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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
この夏しか遊べない、スタンダードを最後までやり尽くそう(スタンダード)
残暑お見舞い申し上げます by デイリー・デッキスタッフ一同。
一時期は雨が続き、第2の梅雨が来たなんて言われていた2021年8月。それももうほぼ終わり、いよいよ9月に突入。例年で考えるとまだまだここから暑くなってくるものだが、今年はどうなることやら。
あ、マジック的にはもちろんアツい9月になるよ! 『イニストラード:真夜中の狩り』がリリースだ! 今回の秋セットは9月と11月、あわせて2つがリリースされるという変則仕様。それらの舞台は中世ヨーロッパ風の世界観にゴシックホラーなクリーチャーが跋扈する次元・イニストラードだ。
9月の新セットである『イニストラード:真夜中の狩り』は、そのタイトルからも想像できるように狼男をプッシュしたものになる予感……赤と緑の新クリーチャーには大いに期待が持てる。すでに公開されているカードを見ると、もちろん他の色や種族にも新カードは加わるようなのでご安心を。いずれも不気味でまさしくゴシックホラーな雰囲気満載。一時期はエルドラージの侵蝕により恐怖の方向性が変わっていたイニストラードの、その原点に回帰したような感じだな。
で、怪しい魅力を早くも醸し出している新セットがやってくる……ということは、このコラムでも何度も言うように、現行スタンダードが遊べる時間は残りわずかとなっているということだ。2019年末からこの2021年夏までのセットで構成されたスタンダード、もう遊びつくしたと言えるかな?まだなら、最後まで味わい尽くそうじゃないか。
特にローテーションによりその主要メカニズムが失われるデッキは、次期スタンダードではもう遊べないものとなってしまう。あぁ、もっとアレやっておきたかったな……そんな後悔はしないように、今しかないスタンダードをプレイしよう!
というわけで今回はこの夏限りのデッキをピックアップ!
2 《沼》 3 《森》 2 《島》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 1 《ケトリアのトライオーム》 4 《闇孔の小道》 4 《疾病の神殿》 4 《清水の小道》 4 《樹皮路の小道》 4 《寓話の小道》 -土地(32)- 1 《嘘の神、ヴァルキー》 2 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 3 《長老ガーガロス》 1 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 -クリーチャー(7)- |
4 《無情な行動》 4 《海の神のお告げ》 4 《パワー・ワード・キル》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《耕作》 2 《死に至る霞》 4 《古き神々への拘束》 3 《絶滅の契機》 1 《ハグラの噛み殺し》 1 《影の評決》 4 《出現の根本原理》 2 《アールンドの天啓》 2 《海門修復》 1 《キオーラ、海神を打ち倒す》 -呪文(41)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 2 《悪意に満ちた者、ケアヴェク》 2 《星界の大蛇、コーマ》 4 《強迫》 1 《精神迷わせの秘本》 1 《才能の試験》 2 《エルズペスの悪夢》 2 《神秘の論争》 -サイドボード(14)- |
まずはお馴染み「スゥルタイ・ランプ」。《耕作》などで使えるマナを増やすランプ戦略、そのゴールに《出現の根本原理》を用いる現スタンダードの象徴的なデッキのひとつだ。
根本原理から単色のパワフルなカードを2枚唱えて戦況を一変させる、強烈なカウンターパンチで他のデッキを沈める様はここ半年間における日常の風景であった。
このデッキの顔である《出現の根本原理》はローテーションにより使用できなくなる。また根本原理から持ってくるカードを散らして採用する関係上、60枚よりも80枚のデッキの方がまとまった形になりやすく、ランプを支える《古き神々への拘束》との相性もすこぶる良い相棒《空を放浪するもの、ヨーリオン》もこの夏でスタンダードを去ってしまう。
主役級のカードは失ってはしまうが、残されるパーツを見ると《古き神々への拘束》でコントロールしつつ大技に繋げるというデッキは未だ組めるようにも思えるね。《パワー・ワード・キル》《影の評決》と黒の除去も十分に強力だ。
『イニストラード:真夜中の狩り』でどのような重いカードやマナ加速がやってくるか次第ではあるが、手を変え品を変えランプデッキの系譜は途絶えずに続いていくかもしれない。
いずれにせよ、7マナ揃えてドカンと一発根本原理で勝ち!というこのデッキならではの気分爽快さをスタンダードで味わえるのは残すところわずかな期間だ。
23 《沼》 1 《ロークスワイン城》 -土地(24)- 4 《鋸刃蠍》 4 《よろめく怪異》 4 《悪魔の職工》 4 《忘却の虚僧》 4 《ロークスワインの元首、アヤーラ》 4 《悲哀の徘徊者》 4 《悪夢の番人》 2 《荒涼とした心のエレボス》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(34)- |
2 《蜘蛛の女王、ロルス》
-呪文(2)- |
2 《悪意に満ちた者、ケアヴェク》 3 《血の長の渇き》 4 《罠を探す》 4 《無情な行動》 2 《石成の荒廃》 -サイドボード(15)- |
もうひとつ紹介するのは「黒単信心」。ランプという普遍的な戦略は環境が変わっても残り得るものだが、このデッキのように特定のセットのみに収録されるメカニズムを軸にしているデッキはそれがローテーションで落ちてしまうと再現不能となってしまう。
『テーロス還魂記』の信心能力、特に《アスフォデルの灰色商人》を軸としたこのデッキはこの夏限り。
《アスフォデルの灰色商人》は黒の信心1つにつきライフを1点吸い取る強烈なフィニッシャーだ。このカードのポテンシャルを最大限に引き出すために黒いクリーチャーを並べまくり、黒の信心を稼ぐ。圧倒的なクリーチャーの数からもそれが伝わるはずだ。
《悪魔の職工》《悲哀の徘徊者》《ロークスワインの元首、アヤーラ》と生け贄に捧げる能力が揃っており、《悪夢の番人》がいる状況でこれで《アスフォデルの灰色商人》を生け贄に捧げることでコピーを生成し、一気にライフを削り取るコンボを狙っている。
《鋸刃蠍》《よろめく怪異》などを生け贄に捧げる小技も備えて時間稼ぎもバッチリだ。特にマナを食いがちなデッキにとって《よろめく怪異》で宝物を得られるのは大きい。《悪魔の職工》でこれをかき集めるのもひとつの手だろう。
このデッキは信心というメカニズムに各種生け贄系デッキのエンジンになり得るカードもスタンダード落ちするので、次環境へと残せるものがほとんどない。寂しいことだが、信心が好きだというプレイヤーは、最後まで理想の盤面づくりに向けてガシャガシャやってほしい。今こそデッキへの信心を見せる時だ。
どちらのデッキも主役カードがスタンダードで使えなくなってしまうが、他のフォーマットではまだまだ遊べることも忘れずに。紙のカードならパイオニアやモダン、MTGアリーナであればヒストリックで。愛したカードやデッキがいつまでも現役であり続けられる場所はある。ローテーションを機に新しいフォーマットに挑戦してみよう。思い出に浸りつつマジック観も広がって、良いことしかないぞ!
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