複数枚のカードを一つのパッケージとして考える。これはマジックのデッキ構築において大事なことだ。カードとは1枚1枚にそれぞれの良さがあるが、それら単体ではなく何かと組み合わせることで1 + 1が２どころか３にも５にもなる……これこそカードを集めてデッキを作る、マジックの醍醐味だ。

　たとえば……《敬慕される腐敗僧》と《渦巻く霧の行進》。自身のクリーチャーが呪文の対象になると毒カウンターをばら撒く腐敗僧。これを行進でフェイズ・アウトさせることで除去から守りつつ、対戦相手に毒を与えられる。複数体のクリーチャーを対象にすればそれだけ毒を乗せられるし、対戦相手のクリーチャーも対象に取って戦場から消すことで、毒性を持つクリーチャーらの攻撃を通して勝つという動きも後押し。この2枚をパッケージとして考え、他にどのようなカードを採用してデッキに組み上げるかを考えるのが効率の良いやり方だ。

　現スタンダードで注目のパッケージとなると……フェッチランド各種と《事件現場の分析者》《復活した精霊信者、ニッサ》との組み合わせが旬を迎えているね。現在のスタンダードでいうフェッチランドとは、《斡旋屋一家の潜伏先》などの生け贄に捧げて代わりに基本土地をライブラリーから戦場に出ない「○○一家の●●」という名前の土地たちのこと。生け贄となって墓地に落ちるため、ただこれらの土地を毎ターン戦場に出すだけで墓地に土地カードが貯まっていく。ある程度揃ったら《事件現場の分析者》の能力でそれらを戦場へ。土地をリアニメイトする、変則的なマナ加速で対戦相手よりも多いマナを使ってゲームを有利に進める。

　《復活した精霊信者、ニッサ》はフェッチランドで2回分能力を誘発させられ、マナが爆速で増える。さらにエルフを手札に加えられるので、ニッサから分析者へと繋げられる可能性も。その分析者でニッサをさらに……と、これらの土地とエルフ、マナの概念をぶっ壊すようなパッケージをエンジンとしたデッキが、スタンダードではいくつか見られるようになった。エルフらの緑に加えて、切削やドローを行える青を足す。そしてさらに3・4色目を……というのが定番だ。

　では今回は青緑に赤を3色目としたランプデッキをご覧いただこう！

　パッケージに赤を足すことで得られる最も大きな戦力は……《世界魂の憤怒》！X点のダメージを与え、そして土地をX枚戦場に出す。手札と墓地からタップ状態で出せる……そう、フェッチ＆ニッサとの相性は言うまでもない！ダメージを与えてクリーチャーやプレインズウォーカーを除去しつつ、マナを増やすことができる。そして対戦相手本体にもダメージが飛ぶので、これをフィニッシャーにすることも狙っている。ニッサで増やしたマナで大ダメージ＆再びのマナ加速、そしてそこからさらに世界魂を唱えたり……《溺神の信奉者、リーア》でフラッシュバックするなど、あの手この手を使えば30点くらいのライフは簡単に吹き飛ばせる。この超強力なフィニッシャーを叩き込む、よりコンボ要素の強いランプデッキとなっているのがティムールの特徴だ。

　赤を第3色にしたことでコントロール要素も頼もしさアップ。《間の悪い爆発》！4マナで2枚ドロー、単純なアドバンテージ源として使っても良し、手札を2枚捨てたならマナ総量が大きいカードのそれに等しいダメージを盤面全体に。これでクリーチャーらを根こそぎ焼き払えたら理想的だ。《記憶の氾濫》を捨てるのが最も無駄なくスマートだが、土地リアニメイトの威力を上げるために、ダメージを与えられないが土地2枚を捨てるという使い方もあったりするのがテクくて良い。《世界魂の憤怒》という超噴火の前に、まずは爆発で景気よく吹き飛ばしていこう！

　フェッチ×分析者×ニッサのパッケージ、これに《見事な再生》や各種土地関連のカードを絡めたデッキは今後スタンダードの定番として対戦する機会が増えていくのではないかな。他にもデッキの主役となるパッケージを見つけて、皆もスマートにデッキ構築しようぜ！