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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑単エルフ:憧れの1枚、揺籃の地(ヒストリック)

岩SHOW

 憧れのカード、誰にだってあったんじゃないかな? 現在進行形である方もモチロンね。

 僕にとっては《ガイアの揺籃の地》がそうだった。

 マジックを始めたばかりの頃、そのきっかけとなったセット『ウルザズ・サーガ』を代表するパワフルな土地で、これが作られてから20年以上が経過しているがここまでヤバい土地カードというものは以後登場していないと断言できるレベルだ。

 クリーチャーの数だけ緑マナを生み出すという、当時でも非常に強力だったその加速力。これを用いて《樫の力》を唱えたいと、同世代なら皆夢見たものだ。中学生だった当時の仲間内で、この土地を持っている者はいなかった。皆憧れを抱き、お小遣いを握りしめてショップに赴いてはサーガのパックを剥く。どれだけ挑んでも手にすることは叶わず、現物を目の当たりにしたこともほとんどなかった。当時の僕らにとってはこれ以上ないほどの憧れの1枚だったのである。

 時代が進むにつれ、軽量の緑のクリーチャーが増え、その強さには拍車がかかることになった。そんな《ガイアの揺籃の地》のリメイクはいくつか作られている。最新のもので言えば《夢の円環のドルイド》はその能力がまんま在りし日のガイア。我らの憧れは3マナのクリーチャーという形で帰ってきたのだ。

 このドルイドはエルフである。エルフは《ガイアの揺籃の地》と相性抜群の部族で、レガシーでは軽量エルフを大量展開してから《ガイアの揺籃の地》からの大量マナで勝つデッキが昔ながらの定番だ。

 ということでこのガイア入りエルフをエルフデッキで使おう!というのは自然な流れ。ヒストリックにはすでに緑単やそれに黒や青を足したエルフという勢力があり、《夢の円環のドルイド》はそこにすんなりとフィットした。

 このデッキには《夢の円環のドルイド》と実質的に同様のマナ生産能力を持つ《エルフの大ドルイド》がいる。エルフの数だけマナを生み出す能力もまたガイアの血筋であると捉えられる。

 大ドルイドの追加枠的に《夢の円環のドルイド》を用いるエルフデッキには、さらにもう1つ《ガイアの揺籃の地》の後継が。《イトリモクの成長儀式》だ。

回転

 クリーチャーを手に入れるこのエンチャントはクリーチャーを4体以上コントロールしていると変身、《太陽の揺籃の地、イトリモク》となる。名前もガイアっぽいこの土地は《ガイアの揺籃の地》と同じくクリーチャーの数だけの緑マナを得られる伝説の土地だ。

 かつての憧れのカードが生まれ変わった面々で構成されたヒストリックのエルフ、そのリストを見てみよう。

DENSON - 「緑単エルフ」
ラジオ東淡路トーナメントテスト 通称N.K.Y.B. 3勝0敗 / ヒストリック (2021年8月7日)[MO] [ARENA]
18 《冠雪の森
3 《ギャレンブリグ城
1 《不詳の安息地
-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《アロサウルス飼い
4 《ヤスペラの歩哨
4 《エルフの幻想家
4 《エルフの戦練者
3 《ドゥイネンの精鋭
4 《エルフの大ドルイド
2 《夢の円環のドルイド
2 《激情の共感者
1 《孔蹄のビヒモス
-クリーチャー(32)-
2 《イトリモクの成長儀式
4 《集合した中隊
-呪文(6)-
1 《不詳の安息地
2 《漁る軟泥
2 《領界渡り
2 《再利用の賢者
1 《秘密を知るもの、トスキ
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
2 《墓掘りの檻
2 《形成師の聖域
2 《英雄的介入
-サイドボード(15)-
MTG Melee より引用)

 

 《ガイアの揺籃の地》のように爆発的にマナを伸ばすカードとともに、《ラノワールのエルフ》《ヤスペラの歩哨》《ギャレンブリグ城》とコツコツ使えるマナを増やせるカードも使用しているのがエルフの特徴だ。

 マナを得てエルフを展開し、そのエルフからまたマナを得る。そうやって最終的には大量のマナを得られるようにして……それで終わりではなく、もちろん決め技に繋ぐ。

 わかりやすいのは《孔蹄のビヒモス》、本人もエルフ軍も皆巨大なトランプル持ちになり、1回の攻撃で下手すりゃ100点とかのダメージを叩き出す。

 ビヒモスほどの破壊力ではないが、決め技でありながら軽いエルフでもある《アロサウルス飼い》《エルフの戦練者》も十分にゲームを終わらせるパワーを持っている。

 それぞれ打ち消し対策、トークン生成でエルフの数を増やすという本業とも言える能力で強気の展開を円滑にしてくれる。

 エルフはヒストリック有数のパワーカードである《集合した中隊》が使えるのも強さの要因だ。

 クリーチャーをどんどんと横に並べて勝つデッキである以上、《神々の憤怒》《神の怒り》などの全体除去は宿命の天敵だ。これで1対複数の交換をされてしまうのは覚悟の上で、それらソーサリー除去を唱えられた返しで中隊を用いて即座に盤面を立て直そう。もちろんそのような恐れのないデッキ相手には積極的に唱えて、大ドルイドや円環のドルイドが複数体並ぶ圧倒的な戦場を作り上げよう。

 中隊対策と言えば《墓掘りの檻》。このアーティファクトに対しての解答であり、同時にエルフでもある《再利用の賢者》を有しているのも強みである。

 そして、エルフはこの中隊に強く依存しているデッキというわけでもないという点にも注目だ。デッキにとってのブーストではあるが、これがなくても持ち前のマナ加速で手札から大量展開が可能。なので中隊を使わないプランを選んでもよい。このリストは自ら《墓掘りの檻》をサイドインして、墓地系デッキやエルフよりも中隊依存が強いデッキに対して意表を突ける構成にもなっている。エルフ相手にアーティファクト破壊をサイドインするということもなかなか実行しないことだもんなぁ。

 さて、この夏には『Jumpstart: Historic Horizons』がリリースされる。今後ヒストリックでエルフデッキを組むのであればここにさらに新カードを加えられるということだ。

 ライブラリーの中からランダムで特定のカードを手札に加える抽出能力を用いる新カードは《スカイシュラウドの見張り番》。確実にエルフを得られるので《エルフの幻想家》よりも強力に働く場面が多そうだ。

Skyshroud_Lookout.png

 同じくエルフを抽出する能力を持つのは《スカイシュラウドの援護者、フレイアリーズ》。

Freyalise_Skyshroud_Partisan.png

 3マナと軽いプレインズウォーカーでありながら抽出でアドバンテージが得られて、さらに「永久に」エルフを強化したりかつてエルフデッキのお友達だった《威厳の魔力》を創出したりと、MTGアリーナならではの能力に満ちている。

 エルフデッキというものはあまりプレインズウォーカーを用いないものなのだが、彼女は別格のように見える。何枚くらい入れるのが最適解か、そのあたりを確認しつつヒストリックならではのメカニズムを味わっていきたいところだ。もちろん、そのために必要なマナは《ガイアの揺籃の地》チルドレンに提供してもらおうぜ!

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