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Making Magic -マジック開発秘話-
「基本根本」:より高いレアリティ
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Making Magic
「基本根本」:より高いレアリティ
Mark Rosewater / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年2月27日
3年前、私は「基本根本」と題した短いコラム(リンク先は英語)を書いた。その中では、デザイナーが毎日対処しているようなちょっとした技術的問題について諸君に見てもらおうと思ったのだ。最初はデザイナーがファイル上でつけているラベルや履歴のためのカード・コードの話から始めた。カード・ファイルに興味を示した読者がいたので、翌年には最初のファイルを作るためにデザイナーが使っている、デザインの骨格についてのコラム(リンク先は英語)を書いた。
《Magical Hacker》 イラスト by Doug Chaffee |
これらを楽しんでくれた諸君がデザインの骨格を作る方法にも興味を示してくれることは明らかだったので、翌年、「デザインの骨格を埋めよう」と題したコラムを書いた。「基本根本」シリーズは最初の意図からはずれてきているものの、「カード・ファイルの作り方」をテーマにしたコラムを書くことには意義があるので私は毎年一本ずつ書くことにしている。今回のコラムはこれまでの3回を踏まえたものである。まだ読んだことのない緒君は、まずそれらを読んできてもらいたい。......いいかね、それではカード・ファイル作りの続きに入ろう。
前回の「基本根本」
昨年、私はコモンにおけるデザインの骨格の埋め方について話をした(読んでいない諸君は、読んでくることを強くお薦めする)。今年は、コモンに関するいくつかの問題を挙げたあと、アンコモン以上のレアリティの話をすることにしよう。
《Aesthetic Consultation》 イラスト by Dave Martin |
ここで仮想のセット、「真実」「正義」「アメリカ式」というブロック内の「正義」に登場してもらおう。145枚の小型セットで、内訳は60枚がレア、40枚がアンコモン、35枚がレア、10枚が神話レアだ。このセットは、「真実」セットで導入された捻墓メカニズムを進化させた、墓地をテーマにしたセットである。
前回のコラムで、デザインの骨格のコモン部分を埋めることについて話した。今回はアンコモンから始めるつもりだったが、コモンを埋めることに関して去年起こったある大事件について語らなければならない。
コモン
「ある大事件」とは、開発部が「新世界秩序(NWO)」と呼んでいるものだ。これに関するコラムを、私は昨年12月に(リンク先は英語)執筆している。これについてはここで軽く触れさせてもらうが、まだ読んでいない諸君には一読をお勧めしておこう(「基本根本」コラムには前提となるコラムがたくさんあるのだ)。新世界秩序は、マジック世界への新規参入に対する障壁を下げるとともに、究極的にはマジックをより明瞭なものにするために開発部が導入したものだ。デザインに関して言えば、新世界秩序によって我々はコモンの複雑さについてより意識する必要が生じることになった。
コモンのスロットを埋めるにあたって自問自答しなければならないNWOの質問には、たとえば次のようなものがある。
- このカードを理解するのはどの程度難しいか。一読してすぐに効果が理解できるか。これを我々は「読解複雑度」と呼んでいる。非常に明確なものでないカードは、レアリティをあげるか、あるいは単に取り除くかされる傾向にある。
- このカードが戦場にある時、他のカードとの相互作用はどの程度あるか。このカードが出たら戦場にある他のカード全てについて再計算が必要になるかどうか。これを我々は「盤面複雑度」と呼んでいる。戦場にあるパーマネントに関する選択肢を増やすようなカードは、より高いレアリティに配置される傾向にある。別の言い方をすると、戦場にある他の多くのパーマネントに影響を及ぼす能力を持っているカードは、その使用が非常に制限されたものでない限り、少なくともアンコモン以上になる。
- このカードはさらなる戦略的計算を加えるものかどうか。このカードの使い方を熟知したプレイヤーは、より多くのアドバンテージを得ることができるか。これを我々は「戦略複雑度」と呼んでいる。このカードが上記2つのルールを破っていない限り、この種のカードをコモンに配置することにしている。これによって上級プレイヤーには新しい層が与えられるが、参入障壁を高めてしまうことはない。
コモンに複雑性をもたらすこと全てが問題なのではないが、制限されている。従って、複雑なカードを入れるときはそれがそのセットの大テーマを推進するものでなければならない。レッドフラッグ(開発部内でガイドラインを逸脱したコモンカードのことを指す。コモンで残すかどうか再確認が必要だということ意味する)の立ったコモンカードは、デザインの中核部分でない限りより高いレアリティに移動させられるか、あるいはセットから取り除かれることになる。テーマにそぐうからといって、コモンにふさわしくないような複雑度を持ったカードがコモンに残ることができるというわけではないことには注意が必要である。
もう一つ、新世界秩序が処理するコモンの問題は、焦点の問題である。マジックの新セットでは、たいていの場合、プレイヤーがそれまで意識していなかったものに意識を向けさせる。それは問題ないのだが、セットをあまりにも複雑化させないためには中核となる焦点を決め、そして(コモンでは)それ以外を自制することが必要になる。たとえば、ゼンディカーは土地のプレイに注目させた。これはそれまでプレイヤーが意識していなかったことである。ゼンディカーにおいては、それが焦点だったので問題はない。ここで注目しておきたいのは、ゼンディカーでは他の新奇な要素は導入されていないということだ。
ここでの教訓は、焦点を定めるべきであり、またその焦点に集中するべきだということである。言い換えると、あることAに関するカードを5枚、また別のことBに関するカードを5枚、さらに他のことCに関するカードを5枚、というような作り方をするのではなく、Aに関するカードを15枚作るようにすべきだということである。この焦点の中での多様性を求めることはできることにも注意が必要である。ゼンディカーでは、土地に複数の方法で注目しているが、どれも「土地のプレイ」を焦点としていることには変わりないのだ。
これからアンコモンについての話を始めるわけだが、その前に、もう一度強調しておくことがある。それは、アンコモンに進む前に、コモンを完成させることが重要だと言うことだ。最初のプレイテストをコモンだけのセットで行なうことで、テーマやメカニズムが充分わかりやすく、焦点が定まったものであるかが判別できる。より高いレアリティでは、より複雑なカードを導入する(これはいいことである。新世界秩序は全ての複雑度を取り除こうとしているのではなく、ブースター1個あたりに含まれる複雑なカードを減らそうとしているのだ)ことができるが、その複雑性のためにセットの目的を確認することは難しくなるからである。
《神秘の回復》 イラスト by Scott Chou |
よいデザインの格言は「コモンが役目を果たすまでコモンの次に進むことなかれ」である。
アンコモン
コモンが大体完成するまでは、アンコモンのデザインの骨格は重要ではない。その理由は、コモンの振る舞いがアンコモンに必要なものを定めることが多いからである。私が好む手法は、空のアンコモンの骨格を作り、コモンの間に出てきた必要なものだけをそこに書き込んでいくというものである。必要なものは、以下のような性質を持つことが多い。
- コモンを作るときに、コモンにふさわしくないカードというのは必ず出てくるものである。その中の一部は新世界秩序によるものだが、単に場所が足りなくなったただけのものもあるはずだ。セットを始めた時、イカした発想をたくさん持っていたはずであり、そしてコモンはすぐに埋まってしまうということがわかったはずだ。この問題を解決するための方法は、コモンに残す必要があるものとアンコモンやそれ以上のレアリティに配置することができるものを識別することである。
- 2. コモンをデザインしている間に、セットの大テーマを見いだしているはずだ。そしてテーマが見いだせたなら、それをより高いレアリティ、特にアンコモンでも維持する必要がある。高いレアリティではテーマを再び取り上げるだけでなく、そのテーマをコモンと違う方法で掘り下げることもできるのだ。
- 3. 上の項目と関連するが、コモンを作っている間に、コモンには複雑すぎる発想が浮かんでくることはよくあることである。実際、デザイン上の冗談として、アンコモンのカードを作るための最善の方法はデザイン・チームにコモンを作らせることだ、というものがあるぐらいだ。コモンを作るのは非常に難しく、コモンとは言えないようなイカしたカードを作ることは非常に簡単である。作ったカードを気に入ったものの、それがコモンではあり得ないと分かっていた場合、私はそのカードをアンコモンのスロットに放り込み、後で見たときにお気に入りだと分かるようにしておくのだ。
コモンが一通りできたら、いよいよアンコモンのデザインを始める。私は、アンコモンに必要だと思われるものの一覧を作るのが好きだ。アンコモンに必要なものは、3つのカテゴリーに分類できる。
1つめは、コモンで作り上げたものを継続するために必要なものだ。すでに焦点を定めていて、それをアンコモンでも継続したいと思っているはずである。この1つめのカテゴリーには、可能な限り投入するようにしなければならないものが属する。
《願い事》 イラスト by Howard Lyon |
2つめは、デザイン上していることと関連しているが、構造に内包されるものではないものだ。これの例を挙げるなら、テーマには非常にふさわしいが、特定の役割を持っていないカードということになる。このカテゴリーに属するカードの一覧を作ることは、後で難しい判断を強いられたときの助けになるので重要である。
そして最後のカテゴリーは、カードだけを見ればいい出来であっても、セットの要素を推進する効果を持たないものである。これはセットの完成形には影響を及ぼさない。デザインの初期に、デザイナーは本質的に余計な要素をねじ込んでセットをねじ曲げてしまいがちである。そのようなことをしないようにしなければならない。
1つめのカテゴリーはアンコモンを方向付ける助けとなることだろう。2つめのカテゴリーはどちらの方向に向かうかを悩んだときの道しるべとなるだろう。3つめのカテゴリーは何の助けにもならないだろうが、反面教師となるものである。3つめのカテゴリーに属するものがセットに入ることがあってはならない、というわけではなく、単に方向性を決める上で参考にしてはならないというだけのことである。
コモンを作る間に生成されたものに満足しているなら、今こそアンコモンのデザインの骨格に移るときだ。コモンでやったのと同じように、アンコモンについてもやりたいものである。呪文とクリーチャーの比率を基本的に同じに保つが、必要があれば多少変化を付けてもいい。このコラムの前回の話で、すでにデザインの骨格は提示してあったが、コモンのデザインを完了させていなかったのでアンコモンのデザインの骨格がどうなるかを完全に示すことはできなかった。
アンコモンのデザインの骨格を、コモンのデザインの骨格と同じようにして作り始めることになる(デザインの骨格の作り方についての記事はここ(リンク先は英語)だ)。最大の違いは、何もないところから始めるのではないということだ。1つめのカテゴリーに分類されるものは、アンコモンに必要なものという決定の助けになる、と言った通りである。前回のコラムで書いたとおり、必要なものから初めて、そこからは自分なりの方法で進めることになる。
《硫黄の流弾》 イラスト by Eytan Zana |
アンコモンについて理解しておかなければならない重要な点がいくつか存在する。
まず、コモンが窮屈だと思ったなら、それは何も見えていないということである。アンコモンはマジック・デザイナーの間では、セット内で板挟みになっている部分としてよく知られている。複雑すぎるからとコモンから押し上げられ、あるいはリミテッドでより見かけられるようにとレアから引き下げられて、非常に狭い範囲に存在させられているのだ。アンコモンはコモンと同じように働くが、枚数は2/3(大型セットでは60%)しか存在しない。つまり、それぞれのカードにきわめて慎重にならなければならないということである。一定の役割を果たしていないようなカードは、取り除かれなければならない。
次に、多くのデザイナーがアンコモンがリミテッド(あるいはプレイヤーが大量のブースターパックを買っていないようなカジュアルな構築)にもたらす影響を誤解しているように見える。これについてもっともよく示す方法は、開発部が「開封数」と呼ぶ考え方である。開封数とは、無作為なブースターパック1個を開いた時に何かを目にする確率のことである。しばしば、首席デザイナー(そして後には首席デベロッパー)はチームがセットのある目的のために入れている要素のレベルを調べる。たとえば、新メカニズムの「捻墓」がセットの雰囲気のために必要だとしよう。それに充分なインパクトを与えるために、「開封数」を2に設定する。これはつまり、平均2枚の捻墓カードがブースターパックから出るようにするということである。
この数字を計算するにあたっては、アンコモンはコモンの半分として計算される。ここで、必要な開封数を得るためにコモン20枚が必要になったとしよう(この例は単一のメカニズムの開封数の高い値を取っている)。アンコモンのカードは2枚でコモン1枚分として数える。従って、コモン20枚の代わりに、コモン15枚とアンコモン10枚というような組み合わせを取ることができる。ここでのポイントは、コモンが主となるとは言え、アンコモンにも充分な影響力があるということだ(申し訳ないが、「基本根本」コラムには数学の素養も必要なのだ)。
アンコモンを組み合わせるにあたって、意識しなければならない重要な役割は次の通りだ。
テーマをあわせる
コモンはそのセットの重要構文として存在する。それに基づいて、セットをどのようなものにするかを決定することになる。それがどのようなものであれ、そのテーマはアンコモンでも維持されなければならない。コモンにおいてテーマがどのように表現されなければならないかについてはすでに話してきたとおりだが、アンコモンでもそれは同じことである。
クリーチャーや呪文のサイズを上げる
コモンは複雑度において制限されているという話をしてきたが、複雑度だけでなく大きさにおいても制限されている。ほとんどの色では、パワーが4以上のクリーチャーはコモンには存在しない(青に1体、緑に1?2体ある程度だ)。また、コモンの効果もやはり小さいものになっている。アンコモンでは、クリーチャーや呪文のサイズを上げることができるのだ。
複雑さを提供する
新世界秩序について語る上で、複雑度をコモンから追い出せと強調してきた。それは裏を返せば、複雑度は別のレアリティに送られるべきだと言うことになる。新世界秩序は、マジックから複雑さを追放しようと言うものではなく、あるべきところに移そうというものなのだ。もちろん私は複雑さがマジックの助けになっていると信じており、その一方でコモンではなくより少ない部品で充分だと考えているだけなのだ。アンコモンは、リミテッドやカジュアルな構築において複雑さを提供する最重要ポイントであり、従って重要な者なのだ。アンコモンを作るにあたっては、テーマやメカニズムに一ひねり加えることを忘れないように。
プレイヤーの勝利を助ける
コモンのみのプレイテストにおいて理解したことの一つに、マジックには大逆転のチャンスが必要だということがある。もちろんマジックにおいて有利不利は存在するが、不利なプレイヤーにも逆襲の機会がなければ有利なプレイヤーは緊張をなくしてしまう(これは「逆転要素」として以前のコラムで紹介したことだ)。たとえば戦場を一掃してしまうようなものがそれだし、戦闘の流れを変えてしまうような巨大クリーチャーもこれに当てはまる。ゲームの主導権を奪うような大型の効果でもいい。それらの最大規模のものはレアや神話レアに配置されることになるが、アンコモンにも投入することであらゆるデッキに逆転の要素を与えることができるのだ。
ドラフトを形付ける
これは、リミテッドでアンコモンの果たす役割としてもう一つ重要なものである。レアや神話レアは出てくる割合が低いので、ドラフトに影響を及ぼすようにデザインすることは不可能である。アンコモンはドラフト関連のカードを投入して意味があるだけの割合でパックから出てくることが期待できる。アンコモンの最大の用途の一つに、プレイヤーがドラフトするようなカードを作るというものがある。多くの場合、それらのカードをコモンに入れるにはあまりにも特化的すぎるが、アンコモンでならうまく働いてくれるのだ。プレイヤーが第1パックでそのカードを見たら、それを中心にドラフトを進めたくなるようなもの、というのがその性質である。そういったカードを数枚アンコモンに配置することで、ドラフトに深みが出てくるのだ。
ここまで見てきたとおり、やることは多く、場所は少ない。コモンを作ってからそれを前提にアンコモンを作ったのと同じように、アンコモンを作ってからそれを前提にレアの話を始めよう。
レア
諸君はすぐに気づかなかったかも知れないが、レアというのは一番楽なレアリティなのだ。レアに求められているものが構造でなく興奮であるということがその理由に挙げられる。マジックを成り立たせるためにコモンやアンコモンでしたようなインフラ整備に比べて、目立つカードを作るのにはそれほどの場所はいらないのである。
レアを作るにあたってのアドバイスは、アンコモンのときとほぼ同じ繰り返しになる。アンコモンができあがるまで、レアのデザインの骨格を作る必要はない。また、アンコモンを作っている間に思いついたレア・カードはレアの空きスロットに入れていけばいい。レアに自由度が高いというもう一つの理由として、クリーチャーの比率にも自由が効くと言うことがある。どの色にもクリーチャーも呪文も必要だが、レアにおいてはその制約ははるかに緩い。
レアには構造が不必要なのか、と言われれば、そうとまではいわない。大体レアには2つのサイクルが存在するもので、その一方は新しいひねりを加えた形でセットのテーマにそぐうものである。もう一方はより目を惹くようなもので、そのセットのテーマに興味が薄いプレイヤーを興奮させるため、テーマからは多少はずれていることが多い。また、垂直サイクルも1つか2つ必要かも知れない。垂直サイクルとは、同色のコモン、アンコモン、レア/神話レアで、同種のカードが所属していることだ。
レアに求められる責任には何があるか?
1. 興奮するようなカードを作る
コモンはセットのプレイを成立させるためのものだが、レア(や神話レア)はセットを売るためのものだ。レアの役目は、プレイヤーがデッキに入れたくなるような魅力的なカードを作ることである。そのためにはいくつかの方法がある。
1a. カードを大きくする
ティミーが大型クリーチャーや大型呪文に惹かれるというのは今までにも語ってきたとおりだが、これはティミーに限ったことではない。ゲームに大きな影響を与えるような呪文を唱えるのは誰にとっても楽しいものだ。血湧き肉躍る壮大な物語が幕を上げる――つまり、楽しいのだ!
1b. カードを効率的にする
大きなカードは目を惹くが、効率的なカードは勝利をもたらす。これらのカードをレアにする理由は、その効果を特定するためである。単に何かの役に立つというのではなく、そのカードの目的として定められたことを完璧にこなすのだ。
1c. カードをフレイバーに溢れたものにする
プレビューするのにもっとも適したカードは、フレイバーに溢れたカードだと言うことがわかっている。プレイヤーがカードの強さを正確に計ることができるとは限らないが、イカしたカードかどうかはすぐに分かる。雰囲気のあるカードを作れば、プレイヤーはそれに群がってくれるのだ。
1d. カードを独特のものにする
プレイヤーを興奮させるためのもう一つの確実な方法は、今まで見たことがないなにかをさせることである。マジックは探究のゲームであり、プレイヤーは新しいことを見つけるのが好きなものだ。ただし、目新しいカードを山積みに詰め込めば良いと言うものではない、細く長くだということには注意が必要だ。
2.さらに大きなクリーチャーや呪文を作る
アンコモンでコモンから一歩踏み込んだのと同じように、レアではさらにもう一歩踏み込むことができる。レアでなら巨大クリーチャーや巨大効果を入れることができる。プレイヤーがレアを使ったとき、その巨大さを感じられることだろう。
3. ゲームに勝つ
アンコモンはゲームに勝つ助けになった。レア(や神話レア)はもっと単純に、勝った。マジックには爆弾が必要だが、その爆弾がリミテッドを台無しにしてしまわないようにレアや神話レアに留められているのだ。
4. 複雑さを加える
マジックのゲームには何度も読まなければならないカードの束は必要ないが、数枚ならあってもいい。これらの文章の長いカードは、レアにのみ存在できる。だからといって、非常に複雑なカードを神話レアにすべきだとは考えていない。神話レアは多少単純なものであるべきである。つまり、そういった非常に複雑なカードは、レアにこそ存在できるのだ。
セットの出来を確かめるための最上の方法の一つに、新規プレイヤーにレアや神話レアだけを見せるというものがある。そのカード群を見ても彼らが興奮しなかったのなら、まだまだやることは残されているということになる。
神話レア
全てのレアリティの中で、このレアリティはもっとも直観寄りである。私の好きな表現で言うと、「神話レアはどれもすさまじいことを引き起こす能力を秘めていなければならない」のだ。
プレイヤーが神話レアを見たとき、それによって起こるすばらしいことを夢見ることができるようなものでなければならない。それから何年もその出来事についての話をしたくなるような状況にできたら最高である。いつでもそうなるわけではないが、そうなる可能性がなければならないのだ。
確かにこの表現は曖昧なものだが、あるプレイヤーにとっての「すさまじいこと」が他のプレイヤーにとっても「すさまじいこと」であるとは限らない。目標は、そのカードを気に入ったプレイヤーが興奮してくれるようにすることだ。フレイバーを好かないプレイヤーにとっては、「伝説のクリーチャー」であるだけで評価を落とすことになるだろう。だが、それはそれで問題ない。どのカードにもそれぞれの支持者ができて、どのプレイヤーもどれかの神話レアを欲しいと思ってくれれば、それで神話レアの役割は果たせているのだ。
骨格完了
骨格を作るために必要なことは、これで全てだ。今回ここで語ったことは決して簡単なことではないということには留意して欲しい。骨格を埋めるには長い時間と多くの手順が必要となり、また完成したとしてもセットをデザインする上では最初の一歩に過ぎないのだ。――だが、続きはまた来年にしよう。今年の「基本根本」を諸君が楽しんでくれていれば幸いである。
それではまた次回、諸君を運命の手に導くときにお会いしよう。
その日まで、カードがよどみなく流れますように。
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