでもいるクリーチャーだろうか。それなら、レアリティは低くなる。珍しい、あるいは特定の人物のように唯一無二のものだろうか。それなら、レアリティは高くなる傾向にある。

レアリティとの関連

 この最後の分類は、マジックは長い歴史があるゲームであるという事実に関係している。大量のカードが存在することから、特定の効果に関する慣性が働くのだ。同様のカードが特定のレアリティに大量に存在していたことが、そのレアリティに向かう理由になることがある。この関連性を破ると、プレイヤーに不快感をもたらすことになるのだ。

 

 ここまで分類について語ってきたので、ここからはそれが4つのレアリティそれぞれにどう適用されるのかを見ていこう。

複雑さ

 それでは、3種類の複雑さそれぞれについて解説していこう。

 理解上の複雑さ ― 一般的に、何をするのかをプレイヤーが読んで理解するのが難しいコモン・カードは良くない。これの例外は、少しばなり学習が必要となる新しいメカニズム1つを持たせる場合であるが、それらのカードは全て同じように働き、カードを1枚理解したら残りも理解できるものである。

 盤面の複雑さ ― 局面がどうなっているのか伝えるのを難しくするようなコモン・カードを作りたくはない。注意信号が灯っている(リードが意識的に残すことを選んだのでない限り、そのカードのレアリティを上げなければならないという意味)もののほとんどは、盤面の複雑さによるものである。

 戦略的複雑さ ― これは(上述の2種類の複雑さを持っていないと仮定して)コモンで問題ないだけでなく、上級者であるプレイヤーのための奥深さを作り出す助けとなるので、むしろ推奨されるものである。我々はこれをレンズ状のデザインと呼んでいる。(これについてはこちらの記事に詳しい。)

文章量

 コモンでは、カードの大半がルール・テキストと注釈文で4行以下になるようにしている。(フレイバー・テキストは文章量には含まない。)5行になるカードも数枚、それ以上のものもわずかに作るだろうが、それらは注釈文があるせいであり、常に同じ注釈文を持つキーワードに関するものだろう。

効果の大きさ

 大抵の場合、コモンは効果の中で最も小さいものを持つ。平均程度のものであることもあるが、それより大きいことはまずありえない。

カードの影響力

 コモン・カードに、大きすぎる影響力をもたせたくはない。何度もカード・アドバンテージを得られるようなカードをコモンには作らない。(大抵は、何かを破壊するとかカードを引くとかのことである。)教示者能力やリアニメイト、パーマネントのコントロール変更、呪文のコピーなど、コモンで使うことができない効果は大量に存在する。

リミテッドでの効果

 コモンは、リミテッドを成立させるのに必要な、リミテッドの背骨となるカードのためのものだ。ほとんどのゲームでプレイヤーに複数枚持たせたくないものをコモンにすることはない。

効果の狭さ

 コモンが狭い効果を持つことはない。この唯一の例外は、セットにテーマがあり、その特定の環境において通常狭いはずの効果が狭くなくなっている場合である。

派手さ

 コモンにはあまり派手なカードは存在しない傾向にある。ありうる中でもっとも派手なものは、非常に効率的で、単純で、小さな効果である。(そしてしばしばトーナメント・レベルのカードである。)

世界における存在

 コモンは、その世界で大量に存在するものを表す。同種のものを2つ同時に見ることがないようなものであれば、それをコモンにすることはないだろう。

レアリティとの関連

 コモンに関連した効果(通例、カードでこの効果のことしかしない。高いレアリティでは、効果を組み合わせるようになる。)

  • アーティファクト破壊
  • アーティファクトまたはエンチャント破壊(《帰化》)
  • 「バウンス」(土地でないパーマネントをオーナーの手札に戻す)
  • カードを引く
  • カード濾過
  • クリーチャー破壊
  • クリーチャー封鎖(《平和な心》、《脱水》)
  • クリーチャー再利用(《死者再生》)
  • クリーチャーのブロックされないこと
  • 打ち消し呪文
  • ダメージ軽減(《濃霧》)
  • 直接ダメージ
  • 手札を捨てさせる
  • クリーチャーやプレイヤーからのドレイン
  • エンチャント破壊
  • 格闘
  • 「明滅」(クリーチャーを追放して戦場に戻す)
  • 飛行クリーチャー破壊
  • ブロック強制
  • 生け贄強制
  • 「衝動的ドロー」(カード単数または複数を追放し、ターン終了時までそれを唱えることができるようにする)
  • 土地を持ってくること
  • ライフ回復
  • ルーター効果(青のカードを引いてから捨てるものと、赤のカードを捨ててから引くもの)
  • ライブラリー削り(ライブラリーの上からカードを複数枚墓地に置く)
  • 「恐慌」(複数体のクリーチャーを、それではブロックできなくする)
  • パワー/タフネス強化(《巨大化》)
  • クリーチャーをタップする(アンタップしない「凍結」も含む)
  • 一時的奪取(《脅しつけ》)
  • トークン生成

アンコモン

複雑さ

 アンコモンでは、理解上の複雑さの水準は少し上がり、盤面の複雑さの水準はそれよりもう少し上がる。リミテッドやカジュアルな構築において使われてほしいが複雑さの都合で複数が望ましくないことが多い場合、それはアンコモンになることが多い。

文章量

 アンコモンでは、ルール・テキストや注釈文の行数は5~6行にじわりと上がり始め、最長で7行になる。通常、テキストのサイズを小さくしなければ枠に入り切らないようなら、それはアンコモンにはふさわしくないのだ。(ストーリー上の理由で重要なフレイバー・テキストをなんとか乗せるため、文字サイズを小さくすることは稀にある。)

効果の大きさ

 アンコモンは中等程度の効果を持つことが普通で、明確にリミテッド向けに大きな効果もわずかに存在する。アンコモンでは、複数小さな効果を組み合わせたものを持つこともある。

カードの影響力

 アンコモンはリミテッドで影響力が強くあるべきだが、構築で強い影響力を持つと多くの場合リミテッドでは問題を引き起こすことになるので、構築ではそれほどではないことが多い。アンコモンは、全体に少し影響を及ぼすか、あるいは個体に大きな影響を及ぼす効果を持つことが多い。その両方ということはあまりない。

リミテッドでの効果

 アンコモンは、リミテッドで基柱となることが多いカードのためのものだ。アンコモンのカードの最大の役割の1つが、リミテッドのイベントで手に入れたとき、その掘り下げるべき路を示すことである。カジュアル構築はリミテッドと同じようになる。アンコモンには、あまりのめり込んでいないプレイヤーに新しいデッキを組むことを推奨するカードがあるのだ。

効果の狭さ

 アンコモンには、リミテッドでいくらかの実用性がある狭い効果が存在する。リミテッドで役に立たない狭い効果は、レアに押し上げられることになる。

派手さ

 アンコモンで派手なカードは、リミテッドやカジュアル構築向けである。

世界における存在

 アンコモンに存在する物品は、いつでも見かけるものではないがそれなりの頻度で遭遇することが想定されるものである。伝説のクリーチャーを扱うセットにおいて、我々はそれらをアンコモンに配置することがある。しかし、大抵の場合それらは普通の人が出会う機会のある人物を表している。

レアリティとの関連

 アンコモンまで登場しないことが多い効果は以下の通り。

  • 3枚以上のカードを引くこと
  • 戦場に出たときにクリーチャーを殺す能力を持つクリーチャー
  • 「《好奇心》」(カードを引くというサボタージュ能力)
  • 複数あるいはすべてのクリーチャーへの直接ダメージ
  • 全体エンチャント
  • 他のクリーチャーに破壊不能を与える
  • パーマネントを「しまい込む」(他のパーマネントを、そのパーマネントが戦場を離れるまで追放する)
  • リアニメイト
  • 墓地からなんでも手札に《新たな芽吹き》する
  • 「スペクター」能力(手札から捨てさせるサボタージュ能力)
  • 「教示者」能力(ライブラリーからカードを1枚手札に入れる)
  • 機体

レア

複雑さ

 レアには、理解上の複雑さや盤面の複雑さが最も高いカードが置かれる。通例、1枚か2枚我々が「頭をかきむしる」カードと呼ぶようなものがレアには存在する。頭をかきむしるカードとは、プレイヤーが初めて読んだ時に理解できず、働きを把握するには何度も読み返す必要があるカードのことである。

文章量

 4つのレアリティの中で一番文章量が多いのはレアである。我々は、レアでは、少数のカードでフォントサイズを縮めても構わないと思っている。我々は時折、そう頻繁ではないが、レアでは注釈文を省略することがある。

効果の大きさ

 レアは大きな効果を持つことになるが、最大の効果は神話レアのために温存される傾向にある。

カードの影響力

 レアには、ゲームに大きな影響力を持つカードが存在することがある。戦場にあるもののほとんどを除去して不利になっているプレイヤーに反撃の機会を与える「全体除去」カードのほとんどは、レアになる傾向がある。

リミテッドでの効果

 リミテッドでこの上なく強く、ドラフトである程度頻繁に発生するようにしたいカードは、レアに存在する。これらはプレイヤーが「ボムレア」とよく呼んでいるもので、それを唱えたプレイヤーがゲームの勝利に向かって大きなアドバンテージを得ることができるものである。

効果の狭さ

 レアには最も狭い効果がある。非常に狭い効果を1つ持つカードがあって、それがリミテッドで実用的でなかった場合には特に、それはほとんどの場合レアに置かれることになる。

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派手さ

 レアのカードはかなり派手なものだ。神話レアのために少しだけ温存しているだけである。エキサイティングな2色土地は、神話レアではなくレアに置かれる傾向がある。レアには、神話レアよりも派手なサイクルが多いことが多い。(神話レアを5枠使うための条件は厳しいのだ。)

世界における存在

 レアは、その世界の平均的な人がそうそう出会うことがなく、そもそも出会わないこともあるようなものが置かれる。伝説のカードは通例、レアと神話レアに配分される。

レアリティとの関連

 レア未満では扱われない傾向にある効果は以下の通り。

  • 代替勝利条件
  • パーマネントのコピー
  • カウンター倍増
  • ダメージ倍増
  • 戦闘フェイズの追加
  • ロボトミー》(ゲームから1種類のカードをすべて取り除く)
  • マロー》能力(手札の枚数に等しいパワー/タフネス)
  • クリーチャー全体除去
  • 「翻弄」(それ以降プレイできなくなる呪文を指定する)
  • 巨大トークン生成
  • パーマネントのコントロール変更
  • ライブラリーの一番上からカードをプレイする
  • 呪文のコピー
  • 呪文の移し替え
  • ライブラリーからクリーチャーを戦場に教示者する

神話レア

複雑さ

 神話レアではこれまで以上の盤面の複雑さが認められているが、実際のところ理解上の複雑さはレアに比べて低くなっている。これは、神話レアがすることをプレイヤーに理解してもらいたいからである。神話レアを見てプレイヤーが興奮するのは大事なことであり、理解できないカードではプレイヤーの興奮は削がれてしまうのだ。

文章量

 神話レアはレアよりも少し文章量が少ない傾向にあるが、レアリティの中で2番目に多いことは間違いない。そのままではテキストがカード枠に収まりきらない場合、神話レアではときおり注釈文を省略することがある。(レアよりも頻度は高い。)

効果の大きさ

 神話レアは最大の効果を持つ。神話レアを作る方法の1つに、なにかの効果を決めて、それをかつてない大きさにまで大きくするというものがあるのだ。

カードの影響力

 神話レアは可能な限り影響力を強くすることが認められている。神話レアの影響力には制限がないのだ。

リミテッドでの効果

 神話レアには、エキサイティングだけれどもリミテッドを我々の望まないような形で乱してしまうカードがあることがある。

効果の狭さ

 神話レアでは、我々が理解上の複雑さを制限するのと同じ理由で効果を狭くしすぎないようにしている。神話レアにとって重要なのは、プレイヤーが最大限興奮できるようにすることなのだ。(マジックにとって良いものである限り、という制限はあるが。)

派手さ

 神話レア以上に派手なものは存在しない。実際、効果が非常に派手であれば、それを神話レアにすることが多いのだ。

世界における存在

 神話レアは、その世界の普通の人が耳にすることもめったにないぐらい特別なもののためのものだ。プレインズウォーカーは常に神話レアである。ほとんどの伝説のクリーチャーは神話レアになる。神話レアには、注目を集めるサイクルがあることもある。(ただしその障壁は高い。)

レアリティとの関連

 神話レア未満では存在しないことが多い効果は以下の通り。

並ならぬ楽しみ

 我々が各レアリティに求めているものについて、今日の記事がいくらかの考察をもたらしていれば幸いである。いつもの通り、今日の記事や開発部のレアリティに関する見方について、諸君からの反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、私が第3回グレート・デザイナー・サーチの94人のデザイン問題を評価した中で学んだことについて語る日にお会いしよう。

 その日まで、レアリティの新しい見方があなたとともにありますように。

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