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Making Magic -マジック開発秘話-
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Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2018年3月5日
4週前、第3回グレート・デザイナー・サーチの第1課題(エッセイ問題)の解説をした。3週前と2週前は、第2課題(選択問題)の解説をした。そして今日は、最後の第3課題、デザイン問題の解説をすることになる。まずこの試験がどのようなものか説明し、それから私ならどう答えるかについて解説していこう。
今回、第3回グレート・デザイナー・サーチに参加を表明したのは7800人。そのうち第1課題を通過したのは3085人であった。そして、第2課題で75問中73問以上正解した94人の参加者が第3課題に進んだ。(全問正解者は3人であった。)
それではまず、デザイン問題を紹介しよう。
第3課題であるデザイン問題では、以下の条件を満たす10枚のカードをデザインしてもらうことになる。
- カードは全て2色で、(以下に記されている)各2色の組み合わせそれぞれが存在すること。
- 以下の5種類のカード・タイプ(クリーチャー、エンチャント、インスタント、プレインズウォーカー、ソーサリー)それぞれが2回ずつ、異なる色で存在すること。
- 各レアリティ(コモン、アンコモン、レア、神話レア)がそれぞれ少なくとも2枚存在すること。
- 提出するカードは、自分が最も優れているデザインだと思うものから最も劣っているデザインだと思うものの順に並べること。
カードは以下の形式で提出すること。
カード名(レアリティ)
マナ・コスト
カード・タイプ ― サブタイプ
パワー/タフネス(クリーチャーの場合。それ以外なら省略)
ルール・テキスト
カードの形式を示すため、2枚を例示する。(1枚はクリーチャー、1枚は呪文である。)
研究実験/Lab Experiment(コモン)
{1}{G}{U}
クリーチャー ― 鳥・象・ミュータント
3/3
飛行、トランプル
傷つけるべし(アンコモン)
{3}{B}{R}
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれに3点のダメージを与える。そのクリーチャーのコントローラーはカードを2枚捨てる。
マナを表すための省略記号は以下の通り。
- W = 白
- U = 青
- B = 黒
- R = 赤
- G = 緑
- 数字 = 不特定マナの数(2 とあれば不特定マナ2点)
2色呪文のマナの順番は以下の通り(それぞれ1枚ずつデザインすること)
- WU: 白青
- UB: 青黒
- BR: 黒赤
- RG: 赤緑
- GW: 緑白
- WB: 白黒
- UR: 青赤
- BG: 黒緑
- RW: 赤白
- GU: 緑青
太平洋時間2018年2月4日午後11時59分までに提出すること。健闘を祈る!
そして、私は追加の指示をこの課題に挑む94人の参加者に送った。
- このデザインは、未定義のスタンダードで使用できるセット向けのものである。他のフォーマット(統率者戦、コンスピラシー戦、銀枠セットなど)向けにデザインしないこと。
- 新しいキーワード/能力語を作らないこと。(キーワードや能力語にしない限りは、新しいことを書いても構わない。)使っていいメカニズムは、常盤木(飛行、先制攻撃、速攻など)か落葉樹メカニズム(混成、両面カード、分割カードなど)だけである。過去のブロック・キーワード/能力語であるメカニズムを使うことも認めない。
- カードはそれ単体で評価される。つまり、デザイン同士の関連性を持つ必要はない。
- デザインを説明するための文章を添えることはできない。カード自体でわかるようにすること。
- クリエイティブ要素を加えることはできるし、カード名をつけたりコストを定めたりしてもよいが、それらのクリエイティブ要素やコストによって評価されることはない。
どのように問題に取り組むべきかの説明をする前に、少し時間を取って、なぜこの問題はこのように作られたのかということを説明しよう。デザイン問題の目的は、以下のいくつかのことを試すことであった。
- そのデザイナーはクールなカードをデザインできるか
- そのデザイナーは条件に沿ったデザインをできるか
- そのデザイナーはデザイン上の問題を見つけて解決できるか
この試験の方法は、まずプレイヤーに自由度を与え、その後で制限を加えることによってデザインする際の制約を課すというものだ。こうすることで、彼らには最初充分な自由度があって、それまでに作ったものを見せることができる。しかしその後では制限のある中でデザインできるということを示すことになる。これから見ていく通り、この試験では受験者がどのようにデザイン上の問題に取り組むか、そして狭い範囲でデザインする必要がある時にどの程度できるのかということを示す多くのことが試されるのだ。第1回、第2回のグレート・デザイナー・サーチのデザイン問題は私がデザインしたが、今回のこの課題はエリック・ラウアー/Erik Lauerが作ったものである。カードを10枚に絞ったのは、94人もの試験を評価できるように枚数を減らす必要があった中で、10枚あれば受験者の能力を評価するには充分だと考えたからである。
興味のある諸君のために説明しておくと、私はデザイン問題すべてに評価をつけた。その後、デザイン試験で高く評価できた受験者のエッセイに目を通した。エッセイ問題を使って、他の多くの開発部員に読ませる候補を絞り込んだのだ。その開発部員には、審査員全員と、優勝者をマネジメントすることになる人物が含まれていた。それを踏まえて、我々は8人の決勝進出者を選んだのだ。(3月9日には決勝進出者を紹介しよう。(編訳注:英語版ページにて))
試験の時間
私の模範解答を示す前に、一言言っておこう。ここで紹介するカードは、この記事のために作ったものである。過去に存在していたこともなければ現在手がけているデザインから引用したものでもない。つまり、これらのカード・デザインからマジックの将来に関するヒントを得ることはできない。
デザイン問題の話に戻ろう。このような試験を一体どのように扱えばいいのだろうか。最初にすべきことは、「格子」を作ることである。すべてのデザインには構造があり、構造によって必要な選択が決まるのだ。つまり、最初にすべきことの1つは、その選択肢を計画し、何をデザインしなければならないかを理解できるようにすることである。通常のマジックのセットでは、これはデザインの骨格を作ることである。(私の「基本根本」記事(リンク先は英語)の中で、それについて掘り下げて語っている。)この課題では、各色の組み合わせごとにカード・タイプを計画することが当てはまる。
《知識の試練》 アート:Viktor Titov |
最初に10枚の枠を列記する(これは10組の色の組み合わせを列記するときの決まった順番であり、マナ・コストに2色が含まれるときの色を記す順番でもある)。
- 白青 ―
- 青黒 ―
- 黒赤 ―
- 赤緑 ―
- 緑白 ―
- 白黒 ―
- 青赤 ―
- 黒緑 ―
- 赤白 ―
- 緑青 ―
カード・タイプは5種類(クリーチャー、エンチャント、インスタント、プレインズウォーカー、ソーサリー)で、それぞれが2枚ずつ存在し、どれも同じ色であってはならない。つまり、例えば白青のカードをクリーチャーとしたなら、白黒、赤白、緑白(訳注:あと青赤、青緑、青黒も)はクリーチャーではありえないのだ。選択を始めたら、それは他のもののあり方にも影響を与え始めるのである。そこで、私は最初にそれぞれの色がどのカード・タイプになるのかを計画することにした。
私はまず、とても自信があるデザインが自分の手持ちにあるかどうか検討することから始めた。クールな2色のデザインを作ってあっただろうか。余暇の時間に充分なカードをデザインしてあったなら、手持ちにあることだろう。どれぐらいあるか、カード・タイプがどれぐらいあるかということを踏まえて、格子を埋めていくことができる。もう一度言っておくと、これらのカード・デザインは今回改めて作ったものである。しかし、ここでは最初からいくつかのアイデアを抱えていたものと仮定して話を続けよう。クールな黒緑のクリーチャーと、赤緑のエンチャントと、白青のインスタントが手持ちにあったとする。
説明のために、ここで表を作ろう。
クリーチャー | エンチャント | インスタント | プレインズウォーカー | ソーサリー | |
---|---|---|---|---|---|
白青 | |||||
青黒 | |||||
黒赤 | |||||
赤緑 | |||||
緑白 | |||||
白黒 | |||||
青赤 | |||||
黒緑 | |||||
赤白 | |||||
緑青 |
そして、この表を「すでにある」カード3枚分埋めていこう。
クリーチャー | エンチャント | インスタント | プレインズウォーカー | ソーサリー | |
---|---|---|---|---|---|
白青 | × | × | ○ | × | × |
青黒 | × | × | |||
黒赤 | × | × | |||
赤緑 | × | ○ | × | × | × |
緑白 | × | × | × | ||
白黒 | × | × | |||
青赤 | × | × | |||
黒緑 | ○ | × | × | × | × |
赤白 | × | × | |||
緑青 | × | × | × |
色の組み合わせを埋めていくとき、2つのことをしている。1つ目に、カード・タイプ1つの欄に○をつけ、その色の組み合わせでその選択をしたので、使えなくなった他のカード・タイプの欄に水平に×をつけた。2つ目に、色の組み合わせを選んだことで色を共有する組み合わせが使えなくなるので、そのカード・タイプの2枚目の選択肢として使えなくなるものがある。そこで、垂直に×をつけた。これを表に書き込むことで、最初の選択が明らかになる。インスタントとして使える選択肢はあと1個、黒赤しかないので、それを埋めよう。
クリーチャー | エンチャント | インスタント | プレインズウォーカー | ソーサリー | |
---|---|---|---|---|---|
白青 | × | × | ○ | × | × |
青黒 | × | × | |||
黒赤 | × | × | ○ | × | × |
赤緑 | × | ○ | × | × | × |
緑白 | × | × | × | ||
白黒 | × | × | |||
青赤 | × | × | |||
黒緑 | ○ | × | × | × | × |
赤白 | × | × | |||
緑青 | × | × | × |
次に選ぶべきはクリーチャーとエンチャントである。最初のクリーチャーが黒緑なので、他の候補は青赤と赤白しかない。最初のエンチャントが赤緑なので、他の候補は青黒か白黒しかない。そこで、青赤をクリーチャーに、白黒をエンチャントにすることにした。
クリーチャー | エンチャント | インスタント | プレインズウォーカー | ソーサリー | |
---|---|---|---|---|---|
白青 | × | × | ○ | × | × |
青黒 | × | × | × | ||
黒赤 | × | × | ○ | × | × |
赤緑 | × | ○ | × | × | × |
緑白 | × | × | × | ||
白黒 | × | ○ | × | × | × |
青赤 | ○ | × | × | × | × |
黒緑 | ○ | × | × | × | × |
赤白 | × | × | × | ||
緑青 | × | × | × |
この時点で扱っていない色の組み合わせは4種類、青黒、緑白、赤白、緑青だ。このうち2種がプレインズウォーカーで、2種がソーサリーになるが、それぞれの中で色の重なりがあってはならないので、色の分け方は1種類しかない。緑白と赤白は別のカード・タイプであり、青黒と緑青は別のカード・タイプである。緑青と緑白も同じにできないので、青黒は緑白と、赤緑は緑青と同じカード・タイプになる。つまり、あとの選択肢は、どちらをどちらのカード・タイプにするかだけなのだ。私は、赤白と緑青をプレインズウォーカーに、青黒と緑白をソーサリーにすることにした。
クリーチャー | エンチャント | インスタント | プレインズウォーカー | ソーサリー | |
---|---|---|---|---|---|
白青 | × | × | ○ | × | × |
青黒 | × | × | × | × | ○ |
黒赤 | × | × | ○ | × | × |
赤緑 | × | ○ | × | × | × |
緑白 | × | × | × | × | ○ |
白黒 | × | ○ | × | × | × |
青赤 | ○ | × | × | × | × |
黒緑 | ○ | × | × | × | × |
赤白 | × | × | × | ○ | × |
緑青 | × | × | × | ○ | × |
結果をまとめるとこうだ。
- 白青 ― インスタント
- 青黒 ― ソーサリー
- 黒赤 ― インスタント
- 赤緑 ― エンチャント
- 緑白 ― ソーサリー
- 白黒 ― エンチャント
- 青赤 ― クリーチャー
- 黒緑 ― クリーチャー
- 赤白 ― プレインズウォーカー
- 緑青 ― プレインズウォーカー
しかし、これで終わりではない。もう1つ、加えるべき情報がある。この試験では、4つのレアリティ(コモン、アンコモン、レア、神話レア)すべてを使うことが求められている。それぞれが少なくとも2枚必要である。あるレアリティのカードが4枚あってはならないとはしていないが、私は2種類が2枚ずつ、2種類が3枚ずつにしよう。
レアリティの割り振りは後に回して、できたカードをチェックするという方法もあるが、私は前もって知っておいて狙いをつけるほうが後知恵よりも助けになると信じている。いつも言うとおり、「制限は創造の母」なのだ。標的を絞ることで、その標的に向けたデザインをすることは簡単になる。そのため私は、デザイン中に他のレアリティでクールなものを思いついたら交換できるということを前提に、レアリティを先に各カードに割り振るのだ。
私はこのようにしてレアリティを割り振った。プレインズウォーカー・カードは2枚とも神話レアだ。プレインズウォーカーでない神話レアをデザインする能力も見せたいので、どちらのプレインズウォーカーとも違う色で、もう1枚神話レアを作ることにする。また、プレインズウォーカー以外のカード・タイプの2枚はそれぞれ異なるレアリティにすることにした。最後に、デザインの多様性を持たせるため、レアリティを色ごとにもかぶらないように、つまり、赤のコモンの呪文は2枚作らないようにした。その結果がこれだ。
- 白青 ― インスタント(コモン)
- 青黒 ― ソーサリー(レア)
- 黒赤 ― インスタント(アンコモン)
- 赤緑 ― エンチャント(アンコモン)
- 緑白 ― ソーサリー(アンコモン)
- 白黒 ― エンチャント(神話レア)
- 青赤 ― クリーチャー(レア)
- 黒緑 ― クリーチャー(コモン)
- 赤白 ― プレインズウォーカー(神話レア)
- 緑青 ― プレインズウォーカー(神話レア)
見ての通り、すべての目標を完全に達成できたわけではない。色の重複はいくらかあるが、他の目標を達成するために仕方なかったのだ。計画を立てたことで、目指すべきものを把握することができた。これを最初にすることの重要性はいくら強調してもしすぎるということはない。この課題においては、手詰まりになってせっかくのデザインを無駄にすることは非常によくあることなのである。
次にすべきことは、ちょっとした調査をしてそのデザイン空間でどんなことがされたことがあるかを見ることである。このデザイン問題の目標は、目立つことである。つまり、すでにデザインされたことのあるものをもう一度作るのは望ましくないのだ。ここでは1枚だけについて調査するが、もし私が受験者だとしたら10枚すべてについて調査していたことだろう。
さて、コモンの白青のインスタントについて見てみよう。(先ほど、手持ちにクールな白青のカードがあると言ったが、この試験に向けてカードの準備はしていないのでカードは存在しない。受験者は事前にカードをデザインして準備しておくべきである。それらのデザインは本人だけで作った個人デザインでなければならない。)
マジックの歴史の中で、白青のコモンのインスタントはわずか7枚しか存在せず、その中の2枚は混成マナを使っていたということがわかった。個人的には、私はこの課題において混成マナを避けるだろう。目立つために何か普通でないことをしようと思うものだが、混成のデザイン空間は非常に狭いので、これまでに存在しないものを見つけるのは特にコモンにおいては非常に難しいのだ。目立つためにはクールなカードを作るのが一番であり、試験の境界線を押し広げるべきではない。私がセットのために課題を課す場合、デザイナーにはその課題の文字そのものではなく趣旨に則ったものを求めているのだ。
この7枚のうち3枚は基本的に打ち消し呪文であり、そのうち2枚はライフを得るものだ。2枚はバウンス呪文だ。1枚はクリーチャー強化呪文だ。最後の1枚は明滅呪文だ。
私の最初に、すでに作られたもの以外のコモンのデザイン空間を探すことができないかを探すべきだと直感した。すべてのデザイナーにとって幸いなことに、私はその助けになる素晴らしい道具を昨年夏に公開していた。メカニズム的カラー・パイの記事である。
白が1種色な能力や青が1種色な能力には何があるだろうか。
まず白から見ていこう。
- 《放逐する僧侶》能力(このカードが戦場に出たとき、クリーチャー1体/パーマネント1つを、このカードが戦場を離れるまでそれを追放する。)
- 追加のクリーチャーをブロックする(各戦闘で、このクリーチャーは追加でN体のクリーチャーをブロックできる。)
- このターンに墓地に置かれたクリーチャー/パーマネントを戻す
- 攻撃されない(クリーチャーではあなたを攻撃できない。)
- ゲームに敗北できず、対戦相手は勝利できない。
- 攻撃かブロックしているクリーチャー1体を破壊する
- このターンにあなたやあなたがコントロールしているクリーチャーにダメージを与えたクリーチャー1体を破壊する
- タップ状態のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する
- パワーが4以上のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する
- クリーチャーをすべて破壊する
- パワーが4以上のクリーチャーをすべて破壊する
- +N/+N(オーラ)
- -N/+N(呪文)
- -N/+N(オーラ)
- +0/+N(クリーチャー)
- +0/+N(呪文)
- +0/+N(オーラ)
- +N/+N(自軍全体、単発的)
- +0/+N(自軍全体、単発的)
- +N/+N(自軍全体、継続的)
- +0/+N(自軍全体、継続的)
- ダメージ軽減(クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とし、それに与えられるダメージを次のN点軽減する。)
- ダメージ移し替え(クリーチャー1体かプレイヤー1人と、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、その前者に与えられるダメージを次のN点軽減する。これによりダメージが軽減されるなら、このカードはその点数に等しい点数のダメージをその後者に与える。)
- 防衛
- 攻撃またはブロックしているクリーチャー1体を対象とし、それにN点のダメージを与える
- 二段攻撃
- エンチャント除去
- 「エンチャントレス」能力(あなたがエンチャント・呪文を唱えるたび、カードを1枚引く。)
- 墓地からカードを追放する
- 先制攻撃
- 「明滅」(クリーチャー/パーマネント1つを対象とする。それを追放し、その後オーナーのコントロール下で戦場に戻す。(戻るのがターン終了時であることもある。))
- 飛行
- エンチャント関連の利益
- 《ガス化》能力(このクリーチャーはダメージを与えも与えられもしない。)
- 破壊不能
- ライフを得る
- 絆魂
- 「翻弄」(呪文のカード名1つを選ぶ。このカードが戦場にあるかぎり、その呪文はプレイできない。)
- 《平和な心》能力(エンチャントされているクリーチャーでは攻撃もブロックもできない。)
- 禁止処理(このターン、対戦相手は呪文を唱えられない。)
- プロテクション
- 手札からエンチャントを戦場に出す
- 手札からプレインズウォーカーを戦場に出す
- 墓地からエンチャント・カード1枚を対象とし、それを手札に戻す
- ルール定義
- クリーチャーをタップする
- 徴税
- トークン生成
- エンチャント「教示」(自分のライブラリーからエンチャント・カード1枚を探し、それを手札に入れる。)
- プレインズウォーカー「教示」(自分のライブラリーからプレインズウォーカー・カード1枚を探し、それを手札に入れる。)
- 警戒
- 「大将軍」(このクリーチャーのパワーとタフネスはそれぞれあなたがコントロールするクリーチャーの総数に等しい。)
ここでできることは、インスタントで使えない効果、コモンで使えない効果、上記の7枚のカードの中で使われている効果をすべて取り除くことだ。
- 追加のクリーチャーをブロックする(各戦闘で、このクリーチャーは追加でN体のクリーチャーをブロックできる。)
- このターンにあなたやあなたがコントロールしているクリーチャーにダメージを与えたクリーチャー1体を破壊する
- タップ状態のクリーチャー1体を破壊する
- パワーが4以上のクリーチャー1体を破壊する
- -N/+N(呪文)
- +0/+N(呪文)
- +N/+N(自軍全体、単発的)
- +0/+N(自軍全体、単発的)
- ダメージ軽減(クリーチャー1体か/プレイヤー1人を対象とし、それに与えられるダメージを次のN点軽減する。)
- エンチャント除去
- 絆魂
- 墓地からエンチャント・カード1枚を対象とし、それを手札に戻す
- クリーチャーをタップする
- トークン生成
同じことを青についてもやろう。
- 「バウンス」(クリーチャー1体かパーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。)
- ライブラリーへの「バウンス」(クリーチャー1体かパーマネント1つを対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上あるいはその数枚下に置く。)
- ブロックされない
- カードを引く
- カード濾過(自分のライブラリーの一番上からN枚を見て、N枚を自分の手札に加え、残りを好きな順番でライブラリーの一番下に置く。)
- 土地変更(土地1つを対象とする。それは自分の選んだ基本土地タイプになる。)
- 色変更(クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それはは自分の選んだ色になる。(そのクリーチャー自身だけに効果を及ぼすものもある。))
- パーマネントの永続的コピー
- 打ち消し呪文
- 起動型/誘発型能力1つを打ち消す
- +N/-N(クリーチャー)
- -N/+N(クリーチャー)
- -N/-0(クリーチャー)
- -N/-0(呪文)
- -N/-0(オーラ)
- -N/-0(敵軍全体、単発的)
- 《好奇心》能力(このクリーチャーが対戦相手1人に戦闘ダメージを与えるたび、カードを1枚引く。)
- 瞬速
- 「明滅」(クリーチャー/パーマネント1つを対象とする。それを追放し、その後オーナーのコントロール下で戦場に戻す。(戻るのがターン終了時であることもある。))
- 飛行
- クリーチャー「凍結」(クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。そのクリーチャーはコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)
- アーティファクト関連の利益
- インスタント、ソーサリー関連の利益
- 呪禁
- 「幻影能力」(このクリーチャーが呪文や能力の対象になったとき、これを生け贄に捧げる。)
- カウンターやトークンの増加
- 「封鎖」(エンチャントされたクリーチャーはアンタップしない。)
- 対戦相手の手札を見る
- 「ルーター」能力(カードを1枚引き、カード1枚を捨てる。)
- 「時間操作」(ターンを終了する。)
- 《マロー》能力(このクリーチャーのパワーとタフネスはそれぞれ自分の手札にあるカードの枚数に等しい。)
- ライブラリー破壊(プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置く。)
- エンチャント/カウンター移動
- ライブラリーの一番上からカードをプレイする
- 果敢
- 手札からアーティファクトを戦場に出す
- 墓地からアーティファクト・カード1枚を対象とし、それを手札に戻す
- 墓地からインスタント・カード1枚を対象とし、それを手札に戻す
- 占術
- 呪文のコピー(インスタントかソーサリーである呪文1つを対象とし、それをコピーする。そのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
- 呪文の移し替え(単一の対象をとる呪文1つを対象とし、その対象を変更する。)
- パーマネントを永続的に奪う
- パワーとタフネスの交換
- 《Time Walk》能力(このターンの後で追加の1ターンを得る。)
- 「変容」(クリーチャー1体を対象とする。それは、パワーがNでタフネスがNの[色]・[タイプ]になる。)
- アーティファクト「教示」(自分のライブラリーからアーティファクト・カード1枚を探し、それを手札に入れる。)
- インスタント/ソーサリー「教示」(自分のライブラリーからインスタントかソーサリーであるカード1枚を探し、それを手札に入れる。)
- 《ぐるぐる》能力(クリーチャー1体/パーマネント1つを対象とし、それをタップまたはアンタップする。)
- クリーチャーをアンタップする
- 自身をアンタップする
- 「ホイーリング」(各プレイヤーはそれぞれ自分の手札を捨て、カードをN枚引く。)
- 単語変更(ルール文中の単語1つを、同じサブセットの単語1つに変更する。)
インスタントやコモンにふさわしくないものと、上記の7枚のカードで使われている能力を取り除くとこうなる。
- ブロックされない
- カードを引く
- カード濾過(自分のライブラリーの一番上からN枚を見て、N枚を自分の手札に加え、残りを好きな順番でライブラリーの一番下に置く。)
- -N/-0(呪文)
- -N/-0(敵軍全体、単発的)
- 《好奇心》能力(このクリーチャーが対戦相手1人に戦闘ダメージを与えるたび、カードを1枚引く。)
- クリーチャー「凍結」(クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。そのクリーチャーはコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)
- 呪禁
- 対戦相手の手札を見る
- 「ルーター」能力(カードを1枚引き、カード1枚を捨てる。)
- ライブラリー破壊(プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置く。)
- 果敢
- 墓地からアーティファクト・カード1枚を対象とし、それを手札に戻す
- 墓地からインスタント・カード1枚を対象とし、それを手札に戻す
- 占術
- 「変容」(クリーチャー1体を対象とする。それは、パワーがNでタフネスがNの[色]・[タイプ]になる。)
- 《ぐるぐる》能力(クリーチャー1体/パーマネント1つを対象とし、それをタップ/アンタップする。)
- クリーチャーをアンタップする
《ドビン・バーン》 アート:Tyler Jacobson |
上記のリストから、組み合わせたときに最も興味深いものを選んでみよう。
白
- パワーが4以上のクリーチャー1体を破壊する
- +N/+N(自軍全体、単発的)
- エンチャント除去
- 絆魂(を与える)
- クリーチャーをタップする
- トークン生成
青
- ブロックされない(クリーチャー1体を対象とする。このターン、それはブロックされない。)
- カードを引く
- カード濾過(自分のライブラリーの一番上からN枚を見て、N枚を自分の手札に加え、残りを好きな順番でライブラリーの一番下に置く。)
- クリーチャー「凍結」(クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。そのクリーチャーはコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)
- 「ルーター」能力(カードを1枚引き、カード1枚を捨てる。)
- ライブラリー破壊(プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置く。)
- 占術
- 《ぐるぐる》能力(クリーチャー1体/パーマネント1つを対象とし、それをタップ/アンタップする。)
これで、白青のコモンのインスタントで使われたことのない各色の1種色効果が出揃ったことになる。コモンのアイデアを考えていて既存のアンコモンに非常に近いものを思いつく可能性があるので、これらの効果を組み合わせ始める前に、これまでに存在した白青のアンコモンにざっと目を通すことにする。その種のカードは12枚存在し、注意すべき効果を持つものも数枚あった。
試験全体について詳細に説明していく時間はない。すべての多色カードが、2つの噛み合う効果を持つ必要はないということを指摘しておこう。(私は以前、多色のデザインについて、作ることができる様々な種類の多色カードを解説する「ミダス王の手」(リンク先は英語)という記事を書いた。)しかし、我々はコモンのカードを作っているので、作ることができるデザインの種類には制限がかかってくる。私が探しているのは、お互いにいくらかのシナジーを持つ白の効果1つと青の効果1つである。2色カードでは、それぞれの色が意味を持っていると感じられることと、全体として2つの能力を組み合わせただけではなく1つのことだと感じられるようになっていることが重要である。
実際のセットのためにカードをデザインするなら、もう1つ、そのセットでその色の組み合わせが何をしているのかを意識すべきである。デザインを、既存のテーマを強化する方向に向けるのだ。このデザイン試験ではカードを単独でデザインする必要があるので、このことについては今は心配しなくてもよい。
私の目に止まったのは以下の通り。自軍のクリーチャーすべてに+1/+1の修整を与える呪文というアイデアが気に入った。上述の白青のカードの中にはクリーチャーを増やす方向に推すものは存在しておらず、私は白青を新しい方向に推すというアイデアが好きなのだ。この効果は白なので、それに組み合わせる青いものが必要である。私の目標はクリーチャーを増やすことを推奨することなので、自軍のクリーチャーの数に合わせて変動する効果を持たせたいと考えた。コモンの白青ではカードを引くものは存在しないので、それを検討することにした。コモンなので、大量のカードを引くことはできない。そこで、《衝動》効果(ライブラリーの上からX枚を見て、1枚選んで手札に入れる)を使うことにした。
戦略的構想/Strategic Initiative
{2}{W}{U}
インスタント
ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーはすべて+1/+1の修整を受ける。
あなたのライブラリーの上からX枚を見る。Xはあなたがコントロールしているクリーチャーの総数に等しい。その中からカード1枚をあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
カードが出来たら、条件を満たしているか確認する必要がある。白だろうか? 問題なし。青だろうか? 問題なし。インスタントだろうか? 問題なし。コモンだろうか? そうは言えない。コモンではなく、アンコモンをデザインしてしまった。これは少しばかり効果が多すぎ、非常に大きな効果になることもありうるものだ。そうなると、私は格子を再構築してアンコモンの白青のカードを採用できるようにするか、別のカードをデザインするかどちらかになる。
デザイン問題を進めでいくと、カードを固定していくことになり、格子を変更する柔軟性はどんどん減っていく。そこで、ここではコモンらしいものをデザインすることにした。
もう一度、効果の選択肢が比較的狭い白の効果から始めることにした。「パワーが4以上のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する」のはどうだろうか。これと相性のいい青の効果は何だろうか。カードを引くことは、小さければキャントリップ的になり白単色でできてしまうし、大きければコモンではなくなってしまうので、今回も回避することにした。ライブラリー破壊はどうだろうか。白青はコントロール的な傾向があるので、クリーチャー除去とライブラリー破壊を組み合わせるのはよさそうだ。
2つの効果が繋がっていると感じられるようにする方法を探す必要がある。ここで私が使った手は、両方の効果が同じものを参照するようにすることだった。白の効果はパワーを参照するので、青も同じくパワーを参照するようにしよう。
栄華を忘れよ/Forget the Mighty
{1}{W}{U}
インスタント
パワーが4以上のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。そのクリーチャーのコントローラーは自分のライブラリーの上からそのクリーチャーのパワーに等しい枚数のカードを自分の墓地に置く。
大型クリーチャーを殺し、少なくとも4枚のカードを対戦相手のライブラリーから削る。これはクールそうだ。条件を検討してみよう。白? 問題なし。青? 問題なし。インスタント? 問題なし。コモン? 問題なし。よし、大丈夫だ。
これと同じ手順を、他の9枚についても繰り返していくことになる。ここで付け加えておきたいことは、可能なら同じ効果を繰り返さないようにするということだ。カードを引くとかライフを得るといったような非常に基本的な効果については必須ではないが、私なら、カードそれぞれが独自の空間を持っていると感じさせるように尽力するだろう。それはつまり、カードを作るたびに制約がどんどん厳しくなっていくということである。
その助けとするため、私なら、デザインにかかる前に調査し、選択肢を組み上げるだろう(試験の基柱にするように選んだ数枚を除く)。白青は赤白よりも狭いということがわかっていれば、後に行き詰まることになるのを避ける助けになるだろう。
すべてのデザインができたら、次はそのカードをプレイテストすることになる。我々は各デザイナーに協力者としてプレイテスターを1人認めている(彼らも沈黙を誓っている)。プレイテストが重要なのは、カードのデザインにストレステストをするにあたって実際にプレイする以上の方法はないからである。また、カードのコスト決めにも非常に役に立つ。
最後の要素はカード名決めである。受験者はカードの「クリエイティブ要素」で評価されることはない(それはクリエイティブ・チームの仕事だ)。しかし、カード名はカードの全体としての概念を売り込む助けとなり、ばらばらに感じられるものをひとまとまりだと感じさせることもある、デザイン上重要なものなのだ。
さて、これが私のデザイン問題への取り組み方である。もちろん、他にも多くのことが関わってくる。色、カード・タイプ、レアリティ、それぞれにデザイン上の制約があり、それぞれが求めるデザインのあり方も異なっている。しかし、今日の記事で書ける量は限られているのだ。
いつもの通り、この記事やデザイン問題一般について、諸君からの反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Google+、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
来週は、これまでに話したつもりだったが記事が見つからなかった話題である、それぞれのレアリティのデザインの仕方について話そう。
その日まで、あなたが第3回グレート・デザイナー・サーチを楽しむとともに、3月9日金曜日に始まる「ショウ」で他の審査員とともにトップ8に残った受験者に会うのを心待ちにしてくれますように。我々は彼らのデザイン問題を評価し、彼らに最初の試練を与える。お楽しみに!
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