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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アリーナ・オープンにて活躍した《ニヴ=ミゼット再誕》デッキの紹介と今後(ヒストリック)

岩SHOW

 『イニストラード:真夜中の狩り』デジタルにて先行リリース、そして今週末カードも発売開始ッ!

 ということですっかりイニストラードに皆の気持ちが染まり切っているタイミングだとは思うが、当コラムを作成している段階では新セット登場前の最後のビッグイベント、MTGアリーナで開催される賞金制イベントである「アリーナ・オープン」の真っ只中。

 2日間かけて行われるこの大会、初日の予選にはその気になれば何度でも出場できる。そのため、初日抜けしたリストを共有すると皆がそれに飛びつくという、ちょっとした祭り状態。

 今回のオープンはヒストリックで、個人的にも好きなフォーマットなので出場も考えていたのだが……デッキが練り切れておらず、また予定などもありアリーナにかかりきりになる時間も短かったのもあって今回は見送り。

 ゲームはせずとも様々なデッキリストを楽しめるのもこのトーナメントの魅力だ。今回はBO1(1本勝負)で3敗するまでに7勝するか、サイドボードありのBO3(2本先取)で4勝0敗すると2日目の参加権利獲得となる方式だった。

 多くのプレイヤーが4勝0敗はハードルが高いと見ていたようで、BO1の7勝リストをネット上に投稿していた。個人的には後手とマリガンで負けてしまうのが怖く、ヒストリックでBO1をやる方が自信がなかったのでやるならBO3と考えていたので、ちょっと意外な結果ではあった。

 どちらかといえばランク戦などに反映させたりここで紹介することも考えて、BO3のリストが見たいなと……そう考えていた日曜の夜、ちょうどおあつらえ向きのBO3突破リストが目に飛び込んできた。しかもそのデッキ、まさかの……。

TheOneJame Rutherford - 「5色ニヴ=ミゼット」
アリーナ・オープン 1日目4勝0敗 / ヒストリック (2021年9月11日)[MO] [ARENA]
3 《インダサのトライオーム
2 《ラウグリンのトライオーム
3 《ゼイゴスのトライオーム
3 《サヴァイのトライオーム
3 《ケトリアのトライオーム
2 《神聖なる泉
1 《氷河の城砦
1 《聖なる鋳造所
1 《寺院の庭
1 《水没した地下墓地
1 《蒸気孔
1 《硫黄の滝
1 《繁殖池
1 《血の墓所
1 《竜髑髏の山頂
1 《森林の墓地
1 《踏み鳴らされる地
1 《根縛りの岩山
-土地(28)-

4 《縄張り持ちのカヴー
4 《ニヴ=ミゼット再誕
1 《不死のプリンス、オルクス
1 《スカラベの神
2 《ハイドロイド混成体
-クリーチャー(12)-
4 《成長のらせん
4 《稲妻のらせん
4 《消失の詩句
2 《表現の反復
1 《暗殺者の戦利品
4 《プリズマリの命令
1 《轟音のクラリオン
-呪文(20)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ
-相棒(1)-

1 《運命の神、クローティス
1 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン
1 《星界の大蛇、コーマ
1 《ハイドロイド混成体
4 《ドビンの拒否権
1 《暗殺者の戦利品
2 《轟音のクラリオン
1 《選別の儀式
1 《思考のひずみ
1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ
-サイドボード(14)-

 

 「5色ニヴ=ミゼット」!

 確かにヒストリックでは《ニヴ=ミゼット再誕》を軸にしたコントロールが長きに渡って存在してきていた。しかしながら『Jumpstart: Historic Horizons』参入後はやや鳴りを潜めていた。

 というのも《ドラゴンの怒りの媒介者》を得た赤いアグレッシブなデッキや、《真珠三叉矛の達人》《海と空のシヴィエルン》でガッツリ打点を高めた「マーフォーク」、《エスパーの歩哨》《イーオスのレインジャー長》でアドバンテージ勝負もできるようになった人間デッキといった面々。あるいは各種コンボなどに比べて、ニヴで2色のカードを用いて盤面をコントロールするという戦い方をするこのデッキは一見地味であり、かつ大幅な新戦力による補強もできていないように見えたからだ。

 使用率は以前より減少したものの、あるカードの存在は5色デッキとの相性が良いことからチャンス自体はあるのでは?と目されてはいた。コントロールは仮想敵が定まり切った最後に覇権を握るものである。そのタイミングがオープンのその日だったということだな。

 隠していてもしょうがないので「5色ニヴ」デッキが得た新戦力を紹介しよう。《縄張り持ちのカヴー》だ。

 コントロールしている基本土地タイプの数だけのパワーとタフネスを持つこの2マナクリーチャー、もともと5色デッキであるため3つのタイプを持つ各種トライオームを用いる「5色ニヴ」においては、簡単に5/5のマックスサイズで戦場に現れることになる。

 2マナ5/5というサイズは、対アグロデッキにおいては優秀な壁役として立ちはだかるものであり、対コントロールやコンボにおいてはゲームを長引かせずにさっさと終わらせられる理想の攻め手として機能するもの。

 そしてなおかつ攻撃することで墓地を追放できる能力が強い。《ドラゴンの怒りの媒介者》など昂揚カードや《マグマ・オパス》を《ミジックスの熟達》などで使いまわすデッキなどなど、ヒストリックでは墓地を巡る戦いが激化している。その中にあってそれらへのアンサーであるカヴーの、そのポテンシャルを最大限に引き出せてやるのが「5色ニヴ」の土地構成なのだ。

 デッキとしてはどっしり戦うコントロールである。《成長のらせん》で土地を展開し5色のマナを用意しつつ、多色の優秀な除去でクリーチャーなどのパーマネントに対処。

 プレインズウォーカーやアーティファクトも《消失の詩句》《暗殺者の戦利品》《プリズマリの命令》などで徹底的にバキバキ破壊。

 そして減った手札を《ニヴ=ミゼット再誕》《表現の反復》《ハイドロイド混成体》で補充して戦う。

 ここに《縄張り持ちのカヴー》が加わったことでスピード決着も狙えるようになったという形。

 カヴーとの相性も考えて採用されているのであろう《不死のプリンス、オルクス》にも注目。

 飛行とトランプルを持ちながら軽量クリーチャーをまとめて薙ぎ払う除去としても使えるデーモンなのだが、その能力は墓地からクリーチャーを戻すモードでも使える。もつれにもつれた長期戦、X=4でカヴー2体を戻して速攻で10点与えて勝利!なんて素敵な絵面が思い浮かぶ。これは実際やってみたいし、おそらくオープンのゲーム内でも決めているんじゃないかなと。このリストの隠し武器として、今後ニヴを見かけたら注意すべき展開だろうね。

 さて、新セットリリース後のこの「5色ニヴ=ミゼット」はどのようなデッキとなるだろうか。

 まず前提として、多色(2色)のカードであることが新戦力の条件となってくるだろう。『イニストラード:真夜中の狩り』に多色カードはきちんとある。というかここ数年、多色カード皆無のセットってないもんだな。

 2色以上の色を要求するカードは、その前提条件もあってカードパワーは高くなりがち。自ずとヒストリックのようなパワーカードひしめく環境でもやっていけるカードが出てきがちなものである。『イニストラード:真夜中の狩り』の新カードの中で、ヒストリックのこの5色コントロールからお呼びがかかりそうなカードを探してみたところ、気になるカードを見つけたので紹介しておこう。

 まず、《根のとぐろの忍び寄るもの》。

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 今セットのメインメカニズムのひとつであるフラッシュバックにフォーカスしたカードではあるが、それ以前に2マナ2/2で5色のマナを供給できる便利なクリーチャーである。

 そしてフラッシュバックを持ったカードと絡ませればそのポテンシャルを最大限に引き出せるが……多色のレアにはフラッシュバック持ちで魅力的なインスタント&ソーサリーがあるぞ。

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 《眼識の収集》は対戦相手のカードをいただくもので、奪ったカード次第でその強弱にはムラが出るのだが、フラッシュバックで2度使うことでカード1枚でカード2枚を得られて確実なアドバンテージが得られ、またマナ・コスト自体が通常とフラッシュバックとでどちらも軽いので使いやすい。対コントロールデッキや、ライブラリーの上を操作する相手には効果的に働くのではないだろうか。

 《縄張り持ちのカヴー》と相性の良い《未練残り》や《カエル声の写し身》という選択肢も面白い。カエル声のカヴーは本物よりワンサイズ大きくなることに注目!

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 またメインでは白青の軽くて扱いやすいカードがなくてスロットが空いていることもあるので、《信仰の繕い》なんかもニッチな役目を埋めてくれるかも?

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 一見新セットと無関係に見える《ニヴ=ミゼット再誕》だが、多色カードが作られ続ける以上、あらゆるセットで強化される可能性を持っている。秋に訪れる長い真夜中も、この頼もしいドラゴンとともに生き抜くってのも良いな!

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