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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:オルゾフ・スタックス(ヒストリック)
クールな大人ってどんな人だろうか――僕なんかはそういうことを意識しなければならない年齢に差し掛かっている(あるいは、もう手遅れかもしれない)。
どう生きればクールに見えるだろうか? 個人的には、当たり前のことをきちんと消化するというか、下地が出来ていないとクールには見てもらえないと思う。人としての基本……責任を果たす、とかかな。自らがやるべきことをきっちりこなす、それなしではクールもただのカッコつけとして鼻で笑われるってなもんだ。
ただ、責任を真面目にコツコツこなすだけではなくちょっと工夫して……上手くやりすごすのもまたクールな生き方だとは思う。マジックのルールの中でベストを尽くして勝利する、カードのデメリットを何らかの方法で無視してしまうというのがまさにクールな大人のプレイングってやつかな。
そんなわけで、毎週個人的判断で「これはクールだ!」と感じたデッキを紹介するCool Deckのコーナー。金曜日に更新させてもらっているが、今週はなんとなくノリで、木金連続でクールなデッキをお届けしようと思う。
そんなわけで第一弾となる今回のデッキは、自分に降りかかる災厄を正面から受け止めるのではなく、サッと受け流しなかったことにしてしまうクールな立ち振る舞いを見せてくれるものだ。
3 《平地》 1 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《秘密の中庭》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《陽光昇りの小道》 1 《ロークスワイン城》 -土地(21)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《暁の騎兵》 1 《永遠神バントゥ》 -クリーチャー(9)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《胆液の水源》 4 《忘却の儀式》 4 《裏切る恵み》 4 《悪魔の契約》 2 《予言された壊滅》 1 《エメリアの呼び声》 3 《食肉鉤虐殺事件》 -呪文(30)- |
2 《強迫》 1 《墓掘りの檻》 2 《安らかなる眠り》 1 《断割》 1 《消失の詩句》 2 《ケイヤの誓い》 1 《ケイヤの怒り》 1 《思考のひずみ》 1 《食肉鉤虐殺事件》 2 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 1 《情け無用のケイヤ》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
イニストラード・チャンピオンシップ終了後、直近のMTGアリーナのランク戦で6連勝以上のスコアを残したデッキをまとめたページで見つけた、ヒストリックのデッキだ。
チャンピオンシップで決勝ラウンドを争ったフォーマットとあって、今一度注目を集めているホットなフォーマットだ(例によってカードの再調整および『アルケミー:イニストラード』実装前のデッキなので注意されたし)。
色はご覧の通り白黒の2色、デッキとしてはコントロールにジャンル分けされる。このリスト、《致命的な一押し》《食肉鉤虐殺事件》などフォーマットを代表する定番カードの姿もあるが、他のデッキではまずお目にかかることのないような面々もズラリと並んでいる。そこがまさしくクールの肝の部分なのだよ。「オルゾフ・スタックス」の詳細を解き明かしていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:ややこしいもんは、生け贄でポイッ
「スタックス」とは古くから存在するアーキタイプの名前であり、ちょっとその由来はちょっと複雑なのでここでは省略。《煙突》という、お互いにパーマネントの生け贄を求められるカードを用いて、コチラの被害は最小限に抑えつつ相手の盤面は根絶やしにするというのが目的の低速コントロールデッキである。ジリジリと真綿で締め上げるような戦術が好きなプレイヤーにはたまらなくクールに映ることだろう。
そんな「スタックス」の精神を受け継ぐのがヒストリックの《予言された壊滅》デッキである。
お互いに土地とトークン以外のパーマネントの生け贄を要求し、対戦相手がそれができなくなればこちらに多大なる恩恵をもたらす、なんとも無慈悲でクールなエンチャントである。
《予言された壊滅》を用いる際には、こちらは生け贄に捧げても痛くないパーマネントを戦場に並べるものである。戦場に出た時点でもう仕事を果たしているカード、あるいは生け贄に捧げることで何かを得られるカード。そういったものと組み合わせることで、こちらは壊滅の被害を受けることなくこのエンチャント自身を戦場に維持するのである。
で、この壊滅。パーマネントを生け贄に捧げられるのであれば……なんだったら厄介なものをこれで処理しちゃっても良い。例えばスタンダード時代からの定番《裏切る恵み》。
3枚ドローという恵みをもたらすものの、その後は呪文を唱えるたびにライフを失わせる諸刃の剣。これを《予言された壊滅》で生け贄に捧げることで、こちらの何かを消費することなく美味しい部分だけそっくりいただくのである。
そして、《裏切る恵み》よりもさらに大きなデメリットを持つカードを処理できた時、クールさはさらに極まろうというもの。そのカードは《悪魔の契約》!
おそらくはヒストリックで最もリスキーなエンチャントであろう。何せ、これを戦場に出せば最後にはゲームに敗北するのだから。
アップキープごとに4つある能力のうち1つを選ぶのだが、敗北以外の3つのモードはいずれもプレイヤーにとって嬉しいもの。カードを2枚引き、対戦相手に2枚捨てさせ、4点ダメージ&4点回復……これらを1枚のカード、たった4マナで得られればアドバンテージは天井知らずだ。
そう、この契約を最後まで全うする前に、《予言された壊滅》の能力で生け贄に捧げてしまって……契約破棄! これは責任を放棄しているのではなく、賢く立ち回っているのである。クールな大人だろう?
クールポイントその2:ギリギリまで味わい尽くしてこそのクール
《悪魔の契約》で気をつけなければならないところは、メリット能力を3つとも消化してから《予言された壊滅》で生け贄に捧げようとしても間に合わないということ。なので完全に味わい尽くす前に放棄しなければならない。
これはもったいないよなぁ……割り切るのもクールだが、最後まで味わい尽くす努力もまたクール。ということでアップキープではなく自身のメイン・フェイズなどに生け贄に捧げられるカードを用意してデッキの完成度を高めている。
中でも注目は《忘却の儀式》。
パーマネントを生け贄に捧げつつ相手のパーマネントを追放できるので、《裏切る恵み》や《悪魔の契約》を生け贄に捧げつつ盤面の脅威に対処しよう。
《胆液の水源》も墓地に落ちることでカードが引ける、何も気にせずに破棄できる気の利いた置物だ。
《永遠神バントゥ》も生け贄をドローに変換するナイスフィニッシャー。
自身のパーマネントを破壊することで3/3のゴーレムを得られる《暁の騎兵》もこのデッキのフィニッシャーを兼ねる。
契約の最後の最後まで味わい尽くしてからバキッと粉砕して、対戦相手にとっての絶望を突き付ける……クールなゲーム、体験しようぜ。
さらなるクールのために
サイドボードにはケイヤや彼女に関するカードがたっぷりと。ここまできたら《霊狩り、ケイヤ》まで採用してケイヤデッキとして突き詰めてみるのも面白い。
トークンは《予言された壊滅》に引っかからなかったり、あるいは他のカードで生け贄に捧げたりしても痛くはないからね。《霊狩り、ケイヤ》のトークン倍増能力を使って、スタックスの次なる領域に挑んでみよう。
クールなまとめ
何でもかんでも正面から真面目にぶつからなくても良い、ヤバい事態は上手く立ち回って回避する。「オルゾフ・スタックス」はそんな人生において大事な、そしてクールなことを教えてくれる。
マジックを突き詰めれば、ゲームの勝利も人生の勝利も、その手にすることができるんじゃないのか? そんなところで今週は……否、今回はここまで。Stay cool! See you tomorrow!
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