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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ナヤ上陸Zoo(モダン)
夏、天気が良いと行きたい場所がある。動物園だ。
日本の夏は世界でもトップクラスの蒸し暑さで、動物たちも結構ヘバっている。なので秋とか春の方がイキイキした姿を見ることができる可能性は高い。それでも、動物たちの背景にスカッとするような青空や入道雲なんかが見える夏ならではの光景が個人的には好きなんだなぁ。サファリパークなんかもやっぱり夏のイメージがあるね、ナイトサファリなんかも。あぁ、動物園に行きたいな。
いつものようにこのコラムのためにデッキリストを漁っている時に、そんな思いが去来した。マジックにはその名も「Zoo」というデッキタイプが存在する。なぜそんな名前なのかというと、かつてのそれは動物が描かれたクリーチャーが多く採用されていたからだ。《サバンナ・ライオン》や《密林の猿人》……動物園で僕らを待っていそうな面々で構成されているということだね。
これらのクリーチャーの共通点は1マナでパワー2と攻撃的なスペックであること。早いターンからどんどんと動物を戦場に繰り出して、スピードで押し切ってしまうのが「Zoo」の戦い方だ。アグロデッキの典型例だね。
《今田家の猟犬、勇丸》など軽くて強い動物は時代が進むごとに増えていったが、「Zoo」の象徴である《野生のナカティル》登場後の躍進ぶりはすさまじかった。
1マナ3/3というハイパフォーマンスは多くのデッキを最序盤から圧倒した。ナカティル以後は動物に限らず、人間やなんだかよくわからないクリーチャーなどなど、とにかく軽くて打点に優れたクリーチャーとそれらの攻撃を押し込むための除去で構成されたデッキを「Zoo」と呼ぶようになり、今日に至る。
その除去も《稲妻》のように除去としてだけでなく対戦相手本体にダメージを与えられるもの、通称「火力」を優先して採用。
手札を使い切って勝つ、前のめりのスピード最重視。その攻撃性やナカティルというクリーチャーに心底ほれ込んでいるプレイヤーはずっと使い込んでいるイメージがあるね。
今日はそんな「Zoo」の現代におけるリストを紹介しよう。一時期は動物がグンと減ったこのデッキ、今ではむしろ動物が復権して本来のあるべき姿になっているとか?
1 《森》 1 《山》 1 《平地》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《寺院の庭》 2 《聖なる鋳造所》 4 《樹木茂る山麓》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《乾燥台地》 2 《地平線の梢》 -土地(22)- 4 《野生のナカティル》 4 《ステップのオオヤマネコ》 3 《アクームのヘルハウンド》 3 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 4 《山火事の精霊》 4 《改革派の結集者》 2 《水晶壊し》 -クリーチャー(24)- |
4 《稲妻》 4 《流刑への道》 3 《稲妻のらせん》 3 《レンと六番》 -呪文(14)- |
2 《静寂をもたらすもの》 1 《ドラニスの判事》 2 《忍耐》 1 《運命の神、クローティス》 3 《巻き添え》 1 《稲妻のらせん》 1 《安らかなる眠り》 1 《虚空の鏡》 2 《活性の力》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
おぉ! 実際に猫、犬、猿と動物たっぷりだ。これは動物園を名乗っても何も違和感はない、立派な「ナヤ(赤緑白)Zoo」だ。
やはりZooはこの形が定番、ナカティルのみならずこの3色には1~2マナに優秀なものが多く、また攻撃を通すための《流刑への道》《稲妻のらせん》など優秀な除去も揃っている。ここにさらに色を足す構成もあるが、安定感を求めるならナヤがベストだな。
さて、このリストの動物たちを紹介していくわけだが、同時にもうひとつ、このデッキのメインギミックもまとめて解説することにしよう。それは「上陸」だ。
1ターン目にナカティルでスタート。理想的な開幕だが、ナカティルは平地と山をコントロールしていることで本領を発揮する。でも本人は{G}が必要というわけで、運用するには土地構成に工夫が必要だ。
そこで《踏み鳴らされる地》《寺院の庭》《聖なる鋳造所》と複数のタイプを持つ土地を使ってこの問題を解決する……
……のだが、これを適当に入れていても欲しいタイプが手に入らない可能性がある。そこでこれら基本土地タイプを持つ土地へのアクセス手段として《樹木茂る山麓》《吹きさらしの荒野》《乾燥台地》、通称フェッチランドをたっぷりと用いる。
そして、このデッキではそのフェッチランドに色マナの調整以外にもうひとつ、上陸の誘発という役割を与えている。土地が戦場に出ることで誘発する上陸能力は、手札からフェッチランドを出し、それを生け贄に捧げてライブラリーから土地を出すという工程で2回誘発することになる。
1マナの動物たち、《ステップのオオヤマネコ》と《アクームのヘルハウンド》、さらに動物ではないけれども2マナの《山火事の精霊》は、いずれも上陸によりパワーが2上昇する。
素のサイズは貧弱だが、上陸によりみるみる巨大化してナカティルも追い越す成長ぶりを見せつけてくれる攻撃的なヤツらだ。これらをフェッチランドでガンガン育てて殴る、容赦ない野生の力を見せつけろ。
他にもデッキ内には上陸と相性の良いカードが無理なく自然に取り込まれているのも注目ポイントだ。《改革派の結集者》はフェッチランドを生け贄に捧げていれば紛争能力で墓地からそれを戦場に戻せる。1ターンに4回の上陸誘発、そこには欠片も慈悲はない。
フェッチランドの再利用であれば《レンと六番》もお忘れなく。
彼女はダメージ源にもなるし、《地平線の梢》を使いまわして手札を補充などうっかりゲームが長引いても戦える頼れる用心棒的な存在だ。
そして《流刑への道》、これは自身のクリーチャーに対しても唱えられる点に注目。あと1回の上陸があればこのターンにライフを0にできるという時には、召喚酔いしているような不要なクリーチャーに打ち込んで基本土地を持ってくるという荒業を披露してやるのだ。
また、基本のパワーが0~1の上陸クリーチャーに《水晶壊し》を変容することでパワーを上昇させてダメージを増加するというアイディアもなかなかにイカしているね。
動物たちが勢いに乗ったら、もうわれわれ人間では手が付けられない。高い攻撃性と動物たちの可愛さを備え持ったマジック界の動物園、ぜひ一度来園して満喫してみることをオススメするね!
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