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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

兄弟戦争開戦直前! 黒単編(スタンダード)

岩SHOW

 背景ストーリーの舞台が『兄弟戦争』の時代にさかのぼることで嬉しいのは、個人的には元祖・ファイレクシアの軍勢を拝むことができるという点だ。

 現在、ドミナリアをはじめあらゆる次元に侵略の魔の手を伸ばしている新ファイレクシア。黒い油に触れてファイレクシア化した面々により構成された新ファイレクシアは、ミラディンの5色の太陽の影響もあってすべての色を内包し、それゆえに派閥も分かれている。

 これはこれでファイレクシアの影響を受けた生物のバリエーションに富んで魅力的ではあるのだが、『ウルザズ・サーガ』からマジックを始めた世代にとってはファイレクシア=黒or無色。機械の始祖ヨーグモスと彼の率いる軍勢は邪悪な黒、あるいは無感情のアーティファクトのみだった。

 そのクールさとわかりやすさに惹かれた古参としては、この旧時代のファイレクシアにまた会いたいなと願っていたので……『兄弟戦争』発表時から1年以上、高いテンションを保ったまま今日を迎えたわけだよ。

 全カードが公開された今、新環境に向けてスタンダードのデッキを組もうといういつもの企画。今回は黒と無色の機械の軍団を取り入れたデッキを構築しよう!

Sac - 「黒単アグロ」
MTGアリーナ 11月期ミシックランク達成 / スタンダード(BO1) (2022年11月4日)[MO] [ARENA]
24 《
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼

-土地(25)-

4 《進化した潜伏工作員
3 《教団の徴集兵
4 《しつこい負け犬
2 《穢れた敵対者
4 《墓地の侵入者
3 《黙示録、シェオルドレッド

-クリーチャー(20)-
4 《大牙勢団の襲撃
2 《切り崩し
2 《冥府の掌握
4 《絶望招来
3 《ヴェールのリリアナ

-呪文(15)-
Sac氏のTwitter より引用)

 

 まずは『団結のドミナリア』環境のスタンダードにおける黒単を振り返ろう。

 環境における最もパワフルな1枚に数えられる《絶望招来》。

 非常に濃い黒のシンボルを持ったこのソーサリーを用いるために黒単色のデッキが多く組まれたことは皆さんもよく知るところだろう。

 《黙示録、シェオルドレッド》《ヴェールのリリアナ》などの色マナ拘束を気にせずに用いることができるのも単色の魅力で、これらのカードパワーをストレスなく享受できる黒単最高!というプレイヤーはアグロだったりコントロールだったり、さまざまなバージョンを試してみたことだろう。

 こちらはクリーチャーが20枚、うち2マナ以下13枚と実質クリーチャーの《大牙勢団の襲撃》もフル投入とかなり軽めの構成で、アグレッシブに攻めることができる中速デッキというところ。

回転

 《しつこい負け犬》《教団の徴集兵》と戦場にクリーチャーを保つ能力も高く、《進化した潜伏工作員》でロングゲームも戦える。

 最後は《絶望招来》で戦場や手札に圧倒的な差をつけてフィニッシュ!

 『兄弟戦争』から新戦力として迎えられるものは……結構な枚数があるぞ。世界的に注目を集めたのは《ヨーグモスの法務官、ギックス》。

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 計7マナ支払って手札を捨てて、相手のライブラリーを追放してそれを自分のリソースにする「お前のものは俺のもの」主義あふれる能力もギックスのキャラクターを表現していて良いなとも思えるが、まあこっちは要求するコストが大きいのでオマケと捉えておこう。

 クリーチャーの攻撃が通るとドローを誘発させる、このわかりやすいアドバンテージ獲得能力は黒い軽量クリーチャーを用いるデッキにおいてこの上なく嬉しいもの。《黙示録、シェオルドレッド》との法務官コンボも素晴らしいが、それ抜きにしてもシンプルにカードを引けるのが強すぎる。次になるクリーチャー、土地、《絶望招来》……3マナのクリーチャーが一気に勝利を手繰り寄せてくれる。《しつこい負け犬》などの盤面での価値はこれまで以上に上昇するだろう。

 黒いアグロを組むのであればかつては《ナントゥーコの影》を使ったものだが……時代も進んですごい2マナクリーチャーが出てきたものだ。《苦難の影》、2/2と標準サイズのボディに2つのメリット能力!

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 相手の《しつこい負け犬》などへの対策としてナチュラルに機能する、死亡したクリーチャーを追放するもの、そして{1}で+1/+1修整のパンプアップ。特にパンプの方はかつての「○○の影」は皆{B}を要求したものだが、まさかの不特定マナ! ストーリー的には過去に遡ったはずなのにクリーチャーの質は最新鋭なのはツッコミどころか?

 この《苦難の影》は単色で使うものという縛りは特にないのだが、だが黒単アグロを組むなら入れない理由はないだろう。後半の余ったマナはすべてこれに注ぎ込んで、大ダメージを狙っていこう。

岩SHOW - 「黒単ミッドレンジ」
スタンダード(BO1) (『イニストラード:真夜中の狩り』~『兄弟戦争』)[MO] [ARENA]
24 《
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼

-土地(25)-

4 《進化した潜伏工作員
1 《教団の徴集兵
4 《しつこい負け犬
3 《墓地の侵入者
2 《黙示録、シェオルドレッド
4 《苦難の影
3 《ヨーグモスの法務官、ギックス
1 《ファイレクシアの肉体喰らい

-クリーチャー(22)-
2 《喉首狙い
2 《冥府の掌握
3 《絶望招来
2 《堕落
2 《ヴェールのリリアナ
2 《人体改造機の冠

-呪文(13)-

 『兄弟戦争』参入後のアグロ寄りの「黒単ミッドレンジ」サンプルリストだ。

 黒単ということは土地の大半を《》で構築できる。これを活かして《堕落》を採用。久しぶりにスタンダードに帰ってきた黒単の奥の手!

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 除去として使っても大抵のクリーチャーやプレインズウォーカーを処理でき、残りライフ少ない対戦相手本体に撃ち込んでフィニッシュにも持っていける、黒単だからこそのパワーカードだ。

 《絶望招来》とこれをライフをもぎ取るゴールに設定し、《苦難の影》など軽量クリーチャーでライフを詰める、そんなデッキに設計してみた。

 単色デッキはとにかく2色以上のマナを供給するレア土地が不要で、テーブルトップでもMTGアリーナでも組みやすいのが嬉しいところ。そういったデッキを環境初期に組んで、多数のゲームをプレイして徐々に多色化に向かってカードを集めていくのが良いね。

 元祖、本家本元のファイレクシアの邪悪さを感じるにはやはり黒単! 皆も悪の道を極めたデッキを組んでみようぜ!

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