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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ゴブリンにクールな名前を付けよう(レガシー)

岩SHOW

 人や物の名前ほどクールなものはない。名前があるおかげで誰に何が起きたのか、お互いの意思疎通を取ることができる。名前があるからクールがある!マジックのカードやデッキも名前があるからここでこうして伝えられるというものだ。クールなカード名で言えば……

 《ペミンのオーラ》というエンチャントがある。貼り付けたクリーチャーに《変異種》と同じ能力を与えるものだ。当時最強クラスのクリーチャーだった《変異種》。これをお手軽に作りだせる……さながら超人を生み出すこのオーラの英語表記は「Pemmin's Aura」。これを並べ替えると……「I am Superman」となる。アナグラムというやつで、「I am Superman」という言葉を巧みに並べ替えてファンタジーな雰囲気を持ったカード名を作り上げたのだ。確かにこのオーラが付いたクリーチャーはスーパーマン!納得の由来とクールなネーミングセンスに拍手!

 そしてカード名といえば、最近はカード名がゲームの度に変化するかもしれない、画期的なカードが活躍している。その名は《________ Goblin》。下線の部分は空白であり、ここにステッカーを貼ることでカード名が完成する。『Unfinity』らしくマジックの常識をぶち壊すとんでもないカードである。

 ステッカーはいくつかが一つのシートにまとめられており、その中に名前ステッカーなるものも含まれている。実際にステッカーシートをゲームで用いる際には、ゲーム開始時にまず10種類のステッカーを公開し、その中からランダムに選ばれた3枚がゲーム中に使用可能となる。このゴブリンは戦場に出た際に名前ステッカーを1枚貼り付けて、そのステッカーに含まれている母音1種類につき赤マナ1つを加えるというかなり変則的なマナ加速だ。英語における母音とはA・E・I・O・U・Yのことであり、これを1つでも多く含む名前ステッカーを貼ることがこのゴブリンの可能性を引き出すことになる。名前ステッカーの中で母音を最も多く含むものは「Delusionary」で、これを貼ることに成功すればなんと6つの赤マナを加えられる。3マナも増えて超クールだ。理想的な10枚のステッカーシートを集めることが出来れば、ゲーム中の1枚目のゴブリンが生み出すマナは6マナが約30%・5マナが約41%とおよそ7割の確率で5マナ以上を加えられることになる。《煮えたぎる歌》以上の働きが見込めるマナ加速であり、クリーチャーであるため《魂の洞窟》で打ち消されずにマナを増やしたり、《霊気の薬瓶》など唱えずに戦場に出す手段も豊富だ。

 『Unfinity』のカードは一部を除いてレガシーでも使用可能なクールなジョークセットであるため、このステッカーを貼るゴブリンも同フォーマットのデッキに組み込むことが出来る。ゴブリンといえばレガシーでは歴史ある部族デッキだ。そして今、このゴブリンが久しぶりにレガシーの勢力図の上位に名を連ねている!

Corin Skinnon - 「赤単ゴブリン」
Charlotte Legacy League Season 1 Week 1 3-0 / レガシー (2024年1月9日)[MO] [ARENA]
4 《古えの墳墓
3 《裏切り者の都
4 《魂の洞窟
7 《
-土地(18)-

4 《スカークの探鉱者
4 《雄叫ぶゴブリン
4 《舷側砲の砲撃手
4 《ゴブリンの熟練扇動者
4 《___ Goblin
3 《ゴブリンの女看守
2 《ゴブリンの酋長
3 《猿人の指導霊
1 《月の大魔術師
4 《ゴブリンの首謀者
4 《上流階級のゴブリン、マクサス
-クリーチャー(37)-
4 《金属モックス
2 《髑髏砕きの一撃
-呪文(6)-
2 《血染めの月
3 《虚空の杯
3 《激情
1 《ゴブリンの損壊名手
4 《虚空の力線
2 《溶融
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 ゴブリンと言えば、その親玉である《上流階級のゴブリン、マクサス》!ライブラリーの上から6枚を見てその中にあるゴブリンカードが全て戦場に出てくる!とてつもない展開力と同時に、彼自身が攻撃するとゴブリンの数だけ強化されるという、オーバーキル気味な打点も魅力だ。《ゴブリンの酋長》や《雄叫ぶゴブリン》を捲ればそれで全員に速攻を付けて攻撃!これで大体ゲームエンドというクールすぎる一撃をかましてくれる。このマクサスに繋げるために「Delusionary」ステッカーを貼ったゴブリンを使おうというのが現在のゴブリンデッキのトレンドだ。

 マクサスやその他状況に噛み合ったゴブリンをサーチするために《ゴブリンの女看守》を用いる。他にも《ゴブリンの熟練扇動者》がいたり《________ Goblin》もいるので、赤マナ1つと不特定マナ2つというのがあらゆるアクションの基本になっている。そういうデッキは《古えの墳墓》《裏切り者の都》ら2マナ土地を搭載するのがレガシーの基本で、最近のゴブリンもその習慣に従っている。《金属モックス》に《猿人の指導霊》まで準備して、1ターン目から3マナのカードを唱える気満々だ。そしてゴブリンならではのマナ加速、《スカークの探鉱者》の姿も。この1マナゴブリン、見た目以上にマジでクールだ。役目を終えた《________ Goblin》などをマナに変換して、マクサスからのフィニッシュに繋げるべし。ゴブリンの歴史とはマナ加速と踏み倒しの歴史であり、原稿のリストはその集大成とも言える。《ゴブリンの従僕》を採用してより前のめりに展開するリストだってあるぞ。

 更にゴブリンデッキを強烈に後押しするのが、これまた3マナのゴブリンである《舷側砲の砲撃手》だ。2/2速攻+威迫と戦闘面で頼りになり、攻撃後に誇示能力を起動することが可能に。アーティファクトやクリーチャーを生け贄にして、それのマナ総量+2点のダメージを与える。強力な除去であり、ライフを一気に詰めるダメージ源としてクールすぎる優秀さだ。これで各種ゴブリンやモックスなど、役目を終えたカードをドカンと発射して勝つのも勝ち筋の一つ。マクサスを生け贄にすれば実に8点を飛ばせて、これを本体に打てるゲーム展開を狙っていきたいところだな。レガシーの赤をクールにしている要素として、この砲撃手はまさにその筆頭と呼べる1枚なのである。

 最後に余談だがMagic Onlineではステッカーは実装されていない。さすがにわけのわからないことになりそうだからね(笑)。しかし《________ Goblin》は存在している。厳密に言うと別のカードであり、《"Name Sticker" Goblin》というOnlineのみに存在するカードが実装された。これのデザインが匠の技と呼べるクールさで、ステッカー自体は存在しないものの、現実で《________ Goblin》を使用した時となんの遜色もない挙動を見せてくれる。担当者のクールな仕事っぷりには賞賛の声を送りたい。天晴れ!

 名前の持つ意味や力、皆も今一度考えてみてはどうかな。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Feel the power of your name!!

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