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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴブリンデッキ2選! それは「嵐を導く雲の切っ先」(ヒストリック&エクスプローラー)

岩SHOW

 僕がマジックを始めたばかりの頃。その時期のマジックの基本セット(ここしばらく出ていないのでそもそも存在を知らない人もいるかもね)は『第5版』。このセットに収録されたカードはなんと449種類! 今のセット構成からは考えられないモンスター級のセットだ。

 《ネクロポーテンス》《ボール・ライトニング》《渦まく知識》など強力なカードも多数収録されており、マジックの基本中の基本のカードを集めるとともにデッキを大きく強化できるとあって、それはもう理想的なセットだったのだ。

 先日リリースされたばかりの『団結のドミナリア』はこの『第5版』の時代を思い出させる要素がある。レアの2色土地の枠に収録された《アダーカー荒原》《硫黄泉》などのダメージランド、これが初めて再録された基本セットが『第5版』だったのだ。

 また、『第5版』を初めて手にした時、そこにあったあるコモン。何の能力も持たない1/1、ゲームに与える影響は皆無に等しいようなスペックのカードだが、僕のようにそのカードからマジックというゲームにのめり込んだプレイヤーは少なくないはずである。能力を持たないため、テキスト欄にはたっぷりとフレイバーテキストを書くためのスペースがある。そこに記されたのは、

ランドヴェルト・ゴブリン紛争の複雑な内部関係は、しばしば無政府状態と混同される。だが、その混沌は雷雲の混沌であり、荒々しくも突然のうちに、その矛先は現れる。パシャリク・モンスと彼の略奪隊は、まさにこの嵐を導く雲の切っ先である。(日本語版より)

 

 なんだよこの無茶苦茶カッコいい導入は。《モンスのゴブリン略奪隊》!

 この壮大な物語へとプレイヤーを誘うフレイバー・テキストにより、マジックの背景世界へと一気に引き込まれてしまった。いまだにマジックが紡ぎ出す多元宇宙の物語に引き込まれているのは、まぎれもなくこのモンスの力あってこそである。

 そしてこの名文に記された種族名、ランドヴェルト・ゴブリン。このゴブリンはドミナリアに生息するものの中でも特別。知性を持ち、群れの中で文化や知識を共有、継承しあうという、立派な社会を築いているというのだ。

 そんな賢いゴブリンの名を冠するカードがついに! 『団結のドミナリア』にてカード化された! 《ランドヴェルトの大群率い》である。

 ゴブリンデッキを強化する新たな部族カード、この新カードの参入により、MTGアリーナでゴブリンデッキが活性化している模様!

AlthMTG - 「赤黒ゴブリン」
ヒストリック (~『団結のドミナリア』) (2022年9月3日)[MO] [ARENA]
3 《
4 《血の墓所
4 《硫黄泉
2 《憑依された峰
4 《荒廃踏みの小道
4 《バグベアの居住地
4 《閑静な中庭
-土地(25)-

4 《スカークの探鉱者
4 《雄叫ぶゴブリン
4 《人目を引く詮索者
4 《飛び道具の達人
4 《ランドヴェルトの大群率い
3 《パシャリク・モンス
4 《投石攻撃の副官
4 《上流階級のゴブリン、マクサス
-クリーチャー(31)-
4 《鏡割りの寓話
-呪文(4)-
3 《ゴブリンの損壊名手
4 《致命的な一押し
2 《魂標ランタン
2 《未認可霊柩車
4 《勝負服纏い、チャンドラ
-サイドボード(15)-
AlthMTG氏のTwitter より引用)

 

 というわけでヒストリックのゴブリンデッキ、最新リストを紹介だ。

 もともと《上流階級のゴブリン、マクサス》《投石攻撃の副官》など強力なゴブリンが多いため、ヒストリックでは人気の高いアーキタイプだ。

 ゴブリンはあらゆる次元に生息はするが、それゆえにゴブリンデッキに採用されるか否かのハードルは高いものになっている。

 そこに食い込んできた《ランドヴェルトの大群率い》のスペックを確認……まず2マナでゴブリンを全体強化する、通称「ロード」としての能力を持つ。

 意外とゴブリンにはこれまで2マナでこのロードにあたるカードがなかったんだな。その空いた枠をしっかりと埋め、他のゴブリンをサイズアップさせてガンガン攻撃していくのをサポートしつつ、もう一つの能力でクリーチャー除去への耐性も高める。

 ロードを用いるデッキはその恩恵を受けるために同部族を多数戦場に並べる。ゴブリンはただでさえ盤面を作ってナンボの部族。《神の怒り》などのまとめて流す全体除去には弱いのが常だが、大群率いはこれ自身かゴブリンが死亡するとライブラリーからカードを追放、期限付きではあるがそれがゴブリンであれば唱えて戦場を再構築可能。これさえあれば大群が壊滅してしまっても焦らずに済む。

 また、《投石攻撃の副官》《スカークの探鉱者》でトークンなどを投げてはライブラリートップ追放→次のゴブリンと繋げて、怒涛のラッシュをかますことも。

 気持ち良い勝利を演出してくれそうなアドバンテージ源、《人目を引く詮索者》とともに2マナ圏を分厚いものにしてくれるだろう。

 余談だが、《パシャリク・モンス》と共演しているのは味わい深い。

 モダンなどのフォーマットでも、英雄であるモンスと彼を信奉する知恵あるゴブリン軍団、セットで使ってみたいものだ。

Cunicoli Goblin - 「赤白ゴブリン」
エクスプローラー (~『団結のドミナリア』) (2022年9月5日)[MO] [ARENA]
3 《
4 《聖なる鋳造所
4 《感動的な眺望所
2 《日没の道
4 《針縁の小道
4 《バグベアの居住地
3 《エンバレス城
-土地(24)-

4 《雄叫ぶゴブリン
4 《ゴブリンの扇動者
4 《ランドヴェルトの大群率い
4 《軍勢の戦親分
2 《ホブゴブリンの山賊の頭
-クリーチャー(18)-
4 《ドラゴンの餌
4 《兵員の結集
4 《軍族童の突発
2 《祖先の象徴
4 《スカルドの決戦
-呪文(18)-
3 《ゴブリンの鎖回し
3 《削剥
2 《バーニング・ハンズ
1 《丸焼き
1 《溶岩コイル
2 《安らかなる眠り
1 《風化したルーン石
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
Cunicoli Goblin氏のTwitter より引用)

 

 さらにこちらはエクスプローラーのゴブリン、これは赤に白を足したもの。

 《祖先の象徴》《兵員の結集》《ホブゴブリンの山賊の頭》とロードになるパーマネントと大群率いを組み合わせ、

 《ゴブリンの扇動者》《軍勢の戦親分》《ドラゴンの餌》《軍族童の突発》でトークンを大量展開。

 数と質、両方の暴力でノックアウト! 難しい要素はほとんどなく、とことんライフを狙って真っすぐ攻撃していくデッキなので、初心者にもオススメできるデッキだ。

 スタンダードではまだ少々ゴブリンが足りないかも? だが今後2年間のスタンダードにおいて、《ランドヴェルトの大群率い》は新戦力の加入を待ち続けることができる。

 十分に戦力が揃う、その日が来るまではヒストリックやエクスプローラーで、新たなゴブリン生活を楽しもう。もちろん、パイオニアやモダン、レガシーでも使ってみてね!

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