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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・イニシアチブ:手柄を誇示する砲撃手(レガシー)

岩SHOW

こじ【誇示】
誇らしげに示すこと。得意になって見せること。例「権力を誇示する」

 マジック国語教室だ。このゲームのキーワード能力や一部のカード名には、様々な熟語が使われている。今回は上記の誇示という能力を紹介しよう。この能力は『カルドハイム』にて初登場。クリーチャーの持つ能力であり、コストを支払って何かを行う起動型能力というやつだ。

 この誇示には起動するための条件が設けられているのが特徴で、それは「この能力はこのクリーチャーがこのターンに攻撃していたときにしか起動できず、ターンに1度しか起動できない。」というもの。攻撃していた、というのがポイントだ。攻撃宣言し攻撃クリーチャーである戦闘中は勿論のこと、戦闘フェイズが終了して攻撃クリーチャーではなくなった第2メインフェイズなど、ターンが終わるまでの間に起動できるというのが独特の挙動を見せる。カルドハイムの戦士たちは、それぞれに戦いで自身が成し遂げた偉業を誇らしげに披露し、自身が伝説となることを願っている。そのフレイバーを誇示という能力は的確に表現しているということだ。

 さて、この誇示という能力はカルドハイムの戦士だけのものではない。他の次元の住人も戦いを経て勝ち取ったものを、仲間に示して見せたくなるのは自然なことだ。イクサランの海賊も「アホイ!俺っちの大仕事をとくと聴きやがれ!」と酒の席で語ったりするのだろう。『イクサラン:失われし洞窟』の統率者デッキに含まれる《舷側砲の砲撃手》はこの誇示能力を持っている。3マナ2/2威迫・速攻とスムーズに攻撃して誇示を起動しやすいデザインで、しかも誇示の起動にマナは不要だ。代わりにクリーチャーやアーティファクトの生け贄が必要である。コストとして生け贄に捧げたパーマネントのマナ総量+2点のダメージを与えることができるという、非常に攻撃的な能力の持ち主だ。これぐらいデカい獲物を撃ち落としたぜ、と誇示しているのだろう。

 この砲撃手、統率者戦はもちろんのこと、エターナル環境でも使用することが可能だ。レガシーでは早速注目カードとして、アジアのレガシー王者を決めるトーナメントにも出現!

Masahiro Fujii - 「ボロス・イニシアチブ」
2023 Asia Legacy Championship 11位 / レガシー (2023年11月25日)[MO] [ARENA]
4 《裏切り者の都
4 《古えの墳墓
4 《魂の洞窟
2 《Plateau
1 《カラカス
2 《平地
1 《
-土地(22)-

4 《猿人の指導霊
4 《舷側砲の砲撃手
3 《エメリアのアルコン
4 《練達の地下探検家
4 《混沌の洞窟の冒険者
4 《孤独
-クリーチャー(23)-
4 《金属モックス
4 《水蓮の花びら
4 《虚空の杯
4 《鏡割りの寓話
3 《進め、エオルの家の子よ!
-呪文(15)-
3 《剣を鍬に
2 《激情
2 《月の大魔術師
2 《フェアリーの忌み者
2 《封じ込める僧侶
2 《第三の道のロラン
1 《無のロッド
1 《精神壊しの罠
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 《古えの墳墓》《裏切り者の都》と2マナ土地を備え、これでアーティファクトやクリーチャーを高速展開するストンピィ系のデッキ。レガシーでも伝統のあるアーキタイプで、この戦い方と《舷側砲の砲撃手》は噛み合っている。《金属モックス》《水蓮の花びら》などを経由すれば1ターン目から砲撃手を走らせることが可能だ。そして不要になったモックスなどは砲撃手がドカンと放ってダメージに変換してくれる。固めて引いてしまった《虚空の杯》などを弾丸として、《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》などに打ち込んで除去するのは非常にスマートだ。

 このリストはイニシアチブ能力を持ったクリーチャーを用いる「ボロス(白赤)イニシアチブ」だ。《練達の地下探検家》《混沌の洞窟の冒険者》、これらは戦場に出た時点でイニシアチブにより、基本土地1枚を手札に加えさせてくれるアドバンテージを得ている。以降もこちらが対戦相手のクリーチャーによって戦闘ダメージを受けていないのであれば、地下街探索から美味しい思いができる。そういう意味では戦場に出た時点で仕事を終えている面々ではあるので、これを思い切って砲撃手でぶちかましてやるのもGood。マナ総量4なので飛ぶダメージは6点。これはゲームが終わるレベルの数値だ。もちろんこれらのクリーチャーでガンガン殴っていくために他のパーマネントを生け贄に捧げて道を切り開いてやるという役に回っても良しで、砲撃手とイニシアチブは好相性だ。

 そしてこの砲撃手と相性抜群◎なのが……メインの《孤独》、そしてサイドの《激情》!この2種のエレメンタルは想起能力でマナを支払わずに唱えられる。想起で唱えた場合は戦場に出た時に、これを生け贄に捧げる能力が誘発する。しかし、しかしだ。これを解決する前に誇示能力は起動できる!攻撃した砲撃手がいる状態でこれらを想起で唱えて、戦場に出たらすかさず生け贄に!いずれも5マナと重いため、7点ものダメージを飛ばすことが可能なのだ。《孤独》で除去して回復されるライフもこれでチャラどころかむしろ減るだろうし、《激情》で相手の盤面を完全崩壊させても気持ち良いね。この2種類の組み合わせは……ちょっとした船なら沈んでしまう強力コンボだ!

 ストンピィ系の新たな選択肢に加わった《舷側砲の砲撃手》。この海賊が何を砲弾にしてどんな相手を撃ち落としたか、その戦果を誇示する姿がレガシーの日常になるだろうか。レガシープレイヤーは統率者セットにも目を光らせて新戦力を探さねばならないから大変だ!皆も改めてカードリストを要チェックだ!

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