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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

親和で回せ、天球儀(レガシー)

岩SHOW
 
 

 新セットがリリースされるとスタンダードが影響を受けるのは当然のことだ。カードプール直近3年以内のセットに限定されるため、そこに200枚前後の新カードが加わるというのはとても大きな変化をもたらす。ただ最近はスタンダードに留まらず、各セットから数自体は少なくともなんらかのカードがあらゆるフォーマットに影響を与える傾向にある。

 たとえば『霊気走破』からは《食糧補充》!3マナで質量ともに備えたアドバンテージ源として、パイオニアはもちろんレガシーでもコントロールやコンボで重宝されている。そして『タルキール:龍嵐録』からはもちろんこれ、《コーリ鋼の短刀》!1ターンに2回呪文を唱えることでモンクを生成するこの装備品、低コストの呪文が強ければ強いほどこの短刀のキレ味も増すというものだ。モダンやレガシーであれば1マナは当然として、{0}や代替コストで唱えられるカードの中にも強力なものが揃っているため、スタンダードよりもさらに縦横無尽に速攻トランプルの果敢モンクが暴れ回っている。

 

 さて、そんな流れが続く中での『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』のカードにもそのようなオールフォーマットで活躍するカードを期待してしまうのは自然なこと。環境開幕初期、多くのプレイヤーに注目されお試しながらに使われて存在感を示したのは……《「占星術師」の天球儀》!この装備品はまずそれ自体が2マナと軽めであり、戦場に出ると英雄を生成して自らがそれを装備するクリーチャーを用意する。天球儀は非クリーチャー呪文を唱えるか、同一ターンの3枚目のカードを引くかすると能力が誘発、+1/+1カウンターで装備者を強化する。

 

 レガシーにはこの天球儀を装備したクリーチャーをゴリゴリに強化してくれる低コストの呪文がズラリ。なんといっても《渦まく知識》がある。これを唱えた時点でまず天球儀が誘発。そして解決すると3枚ドローして2枚戻し、このドローによりさらに天球儀2度目の誘発。たった1マナで手札も消費せずに二段階もクリーチャーを強化する、お手軽強力ムーブになる。また《水蓮の花びら》のように{0}の呪文も強いのがレガシー、特にマナ加速は次の動きに繋げるものなので、早いターンからガンガン動いて巨大クリーチャーを確保し、一気に攻めることが可能!

SNKY466 - 「イゼット親和」
第151回 マッサンのなんでも放送局 おうちでレガシー 8位 / レガシー (2025年6月14日)[MO] [ARENA]
4 《教議会の座席
2 《銀色険の橋
4 《ウルザの物語
4 《古えの墳墓
1 《天上都市、大田原
2 《
-土地(17)-

4 《湖に潜む者、エムリー
4 《思考の監視者
-クリーチャー(8)-
4 《物読み
4 《意志の力
3 《金属の叱責
4 《オパールのモックス
4 《水蓮の花びら
4 《ミシュラのガラクタ
3 《ウルザのガラクタ
1 《上天の呪文爆弾
1 《影槍
4 《「占星術師」の天球儀
3 《血染めの月
-呪文(35)-
4 《記憶への放逐
3 《青霊破
2 《否定の力
2 《四肢切断
3 《除霊用掃除機
1 《真髄の針
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 というわけでレガシーで《「占星術師」の天球儀》を用いるデッキをご紹介。今回のリストは御覧の通り……アーティファクトがズラリ。「親和」や「8cast」と呼ばれるタイプのアーキタイプで、アーティファクトが並ぶことで機能するカードで固められている。

 《オパールのモックス》《水蓮の花びら》でマナ加速、《ミシュラのガラクタ》《ウルザのガラクタ》でアーティファクトの頭数を揃える……マナを一つも消費せずにこれだけの呪文の連打が可能で、英雄も名前負けしないビッグボディに。そしてアーティファクトが並ぶことでコストが軽減される親和カード、その中から手札を増やす《物読み》《思考の監視者》に繋げる。初速が最強クラスである代わりに息切れという弱点を抱える親和系デッキ、その生命線はこれらのドロー。監視者は飛行持ちであるため、これに天球儀を持ち替えて育てるというアプローチも効果的だ。《湖に潜む者、エムリー》で0マナアーティファクトをグルグル回すなど、あらゆる方法で天球儀を大回転させる!

 

 さて、親和系のデッキと言えば《ウルザの物語》。この英雄譚・土地はアーティファクトの数だけのサイズを持つ構築物を生成するため、アーティファクトを並べるデッキにはもちのろんで好相性。そして最後は{0}か{1}のアーティファクトをサーチ、《影槍》や《上天の呪文爆弾》といったカードを戦場に出してアーティファクト・カウントを増やしつつ、様々な状況に対応できる。

 この土地には効果的な対策カードがあった。《血染めの月》だ。基本でない土地は山になり、他の能力を失うことになる強烈な土地対策エンチャント。これにより能力を失った《ウルザの物語》は、以前は戦場に残ることも出来ず墓地に直行していた。しかし『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』で英雄譚に関するルールの変更がもたらされ……結果、以前のような勝利は行われずに戦場に残ることに。

 そしてさらにここからが重要で、月が出る前に得ていた能力は失われなくなったのである。どういうことかって?つまりⅡ章まで誘発させてから月を設置すると、これはⅢ章が誘発しないため戦場に留まり……そしてⅡ章能力で得た構築物の生成は変わらずに起動できるのである。毎ターン延々構築物を出撃させる永久機関の完成だ!これによりかつては親和系デッキにとっては嬉しくない存在だった《血染めの月》を、このリストではむしろ自分から使うという新しい戦術が誕生。このルールに関してはややこしく、きちんと勉強しなければ理解できないことでもある。その理屈を知りたい人は、大会などでジャッジの方がいたら質問してみよう!

 《「占星術師」の天球儀》は各々のフォーマットでどこまでやれるか?この夏はこれが楽しみの一つになった。レガシーで活躍している《コーリ鋼の短刀》のようなポジションを獲得することになるか?様々なデッキでそのポテンシャルを発揮させてあげたいところ。他にも『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』にはフォーマットを越えて活躍するカードがあるかもしれない、気になったカードは積極的にプレイしよう!

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