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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドメイン・ランプ:豆の木のその先に(スタンダード)
『エルドレインの森』はおとぎ話をモチーフとした次元、エルドレインへの再訪のセットとなる。我々が初めてこの次元を訪れたのは『エルドレインの王権』。ついこの間までスタンダードにいたような気さえするが、これがリリースされたのは2019年10月。4年ぶりのエルドレインは、その世界観はそのままに、以前のセットでは描かれなかった部分が見えて、これが面白い。たとえば童話「ジャックと豆の木」をモチーフとした巨大な豆の木。
《豆の木の巨人》に《巨人落とし》と、この雲の上まで届く豆の木の先には巨人が住んでいることはカードが伝わってくる情報だ。しかし、その豆の木の先に何があるのか?一体どんな世界が広がっているのかはカードを見るだけでは詳細を掴み切れなかった部分だ。
今回のセットはそこを一気に掘り下げている。雲の上には天空の世界ストームケルドが存在し、雷落としという巨大な城がそびえている。そこに住まうのは巨人で、城主はベルーナ。彼女は巨大なガチョウやワームといったペットを飼っている……と壮大な世界観とそれを伝えるカードが登場し、童話のジャックのように「エルドレインの雲の上には何があるのか」と夢を膨らませていた我々の思いに応えてくれたのである。このように次元再訪時により世界観を拡げてくれるところも、マジックのすばらしいところだなと。
ストームケルドが描かれたということは、背景ストーリーでそこが重要な舞台の一つであるということ。なので、巨人の国へと背景ストーリーの主人公一行らがそこへと向かうシーンもカード化されている。言うまでもなく、《豆の木をのぼれ》がそれだ。まず一言、高所恐怖症の僕には怖すぎる!ラヴニカ出身の流浪の冒険家、トロヤンは「下を見なければ大丈夫」と言うが、そんなわけあるかいッ!
この天空へと伸びる豆の木をのぼるという苦行を経て、プレイヤーはカードを1枚引くことができる。さらに巨人の国に繋がるエンチャントだけあって、5マナ以上のマナ総量の呪文を唱えるごとにこの1ドローはもたらされる。戦場に出た時に1枚引き、重い呪文を唱えてもう1枚。2マナのカードで2枚ドロー、手札が増えれば十分な働き。さらにもう1回、2回と誘発しようものなら……それは正真正銘のパワーカードと呼ぶにふさわしい。
4 《スパーラの本部》 4 《ジアトラの試練場》 4 《ジェトミアの庭》 1 《ミレックス》 1 《眠らずの蔓茎》 3 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 5 《森》 -土地(25)- 4 《装飾庭園を踏み歩くもの》 2 《金属の徒党の種子鮫》 4 《怒りの大天使》 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(13)- |
4 《力線の束縛》 3 《骨化》 3 《太陽降下》 4 《群れの渡り》 4 《ゼンディカーへの侵攻》 4 《豆の木をのぼれ》 -呪文(22)- |
3《軽蔑的な一撃》 1《否認》 3《黄昏の享楽》 3《一時的封鎖》 1《放浪皇》 2《沈黙を破る者、スラーン》 2《ティラナックス・レックス》 -サイドボード(15)- |
というわけで《豆の木をのぼれ》を用いたデッキリストをご紹介。スタンダードの「ドメイン(版図)ランプ」!《装飾庭園を踏み歩くもの》《ゼンディカーへの侵攻》でライブラリーから基本土地を戦場に出し、使えるマナの種類と数を増やしてそこから高コストのパワーカードを叩きつけて勝つ、ここしばらくスタンダードで一大アーキタイプとして地位を確立しているデッキだ。
ドメインというだけあって、版図能力を持った呪文を採用しているのが特徴。土地が並べば並ぶほどコストが軽減される《力線の束縛》はMAXで白マナ1つで唱えられる超万能除去。そう、これと《豆の木をのぼれ》を組み合わせる!いかに唱えるためのコストが軽減されても、唱えられた呪文のマナ総量はそのカードに印刷された通り。つまり束縛は1マナで唱えつつもマナ総量は6であるため、豆の木が誘発する。パーマネントを除去ってさらにドローが付いてくるなんて、やってて「良いの?」という気持ちさえ湧いてくる。
そして《群れの渡り》、こちらは手札から捨てて土地をサーチして版図をアシストしつつ、3点回復でランプの苦手なライフを攻めるデッキに対して命を繋ぐ。除去でさばいてひと段落付いたら、普通に唱えてビーストを5体並べて一気に攻めの戦場を作る。ブロック役としても優秀で、攻防共に活躍するソーサリー……これにもドローが付いてくると「良いのか?」と。
そしてやっぱり4色以上のランプと言えば《偉大なる統一者、アトラクサ》!彼女もまた強烈なフィニッシャーであり、絆魂をはじめとするキーワード能力と尋常ではないサイズが攻防に渡り頼もしすぎて……そして手札を補充する鬼の誘発型能力!これで幾多のプレイヤーの心を日々へし折り続けている。ただでさえ手札が増えるアトラクサに豆の木でドロー、それはちょっとやりすぎか?と思うかもしれないが、やりすぎくらいがちょうどいいよ。もらえるものは有難くもらっておくの精神を大事にしたい。
もし、このアトラクサや《群れの渡り》などのフィニッシャーが《軽蔑的な一撃》などで打ち消されたとしても、唱えた時点で豆の木のドローは誘発しているため、カードは引ける。損せずに次のフィニッシャーに繋げられる安心感がある。豆の木が複数枚並べばその分カード引けるので、打ち消されることを恐れずに大技の連打!どれか通ったもので勝つ!開き直りプレイが推奨されるのだ。
というわけでエルドレインの世界観の広がりを体現する《豆の木をのぼれ》を使ったスタンダードのデッキを紹介させていただいたが……このエンチャントが構築フォーマットにもたらした影響はこれだけではない!さあ、次回は他のフォーマットの豆の木デッキを見てみよう!お楽しみに。
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