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金子と塚本の「勝てる!マジック」
金子と塚本の「勝てる!マジック」 第22回:ブースタードラフト その1
金子と塚本の「勝てる!マジック」 第22回:ブースタードラフト その1
by 金子 真実 & 塚本 樹詩
登場人物:
金子 真実
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの人。塚本に押しかけられ突然弟子をとることになった。
Q. 『戦乱のゼンディカー』ドラフト、初手でピックしたいカードは何?
A. 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》。ストーリーでの活躍?にも目をみはるものがありますね!塚本 樹詩
マジック初心者。マジックの大きな舞台での活躍を夢見て、金子に弟子入りした。とにかく元気。
Q. 『戦乱のゼンディカー』ドラフト、初手でピックしたいカードは何?
A. 《回収ドローン》ですね!
この環境にたくさんドローンがいるので、今は自由に使えますが、そのうち免許制とかになりそうなので、今のうちに使い倒したいですね!!前回の勝てマジ!
シールドデッキについて2回かけてしっかり教えてもらった塚本。
次はブースタードラフトということで、今回も前、後編で金子さんがしっかり教えてくれるぞ!金子「(よかった、ボケなかった......。)」
塚本「ついに来ましたね......。」
金子「はい......ついにですよ、ついに!」
塚本「ついに俺たちのドラフトが来ましたよ!」
金子「『俺たちの』って......ドラフトは万人のものですよ?」
塚本「すいません、『パックを剥ける』って思っていたら気持ちが高まっちゃって。」
金子「え?......いや、今回もパックは剥きませんよ?おさらいとして前の説明回を読んでいただけば基本的なルールはばっちりだと思いますし。」
金子「......ともあれ、今回もわかりやすく3つのポイントに分けて、ドラフトのコツを説明していきますね!」
ポイント1「初手は大事!」
金子「まずは運命の1パック目を剥くわけですが、ここでは基本的にパックで一番強いカードをピックするのが良いでしょう。」
塚本「一番強い......つまり最強......!」
金子「レアや神話レアはデッキの切り札となりうるカードパワーを持っていることが多いので、デッキを作る指針にもなりやすいですね。
ドラフトに慣れないうちは、初手のカードの色をそのままデッキのメインカラーにしてピックの方針を決めるのも、ひとつの戦略ではあります。」
塚本「まずはお祈りしてから、パックを剥く感じですね!」
金子「とはいえ、それでうまくその色がピックできるかはわかりませんけどね。また、ドラフトは基本的に2色になるというのは前にお話しした通りなので、初手の色がうまく取れてももう1色を決めなくてはいけません。」
塚本「そ、そんなときにはどうすれば良いんですか?_」
金子「そこで2つ目のポイントです!」
ポイント2「3手目以降に流れてきた色を意識しろ!」
金子「自分の右隣の人も、自分と同じようにまっさらな状態のパックからカードをピックします。だから最初のうちは何をピックしたのかわかりません。
ですが、デッキを作るために特定の色のカードを優先してピックすると、使っていない色の強いカードがあふれて流れてきますよね?
その傾向が現れるのが3~4手目くらいからなので、3~4手目以降に流れてきた強いカードの色は前の人がやっていない色である可能性が高いといえますね。このことを『シグナル』といいます。」
塚本「最初のうちは読み切るのは難しそうですね......。」
金子「少しずつわかるようになってくるので大丈夫ですよ!『シグナル』を感じ取れるようになると、2色目を決めたり、初手の色を捨てて他の色に走ったりといった決断がスムーズに行えます。初手で決めた色でデッキを組む猪突猛進型ドラフトではなくなり、ドラフトに柔軟性が生まれますね!」
塚本「気持ちを強く!ですね。パックのカードで自分の意思を伝達したり、隣の人の意思を読み取る......ドラフトって、気持ちのキャッチボールなんですね!」
金子「うまい!塚本さん、たまにはいいこと言うじゃないですか! そうです、ドラフトは気持ちのキャッチボールのゲームです!まぁ、パックの色の偏りやプレイヤーの心変わりによって、ドッジボールに変わったりしますけどね。」
塚本「でも、パックの中身を覚えながらデッキを作らないといけないので、気が抜けませんね......!」
金子「そうですね。パックのカードを覚えるというのはドラフトの大事な要素です。そして、ピックのなかで特に重要なのが9手目なんです。なぜ9手目かわかりますか?」
塚本「9......それは『救』済の9......救いの一手......!」
金子「......9手目は、自分の開封したパックが一周して戻ってくるのです。なので卓全体、つまりは他の7人が何をやっているのかがぼんやりとわかる手順なのです。」
ポイント3「9手目は計画的に!」
塚本「そっちの9か!」
金子「どっちのですか! この9手目を迎えるにあたり、必ずやっておかなくてはいけないことがあります。それは、初手で流したカードを覚えておくことです。」
塚本「(記憶力が)足りません。」
金子「そうですね、全てのカードを詳細に覚えるのは大変です。だから、以下の3点を重視して覚えると良いですね。」
- 流したカードのうち、強い(=点数の高い)上位7枚のカード
- 上位7枚のカードの色配分
- 8番目、9番目の強さのカード(=1周して自分が取れそうなカード)
塚本「ちょっと何言っているかわかりませんね。」
金子「僕の言ってることはわかろうとしないと企画が成立しませんよ!?」
塚本「えっと、じゃあ、9手目ではどんなことがわかるんですか?」
金子「いくつかのケースがあります。以下、よくある例をいくつか出しましょうか。ここではカードの強さを10段階評価しています。点数が高ければ高いほど強いと考えてみていてください。」
金子「これはわかりやすいのですが、得られる情報は少なめです。現在の情報だと、上位7枚の通りの色の配分の可能性が高いので、1枚ずつしかなかった黒・赤・緑は卓で『薄い』、つまりその色を使っている人が少ない可能性がありますね。2色目を決める、色を変える場合の参考資料になります。とはいえ、断言できるほど強い情報ではありません。このパターンの場合には、今までの3~8手目の情報を優先したほうが良いでしょう。」
塚本「自分が予想したとおりのことが発生した、ってことですもんね。予想が当たって嬉しいけど、それだけって感じですね。」
金子「これはかなりの情報が読み取れますね。塚本さんはどう思いますか?」
塚本「緑と赤のカードが返ってきたので、みんなクリスマスを意識しているんだと思います。」
金子「そうですね、クリスマス......うん、塚本さん、トナカイに任命しますので、あとで雪道でソリを引きずってください。えっとですね、ここで大きくわかる要素は以下の2点です。」
- 青のカードが3枚消えている
- 強力な緑のカードが取られていない
金子「つまり、卓の他の7人に、『青を使っている人』が多く、『緑を使っている人』が少ない、もしくはほぼいないことを指しています。この緑は、自分が参入する価値がある色といえるでしょう。」
塚本「強いカードが返ってきたら、その色に舵を切るのもありってことですね!」
金子「そうですね。さらにこの図のパターンだと、緑が他にいたとしても、自分の右隣何人かはやっていない可能性が高いのも追い風ですね。」
塚本「え、なんでそんなことがわかるんですか!?」
金子「他の人がどんな順番でピックしたか予想してみてください。単純に点数順で取られたとしたら、まず『白カードA』、『黒カードE』が8点なので取られていますよね? そして、その後の5人は、『8点の緑のカードをスルーして7点または6点のカードをピックしている』んです。もしこの5人が緑をやっていたのなら、普通なら7点や6点のカードより8点の緑のカードを取りますよね? だから、この図のパターンでは、自分の右隣5人は緑をやっている可能性は低いんです。」
塚本「おおおお!なるほど!!! 9手目でそんなことまで予想できるんですね!」
金子「そして自分の右隣がやっていない色は、1パック目の10手目以降や、3パック目でいっぱい流れてくる可能性が高いんですね。とはいえ、完全な情報ではないので過信は禁物です。誰かが心変わりしたり、自分と他の人で評価が違う可能性には注意してくださいね。」
金子「さて塚本さん、これはどう思いますか?」
塚本「男は蒼に染まれ......!」
金子「うん、青いペンキまみれにして、どっかのコンテストに出場させますね。」
塚本「......えっと、つまり、卓で青を使っている人が少ない、ってことですよね。」
金子「そうですよ、わかってきたじゃないですか塚本さん!ですが、このパターンの場合、ケース2とは少し違うんですよ。」
塚本「どういうことですか?」
金子「先ほど、ケース2では『8点の緑のカードをスルーして7点または6点のカードをピックしている』人が5人いたというお話をしましたよね? では、今回の場合はどうでしょう?」
塚本「順番に考えていくと......あれ?点数が低いカードをわざとピックしているのは、赤の5点の『赤カードI』を取った人だけですね。」
金子「そうなんです!だから、確かに『青は薄そうだ』という予想は立ちますが、それを過信するのも危険です。この場合は、3~8手目の情報とバランス良く検討していく必要がありますね。」
塚本「おおお!いろんなテクニックがあるんですね!」
金子「とはいえ何度も書いていますが、全て完全な情報ではありません。少しずつ『○○かも?』という予想を積み重ね、予想を確信に変えていくのがドラフトのテクニックです。『○○だから××だ、間違いない!』という断定はハマればすごいかもしれませんが、罠であることも多いので注意してくださいね。」
塚本「しかし、前編でここまでテクニックがあると、後編ではさらに驚くテクニックがたくさん出てきそうですね! そして次回......マジックの長い歴史の中でまだ誰もが気づいていない秘密のテクニックが初公開!!君は歴史の証人になれるのか?金子のみが知るドラフトのシークレットテクに乞うご期待!!」
金子「わー!ストップ!そんなテク知っていたら人生苦労してない!! 次回は、もっと玄人っぽいテクニックを頑張って教えていこうと思います......が、頑張ります!」
つづく!
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