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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:天界からの“ゲドン”を放て!ボロス麒麟コンボ(モダン)

岩SHOW

 ハルマゲドン。善と悪の最終戦争、ないしそれによりもたらされる終末そのもののこと。

 ん~っ、クールだ!どうも、岩SHOWです。今日は金曜日、最早おなじみ!僕がクールに感じたデッキを戦績や強さに関係なく取り上げるCool Deckのコーナーだ。今週はクールなカード名から始まる。《ハルマゲドン》!

 マジック最初のセットに収録され、そこから基本セットの常連として『第6版』まで収録され続けた伝統ある1枚だ。マジックを始めたばかりの頃はこのカードに憧れ、『ポータル・セカンドエイジ』のものを手に入れてからは白いデッキで使いまくったものだ。

 通称「ゲドン」、このソーサリーは4マナで……すべての土地を破壊する。すべての、そうすべての!たった4マナでゲームプランが完全崩壊!先のプロツアーで5マナ以上のカードが飛び交うスタンダードの試合模様を観た方には信じられないかもしれないが、このカードがあったため大昔のスタンダードではそのような重いマナ総量のカードは避ける構築をするのが推奨されていたものだ。このゲドンを巡る攻防、白相手には手札に土地をいくつか保持しておくなどのプレイをしていたのも今となってはクールな思い出だ。

 ゲドンはエキサイティングなゲームをもたらすものではあるが、上記の通り重いカードを扱うデッキ構築を否定してしまうものであり、環境の自由度を狭めてしまうので……スタンダードを経由するセットに収録されることはなくなった。すべてどころか、土地を破壊するというアクション自体が危険視され、それらを行う呪文は極力高コストに設定され、お互いにある程度マナが自由に使える局面で用いるマイルドなものへと調整されたものが現在のセットには収録されている。

 しかし……中にはいるのだよ、クールだったあの頃を取り戻したい!ゲドンを唱えて土地を吹き飛ばしたいと願うデンジャラスな連中が!今週はそんな想いが込められたモダンのクールなデッキを……

internetsurfer09 - 「ボロス麒麟コンボ」
Magic Online Modern League 5-0 / モダン (2023年5月5日)[MO] [ARENA]
4 《乾燥台地
4 《聖なる鋳造所
2 《感動的な眺望所
4 《錆付谷の橋
2 《ダークスティールの城塞
3 《トロウケアの敷石
2 《冠雪の山
1 《冠雪の平地
-土地(22)-

4 《敏捷なこそ泥、ラガバン
4 《イーオスのレインジャー長
4 《歴戦の紅蓮術士
4 《天界の麒麟
4 《孤独
4 《激情
2 《ウギンの召喚体
-クリーチャー(26)-
4 《稲妻
4 《爆裂 // 破綻
4 《儚い存在
-呪文(12)-
4 《摩耗 // 損耗
3 《沸騰
4 《神聖なる月光
3 《ヴェクの聖別者
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 モダンにはゲドンがある……否、正しくはゲドンを生みだせる!このリストからその仕掛けが分かるかな?……《破綻》を唱えるってんじゃないぜ。まあこれを《血編み髪のエルフ》の続唱経由で4マナで唱えるデッキもかつてはあったけども(クールだったが、ルール変更で今はできない)、それとはちょっと違うぞ。さあ、その答えは……

天界の麒麟》を用いる。ん?どこにも土地をどうこうとは書かれていないが……まあ待ってくれ。この麒麟のテキストをじっくり読んでみよう。スピリットか秘儀のサブタイプを持った呪文を唱えると、能力が誘発。それに等しいマナ総量を持ったパーマネントをすべて破壊する。これ、この手のカードに書かれているような破壊するパーマネントのタイプの指定がない。つまり土地も破壊可能なのだ。このカードが作られた当時は0マナのスピリットはなく、秘儀も非常に限られたものしかなく難解なコンボであった。

 しかし今この時代、モダンであれば麒麟をゲドンに昇華できるッ!《ウギンの召喚体》を用いるのだ。このスピリットはコストがX、0マナでも唱えられるので、2枚で土地を全て消し飛ばすゲドンが完成する。モダンは低コストのカードが主体の環境ではあるが、土地を並べることを重要視するデッキも多いし、どんなデッキでも意図せぬところに土地が全部消し飛んでしまってはたまったものではない。麒麟ゲドン、クールでたまらないぜ。また、ゲドンでなくとも2・3マナ域程度のパーマネントをまとめて吹き飛ばす全体除去としても用いることができるので、臨機応変に用いてゲームを支配したいところ。

 ゲドンを撃つデッキの大前提として、土地をすべて破壊したい時点で有利でなければならない。不利な状況でゲドンをしても自分の首を絞めるだけだしね。麒麟を含めると3/3飛行がいるので、他にもクリーチャーを序盤から展開して有利な状況を作り、土地をかっ飛ばしてそのまま殴りきりたいものだ。このリストは赤を足すことでそこのところを解決。何といっても赤には《敏捷なこそ泥、ラガバン》がいる!打点、アドバンテージ、マナ加速……全ての面で最高クラスの1マナ域!このお猿の宝物生成を用いて、3ターン目にゲドンなどという荒業も可能だ。《稲妻》でラガバンの道を阻むクリーチャーを除去。《激情》《孤独》も交えてこちらしかクリーチャーがいない状況を作って、ゲドンで勝負を決めよう。

 ゲドンコンボのために必要な《ウギンの召喚体》だが、ただこのカードを単体で見た場合、モダンで使うには少々力不足。特に1回ゲドンしたらもうあんまり必要ないかなというところで、そんなに手札に抱えたくないカードである。なので採用枚数は2枚に抑えてあるのだが、それでは引けない可能性も高まる。

 この問題を上手く解決してくれるクールなヤツが《イーオスのレインジャー長》!1マナ以下のクリーチャーカードを手札に加えられるので、これで召喚体をサーチ。ゲドンコンボが必要ないタイミングであればラガバンを持ってくれば良しと、隙が無く頼もしい。非クリーチャー呪文を唱えるのを禁止する能力で、麒麟を無理やり通してゲドンという動きは必殺ムーブになる。どんなゲームプランにも噛み合うクールな騎士だ。

 ゲドンに耐える破壊不能土地を採用しているのも抜け目がなくってSo Cool!《錆付谷の橋》と《ダークスティールの城塞》で、自分だけゲドン後に楽々展開して優位に立つべし。《トロウケアの敷石》も墓地に置かれると能力が誘発、平地タイプの土地をサーチして戦場に出すことで土地の減少を防げる。

 このトロウケアや破壊不能土地を活かして、《爆裂》を損失なしで唱えられるのもこのデッキのクールポイント。自分は破壊されても問題なかったり、そもそも破壊されない土地を対象にしつつ、対戦相手の重要な色マナ源を破壊して足止めしてやろう。無慈悲なまでの土地破壊、これぞクールなモダンというフォーマットの引き出し!

 今回は少し最新のカードから離れて、歴史を感じさせるテクニックにフィーチャーしてみた。次回は……『機械兵団の進軍:決戦の後に』の新カードが含まれたクールなデッキでも紹介できれば良いね。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Survive Armageddon‼

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