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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:河童は絶滅していなかった! レガシーにやってきた青き砲手(レガシー)
さあ今週もこの日がやってきた、クールなデッキを紹介する金曜日。今週のお題は……もちろん『神河:輝ける世界』の新カードを採用したデッキだ。
日本をモデルにしたこのセット、我々がクールに感じないはずがない! というわけでどのカードに注目するかだが、ここでいったん昔話を。
最近流行っているかどうかわからないが、僕が幼少の頃はテレビで定期的にこんな企画をやっていたものだ。
- 「幻のツチノコ、ついに発見か!?」
- 「カメラは捉えた! 座敷童の住む家」
- 「○○湖徹底捜索、そして○ッシーの姿が……!?」
みたいなね。正直、のめり込んだよね。世の中にファンタジーが満ちていた、おおらかな時代だったと思う。
今は陰謀論とかの都市伝説が主流になるのかな、そういったものよりは僕が幼少時に見た秘境探検や珍獣妖怪の類を追い求めるシリーズの方がクールだったなぁ。
その中でも最も日本らしいシリーズが「河童捜索もの」だな。河童、そうカッパ。誰もが知る日本の妖怪の代表格だ。初代神河ブロックは戦国時代風の世界観で、さまざまな神々が登場。この神というのはいわゆる妖怪変化や魑魅魍魎も含み、ずべらのようなマイナー妖怪名まで出てきたりした。
その中にもちろん、河童の姿も……なかった。《最後の河童の甲羅》なる伝説のアーティファクトがあるのみで、最後の河童ってことはこの世界の河童はもう絶滅したんだなと、全国の河童好きはがっくりと肩を落としたことだろう。
ただ河童の甲羅が伝説としてまつられているのは雰囲気抜群、僕らの世界にも河童のミイラをまつる寺や神社があったりするしね。
そんなクールな神河と河童の関係を味わうのもおつなもので……とか語り続けていたら2022年、青天の霹靂。最新の神河には平然と河童がいるではないか。ナンダッテー。
主席デザイナーのマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterいわく、河童が絶滅っていうのはちょっと誇張した伝承だったとのことで。まあ細かいことは良いじゃねぇかと。
日本に伝わる河童は水辺に住み、キュウリと相撲が好きで田植えなんかも手伝ってくれる結構気の良い知的生物だ。泳いでいる人を襲うとかいう話もあるが……さて、神河の河童はどうなのだろうか。
それじゃあデッキリストをcheck it out!
3 《島》 4 《教議会の座席》 1 《天上都市、大田原》 4 《古えの墳墓》 4 《ウルザの物語》 -土地(16)- 4 《湖に潜む者、エムリー》 4 《船殻破り》 2 《練達飛行機械職人、サイ》 3 《河童の砲手》 2 《思考の監視者》 -クリーチャー(15)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《オパールのモックス》 2 《水蓮の花びら》 4 《ウルザのガラクタ》 1 《ミシュラのガラクタ》 1 《改良式鋳造所》 4 《意志の力》 4 《永劫のこだま》 4 《虚空の杯》 1 《影槍》 -呪文(29)- |
4 《心悪しき隠遁者》 3 《フェアリーの忌み者》 1 《狼狽の嵐》 1 《真髄の針》 1 《魂標ランタン》 2 《四肢切断》 1 《世界のるつぼ》 2 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
ウェブカメラを利用したレガシーのオンライン・トーナメントにて全勝していたリストだ。レガシーはやっぱりカードを手に持ってプレイするのを好むプレイヤーが多いので、規模の大小や賞品の有無に関わらずこのような大会の需要が世界中であるようだね。
そういったコミュニティ自体がもうクールなのだが、このリストは神河の新カードから河童をチョイスしているのが一層目を惹くね。実は生きていた河童、その1枚である《河童の砲手》!
なんだよコイツは! 甲羅がカノン砲って……クールすぎるだろうがッッ。
一見すると妖怪らしい不気味な手足の長さに、何とも言えない表情に愛嬌があったり……そしてビジュアルだけでなく、この河童はカードとしてもピカイチの強さだ。神河の通常セットに含まれておらず、統率者デッキのカードとしてデザインされているため、今セットには収録されていない「即席」能力を持っている。スタンダードやパイオニアなどでは用いることはできないが、レガシーやヴィンテージでは統率者用カードも使用可能。この河童は多人数戦のみならず、古のカードが飛び交う戦場へと乗り込んできたというわけだ。
それではひっそりと生き続けてきた河童の実力、見せてもらおうじゃないか。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:河童という名の機械戦士
《河童の砲手》の持つ「即席」はアーティファクトをタップしてマナの支払いに充てられる能力のことだね。つまりはアーティファクト満載デッキだと早いターンで戦場に出せる。レガシーであれば0~1マナに強いアーティファクトがどっさり。なので《古えの墳墓》の力でも借りれば3ターン目なんかにはポンッと参上してしまう。
そうやって戦場に出た河童は「護法」能力も持っている。しかもその値は{4}! 最軽量の除去の代名詞《剣を鍬に》で対処しようとしても計5マナ必要で、これはもう実質呪禁みたいなもんである。
除去耐性を持った4/4というだけでもクールなもんだが、さらにアーティファクトが戦場に出ると+1/+1カウンターを得てブロックもされなくなるという、戦闘する気満々の前のめりっぷり。5点以上のダメージを弾き出す河童で3回殴って勝利、その手堅さたるや。
「河童の川流れ」ということわざがあるが、この河童はそんなうっかり者ではない。高い除去耐性とブロックされないという点は、かつてのレガシー最強フィニッシャーとして君臨した《真の名の宿敵》の彷彿とさせる。その宿敵と同じようなターンに戦場に出てきて、打点は倍以上になるというのだから……この河童のクールさは十分に伝わったことだろう。
これを取り入れたのは青単色のアーティファクト主体デッキ。《ウルザの物語》登場以降勢いが止まらないアーティファクト主体のビートダウンだ。
《オパールのモックス》《水蓮の花びら》《ウルザのガラクタ》《ミシュラのガラクタ》と0マナアーティファクトを怒涛の連打、そこに《ウルザの物語》のⅡ章能力で構築物・トークンを生成し、序盤から圧倒的なサイズのクリーチャーを展開。
《虚空の杯》でこれを除去から護りつつ、《渦まく知識》《思案》《暗黒の儀式》などの低コスト呪文もシャットアウトして相手の自由な行動を許さない。
一方的に有利な状況で殴り勝つ、クールな性格のデッキなのである。
メインカラーに青を選ぶことで《意志の力》で最悪の事態に備えられるというのはもちろんのこと、相手のドロー呪文を決して許さず、河童のためのアーティファクトを得られる《船殻破り》を使えるのは強いね。
青はもともとアーティファクトと好相性のカラーなので《湖に潜む者、エムリー》に《練達飛行機械職人、サイ》と1枚でゲームに勝てるポテンシャルを持ったカードもサブウェポンとして扱えるのも強みだな。
なんとかして生け贄に捧げさせるなどして除去した河童をエムリーから再利用されたら……「クール!」と叫んでしまうかも。
クールポイントその2:他人に厳しく、自分に甘く
相手のドローは許さないのに、青の得意とするドローの恩恵を自分は受ける気満々の構成なのもクールな根性していると言えるリストだ。
アーティファクトを並べる青いデッキならとりあえず入れておけばハズさない《思考の監視者》。これと《物読み》を4枚ずつ採用し、《物読み》の英名「Thoughtcast」が計8枚体制ってことで「8-cast」と呼ばれるデッキも人気上昇中だ。それらのデッキにも河童は入ってくるだろうね。
そして……《ライオンの瞳のダイアモンド》で捨てた《永劫のこだま》をダイアモンドから得た{U}{U}{U}でフラッシュバックする、レガシーでもお馴染みとなった《Timetwister》再現コンボも搭載。
3マナで7枚ドローは無茶苦茶強い! でも相手も7枚ドローしてしまうのは良いのかって? そこでさっき紹介した《船殻破り》と併せて使うってわけよ。相手は手札と墓地をライブラリーに混ぜて、その後カードを1枚も引けず手札は空。こちらは7枚ドローした上に宝物を7つ並べる。クールというか最早コールドの域に突入するレベルの格差社会だ。
それだけの宝物と引いてきたカードで河童を唱え、あるいは河童をパンプさせて突撃させる。こんなに楽しいゲームってのはなかなかないだろうなぁ。
クールテクニック!
即席で1ターンでも早く河童を戦場に出したい!そんな時に上手く使いたいのが《ライオンの瞳のダイアモンド》。実はこのカード、他の《水蓮の花びら》のようなマナを加えるアーティファクトと決定的に異なる点として、能力の起動にタップを必要としないのである。
つまりダイアモンドをタップして即席コストに充てて河童を唱え、その後そのダイアモンドを生け贄に捧げて《永劫のこだま》を捨てて……というクールすぎる動きが可能となっている。濃密な1ターンを味わおうぜ。
クールなまとめ
《ウルザの物語》で十分に強かったレガシーのアーティファクトデッキに、まさかの生き延びていた河童が加わってより強力な打点を授ける。《河童の砲手》が今後レガシーに定着することになるのか、要注目だね。
上記リストにさりげなく忍ばせてある《天上都市、大田原》も呪文ではない方法で各種パーマネントに対処する手段として、今後レガシーでもシブくクールな活躍を披露しそうだ。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Find the Kappa!!
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