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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:バフされたカードでデッキ構築! ウィザード&エルフ(ヒストリック)
今週もやってまいりました! 何がって? クールなデッキを取り上げる当コーナーのお時間だよ!
今回は早速、ルールとは関係のない用語の説明から入ろう。「ナーフ」と「バフ」についてだ。これらのフレーズ、耳や目にしたことあるかな? これらは主にオンライン要素を持ったゲームにて使われている。
「ナーフ(Nerf)」とは、マジックを製造・販売しているウィザーズ・オブ・ザ・コーストの親会社であるハズブロ社の看板商品で、柔らかいスポンジの弾を発射する銃型のおもちゃのことだ。(参考ページ)これになぞらえて、強すぎるものを弱体化させてバランスを取ることをナーフと呼ぶ。実銃がおもちゃになっちゃったってことで、なかなかクールな表現だなと思うね。
一方「バフ(buff)」は語源が諸説あるが、ナーフとは逆に、強化することを意味する。
マジックにおけるナーフとバフは使われるようになってから歴史が浅い。昨年に新フォーマットである「アルケミー」が制定されてから用いられるようになったってところだね。
このMTGアリーナ・オリジナルのフォーマットは、オンラインゲームであることを活かしてマジックでは初めてカードにナーフおよびバフを行う環境として制定された。ナーフの例としては《黄金架のドラゴン》や《アールンドの天啓》が本来のテキストよりも弱体化し、支配的なカードからややマイルドな存在となっている。そうすることで他のカードの出番を増やし可能な限り多くのカードが活躍することを期待しての処置だ。
そしてバフ、こちらに関してはかなり多くのカードに対して施されている。コモンも含め、ややカードパワーが抑えめにデザインされたカードを構築の場でも活躍させたいとの願いを込めて、設定されている数値が上昇したり各種コストがより扱いやすいものになるなど、適度な強化が行われているのだ。
こんな導入をするからには、もちろん今回はこのオンラインならではの調整に関係のあるデッキを取り上げる。
アルケミーの再調整はヒストリックにも影響を及ぼす。そのため、バフされたカードが新たな可能性を密かにもたらしたりしているのだ。というわけでこれからバフされたカードを用いるクールなデッキを2つ見てもらうぞ!
2 《山》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 4 《尖塔断の運河》 4 《河川滑りの小道》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《ギトゥの溶岩走り》 4 《損魂魔道士》 4 《A-対称の賢者》 -クリーチャー(16)- |
4 《溶鉄の衝撃》 4 《火遊び》 4 《ショック》 4 《表現の反復》 2 《ジュワー島の撹乱》 4 《舞台照らし》 4 《魔術師の稲妻》 -呪文(26)- |
4 《レッドキャップの乱闘》 4 《霊気の疾風》 3 《丸焼き》 4 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
ヒストリックの「イゼット(青赤)ウィザード」だ。この類のデッキは以前より存在しているが、《秘密を掘り下げる者》(英名よりデルバー)の登場により使用者が増えたように思う。
ウィザードをコントロールしていると1マナになる《魔術師の稲妻》の恩恵を受けるため、デルバーなど1マナのウィザードを多数盛り込んだアグレッシブなデッキだ。《火遊び》など他のダメージ呪文も多数採用し、インスタントとソーサリー中心とした構成にすることでデルバーの変身を促し、早いターンからパンチの効いたクリーチャーで攻めていく構成だ。
《損魂魔道士》《ギトゥの溶岩走り》と、それらの呪文と好相性のウィザードが多く、また青と赤の2色であるので《表現の反復》というパワフルなアドバンテージ源を用いられるのが嬉しいところだ。
ダメージ呪文を対戦相手やクリーチャーに撃ち込んで、ウィザードらで殴り勝つ! スピーディーな決着を理想とした、カラーリングも相まってクールなデッキである。
このデッキが得たバフされたカードというのが……《対称の賢者》が再調整を施された《A-対称の賢者》!
これもまた1マナのウィザードだね。飛行を持っていてタフネスは3、しかしながらパワーは0。このままでは攻めに使えるようなものではないが、そこは大丈夫。魔技が誘発するとクリーチャー1体の基本のパワーを3にすることが可能だ。
《ショック》などで相手のクリーチャーを除去しつつ、賢者をパワー3にして殴るという動きはシンプルにして強力! もともとはパワーを2にするものだったのだが、これがバフされて3になったことで、《秘密を掘り下げる者》とともに1マナでパワー3飛行のウィザードという小隊を組むことが可能になったというわけである!
そしてこの賢者のクールなところは、基本のパワーを3にするクリーチャーは自分自身に限らないということ。自身の他のクリーチャーをこれで強化するという攻め方もできてしまうのだ。
これ、「基本のパワー」ってところがクールなポイントでね。たとえば《ギトゥの溶岩走り》を対象にして、かつ墓地にインスタント&ソーサリーが2枚以上あると、基本のパワーが3になったところに溶岩走り自身の能力でパワーが1上昇、結果4/2速攻という破格のスペックの完成だ。《損魂魔道士》の果敢による修整もまたパワーが3になった上からかかることになる。
バフされたカードが他のカードをバフするというのもまたクールじゃないか?《A-対称の賢者》はアルケミーのバフを経て、ヒストリック級のカードへと成長を遂げたのだ!
クールテクニック!
このデッキをプレイしていて初めてわかったことがある。《損魂魔道士》とダメージ呪文の関係だ。
損魂はクリーチャーに与えられるあらゆる戦闘以外のダメージを-1/-1カウンターに置換する。これにより相手のクリーチャーを弱らせるのはかなり強力な動きなのだが……時に思いがけない挙動を招く。
たとえば《溶鉄の衝撃》。
この4点ダメージ呪文は、相手のタフネスを超過した分の余剰ダメージを取っておいて、次にインスタントかソーサリーを唱えた際にその余りを再度クリーチャーかプレインズウォーカーに与える除去として再利用が可能だ。
しかしながら損魂がいると……ダメージを与えるわけではなくなるので、余剰も何もなくなってしまい、本来の挙動が取れない形になる。それでも-1/-1カウンターを4個割り振ること自体が強く機能する場面はあると思うので、予想外の結末にならないようにだけ注意して併用するようにしたいね。
逆に《レッドキャップの乱闘》は赤以外のクリーチャーに「ダメージを与えた」場合にのみ土地の生け贄というペナルティが課せられる。
つまり-1/-1カウンターに置換してしまえば、ノーリスクであらゆるクリーチャーに投げつけられる! このクールなプチコンボ、決まると相手が「ん?」と動揺しているのが伝わってきて面白いぞ。
1 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《繁殖池》 4 《湿った墓》 3 《草むした墓》 3 《清水の小道》 4 《花盛りの湿地》 -土地(19)- 4 《縫い師への供給者》 1 《脳蛆》 1 《心悪しき隠遁者》 1 《スカイクレイブの影》 1 《ヴァントレスのガーゴイル》 2 《大スライム、スローグルク》 1 《ブラックブルームのならず者》 2 《ゴルガリの略奪者》 1 《憑依された死体》 1 《不可思議》 4 《霜のモーリット》 1 《ロッテスの巨人》 -クリーチャー(20)- |
4 《異世界の凝視》 3 《骨の破片》 2 《精霊との融和》 1 《ジャック・オー・ランタン》 4 《ウィザーブルームの命令》 1 《バーラ・ゲドの復活》 1 《這い寄る恐怖》 1 《掘葬の儀式》 4 《A-ヘラルド、エルフを統一する》 -呪文(21)- |
2 《心悪しき隠遁者》 1 《漁る軟泥》 1 《スカイクレイブの影》 1 《ヴァントレスのガーゴイル》 1 《圧倒される文書管理人》 1 《夜群れの伏兵》 1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 1 《狼の友、トルシミール》 2 《ボジューカの沼》 2 《思考囲い》 1 《骨の破片》 1 《コジレックの審問》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
本日2つ目、オマケ枠はこちらの……これはなんだ?という歪なリスト。
デッキ名は「モーリット・コンボ」。《霜のモーリット》を使ったコンボということはわかるね。
そしてこのデッキが使うバフされたカードは《ヘラルド、エルフを統一する》を再調整した《A-ヘラルド、エルフを統一する》。
このカードはⅠ章の能力で切削する枚数が3枚から5枚に増量された。たかが2枚、されど2枚。墓地からエルフを戦場に戻すこのカードが、自分自身でそのエルフを墓地に落とせる確率がグッと上昇したことでこのデッキが組まれたというわけだ。
モーリットは多相持ちなのでエルフだからね! これをリアニメイトして何か一発かましてやろうという魂胆だ。
切削と相性の良いエルフと言えば《ゴルガリの略奪者》。
墓地のクリーチャーの枚数分のサイズになる速攻持ちで、これを《A-ヘラルド、エルフを統一する》で釣り上げ、さらにモーリットでコピーしてやろうと。そこに《不可思議》が加われば、もう対戦相手のライフが残っているわけがない!というクールな発想を具現化したリストだな。
正直なところ、このリストをコピーしてプレイしたものの、どう動かせば良いかわからない場面が多く、綺麗に運用してコンボを決めることは非常に難しかった。リストを見てもらえばわかるように、1枚挿しが非常に多く、このリストの生みの親の専用機ってやつだなぁと。
アイディア自体はクールで参考にしたいものだが、土地から白マナが得られない構成で《ジャック・オー・ランタン》1枚のみで《掘葬の儀式》を運用するというのは、クールすぎて僕にはハードルが高かった(笑)。
《A-ヘラルド、エルフを統一する》を《縫い師への供給者》などと組み合わせて、ヒストリックならではの墓地利用デッキを作るという思想はまさしくクールデッカーの模範と呼ぶべきものなので、興味を持ったプレイヤーは各々でカード1枚1枚の役割を考えながら自身のリストを作ってみてね。
クールなまとめ
バフというクールな現象を味わえる、これもまたアルケミーおよびヒストリックの特色。特にカードプールの広いヒストリックでは、それが思わぬ化学反応を引き起こすこともあるだろう。他にもバフされたカードはたっぷりあるので、それらを眺めるところからヒストリックの構築を楽しむのもクールだと思うぞ。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Buff your deck!!
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