READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スタンダードを振り返る:エスパー・レジェンズ(スタンダード)

岩SHOW

 『エルドレインの森』の参入でいよいよスタンダードが動く!5月から4ヶ月、待ちに待った新環境の到来だ。一体このセットは何をもたらすのか?再録メカニズムだけでも出来事と食物、『エルドレインの王権』以来のスタンダードに戻ってくる要素が待っている。これらはかつてのスタンダードでも大いに活躍したもので、アドバンテージの獲得っぷりには大いに驚かされたものだ。

 王権には《エンバレスの宝剣》や《グレートヘンジ》などのめちゃ強パワーカードも含まれており、この頃のスタンダードはある意味非常にエキサイティングだった。毎日使用するデッキが変わり続けていたものだよ……懐かしいな。エルドレインの新たな一面が、あの日を思い起こさせつつも新しい刺激をもたらしてくれるはず!

 というわけで今回も前回同様に現スタンダードのデッキを振り返ろう。今回のリストは……白青黒、エスパーカラーのアーキタイプだ。スタンダードでこのカラーリングと言えば、そう《策謀の予見者、ラフィーン》!このスフィンクス、スタンダードのローテーションの変更により今秋以降も使用可能であり、まだまだ未来のある1枚。残り僅かな現環境でも変わらぬ強さを誇っているので、今のうちにラフィーンデッキについて知識を深めておくことは決して無駄じゃない。というわけで今回サンプルとなるリストはこちら。

Soma Kőrösi - 「エスパー・レジェンズ」
The Pizza Box Open: Standard 3位 / スタンダード (2023年8月14日)[MO] [ARENA]
4 《英雄の公有地
3 《ラフィーンの塔
4 《金属海の沿岸
3 《闇滑りの岸
1 《砕かれた聖域
1 《アダーカー荒原
1 《地底の大河
1 《コイロスの洞窟
4 《皇国の地、永岩城
3 《天上都市、大田原
3 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
-土地(28)-

4 《離反ダニ、スクレルヴ
4 《スレイベンの守護者、サリア
4 《侵攻の伝令、ローナ
3 《敬虔な新米、デニック
1 《屍術の俊英、ルーデヴィック
4 《策謀の予見者、ラフィーン
3 《輝かしい聖戦士、エーデリン
3 《賢明な車掌、トルーズ
3 《黙示録、シェオルドレッド
2 《復活したアーテイ
1 《苦悶の占い師、クェザ
-クリーチャー(32)-

-呪文(0)-
4 《婚礼の発表
4 《切り崩し
2 《邪悪を打ち砕く
2 《第三の道のロラン
2 《軽蔑的な一撃
1 《否認
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 《策謀の予見者、ラフィーン》を軸としたデッキの中でもかなりクリーチャーに偏重したリストだ。ラフィーンの能力で謀議を誘発させまくり、巨大なクリーチャーを用意して殴り勝つ……テクニックで勝負するイメージのあるエスパーカラーにおいて、これ以上ないほどのパワー勝負デッキである。喧嘩上等ッ。3色デッキの抱える色マナ関係のプロブレムは《英雄の公有地》《ラフィーンの塔》その他優秀な土地を抱えているため問題ナッシングだ。

回転

 このリストはただクリーチャー偏重なだけでなく、それらすべてが伝説であるという点も見逃してはいけない。故にアーキタイプは「エスパー・レジェンズ」とするのが順当だろう。伝説に寄せまくることで《英雄の公有地》でマナ基盤が安定しつつ、クリーチャーの悉くをこの土地の起動型能力で護ってやれる。

 また土地と言えば《天上都市、大田原》などの魂力土地を低コストで運用可能なのもレジェンドデッキのセールスポイント。これらがデッキにおける実質的な非クリーチャー呪文の役割をこなすので、クリーチャーだけでなく土地もどっさり多めの28枚という構成。3枚目の土地が引けずにラフィーンを出せないという最悪のゲーム展開をこの構成で回避しつつ、土地ばかり引いて何も出来ないという事態も避ける。強いデッキは構築の段階からその強さの理由がある。

 さらに大量の伝説クリーチャーは《侵攻の伝令、ローナ》のアンタップももたらす。土地を引きすぎたら彼女の能力でクリーチャーと入れ替えよう。ラフィーンと合わさることで、手札の内容を理想的な状態に高めていく、これぞこのデッキをプレイしていて楽しい瞬間だ。カードを引くことに喜びを見出す人のためのデッキと言えるね。

 このラフィーンデッキに対抗するためには、まずキーカードであるラフィーンをどうにかしなければならない。黒いデッキであれば定番除去の一つである《切り崩し》が、謀議する前のラフィーンを丁度対象に取れる。護法{1}をクリアするために計2マナ必要となってしまうが、こちらが後手の時に対戦相手の3ターン目ラフィーンに対処できる数少ない手段。黒いデッキならメインとサイド、合わせて4枚とっても決してやりすぎということはない。むしろ徹底してガードを上げる姿勢たるやヨシ!

 そして赤いデッキであればサイドから《石術の連射》を用いよう。こちらはソーサリーではあるが、護法を無視して1マナでラフィーンを焼けるのが嬉しい。謀議2以上2を誘発されてはこれ1枚で間に合わないが、その辺はご愛敬で。逆にラフィーン側は《離反ダニ、スクレルヴ》で呪禁を与えたり、《スレイベンの守護者、サリア》でマナ域をずらしたりといった妨害を行ってくるのも忘れずに。これが強いんだわ。エルドレインからこの妨害を乗り越えられるようなカードが出てくるか?そこにも期待したいところ。

jp_600336507b.png jp_b5f83c4ed8.png

 さて、『エルドレインの森』からラフィーンデッキに加わりそうな新カード……まず思いつくのはこのセットの内容が明かされたファーストルックにて公開された《非常なソムノファージ》!通常版もショーケース版もイラストが最高にカッコイイこのナイトメア、そのサイズは墓地のクリーチャー・カードの総数に等しい。ラフィーンデッキでガンガン謀議やローナなどの手札入れ替えを行うことで墓地にクリーチャーが溢れる状況を作りだせば、2マナにして10/10なんてサイズも夢じゃないかも!?出来事《永遠の眠り》で唱えることにより意味を持たせられるカードとの組み合わせによっては、伝説で固めたのとはまた違った構成のラフィーンデッキを成立させることになるかもしれない。

jp_0f9afeca9f.png

 ファーストルックから出てきたものといえば《眠らずの城塞》も使いたいね。起動コスト自体は重いが、攻撃さえすれば2点ライフを失わせるのはさすがに強そう。パワー自体は低いが、ラフィーンの謀議で育ててやれば良いしね。サイクルの他の土地もどういったものが揃うのか気になるね!

jp_0284d07b3e.png

 エルドレインからやってくる伝説の中では《慈愛の王、タリオン》も気になる1枚。数字を指定するカードというものは扱うのが難しかったりするが、ここでこの呪文を唱えてくる!そういう流れが読み切れた時に、タリオンは多大なる恩恵をもたらしてくれる。その慈愛を受けられるかどうかは……あなた次第!

 エルドレイン参入が一日でも早く来てほしい!心からそう思いつつ、今しか遊べない現スタンダードのプレイを重ねる。季節の移り変わりを感じる瞬間だ。暑さも徐々に収まってくれば言うことなし。秋を迎える準備に取り掛かろう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索