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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
緑単ランプ:ゾパンドレル(スタンダード)
新ファイレクシアのアレ、結局何だったんだのコーナーッ!
多次元への侵攻に失敗し、組織の中核を担う者達がことごとく死亡したことで新ファイレクシアの軍勢は崩壊。テフェリーやレンらの力により、新ファイレクシアは多元宇宙の果てに封印され、しばらくは背景ストーリーにも登場することはないだろうと考えられる。独自の社会システムを持つファイレクシアンたちの世界はよくわかっていないことも多く、一体アレはなんだったのか?何を意味していたのか?カードを通して我々に謎を残して去っていくもの多数。いつの日か再登場で色々と明かされることもあるんだろうな……なんて考えながら向こう10年位は妄想が捗る。
同時に、カードを見ただけではわからないが設定が公式に公開されているものもある。たとえば……ドミヌス。何の前触れもなくいきなり現れた、5色それぞれに存在する伝説のホラーたち。いずれもまさしく“異形”という見た目で、異形スキーの僕などにはたまらない造形をしていてどいつもこいつもカッコいい。《飢餓のドミヌス、ゾパンドレル》などはどこから身体でどこから顔なのかもハッキリわからない、SF世界の宇宙怪獣感がたまんねぇな。
ドミヌスってそもそもなんなのか?その設定は一応明かされている。新ファイレクシアがミラディンの地表に進出して地形を彼らの望むものに作り変えた際、土地の一部そのものが自我を得たという。わけがわからないが、ファイレクシアの汚染が何かしらの良くない奇跡を引き起こしたのだろう。そうやって自我を持った土地はさながら神の如き力を持ったクリーチャーとなったミラディンの一部だったもの、それがドミヌスとのことだ。
ゾパンドレルはファイレクシアの緑の球層、狩猟迷宮から生まれた。設定資料には「彼女」と書かれている。雌雄の概念があるのか……ゾパンドレルは行く先々でそこにあるものをファイレクシア化させる胞子をまき散らすという。タチ悪ィ!さらに餌を食べる時には狩った者の首を必ず刎ねるのだという。エゲツネェ!多元宇宙で絶対に遭遇したくないクリーチャーランキングでも上位に入賞してきそうなこのドミヌス……ゲームでも使ってみたいと思わないかい?
7マナと重いが、それを支払う価値は大いにある。4/6と素のサイズはそれほどでもないのだが、各ターンの戦闘の開始時に……自身の全クリーチャーのサイズが倍になる!ゾパンドレル自身は8/12と、相討ちに取ることは接死でもないと困難なスペックに。その他のクリーチャーも皆ムキムキボディになるので、これを出して戦闘を行えれば勝利は目の前。不要なクリーチャーを2体食わせれば破壊不能も得るので、思い切って戦場に出すのを躊躇わずに済むのが良いところ。今回はこのゾパンドレルを用いるスタンダードのデッキを……いってみようッ!
26 《森》
-土地(26)- 4 《硬化した屑鉄喰らい》 4 《装飾庭園を踏み歩くもの》 4 《伝染病のヴォラック》 4 《秋の占い師》 3 《産業のタイタン》 3 《棘茨のワーム》 2 《ティラナックス・レックス》 2 《飢餓のドミヌス、ゾパンドレル》 -クリーチャー(26)- |
4 《梓の幾多の旅》 2 《急使の手提げ鞄》 2 《壮麗な日の出》 -呪文(8)- |
4 《タミヨウの保管》 4 《ガイアの贈り物》 4 《沈黙を破る者、スラーン》 1 《吠え群れの笛吹き》 1 《アヴァブルックの世話人》 1 《ティラナックス・レックス》 -サイドボード(15)- |
ゾパンドレルをフィニッシャーの1つに据えた緑単色の……ランプやビッグマナと呼ばれるアーキタイプだ。土地を戦場に出すカードを用いて使えるマナを増やし、パワーカード……つまりゾパンドレルのようなマッチョなカードを叩きつけて勝利することを狙ったデッキである。
ライブラリーから土地を戦場に出す《装飾庭園を踏み歩くもの》、手札から戦場に出せる土地の枚数を増やす《梓の幾多の旅》、多色のランプでもお馴染みのメンツを使って、あえての緑単!《森》26枚というマナ基盤が眩しいぜ。条件など一切なくアンタップで戦場に出せる、何よりも信頼できる基本土地のみの構成。色を足さないという決断、それによりもたらされる安定感。この勇気を後押ししたのはゾパンドレルら緑のファッティ(重いクリーチャー)たちだ。
改めて見ると《産業のタイタン》って書いてることヤバいっすな。デカくてキーワード能力もしっかり持っていて、攻撃役でもブロック役でも頼もしい。相手が速いデッキの時のライフ回復、《婚礼の発表》《運命に導かれし者、ケイリクス》など強力なエンチャントが蔓延りそうな今後のスタンダードにおける破壊できることの安心感、トークンに盾カウンターにとガチガチに硬い盤面を作る能力にと、マジで隙がねぇな。
タイタンがバランス型なら、攻めに完全特化しているオフェンス型のファッティは《ティラナックス・レックス》!速攻からの8点トランプル!打ち消されず護法{4}なのでインスタントを構えている相手にも臆することなく豪快にプレイしよう。毒性でのフィニッシュはあまり関係ないといえばそうではあるが、滅茶苦茶ライフ回復した相手にも勝ち目が残るので決してインクの染みじゃないぞ。
そしてまさかの激シブカード、《棘茨のワーム》!これを構築戦の舞台で目にするとは思ってもいなかったが……テキストを確認してみると、まあ確かに結構強いなコイツ。パワー7で到達にトランプル、5点回復とちょっとした《産業のタイタン》というところ。《喉首狙い》などでサクッと除去されてしまっても、墓地から追放して5点回復のおかわりができるのがなんともシブいぜ。ランプは伝統的に赤単などのアグロに弱い。大技を放つ頃にライフが風前の灯火になっていると、デッキの真価を発揮することができないからな。そこで計10点分の回復をもたらすこのワーム。実際に使ってみると緑単色のこのデッキに土俵際の粘りを与えてくれる味わい深いカードだ。どんなコモンやアンコモンでも使ってみるべきなんだなと、改めて学ばされたね。
スタンダードの景色が変わることでカード評価の見直しが行われている真っ最中。《壮麗な日の出》のようなポテンシャルを感じさせるカードもしっかり採用されているところが抜け目ないね。
色んな事ができるこのエンチャント以外にも、プレインズウォーカーだったりクリーチャーだったり、これまであまり目立たなかったカードを見返してみよう。あれ?こんなカードあったっけ?というカードを見かける機会が増えるなら、スタンダードは益々楽しいものとなるはず。この緑単のように、これまで影が薄かったアーキタイプ、全く新しい軸のデッキ、フォーマットの未来を拓くのは君かもしれないぞ。
というわけで結論、
ドミヌスがなんなのか、結局よくわからんがヤツらは強いぞ!
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