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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
放血者×斬鬼、世界選手権でも炸裂!デーモンデッキ2選(スタンダード)
前回は2024年度の世界選手権優勝デッキ、「ディミーア・デーモン」を紹介した。《終末の加虐者》を採用した見た目にもインパクトを放つリストは、マジックファンの心を掴んだことだろう。
前回も触れた通り、『ダスクモーン:戦慄の館』の参入によりデーモンデッキが大躍進。そのきっかけは《不浄な別室》。毎ターン追加のドローをもたらし、デーモンが居れば相手のライフも吸い取れるかなり強力なエンチャントが、スタンダードの環境を大きく変えることに。スピード重視でないデッキ同士の対戦においては、この別室が勝負の決め手になる。《祭儀室》のモードではデーモン・トークンも生成し、1枚で戦闘要員も兼ねている。このエンチャントをさらに強く使うには……
《アクロゾズの放血者》がベストマッチ。放血者は対戦相手のライフ喪失を倍にする、強烈なデーモン。これと《不浄な別室》を同時にコントロールしていると、別室の能力が誘発→相手が失うライフは倍になって4点に!これが毎ターン誘発すると思うと、震えが止まらねぇ……さらに、さらにこの放血者を使うのであれば……
《止められぬ斬鬼》もセットで!これは外せないよな。対戦相手に戦闘ダメージを与えると、そのライフを半分失わせる。3マナとは思えない量のライフを削る危険すぎるゾンビだ。これの能力が誘発し、解決する際に放血者がいると、対戦相手のライフが半分失われる→それが倍になって、一発で全ライフを失わせる。3マナと4マナのクリーチャーが並ぶだけで決まる必殺コンボ、スタンダードではこれを組み込んだデッキが一気に増殖し……世界選手権にもいくつかのリストが持ち込まれた。
3 《眠らずの城塞》 1 《砂嵐の境界》 4 《沼》 4 《薄暗い裏通り》 4 《コイロスの洞窟》 4 《秘密の中庭》 1 《噴水港》 4 《ブレイズマイアの境界》 1 《解体爆破場》 -土地(26)- 2 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《ドロスの魔神》 3 《アクロゾズの放血者》 4 《止められぬ斬鬼》 -クリーチャー(13)- |
2 《ヴェールのリリアナ》 2 《軍勢を灰に》 2 《残虐爪の強奪》 3 《強迫》 1 《失せろ》 2 《喉首狙い》 1 《苦痛ある選定》 3 《切り崩し》 4 《不浄な別室 // 祭儀室》 1 《逃げ場なし》 -呪文(21)- |
1 《無形の処刑者、ケイヤ》 1 《永遠の放浪者》 1 《跳ねる春、ベーザ》 1 《死人に口無し》 1 《軍勢を灰に》 1 《残虐爪の強奪》 1 《強迫》 1 《苦痛ある選定》 2 《除霊用掃除機》 3 《一時的封鎖》 2 《安らかなる眠り》 -サイドボード(15)- |
こちらは黒単に白を足した構成の「オルゾフ(白黒)デーモン」。デーモンらと斬鬼のクリーチャー陣に《強迫》《残虐爪の強奪》《ヴェールのリリアナ》と手札破壊を取り揃え、これらをバックアップ。黒単でほぼ構成されながらも、《失せろ》《軍勢を灰に》と白から万能パーマネント除去を輸入し、デッキの対応力を高めている。特に追放除去である《軍勢を灰に》は重要で、同じ黒系デッキを相手にした時に《止められぬ斬鬼》をめぐる攻防で優位に立とうという意図が垣間見える。斬鬼は破壊されても麻痺・カウンターが乗った状態で戦場に戻る。これに対して白がもたらす追放がアンサーになるというわけだ。
世界選手権直前のスタンダードの大型イベント、ジャパンスタンダードカップの時点ではデーモンと言えば黒単だったが、この世界選手権では黒単を持ち込んだプレイヤーは0名。各々白や青というように色を足し、デッキの柔軟性を高めて過酷なトーナメントに臨んでいたのだ。
9 《沼》 4 《地底街の下水道》 3 《地底の大河》 4 《闇滑りの岸》 4 《グルームレイクの境界》 1 《脱出トンネル》 -土地(25)- 2 《ドロスの魔神》 4 《アクロゾズの放血者》 4 《止められぬ斬鬼》 4 《大洞窟のコウモリ》 4 《フェアリーの黒幕》 -クリーチャー(18)- |
1 《戦慄の奔出》 3 《強迫》 2 《喉首狙い》 3 《苦痛ある選定》 3 《切り崩し》 1 《下支え》 4 《不浄な別室 // 祭儀室》 -呪文(17)- |
2 《ヴェールのリリアナ》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《悪意ある覆い隠し》 1 《鋼と油の夢》 1 《強迫》 2 《否認》 2 《洪水の大口へ》 1 《切り崩し》 2 《除霊用掃除機》 -サイドボード(15)- |
こちらはトップ8に入賞した「放血者型ディミーア(青黒)デーモン」。優勝したハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezの加虐者型とは大きく異なり、放血者×斬鬼でガンガン攻めるアグレッシブなリストだ。
メインデッキはほぼ黒単、そこに《下支え》が足された形。ただ1枚だけの青要素、しかしこれがあるとないとでは大違い。なぜなら世界選手権はリスト公開性。このたった1枚の《下支え》はリストに載っているだけで効力を発揮する。クリーチャーを展開しつつ青マナ1つが立ててある状況で……対峙するプレイヤーは対戦前に確認したリストの《下支え》は脳裏に過るはず。クリーチャーに呪禁を与えるこのインスタントがあることを想定して動いてくれれば、それだけで相手が何かしらのミスをしたり動きが制限される可能性が高まるというわけだ。サイド後は《否認》など青の恩恵を増量して、黒のデーモンシステムをより強く運用する算段だ。
さて、先のオルゾフもこのディミーアも、共通点として他のリストではあまり見ない土地が採用されているところに注目だ。《脱出トンネル》は一見《島》か《沼》にアクセスする2色デッキのマナサポートに見えるが、これはクリーチャー1体にブロックされない能力を与えることも可能。つまり斬鬼をこれで確実に叩き込み、放血者からのフィニッシュを狙う!痺れるチョイスではないか。
また先のオルゾフの《砂嵐の境界》は対象のクリーチャーのブロックを禁止する。消耗戦になった際にはこれで強引に攻撃を通して殴り勝つ……という具合に、土地の枠も実質的な呪文として機能するものを搭載し、デッキ全体で貪欲に勝ちを狙いに行っている。この工夫は皆にも是非参考にしてもらいたいね。
ダスクモーンによりデーモンデッキが覇権を握る形となった30回目の世界選手権。激動のスタンダード環境を象徴するような結果になったわけだが、デッキの進化はむしろここから。世界最高の舞台で強さを証明されたデッキやカードを元に、次なるトーナメントに向けて各デッキは益々洗練されていくことに。デーモンデッキの可能性、各々で追及していってほしいね!
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