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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スタンダードを振り返る:セレズニア・エンチャント(スタンダード)

岩SHOW

 盆休みを経て、デイリー・デッキ再始動!皆、猛暑の中も元気にしてたかな?このコラムが公開される頃にはもう9月の新セット『エルドレインの森』の新カード情報が大きく公開されているかもしれない。エルドレインへの再訪、ローアン&ウィルの双子やアショクの再登場、ケランなどの新キャラクター。プレインズウォーカーたちの大半が灯を失い、次元はそれぞれに繋がりを持った、大いなる変化を迎えた多元宇宙の新章がここに始まる、う~ん、胸が躍るぜ。


 このセットのパックには本セットのカード以外にも、おとぎ話カードなる特別仕様の再録カードが封入されるようだ。それらはすべてエンチャントになるという。

 魔法で満ちたエルドレイン次元を表現するためにエンチャントがたっぷりと詰め込まれているようだ。ということは本セットでも数々のエンチャント、そしてそれらと相性の良いカードが見られるかもしれない。『エルドレインの王権』ではエンチャントとアーティファクトが一部のカラーのメインテーマになっており、《きらきらするすべて》のような名カードも登場した。

 エンチャントを大量に並べることが勝利に直結する、そういったデッキを大きく後押しするカードが登場すれば……。

2radMTG - 「セレズニア・エンチャント 」
Magic Online Standard Challenge 16位 / スタンダード (2023年8月12日)[MO] [ARENA]
4 《剃刀境の茂み
4 《低木林地
1 《耐え抜くもの、母聖樹
6 《平地
5 《
-土地(20)-

4 《気前のいい訪問者
4 《樹海の自然主義者
4 《神憑く相棒
2 《調和の織り手
4 《ドーンハルトの殉教者、カティルダ
-クリーチャー(18)-
4 《精霊との融和
4 《骨化
2 《仮初めの時間
4 《神聖なる憑依
4 《麒麟の教え
4 《永岩城の修繕
-呪文(22)-
2 《大群退治
3 《監禁の円環
2 《邪悪を打ち砕く
2 《機械の母、エリシュ・ノーン
3 《ゴバカーンへの侵攻
2 《調和の儀式
1 《樹海の幻想家、しげ樹
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 スタンダードの「セレズニア(白緑)エンチャント」のようなデッキは大きく強化されることになるだろう。現時点でも完成されて安定感のあるデッキになっているが、新たな刺激が加わればもっともっと遊び続けられるものへとステップアップするはずだ。

回転

 スタンダードのエンチャントデッキと言えば……エンチャントが並ぶことが高打点に繋がる《運命に導かれし者、ケイリクス》や《魅知子の真理の支配》が採用されているものが思い浮かぶ人も多いだろう。それらの持つ爆発力は確かに一つの魅力ではあるが、ただ大振りなものでもある。ホームランは狙えるが、空振りする可能性も大きいということ。カード単体ではあまり戦力にカウントできないケイリクス、対象を除去されるとそのターンが無駄になりがちな真理の支配。それらを補うリターンもあるが、弱点が気になる人もいる。

 今回紹介するリストはこれらのカードが採用されておらず、リスクを嫌ってより安定重視のもの。この辺は好みの問題でどちらがどうとは言い切れないが、全く同じことをするアーキタイプに見えて、デッキ構築の幅がそれだけあるというのはプレイする側にとっては楽しいことである。

 爆発力が落ちる形、と言ってもエンチャントデッキ特有の戦闘ダメージの高さがないってわけじゃない。つけ入る隙を生じさせにくく、リソース(資源)勝負を重視したカードチョイスをしつつ、しっかりと戦闘面での強さを保っている。

 エンチャントデッキ理想の1ターン目はやはり《気前のいい訪問者》。後に続くエンチャントにより訪問者自身や他のクリーチャーをグイグイ強化し、クリーチャー同士でのぶつかり合いを挑んでくるデッキや、本領を発揮するまでに時間を要するデッキを圧倒してくれる。「訪問者を見たら即除去しろ」これはエルドレイン以降のスタンダードでも重要な戒めとなるはずだ。

 また《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》はただエンチャント共にあるだけでサイズが肥大化する打点の要。彼女の能力はスピリットもカウントするので、訪問者との相性も〇。そして彼女自身が除去されても降霊でオーラとなって再利用可能なので、除去や打ち消しによる空振りを恐れずに運用できる頼もしいヤツ。

 スピリットと言えば《神聖なる憑依》。これの枚数はエンチャントデッキのユーザーそれぞれで異なるポイントだったが、このリストはドドンと4枚採用。エンチャントを唱えるだけでスピリットがワラワラと発生し、それらはお互いを参照してサイズアップしていく。訪問者とカティルダ、そしてこの憑依とデッキの主役はスピリットに寄っているので「セレズニア・スピリット」と分類しても差し支えないレベルだ。

 これらのキーカードを《樹海の自然主義者》《神憑く相棒》などと組み合わせて運用し、無理をせずに確実に強固な盤面を作っていく。よりカードを横並びさせることに重きを置いたエンチャントデッキが組みたければ、このようなリストが理想的ということだね。

 もちろんケイリクスなどの一点突破要素を、上記の横並び安定感重視要素と組み合わせたデッキも組むことは可能だ。このリストはメインの4枚採用率の圧倒的な高さから、毎ゲーム同じような動きをする再現性を重視している。3枚や1枚挿しというある種のムラを発生させる要素を排除したデッキを好む人もいれば、自身の意図をバチバチに反映させた一見整頓されていないリストを好む人もいる。構築は自由だ、各々が望むエンチャントを盛り込んで、スタンダードのエンチャントデッキを組み上げて欲しい。

 またスタンダードローテーションの変更により、エンチャントデッキの中核を担う神河のカードがエルドレインと合流することになった。この刺激がもたらすハーモニーに期待しつつ、『エルドレインの森』リリースまで情報を追っていこうじゃないか。というわけで当原稿を作成中にキャッチで来ている情報から、エンチャント絡みの新カードをチェックすると……。

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 《救世主、アーモント卿》を見るに、エルドレインの白緑2色はオーラがテーマ、中でも新しいトークンとしてのオーラ「役割」を重視しているようだ。アーモント卿が与える役割は怪物で、これが付けられているクリーチャーはトランプルを得る。カティルダが与えられないキーワード能力をカバーしているので噛み合っているね。またオーラ付きのクリーチャーを全体強化するので、《無鉄砲》などのオーラの評価も上昇しそうだ。

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 《絡み架かりの見張り》はオーラが戦場に出るたびにドローをもたらす。これがどういうことかわかるかい?《骨化》はオーラなので、除去しつつドローができるッ!これはかなり強そうだ。他にもエンチャントが墓地に落ちた時に誘発する能力を持った《鳩の騎士》や、エンチャントをコストにする協約能力などなど……エンチャントデッキの未来は明るそうではないか!今からデッキを組んで準備するとしようじゃないか。

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