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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:ゴブリン・ハンマー!(パイオニア)
今週もやってきましたクールなデッキを紹介するこの時間。今回は……月末に控えるプレイヤーズコンベンション千葉のメインイベントの一つ、パイオニアオープンに向けてのデッキを紹介しよう。では勿体ぶらずにリストを見よう。スピーディーさもまたクールの条件の一つ。今回はそんな超速攻型デッキを……。
4 《聖なる鋳造所》 4 《感動的な眺望所》 4 《戦場の鍛冶場》 4 《針縁の小道》 4 《山》 -土地(20)- 4 《騒音の悪獣》 4 《溌剌としたヒューズリング》 4 《軍勢の忠節者》 2 《鋳造所通りの住人》 4 《ランドヴェルトの大群率い》 3 《ゴブリンの群衆追い》 -クリーチャー(21)- |
4 《毅然たる一撃》 4 《シガルダの助け》 3 《武器庫の開放》 4 《巨像の鎚》 1 《岩への繋ぎ止め》 3 《慈悲無き者、ナヒリ》 -呪文(19)- |
4 《雄叫ぶゴブリン》 3 《ゴブリンの首謀者》 3 《人目を引く詮索者》 3 《スカークの探鉱者》 1 《バグベアの居住地》 1 《変わり谷》 -サイドボード(15)- |
中国の地域チャンピオンシップ予選で用いられた「ゴブリン・ハンマー」!こいつぁクールだ。モダンで一大勢力を築いているハンマーデッキのエッセンス、その中でもパイオニアでも使えるものを取り入れて作られている。《毅然たる一撃》《シガルダの助け》と1マナのカードで装備コストを踏み倒し、ハンマーこと《巨像の鎚》を装備させて攻撃する!破壊力抜群の1枚で一点突破、2回殴ってハイ終了というわかりやすさが魅力のコンボである。
ハンマーのイラストのように大振りに見せかけて、とにかくコンボパーツが軽くて一切の無理なく狙えるというのが最大の強み。《武器庫の開放》のように装備品サーチもあるので、コンボの成立は皆が想定している以上に簡単かも?
このハンマーコンボ、文字通り色が出るのは装備させるクリーチャーのチョイス。とりあえず軽ければなんでも良い、1マナ域が中心であれば瞬殺が狙えるので各カラーから各々好みのもの・優秀なものを集わせた構成にしたいものだが……このリストが選んだのは赤!そのチョイスを決定的なものにしたのは《騒音の悪獣》だろう。このゴブリン、ハンマーを付けて攻撃し、それがブロックされずにプレイヤー本体に通ると……生け贄に捧げても良い。そうしたら死亡時に誘発する能力の引き金が引かれ、自身のパワー分のダメージを与えられる。対戦相手を対象に取れば、ハンマー装備の戦闘ダメージで11点+死亡時の11点で、ワンパンKO!2ターン目に決まるとあっては、こりゃ狙いたくなるのも頷けるクールさ。1ターン目に悪獣が出てきたら、呑気にガードを下げてはいけない。
ハンマーコンボの弱点をあげるのであれば、適当なクリーチャーでブロックされて凌がれるということは無視できないファクター。装備しているクリーチャーが飛行を失うため、トークンが複数立ち塞がったりすると中々本体にダメージを叩き込めないという展開もあるやも。
そこでトランプルに頼るというのは自然な発想。このリストでは1マナでトランプル持ちの《溌剌としたヒューズリング》を採用。これで使い捨てブロックの時間稼ぎも許さない。《軍勢の忠節者》は共に攻撃したクリーチャーらに先制攻撃とトランプルを付与、さらにトークンでのブロックを禁じるというハンマーが望む要素を全部提供してくれる。本人も速攻を持つので単体でもハンマー奇襲をかけられるという点がクールであると評価できる1枚だ。
上記の優秀なクリーチャーらはすべてゴブリンである。そこでこのリストは《ランドヴェルトの大群率い》《ゴブリンの群衆追い》と強力な部族デッキ支援カードを搭載し、ハンマーコンボが決まらなくともゴブリンデッキとしてビートダウンを決められるように設計されている。こういう保険というか、コンボにすべてを捧げていないサブの勝ち手段があるデッキ、クールだよな。
逆にこれらゴブリンでのビートに気を取られていると意識の外から飛び出してきたハンマーでボッコォォンッと一撃持っていかれるというシナリオも。パイオニアでは白が絡む土地を出してくるクリーチャーデッキには“そういうこと”が起こり得ると警戒をしておいて損はないかもね。
さて、このハンマーデッキの最もクールなところを解説する時が来た。一本目をハンマーぶちかまして勝利した後、このリストは……ハンマーを捨て去る!武器に頼るのはメインだけだと言わんばかりにクールな武装放棄。《巨像の鎚》およびそれを装備するためのカードをまとめてサイドボードと入れ替えてしまうのだ。
何故そんなことをするのか?答えは簡単「対策されるから」である。《巨像の鎚》を破壊されてしまっては、ちっぽけなクリーチャーで攻撃しただけになってしまう。大抵どんなデッキにも《コラガンの命令》のようにアーティファクトを破壊する手段がサイドボードには取られている。また《シガルダの助け》はエンチャントなので、アーティファクトとエンチャント両方を破壊するカードも対策として刺さってくる。強いからこそ脆い、このハンマーというコンボ。故リストにおけるそれのためだけにあるカードを数えると
4 《毅然たる一撃》
4 《シガルダの助け》
3 《武器庫の開放》
4 《巨像の鎚》
トータル15枚だ。つまりはサイドボードの枚数とピッタリ。これらを全部抜き去って、サイドと総入れ替え。これがこのデッキのクールすぎるテクニック!《人目を引く詮索者》《ゴブリンの首謀者》などのゴブリン部族デッキの定番カードを迎え入れ、相手のアーティファクト対策を無駄カードにしつつビートダウン!アドバンテージ源も手に入って物量勝負もどんとこい!なわけである。いやぁ~よく計算されてるなぁ。
メインは1マナのカードを連打する構成なので、土地は2枚あれば勝ててしまうレベル。そこで土地の採用枚数は絞って20枚。これをそのままサイド後のゴブリンデッキに適用すると今度は4マナのカードも加わるので、それじゃあちょいと厳しいものがある。ゴブリンデッキはマナを食うものなので、土地20枚で運用しようというのはいささか無謀だ。
なので、このサイドボードには土地もしっかりと採用されている。このサイド後にマナ域がずれるために土地を用意しているリスト、クールで好きなんだよなぁ。《バグベアの居住地》《変わり谷》とどちらもゴブリンデッキで輝く土地というのもナイス。さらに《スカークの探鉱者》も備え、いざという時にはゴブリン自身がマナとなる。しっかり備えているからこそ、デッキのメインパーツ全入れ替えという大胆な戦術を用いられる。無謀に見えて、細やかな気配りがなされている、玄人もこれにはクールな笑顔でサムズアップだ。
スパイシーでクールなパイオニアのデッキ、いかがだったろうか。コンボデッキを組む際には、このリストのようにコンボだけで戦うのではなく別の勝ち手段を設けておくことが勝率を高めてくれることもあるだろう。何より、こういう変形機構を備えたデッキってクールだよ、使っててめちゃ楽しいぜ。サイド入れ替えというちょっとした作業の時間もクールなひと時に早変わり。皆も工夫を凝らしたデッキリストで、観る者を魅了するデッキデザイナーになってくれ!
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Bring your hammer!!
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