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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!世界をアツくした赤いデッキ(スタンダード)

岩SHOW

燃やせ燃やせ!闘志を燃やせ!

 スタンダードをとことん突き詰めていく、スタンダードという道を初心者もみんな一緒に歩んでいこうぜという当コーナー。スタンダー道を極めし、最前列を走り続けているプレイヤーたちは……ラスベガスへとたどり着いた。世界選手権ッ!

 世界一のプレイヤーを決めるこのトーナメント、構築ラウンドで用いられたのがスタンダードだ。『ダスクモーン:戦慄の館』リリースから1ヶ月、環境も熟した頃合いに開催されたこのトーナメント……そこで躍動したデッキは今後のスタンダードの顔になる、そんな重要な舞台。スタンダード、一体どうなるのか?この大会で結果を残したデッキ、つまりはトップ8進出を果たした面々は……

ディミーア(青黒)デーモン×2(加虐者型と放血者型)
ディミーア・ミッドレンジ×2
ゴルガリ(黒緑)ミッドレンジ
ゴルガリ・ランプ
グルール(赤緑)果敢アグロ
赤単アグロ

 錚々たるメンツだ。今回は黒いデッキが大勝ちを収めた形に。そして白いカードは決勝ラウンド進出ならず……ジャパンスタンダードカップでは逆に白いデッキがトップ8を埋め尽くしていたので、真逆のような結果になったね。短期間とはいえ世界最高レベルのプレイヤー間でしっかりとスタンダードの研究が進んだことが伺える。個人的に注目しているのは、黒いデッキ達に抗いトップ8に滑り込んだ赤いデッキ達。今回はこの2つについて皆で確認していこう!
 

とことん!果敢道!
井川 良彦/Yoshihiko Ikawa - 「グルール果敢」
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 スイスラウンド6位 / スタンダード(2024年10月25日)[MO] [ARENA]
4 《カープルーザンの森
4 《銅線の地溝
4 《ソーンスパイアの境界
2 《不穏な尾根
2 《岩面村
4 《
-土地(20)-

4 《僧院の速槍
4 《心火の英雄
4 《熾火心の挑戦者
4 《多様な鼠
4 《精鋭射手団の目立ちたがり
2 《探索するドルイド
-クリーチャー(22)-
4 《ショック
2 《塔の点火
1 《焦熱の射撃
4 《巨怪の怒り
2 《弱者の力
2 《蛇皮のヴェール
3 《亭主の才能
-呪文(18)-
1 《探索するドルイド
1 《塔の点火
3 《抹消する稲妻
2 《焦熱の射撃
4 《脚当ての陣形
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
-サイドボード(15)-
 

 まずは「グルール果敢」から。クリーチャー出ない呪文を唱えるとサイズアップする果敢持ちのクリーチャーや、それに準ずる能力を持った者たち……《僧院の速槍》《熾火心の挑戦者》《精鋭射手団の目立ちたがり》《探索するドルイド》、これら軽量クリーチャーを展開し《ショック》などの軽い非クリーチャー呪文を唱えて一気に大ダメージを与える。この戦い方は赤の伝統的なスタイルで、それに緑を加えて《探索するドルイド》や《亭主の才能》で継続して戦闘する力を高める構築が施されている。

 

 特にこの《亭主の才能》を用いるか否か……もう一つ言えば《残響の力線》を用いるか否かでグルール果敢というデッキは大きく様相が異なる。《残響の力線》はゲーム開始時に手札に出せる力線サイクルの一つであり、その能力は自身のクリーチャーを対象にした呪文をコピーする。これのコストを踏み倒してゲーム開始時から出すことが出来れば、《巨怪の怒り》や《弱者の力》などの呪文から大ダメージを狙える。それこそ早ければ2ターンキルなども可能なデッキだが……初手に力線が来なければ威力は落ちる、途中で引いてしまうとお荷物になる……と安定感は欠いたデッキである。

 それでも爆発力は魅力的ではあるのだが、世界選手権のような大舞台ではこのムラを抑えたデッキを優先するプレイヤーも多い。力線という運任せ要素をカットし、確実にクリーチャーを強化し続けてくれる《亭主の才能》を選択したリストが、結果として日本の強豪・井川良彦を世界選手権の日曜日へと導くことになった。

とことん!赤単道!
クイン・トノーリ/Quinn Tonole - 「赤単アグロ」
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 スイスラウンド2位 / スタンダード(2024年10月25日)[MO] [ARENA]
17 《
4 《岩面村
-土地(21)-

4 《僧院の速槍
4 《雇われ爪
4 《心火の英雄
4 《熾火心の挑戦者
4 《多様な鼠
4 《叫ぶ宿敵
-クリーチャー(24)-
4 《ショック
4 《稲妻の一撃
3 《魔女跡追いの激情
4 《巨怪の怒り
-呪文(15)-
4 《塔の点火
1 《抹消する稲妻
3 《石術の連射
1 《魔女跡追いの激情
2 《歪んだ忠義
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)
 

 対してこちらは同じく決勝ラウンド進出、クイン・トノーリの赤単色のアグロ。果敢要素も入ってはいるが、それに大きく傾いた形でもなく、低コストクリーチャーの攻撃をダメージ呪文で後押しする、昔ながらの赤単だ。1マナ圏には《雇われ爪》も採用し、12枚体制!絶対に1ターン目からクリーチャーを出すぞという気概が感じられる。《雇われ爪》はトカゲが攻撃すると対戦相手本体に1点ダメージを飛ばすので、複数体並べばブロック役がいようがおかまいなしにダメージを叩き込める。1マナにして中々のパンチがあり、赤単で使っても活躍するスペックを持っている。《岩面村》の対象に取れるのも素晴らしい。

 またこのリストには《叫ぶ宿敵》が4枚採用されているのも見逃せないポイントだ。3マナ3/3速攻、これがダメージを受けると対象1つにも同じ点数のダメージを与える。この能力が肝で、相手のブロックを恐れずにガンガン仕掛けられる。相手のクリーチャーを巻き込んで除去しても良いが、このダメージを受けたプレイヤーはライフを得られなくなるのでここは本体に叩き込んで相手が逃げ切るのを防ぐトドメの一撃にしたいところだ。また自分の《魔女跡追いの激情》を宿敵に撃ち込んで5点ダメージ呪文として運用する動きも予測されにくく破壊力がある。

 

 この赤単も先のグルールも、どちらも共通するのはハツカネズミのパッケージを内蔵しているところ。《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》ら雄姿能力を持ったマウスたちを《多様な鼠》で対象に取り、二段攻撃やトランプルを与えて能力を誘発させる。英雄を対象にとって+1/+1カウンターを乗せて最短距離を走るも良し、挑戦者でアドバンテージを稼ぎながら中・長期戦を戦い抜くも良し。果敢デッキであれば各種インスタントに加えて《亭主の才能》でも対象に、赤単であれば《岩面村》が火を噴く。スタンダードをアツくしているのはこれらのハツカネズミで間違いない!

 黒vs赤という構図が色濃く打ち出された世界選手権の上位入賞デッキリスト。しかしスタンダードはここからさらに進んでいくことに。11月は『ファウンデーションズ』が加わり、今回スポットライトを浴びなかったデッキ達も強化され立ち上がってくるかも?今から楽しみだ……さあ、新しい環境に向けてアップしようぜ!スポーツの秋、いい汗かくぞ!

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