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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

セレズニア・テレポート:リムジンが走る風景(スタンダード)

岩SHOW

 今年の12月にはラスベガスでドでかいマジックのイベントをやるようだ。

 過去何度か、ベガスのグランプリ会場に赴いたことがあるが……あの規模のデカさは日本では味わえないかもしれないな。何といっても会場がデカい、デカすぎる。こんなデカいホール、普段は何に使っているんだろうとアメリカのサイズ感に圧倒される。

 もちろん席数も多く、大量のプレイヤーが同時にマジックを堪能しているのだが、テーブル間の幅が広いのもあってひしめきあっているという感じはなかったな。

 ただ、テーブルが多いし長いしでラウンドごとに移動するのが大変。仲間とはぐれると合流するのも難しいと、デメリットもあったな(笑)。そういうのも含めてアメリカを体感できることは間違いない。

 深夜1時とかでも普通に会場が開いていて、ドラフト開催されているのも日本じゃ見れない光景だよなぁ。時差ボケもあってベガスじゃむしろ夜の方が活発に動けるね、日も暮れれば暑さも多少和らぐし。

 ベガスの夜となるとちょっと怖そうなイメージはあるが、観光客向けの表通りなんかは煌びやかで平和なもんだ。リムジンが走っている光景も普通に見ることができるよ。映画で見た世界観!という小さな感動を覚えたものだ。

 リムジンと言えば、マジックの多元宇宙にもその存在が確認されたね。ニューカペナの街を走るのは《謎めいたリムジン》!

 1人乗ると1人降りる、そんな乗り物としての機能を再現したかのような能力が面白い。時に自身のクリーチャーを乗せて除去から遠ざけ、時に相手のクリーチャーを無理やり乗せて戦場から除去できる。

 そんなゴージャスでデンジャラスなリムジンを使ったデッキ例を紹介しよう!

The_Magician - 「セレズニア・テレポート」
Community Turnier 2/2022 ベスト8 / スタンダード (2022年7月2日)[MO] [ARENA]
5 《平地
3 《
2 《スパーラの本部
4 《草茂る農地
4 《枝重なる小道
1 《フロスト・ドラゴンの洞窟
1 《ハイドラの巣
1 《皇国の地、永岩城
1 《耐え抜くもの、母聖樹

-土地(22)-

4 《裕福な亭主
4 《神憑く相棒
3 《祝祭の出迎え
2 《野心的な農場労働者
2 《粗暴な聖戦士
3 《スカイクレイブの亡霊
2 《装飾庭園を踏み歩くもの
2 《聖域の番人
4 《産業のタイタン

-クリーチャー(26)-
1 《ポータブル・ホール
4 《テレポーテーション・サークル
1 《エメリアの呼び声
1 《変わり樹の共生
3 《エシカの戦車
2 《謎めいたリムジン

-呪文(12)-
2 《黎明運びのクレリック
1 《スカイクレイブの亡霊
3 《精鋭呪文縛り
1 《エメリアのアルコン
2 《栄光の守護者
3 《ポータブル・ホール
1 《運命的不在
2 《放浪皇

-サイドボード(15)-
Melee より)

 

 スタンダードの白緑デッキ、主体となるのはクリーチャーとアーティファクトだ。デッキのゴールと呼べるものは《聖域の番人》と《産業のタイタン》。

 どちらも単体での戦闘力が優れており、さらにアドバンテージを獲得できる能力を持っている。これらでゲームを支配するってわけだが、そこに至るまでの道筋がこのデッキのオリジナリティを感じるところだ。

 このデッキの主役はズバリ、《テレポーテーション・サークル》!

 ターン終了時に自分のアーティファクトかクリーチャーを追放し、すぐさま戦場に戻す。一見、初心者には一体何をするカードか分かりにくいかもしれない。

 このような瞬間的な追放を「ブリンク(あるいは明滅)」と呼ぶ。ブリンクの利点は……攻撃してタップ状態のクリーチャーをブリンクするとアンタップで帰ってくるので、ブロック役に回すこともできる。アーティファクトのタップ能力を使ってブリンクして起こしてもう1回使うのもオツなもんだ。

 相手にこちらのパーマネントを弱体化させるオーラを付けられた際にも、ブリンクしてそれを剥がしてやることも可能だ。

 とかなんとか言っても、やっぱり一番は能力の再利用! 戦場に出た時に能力が誘発するクリーチャー、そのバリエーションは多岐にわたる。これをブリンクさせて再利用することで、大きくアドバンテージを得ようというものだ。こういう能力を昔は「comes into play」と表記したのでそのイニシャルからCIP能力と呼んだり、今の表記「enter the battlefield」からETB能力と呼んだりする。まあそういう略称は好きなように使えば良いと思うし、正解とかはないので何を意味しているかほんのりわかれば対戦時のコミュニケーションに問題はないだろう。

 この誘発型能力を使いまわしてアドバンテージを得るために、デッキ内には《テレポーテーション・サークル》と好相性のカードがズラリだ。まとめてみよう。

 まあ何でもできてしまうわけだなこりゃ。これらの能力を場面によって使い分け、《聖域の番人》《産業のタイタン》が機能しだす状況まで繋げていく。そしてこれらのクリーチャーが出入りすることで《裕福な亭主》《祝祭の出迎え》の能力も誘発する。こういう細かな積み重ねが勝敗を分ける要素として無視できないことがある。

 そして、冒頭でも触れた《謎めいたリムジン》!

 これを《テレポーテーション・サークル》で使いまわすと、かなり面白い動きができる。リムジンの追放する能力で自身のクリーチャーを乗せたうえで、ターン終了時にこれをブリンク。そうするとリムジンが戦場を離れたことで追放されているクリーチャーが戦場に戻ってくる。それの能力をもう一度誘発させつつ、ブリンクで戻ってきたリムジンでさらにクリーチャー追放をおかわり。自分のクリーチャーか対戦相手のそれか、乗せるものは臨機応変にね。トークンなんかは追放すると戻ってこないので、リムジン一台をテレポートさせてバンバン消し去ってやるのも良い。皆は知らないリムジンには乗らないように。

 《謎めいたリムジン》を手にラスベガスへと渡航。リムジンの本場でカードを片手に記念写真。そういうマジックプレイヤーならではの旅行なんてのも良いんじゃないかな。現在は国外に比較的行きやすくなったようだが、まだまだトラブルは多いようで……その辺も含めて皆さん旅には気を付けて。気兼ねなく海外のイベントに参加できたあの頃に、完全に戻る日が来ますように!

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